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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
1,3-ジクロロプロパン-2-オール
作成日 2008年3月31日
改訂日 2012年3月30日
改訂日 2024年3月29日
化学品の名称1,3-ジクロロプロパン-2-オール
化学品の英語名称1,3-Dichloropropan-2-ol
製品コードR05-C-023-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限セルロース系材料架橋剤,合成樹脂溶剤,有機合成中間体/エピクロロヒドリン等の原料,染色助剤,湿潤紙力増強剤,プラスチック・樹脂溶剤 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H24.3.30、ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
物理化学的危険性引火性液体区分4
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分3
急性毒性(経皮)区分3
急性毒性(吸入:蒸気)区分2
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
発がん性区分2
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1(肝臓)、区分3(気道刺激性)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1(肝臓、腎臓、血液)、区分2(鼻腔)
分類実施日
(環境有害性)
H24.3.30、ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示どくろ腐食性健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報可燃性液体
飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合は有毒
吸入すると生命に危険
皮膚刺激
重篤な眼の損傷
発がんのおそれの疑い
肝臓の障害
呼吸器への刺激のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓、腎臓、血液の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による鼻腔の障害のおそれ
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
 応急措置火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けんで洗うこと。
気分が悪いときは医師に連絡すること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名1,3−ジクロロプロパン−2−オール
慣用名又は別名α−ジクロロヒドリン
グリセリン−1,3−ジクロロヒドリン
グリセリン−1,3−ジクロロヒドリン
1,3−ジクロロイソプロパノール
1,3−ジクロロヒドリン
英語名1,3-Dichloropropan-2-ol
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C3H6Cl2O (129)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号96-23-1
官報公示整理番号(化審法)2-2002
官報公示整理番号(安衛法)2-(8)-119
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。できるだけ早く、グルココルチコイド吸入用スプレーで繰り返し深呼吸させる。直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水と石けんで少なくとも10〜20分間洗浄する。直ちに医師の診察/手当を受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合流水で10分間洗浄する。できればコンタクトレンズを外す。その後も洗浄を続けること。直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GHS分類結果、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。意識があればコップ1〜2杯の水を飲ませる。食用油、ひまし油、牛乳またはアルコールは使用しない。嘔吐させないこと。直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:咳、咽頭痛、気道の刺激、吐き気、肺水腫。
皮膚:発赤、軽度から中等度の刺激。 吸収による全身影響の危険性。
眼:充血、痛み、結膜炎の可能性、角膜への損傷 。
経口摂取:粘膜に対する中程度から重度の刺激。
吸収:中枢神経・肝臓・腎臓への重度損傷、胃腸障害または損傷の可能性。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素、耐アルコール泡消火薬剤。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(塩化水素、一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項地下、湖沼、河川への流出を避ける。漏出した場合は、自治体に連絡すること。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
二次災害の防止策付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。
火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
容器を開けたままにしない。飛沫を避ける。接触を避ける。補給または移送には排気装置付きの漏れ防止装置を使用すること。換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
以上、GHS分類結果、GESTIS、日化協発行ガイドライン参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策皮膚への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。蒸気またはミストの吸入を避ける。衣服との接触を避ける。汚染された衣類は交換し、注意深く洗うこと。休憩前に着替えが必要になる場合がある。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管するか、権限のある者のみが管理する。容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所に保管すること。強酸化剤から離しておく。
以上、GESTIS、ICSC参照。
安全な容器包装材料消防法、毒劇法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)-
設備対策作業場所には換気設備を設置する。蒸気は空気より重いので床面での十分な換気も必要である。排出された空気は作業場所に戻さない(特に高温時)。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
-防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
-濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
-作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
手の保護具適切な不浸透性の保護手袋を着用する。
保護手袋の選択については、厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を参照のこと。
眼の保護具サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色
臭いエーテル様臭
融点/凝固点-4 ℃(GESTIS(2023), ICSC(2021))
沸点、初留点及び沸騰範囲175 ℃(GESTIS(2023))
174.3 ℃(ICSC(2021))
可燃性可燃性(ICSC(2021))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点74 ℃ (密閉式)(GESTIS(2023))
74 ℃ (開放式)(ICSC(2021))
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水: 110 g/l(20℃)(GESTIS(2023), ICSC(2021))
n-オクタノール/水分配係数log Pow: 0.78(ICSC(2021))
蒸気圧1.73 hPa(30℃)(GESTIS(2023))
100 Pa(20℃)(ICSC(2021))
密度及び/又は相対密度1.39 g/cm3(20℃)(GESTIS(2023))
1.35 (ICSC(2021))
相対ガス密度4,45 (空気=1)(GESTIS(2023))
4.4 (空気=1)(ICSC(2021))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性加熱すると、または燃焼すると、分解する。 塩化水素などの有毒なフュームを生じる。 強酸化剤と反応する。 金属粉末およびプラスチックを侵す。
危険有害反応可能性ナトリウムアミド酸塩と激しく反応する可能性がある。
アルカリ/アルカリ土類金属、強酸化剤、強還元剤、強酸、金属粉、酸無水物、酸クロライドと接触すると爆発の危険性がある。
避けるべき条件加熱
混触危険物質強酸化剤、 金属粉末、プラスチック
危険有害な分解生成物塩化水素

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として4件のデータ(81 mg/kg(環境省リスク評価 第4巻(2005))、110 mg/kg(環境省リスク評価 第2巻(2003))、120mg/kg(JECFA 1039(2002))、140 mg/kg(JECFA 1039(2002))が報告され、いずれも区分3に該当する。
経皮ウサギのLD50値として3件のデータ(590 mg/kg(環境省リスク評価 第4巻(2005)、800 mg/kg(JECFA 1039(2002)、0.8 ml/kg(=1081 mg/kg)(DFGMAK-Doc.1(1991))が報告され、2件が区分3、1件が区分4に該当することから、該当数の多い区分3とした。
吸入: ガスGHSの定義における液体である。
吸入: 蒸気ラットのLC50値は125 ppm/4h(JECFA 1039(2002))に基づき区分2とした。なお、LC50値(125 ppm)が飽和蒸気圧濃度(987 ppm)の90%より低いことから、ミストがほとんど混在しない蒸気として、気体の基準値を適用した。
吸入: 粉じん及びミストデータなし。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギに本物質原液0.01 mLを24 時間の開放適用した試験で刺激性を示した(NITE 初期リスク評価書 10(2008))と報告されていることから区分2とした。なお、軽度の刺激性(mildly irritating、slightly irritating)との評価もある(DFG MAK-Doc(1991)、JECFA 1039(2002))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギを用いた眼刺激性試験において、重度の刺激性と損傷(severe irritation and damage)がみられた(irritation score 8/10)との報告がある(AICIS (旧NICNAS IMAP)(2015)、NITE 初期リスク評価書 (2008))。
(2)In vitro 眼刺激性試験(OECD TG 437、GLP)において、in vitro刺激性スコア(IVIS)=78(>55で区分1)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed July 2023))。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性データなし。
生殖細胞変異原性ラットに経口投与による骨髄を用いた小核試験(OECD TG 474)およびマウスに経口投与による末梢血を用いた小核試験(いずれも体細胞in vivo変異原性試験)において、いずれも陰性の結果(JECFA 1145(2007)、NTP DB G11538(Accessed Sep. 2011))に基づき区分に該当しない。なお、ラットに経口投与による肝細胞を用いた不定期DNA合成試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験;OECD TG 486)で陰性が報告され、in vitro試験としては、エームス試験、マウスリンパ腫細胞およびマウス前立腺線維芽細胞を用いた遺伝子突然変異試験、CHO細胞を用いた染色体異常試験ではそれぞれ陽性の報告(NTP DB 843274(1984)、NITE 初期リスク評価書 201(2008)、環境省 リスク評価 第4巻(2005))がある。
発がん性IARCの発がん性評価でグループ2Bに分類されている(IARC News: 101(2011))ことから、区分2とした。なお、EUでは、カテゴリー2(R45)に分類されている(EC-JRC(ESIS)(Accessed Sep. 2011))。また、ラットに104週間飲水投与した試験(OECD TG 453、GLP)の結果から、肝臓、腎臓、舌及び口腔、甲状腺における発がん性が強く示唆される(NITE 初期リスク評価書 201(2008))との報告がある。
生殖毒性データ不足。なお、ラット雄3匹に100 mg/kg/日を8日間強制経口投与した後交配し、妊娠9または10日に着床胚を観察した結果、1 組は交尾不成立、別の1組の雌では胚形成がみられず、もう1 組では正常な数の着床胚がみられたとの報告があるが、動物数が少なく、検査項目も限られていることから、試験物質の影響については判断できない(NITE 初期リスク評価書 201(2008))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)ヒトで事故例の報告として、エピクロロヒドリン合成用けん化塔の清掃作業に従事した男性12人中6人に急性肝障害がみられ、うち2人が死亡した。死亡した2人とも作業後全身倦怠感、吐き気、嘔吐を訴え、肝腫大、AST、ALT の著しい増加、プロトロンビン時間の延長等がみられて劇症肝炎と診断され、血清または血漿において本物質が検出された(NITE 初期リスク評価書 201(2008))。動物試験でも皮下及び腹腔内投与による急性毒性では肝臓障害が中心であり、重度の肝細胞の空胞変性及び脂肪変性、巣状壊死などが観察され、劇症肝炎の病態を示す(NITE 初期リスク評価書 201(2008))と述べられている。以上より、区分1(肝臓)とした。一方、当該物質は強い粘膜刺激性を有し、吸入により咳、頻呼吸、喘鳴呼吸を呈するとの記述(HSDB in PubChem (Accessed 2003))により、区分3(気道刺激性)とした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ラットの104週間反復経口投与試験(OECDテストガイドライン、GLP)において80 ppm(6.3〜9.6 mg/kg/日)以上で肝細胞の脂肪変性、および13週間反復経口投与試験(US EPA TSCAテストガイドライン、GLP)では10 mg/kg/日以上で肝細胞核小体肥大が観察された(NITE 初期リスク評価書 .201(2008))ことから、区分1(肝臓)とした。104週間反復経口投与試験の240 ppm(19.3〜30 mg/kg/日)以上で尿タンパクの増加があり、13週間反復経口投与試験でガイダンス値区分1の上限に相当する10 mg/kg/日以上で多巣性尿細管変性が見られた(NITE 初期リスク評価書 .201(2008))ことから区分1(腎臓)とした。また、104週間反復経口投与試験の80 ppm(6.3〜9.6 mg/kg/日)以上でクッパー細胞のヘモジデリン沈着、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値の低下が観察されたことから区分1(血液)とした。さらに、13週間反復経口投与試験の100 mg/kg/日で鼻腔の病理組織変化(鼻甲介癒着、嗅粘膜変性、呼吸粘膜及び嗅粘膜過形成等)が報告されている(NITE 初期リスク評価書 .201(2008))ことから、区分2(鼻腔)とした。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)魚類、甲殻類、藻類で100 mg/L超のデータが得られている(環境省生態影響試験, 1996; 環境省リスク評価第4巻, 2005)ことから、区分に該当しない。
水生環境有害性 長期(慢性)慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(BOD:84, 86, 0%、TOC:99, 96, 40%、GC:100, 100, 51%(既存点検, 1986))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 6.25 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分に該当しない。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類(メダカ)の96時間LC50 > 100 mg/Lであり、難水溶性ではない(水溶解度 = 99,000 mg/L(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分に該当しない。
以上の結果から、区分に該当しない。
残留性・分解性化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号2750
品名(国連輸送名)1,3-ジクロロ-2-プロパノール
国連分類6.1
副次危険-
容器等級U
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、消防法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、消防法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*153
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和7年4月1日以降)
作業場内表示義務(法第101条の4)(令和7年4月1日以降)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
毒物及び劇物取締法毒物(指定令第1条)
消防法第4類 引火性液体 第三石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」
修正履歴
R6.3.29:
・危険有害性の分類について「眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性(区分2A→区分1)」のみ見直した。
・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。