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安全データシート
o‐クレゾール
作成日 2008年10月06日
改訂日 2015年3月31日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称o‐クレゾール (o-Cresol)
製品コードH26-B-032(20B0018)
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬・香料・エポキシ樹脂・半導体封止材料原料,消毒剤

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性分類できない
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分3
急性毒性(経皮)区分3
皮膚腐食性及び刺激性区分1
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性区分1
発がん性区分2
特定標的臓器毒性(単回ばく露)区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓)、
区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)区分1 (中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓)
分類実施日環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分2
水生環境有害性 (長期間)区分外
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示どくろ腐食性健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
皮膚に接触すると有毒
重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
重篤な眼の損傷
眠気又はめまいのおそれ
発がんのおそれの疑い
中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓の障害
注意書き
安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
口をすすぐこと。

汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名o‐クレゾール (o-Cresol)
別名2−メチルフェノール (2-Methylphenol)
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C7H8O (108.14)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号95-48-7
官報公示整理番号(化審法)(3)-499
官報公示整理番号(安衛法)4-(10)-150
分類に寄与する不純物及び安定化添加物データなし

4.応急措置
吸入した場合被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合直ちに医師に連絡すること。
直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
直ちに医師に連絡すること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入 : 灼熱感、咽頭痛、咳、頭痛、吐き気、嘔吐、息苦しさ、息切れ。症状は遅れて現われることがある。
皮膚 : 吸収される可能性あり。発赤、痛み、水疱、皮膚熱傷。
眼 : 発赤、痛み、重度の熱傷。
経口摂取 : 吐き気、嘔吐、腹痛、灼熱感、ショックまたは虚脱。
肺水腫の症状は2〜3時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項医師または医師が認定した者が、適切なスプレー剤を直ちに使用することを検討する。

5.火災時の措置
消火剤水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類
使ってはならない消火剤棒状放水
特有の危険有害性毒性がある。吸入、経口摂取、皮膚からの吸収により重傷又は致命的になるおそれがある。
接触により皮膚や眼に炎症をおこすおそれがある。
火災によって刺激性及び/又は毒性のガスを発生するおそれがある。
可燃性物質
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置作業者は適切な保護具(『8.ばく露防止措置及び保護措置』の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
全ての着火源を取り除く。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
密閉された場所は換気する。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
環境に対する注意事項環境中に放出してはならない。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏洩物を掃き集めて密閉できる空容器に回収し、後で廃棄処理する。
湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。

すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
環境への放出を避けること。
熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
飲み込まないこと。
皮膚と接触しないこと。
眼に入れないこと。
粉じん、ヒューム、スプレーを吸入しないこと。
必要な個人用保護機器を使用すること。
接触回避『10.安定性及び反応性』を参照。
保管
安全な保管条件技術的対策: 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器、規制所管官庁が指定する機器を使用すること。
容器及び受器を接地、結合すること。
強酸化剤から離しておくこと。
熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。
熱、スパーク、火炎並びに静電気蓄積を避けること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
安全な容器包装材料データなし

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度5 ppm
許容濃度
日本産衛学会(2014年度版)未設定
ACGIH(2014年版)TLV-TWA (20 mg/g3)
TLV-STEL (- mg/g3)
設備対策この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
ばく露を防止するため、装置の密閉化又は局所排気装置を設置すること。
保護具
呼吸用保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
必要に応じて個人用保護手袋を使用すること。
眼の保護具適切な保護衣を着用すること。
必要に応じて個人用の保護衣、保護面を使用すること。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣を着用すること。
必要に応じて個人用の保護衣、保護面を使用すること。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状固体
無色
臭い特有の臭気
臭いのしきい(閾)値情報なし
pH情報なし
融点・凝固点31℃ : ICSC (2008)
沸点、初留点及び沸騰範囲191-192℃ : HSDB(2014)
引火点81℃(closed cup) : HSDB(2014)
蒸発速度(酢酸ブチル=1)情報なし
燃焼性(固体、気体)情報なし
燃焼又は爆発範囲1.4 - ?vol% : ICSC(2000)
蒸気圧33Pa(25℃) ICSC(2000)
蒸気密度3.7(空気=1) : ICSC (J) (2000)
比重(相対密度)1.047(20℃/4℃):Merck(13th,2001)
溶解度水:25.9g/L(25℃) :HSDB(2005)
アルコール、クロロホルム、エーテル:混和:Merck(13th,2001)
n-オクタノール/水分配係数log Kow=1.95 : PHYSPROP Database (2005)
自然発火温度599℃ : HSDB(2014)
分解温度データなし
粘度(粘性率)データなし

10.安定性及び反応性
反応性情報なし
化学的安定性法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる
危険有害反応可能性強酸化剤と激しく反応する。
避けるべき条件情報なし
混触危険物質強酸化剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として、121 mg/kg (ATSDR (2008)、NTP TR550 (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価書第5巻 (2006)、SIDS (2001)、EHC 168 (1995))、1,350 mg/kg (環境省リスク評価書第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2001)) の2件の報告がある。区分3と区分4とに、それぞれ1件ずつ該当するが、LD50値の最小値が該当する区分3とした。
経皮ラットのLD50値として、620 mg/kg (環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2001)、EHC 168 (1995))、620-1,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007))、ウサギのLD50値として、890 mg/kg (ATSDR (2008)、NTP TR550 (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995))、890-1,380 mg/kg (SIDS (2001))、890-2,000 mg/kg 以上 (NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告がある。分類ガイダンスに従い、最も多くのデータが該当する区分3とした。
吸入:ガスGHSの定義における固体である。
吸入:蒸気データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値 (1時間) として、>1,220 mg/m3 (4時間換算値:610 mg/m3 (=138 ppm)) との報告 (PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第5巻 (2006)) がある。飽和蒸気圧濃度 (325.8 ppm (=1.44 mg/L)) の90%よりLC50値が低いので、ミストを含まないものとみなした。このLC50値からでは、区分2、区分3、区分4、区分外のいずれかを特定できないので、分類できないとした。
吸入:粉じん及びミストデータ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギの皮膚に本物質を適用した試験で、強度の刺激性及び腐食性がみられたとの報告が複数ある (EHC 168 (1995)、NITE初期リスク評価書 (2007)、PATTY (6th, 2012))。また、本物質は皮膚に対して腐食性を示す (SIDS (2001)、環境省リスク評価第5巻 (2006)) との記載がある。以上より、区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R34」、EU CLP分類で「H314 Skin Corr. 1B」に分類されている。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギに本物質の33%溶液を適用した試験で、持続性の角膜混濁と血管新生がみられたとの記載がある (NITE初期リスク評価書 (2007))。また、本物質はウサギの眼に対して強度の刺激性又は腐食性を示す (SIDS (2001)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、DEFGOT vol. 14 (2000)) との記載がある。以上より、区分1とした。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験、マウス及びラット骨髄細胞の小核試験、マウス骨髄細胞の染色体異常試験でいずれも陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2001)、ATSDR (2008)、DFGOT vol.14 (2000))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、ラット培養肝細胞の不定期DNA合成試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性、ヒト細胞では姉妹染色分体交換試験陰性の結果となっている (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006)、SIDS (2001)、DFGOT vol.14 (2000)、ATSDR (2008))。以上より、in vitro染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性の結果であるが、in vivo試験でいずれも陰性であるため、本物質はin vivoで変異原性を示さないと判断した。
発がん性EPAでCに分類されている (EPA (2002)) ことから、区分2とした。ガイダンスに従い区分を変更した。
生殖毒性ラットを用いた経口経路 (強制) での2世代生殖毒性試験、マウスを用いた経口経路 (混餌) での連続交配試験、ミンクを用いた1世代生殖毒性試験において生殖能に影響はみられず、児に対してはラット及びマウスで体重に影響がみられたほかには影響はみられていない (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。
ラットを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験においては、死亡を含む母動物毒性 (25例中4例死亡、体重増加抑制、自発運動の低下、運動失調、振戦、攣縮、腹臥位姿勢、呼吸時の雑音) がみられる用量 (450 mg/kg bw/day) で胎児に側脳室拡張 (1例)、軽微な骨格変異 (5例) がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。この試験では母動物の死亡が10%以上であるので不採用とする。ウサギを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験においては、母動物毒性 (異常呼吸音、眼脂、自発運動低下) がみられる用量において胎児にわずかな影響 (表皮下の血腫 (頭部)、胸骨骨化遅延) がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。この試験では胎児にみられた影響が軽微であるの不採用とする。
ヒトの疫学において、クレゾールとクロロベンゼンあるいは塩化ホスホリルを使う工場で働く女性で女性ホルモン量変化と月経の異常、周産期死亡率と奇形発生率の増加したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。しかし、みられた変化はo-クレゾールばく露との関連性が明らかでないため分類に用いるには適当でない。
以上のように、2世代生殖毒性試験、連続交配試験において生殖に影響はみられれていない。旧分類の分類根拠とした所見の意義について検討した結果、性周期の異常については、該当する情報がなかったが、被験物質としてクレゾール (o-、m-、p-の混合物) を用いたラットにおける4ヶ月間の吸入毒性試験において発情周期及び発情期の延長と発情間期の短縮、卵巣で一次卵胞の減少、閉鎖卵胞の増加を認めたとした報告がある (環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995))。この情報は、異性体混合物を用いた試験であること、詳細が不明であることから分類に用いることは不適当と判断した。したがって、旧分類の区分2を分類できないに変更した。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)ヒトにおいては、気道の刺激性を示し、蒸気やエアロゾルの吸入では鼻の狭窄感、乾き、咽喉の刺激症状、肺水腫を起こす。また、灼熱感、咽頭痛、咳、頭痛、吐き気、嘔吐、息苦しさ、息切れ、呼吸不全 (咳、努力・頻呼吸) が報告されている。経口摂取では、嘔吐、腹痛、灼熱感、ショック/虚脱、出血性下痢、口、喉、胃の白色壊死病斑、経路不詳であるが、中枢神経系抑制、錯乱、蒼白、発汗、脱力感、頭痛、めまい、耳鳴り、不整脈、低血圧、浅呼吸、低体温症、呼吸不全を伴うショック、発作、意識不明、昏睡、心血管系、溶血性貧血、肺水腫、肺・肝臓・膵臓・脾臓・心臓・腎臓の損傷、代謝性アシドーシスがみられている。急性肺水腫は経皮ばく露によっても起こる (環境省リスク評価第5巻 (2006)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2014))。
実験動物では、マウス、ラットへの吸入ばく露では、マウスに粘膜の刺激、興奮、筋収縮、間代性けいれん、経口投与で、自発運動低下、流涎、協調運動失調、筋収縮、振戦、けいれん、呼吸困難、衰弱、嗜眠、昏睡、死亡がみられ、剖検所見として、吸入ばく露では、肺浮腫、肝臓の脂肪変性及び小葉中心性の壊死、腎臓の浮腫、糸球体の腫大及び尿細管上皮の変性、経口投与では、消化管の炎症、肺、肝臓、腎臓の充血及び出血が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007))。
以上より、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓)、区分3 (麻酔作用) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)ヒトでは、本物質を含むクレゾール混合物の蒸気 (濃度不明) に1.5-3ヶ月間、吸入ばく露された作業者7名に吐き気と嘔吐を伴う頭痛、うち4名には加えて血圧上昇、腎機能障害、血中カルシウム濃度異常、及び顕著な振戦が認められた (ACGIH (7th, 2001)、 DFGOT vol. 14 (2000)、PATTY (6th, 2012)) との記述がある。
実験動物では、ミンク又はフェレットに28日間混餌投与した試験において、区分2相当量 (80 mg/kg/day相当 (ミンク:24 mg/kg/day (ガイダンス値換算))、140 mg/kg/day相当 (フェレット:44 mg/kg/day (ガイダンス値換算)) で、肝臓相対重量の増加がみられたが、ラット又はマウスの13週間混餌投与試験では、区分2までの範囲内で毒性所見はなく、区分外の高用量 (175 mg/kg/day超) において、肝臓相対重量増加、貧血傾向所見 (赤血球数減少、ヘモグロビン濃度減少)、神経症状 (嗜眠、振戦、痙攣) がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2001)、ATSDR (2008))。一方、吸入経路では1用量のみの試験であるが、マウス1ヶ月間及びラット4ヶ月間吸入ばく露試験において、区分1に該当するばく露濃度 (マウス:50 mg/m3 (0.0056 mg/L/6hr (ガイダンス値換算))、ラット:9 mg/m3 (0.006 mg/L/6 hr (ガイダンス値換算)) で、呼吸器 (上気道の炎症、肺の水腫、出血)、中枢神経系 (自発運動減少、嗜眠、神経細胞及びグリア細胞の変性)、心血管系 (心筋の変性、血管周囲の線維化) 及び血液系 (白血球数増加、骨髄におけるE/M (赤芽球系細胞/顆粒球系細胞) 比の減少) への影響、並びに心筋、肝臓、腎臓の変性が認められている (NITE初期リスク評価書 (2007)、SIDS (2001)、ATSDR (2008))。
以上より、ヒト (混合物) 及び実験動物 (本物質: o-異性体) の吸入経路での毒性情報を基に、区分1 (中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓) に分類した。なお、旧分類はList 3の情報源からの分類結果であり、今回はList 1の情報源を基に、かつ他の異性体、クレゾール混合物に対する分類との整合性も勘案し、分類結果を見直した。
吸引性呼吸器有害性データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=5mg/L(EHC168、1995)他から、区分2とした。
水生環境有害性(長期間)急速分解性があり(20日間の分解度:86%(SIDS、1998))、かつ生物蓄積性が低いBCF=10.7(SIDS、1998))ことから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
汚染容器及び包装容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。
国際規制
国連番号3455
国連品名Cresols, solid
国連危険有害性クラス6.1
副次危険8
容器等級K
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報消防法の規制に従う。 毒劇法の規制に従う。
特別安全対策危険物又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
移送時にイエローカードの保持が必要。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号153

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
化審法優先評価化学物質
労働安全衛生法第2種有機溶剤等
作業環境評価基準
名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
腐食性液体
化学物質排出把握管理促進法第1種指定化学物質
毒物及び劇物取締法劇物
消防法指定可燃物 可燃性固体類
船舶安全法毒物類・毒物
航空法毒物類・毒物
港則法毒物類・毒物
労働基準法疾病化学物質

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
<モデルSDSを利用するときの注意事項>
本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。