化学品の名称 | ビフェニル | ||
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化学品の英語名称 | Biphenyl | ||
製品コード | R05-B-008-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 熱媒体,染色助剤 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 発がん性 | 区分1B | |
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3(気道刺激性) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(神経系、肝臓) | ||
分類実施日 (環境有害性) | H19.3.30、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 | |
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 発がんのおそれ 呼吸器への刺激のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、肝臓の障害 水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | ビフェニル | ||
慣用名又は別名 | ジフェニル フェニルベンゼン 1,1’−ビフェニル | ||
英語名 | Biphenyl 1,1'-Biphenyl | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C12H10 (154) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 92-52-4 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 4-13 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。気道に炎症がある場合はできるだけ早く、グルココルチコイド吸入用スプレーで繰り返し深呼吸させる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。直ちに皮膚に付着した部分を水と石けんで丁寧に洗浄する。医師の診察/手当を受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 多量の流水で10分間洗浄する。できればコンタクトレンズを外す。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。大さじ3杯の炭をコップ1杯の水に混ぜて飲ませる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:口/喉の灼熱感、咳、吐き気、嘔吐、手の乾燥などの刺激症状、高濃度では肺損傷(浮腫、肺炎)の危険性。 皮膚:発赤。 眼:充血、痛み、灼熱感、結膜炎。 経口摂取:粘膜への刺激、胃腸障害。 吸収:中枢神経系の障害 (筋力低下、放心状態から意識喪失まで)。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素。大規模火災には耐アルコール泡消火薬剤、水噴霧。 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 以上、GESTIS参照。 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
特有の消火方法 | 周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 こぼれた物質を密閉式容器内に掃き入れる。 残留分を注意深く集め、安全な場所に移す。 粉塵の拡散を防ぐ。 この物質を環境中に放出してはならない。 | ||
二次災害の防止策 | 付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。 火花を発生しない安全な用具を使用する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を開けたままにしない。漏出を避ける。接触を避ける。粉じんの発生を避ける。使用する場合は十分な換気を確保すること。 以上、GHS分類結果、GESTIS参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 皮膚や眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。粉じんの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 以上、GHS分類結果、GESTIS参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管する。容器を密閉し、室温の乾燥した換気の良い場所に保管すること。酸化剤から離しておく。 以上、GHS分類結果、GESTIS、ICSC参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | - | |||
濃度基準値 | ||||
八時間濃度基準値 | 3 mg/m3 | |||
短時間濃度基準値 | - | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2023年版) | - | |||
ACGIH(2023年版) | TLV-TWA: 0.2 ppm | |||
設備対策 | 作業場所には換気設備を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設け、標識を付ける。床に排水溝を設けないこと。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出)には、呼吸保護具を着用する。 作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 | |||
手の保護具 | 適切な不浸透性の保護手袋を着用する。 保護手袋の選択については、厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を参照のこと。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣または化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 | ||
色 | 無色〜わずかに黄色 | ||
臭い | 特徴的な臭い | ||
融点/凝固点 | 69 ℃(GESTIS(2023)) 70 ℃(ICSC(2006)) 68.93 ℃(CRC(2018)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 255 ℃(GESTIS(2023)) 256 ℃(ICSC(2006)) 255.2 ℃(CRC(2018)) | ||
可燃性 | 可燃性、低引火性(GESTIS(2023)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | 113 ℃(密閉式)(GESTIS(2023)、ICSC(2006)) 232 ?(密閉式)(SAX(2000)) | ||
自然発火点 | 540 ℃(GESTIS(2023)、ICSC(2006)) 1004 ?(SAX(2000)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 1.48 mPa*s(70℃)(GESTIS(2023)) 0.98 cSt(100℃)(PubChem(2023)) | ||
溶解度 | 水: 0.0004 g/100mL(20℃)(ICSC(2006)) 水: 4.45 mg/L(GESTIS(2023)) エタノール、エチルエーテル: (可溶)(HSDB in PubChem(2023)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow: 3.98(GESTIS(2023)、Howard(1997)) log Kow: 3.16/4.09(ICSC(2006)) | ||
蒸気圧 | 1.19 Pa(25℃)(ICSC(2006)) 134.2/152.5/165.2 mmHg(20℃/40℃/60℃)(Perry(2019)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.04 g/cm3(20℃)(GESTIS(2023)、CRC(2018)) 0.991 g/cm3(75/4?)(SAX(2000)) | ||
相対ガス密度 | 5.3 (空気=1)(ICSC(2006)) | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 酸化剤と反応する。 | ||
危険有害反応可能性 | 情報なし | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,140 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2019)) (2)ラットのLD50:2,400 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2019)、MOE 初期評価 (2002)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023)、HSDB in PubChem (Accessed Nov. 2023)) (3)ラットのLD50:3,280 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2019)、MOE 初期評価 (2002)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023)、HSDB in PubChem (Accessed Nov. 2023)、ACGIH (2001)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:2,500 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2019)、MOE 初期評価 (2002)、 HSDB in PubChem(Accessed Nov. 2023)) (2)ウサギのLD50:> 5,010 mg/kg(厚労省 リスク評価書 (2019)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023)) | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)より、区分を特定できず、データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1)マウスのLC50(4時間):> 0.275 mg/L(> 43 ppm)(厚労省 リスク評価書 (2019)、US AEGL (2007)、CICAD 6 (1999)、DFG MAK (2001)、HSDB in PubChem (Accessed Nov. 2023)) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(原体0.5 g、24時間適用)において、適用24時間後に刺激性はみられなかったが、皮膚は7〜10日後には軽度の脱脂作用により皮膚は薄片状になった(皮膚一次刺激指数(PII):0.3/8)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。 (2)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験において、刺激性はみらなかった(皮膚一次刺激指数(PII):0/8)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。 (3)本物質はウサギの正常、損傷いずれの皮膚に対しても刺激性を示さないとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2019))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験において、適用24時間後に軽微な紅斑及び分泌物がみられたが、48時間後には徐々に回復し、72時間後には完全回復した(急性眼刺激指数(AOI):24時間平均8/110、48時間平均0.6/110、72時間平均0/110)との報告がある(REACH登録情報(Accessed Nov. 2023))。 【参考データ等】 (2)ウサギで軽度の刺激性を示したとの報告がある(厚労省 リスク評価書 (2019))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP)において、惹起終了48及び72時間後の陽性率は0%(0/20)であったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Nov. 2023)、厚労省 リスク評価書 (2019)、CICAD 6 (1999)、DFG MAK (2001))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、遺伝毒性試験での陽性であるものの、変異原性試験において複数の陰性であることから区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスの骨髄を用いた単回強制経口投与(800 mg/kg)による小核試験(OECD TG474、GLP)で陰性、ラットを用いた30日間反復吸入ばく露(最大50 ppm、7時間/日、5日/週(20回ばく露))による染色体異常試験で陰性の報告がある。一方、雄マウスを用いた多臓器を標的とした2つのコメットアッセイ(単回経口投与、@ 2,000 mg/kg、A 100〜2,000 mg/kg)で、陽性(結腸(100 mg/kg以上)、胃、肝臓、腎臓、膀胱、肺、脳及び骨髄(1,000 mg/kg以上)でDNA鎖切断を検出)の報告がある(EPA Tox Review (2013)、厚労省 リスク評価書 (2019)、OECD CoCAM (2013))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験は全て陰性であったが、チャイニーズハムスターの肺由来(CHL)細胞を用いた遺伝子突然変異試験、ヒトリンパ球及びCHL細胞を用いた染色体異常試験、ヒトリンパ球を用いた小核において陽性、ラット初代培養肝細胞を用いたUDS試験で陰性の報告がある(EPA Tox Review (2013)、厚労省 リスク評価書 (2019))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)〜(5)より、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、雄の高用量(4,500 ppm)群で膀胱腫瘍(主に移行上皮がんと移行上皮乳頭腫、少数腫瘍として扁平上皮がんと扁平上皮乳頭腫))の発生増加が認められたが、雌には腫瘍の発生増加はみられなかった(厚労省がん原性試験結果 (1996)、厚労省 リスク評価書 (2019)、EPA Tox Review (2013)、Canada CMP (2014))。 (2)マウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、雌では低用量(667 ppm)群から肝細胞がんの発生増加、中用量(2,000 ppm)群で肝細胞腺腫の発生増加、腫瘍発生数の増加、好塩基性小増殖巣の発生増加がみられた。高用量(6,000 ppm)群では体重増加抑制のために腫瘍発生数は減少傾向を示し、肝臓腫瘍も減少した(厚労省がん原性試験結果 (1996)、厚労省 リスク評価書 (2019)、EPA Tox Review (2013)、Canada CMP (2014))。 (3)ラットを用いた75週間混餌投与による慢性毒性試験では、低用量(2,500 ppm)群から雌雄に血尿、腎臓の結石形成がみられ、高用量(5,000 ppm)群では他の尿路の結石も認められた。結石のある腎臓では出血、リンパ球浸潤、尿細管萎縮、嚢胞性変化及び線維化を伴う閉塞性の腎盂腎炎がみられた。また、結石のある膀胱には粘膜の単純及び慢性過形成及び乳頭腫症が認められたが、腫瘍性病変はみられなかった。対照群には腎臓、尿管及び膀胱に結石は認められなかった(厚労省 リスク評価書 (2019)、EPA Tox Review (2013)、Canada CMP (2014))。 (4)本物質は、労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質による労働者の健康障害を防止するための指針に指定されている(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第27号(2020))。 (5)EPAは本物質の2013年評価において、実験動物2種の2つの部位における陽性の証拠からヒトにおける発がん影響の懸念が持たれるが、(1)のいずれの腫瘍タイプも2つ目の試験(系統又は種)で腫瘍の再現性の欠如から証拠を欠いている、(2)の雄ラットに特異的で膀胱結石形成と密接に関連した高用量での現象として確立している膀胱腫瘍の作用機序の存在、の2点を考慮し、本物質の発がん分類及び記述子を「S」“suggestive evidence of carcinogenic potential."に変更すると結論した(IRIS (2013))。既存発がん分類として、他にDFGがカテゴリー3(区分2相当)に(List of MAK & BAT values (2022))分類している。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(5)より、発生影響を示す試験データがあるが、観察された発生影響は母体毒性に起因しているとする評価もあり、分類できない。 【根拠データ】 (1)妊娠ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414類似、125〜1,000 mg/kg)において、母動物毒性(20匹中5匹死亡、体重低値)がみられる最高用量(1,000 mg/kg/day)で、胎児に胸骨分節の欠損や未骨化発生率の増加がみられたとの報告がある。(EU REACH CoRAP (2019)、EPA Tox Review (2013)、厚労省 リスク評価書 (2019)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。 (2)妊娠マウスを用いた強制経口投与による発生毒性試験(EPAガイドライン、GLP、125〜1,000 mg/kg/day)において、母動物毒性(40匹中4匹死亡、体重増加抑制)がみられた最高用量(1,000 mg/kg/day)で、総吸収数(全胚吸収雌を含む)の増加及び平均同腹児数の減少がみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2019)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。 (3)ラットを用いた混餌投与による拡張一世代生殖毒性試験(OECD TG443、GLP、300〜2,800 ppm)において、P及びF1親動物の雄に高用量(2,800 ppm)で、雌に中用量(1,000 ppm)で一般毒性(摂餌量減少、膀胱及び肝臓を標的臓器とする影響)がみられ、両世代の雌雄親動物とも高用量まで生殖能への影響はみられなかったとの報告がある。発生影響については、高用量群のF1出生児に一過性(生後7日)の低体重がみられたが、これは親動物の摂餌量減少に起因するとの指摘がある。また、発達神経毒性及び発達免疫毒性の評価では、F1世代に影響はみられなかったとの報告がある(EU REACH CoRAP (2019)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。 (4)ラットを用いた混餌投与による生殖発生スクリーニング試験(OECD TG421、GLP、1,375〜5,500 ppm)において、雌(母動物)に中用量(2,750 ppm)以上、雄に高用量(5,500 ppm)で体重増加抑制、摂餌量の減少、肝臓影響(中間帯/小葉中心性細胞肥大)、腎臓(髄質尿細管拡張、尿細管上皮と乳頭の再生性過形成を伴う壊死、腎盂の過形成、間質の炎症)がみられたが、生殖能への有害影響は高用量までみられず、F1児動物には中用量以上で一過性の体重減少のみがみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2019)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。 (5)妊娠ウサギを用いた飲水経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、1,500〜8,000 ppm)において、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少)がみられた高用量(8,000 ppm)まで胎児に発生影響はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。 (6)厚労省 リスク評価書では、(1)でみられた胸骨未骨化及び欠損について、骨化状態や骨化数が明確ではなく情報が不十分であり、生殖毒性について判断できないとしている(厚労省 リスク評価書 (2019))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分3(気道刺激性)とした。なお、新たな情報に基づき分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)本物質が染み込んだ紙の製造作業中に本物質にばく露された作業者が強い臭気と喉と眼の刺激を訴えたとの報告がある。また、当時の施設内の複数個所で採取された被験空気の測定結果から、本物質の平均濃度は4.4〜128 mg/m3と推定されたとの報告がある(EPA Tox. Review (2013))。 (2)マウスを用いた単回吸入ばく露試験において、14.11〜42.80 ppm(0.09024〜0.2737 mg/L、区分1の範囲)で活動過剰と呼吸の軽度の乱れがみられた。42.80 ppm(0.2737 mg/L、区分1の範囲)の生存例では肺に軽度のうっ血が認められた(厚労省 リスク評価書 (2019)、EPA Tox. Review (2013)、CICAD 6 (1999))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、ヒトの疫学知見から、反復ばく露による標的臓器として、中枢及び末梢神経系、肝臓、腎臓が主標的臓器と考えられたが、(3)の腎臓の所見は詳細不明であり、(5)より、動物試験における腎臓影響の最小LOAELは区分2超の用量範囲での影響のため、区分1(神経系、肝臓)とした。また、(6)より、本物質ばく露により呼吸器への影響(気管支炎)が報告されているが、急性影響によるものと考えられることから、分類には採用していない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。 【根拠データ】 (1)フィンランドで本物質の含侵工程に従事した男性31人と施設内の複数の場所で本物質にばく露された2人を対象とした疫学研究において、共通の症状として疲労感、頭痛、胃腸の不快感、手足の無力と痛みがみられ、33人中の10人に血清AST及びALTの上昇(肝細胞の炎症又は傷害の示唆的所見)がみられたとの報告がある。神経生理学的検査を受けた22人中15人に異常所見、4人に異常と正常の境界上の所見、脳波の検査では24人中10人に異常(広汎性徐波6人、側頭部の棘波及び徐波放電2人)がみられ、うち6人には前頭野で特に著明であるα波活動を伴うα波リズムの異常分布がみられたとの報告がある。11人を対象にした1年後の再検査では全員に初回と質的に同様の変化がみられ、さらにそのうち7人を対象にした2年後の再検査でも被検者全員で識別可能な改善はみられなかったとの報告がある(EPA Tox Review (2013)、厚労省 リスク評価書 (2019))。 (2)(1)の神経生理学的検査において、作業者24人の平均最大運動伝達速度(MCV)は対照群との有意差はなかったが、尺骨神経の最も伝導の遅い運動線維の平均伝導速度(CVSF)に有意な遅延がみられたとの報告がある。1年後の再検査では被験者11人全員で初期伝導速度に異常はみられなかったが、2年後の再検査では被験者7人全員に正中神経と深腓骨神経のMCVに初期測定値との比較で有意な遅延がみられたとの報告がある(EPA Tox Review (2013)、厚労省 リスク評価書 (2019))。 (3)本物質濃度が特に高かったoil roomで11年間従事していた32歳の男性が肝障害で死亡し、剖検時の主な所見としては大部分の肝細胞の壊死が顕著であったが、その他腎臓の重度病変(非特定)、心筋の変性、骨髄の機能亢進、脳の浮腫性変化がみられたとの報告がある(EPA Tox Review (2013)、厚労省 リスク評価書 (2019))。 (4)本物質を含浸させた包装紙を使用した柑橘類の包装作業に25年間従事していた女性労働者が肝炎に罹患し、血液検査で肝機能の異常がみられ、生検でも確認されたが、作業中止後3年で女性労働者の肝機能は正常値に戻ったとの報告がある。本例では、本物質のばく露経路として経皮及び経口が考えられたと指摘されている(MOE 初期評価 (2002)、CICAD 6 (1999))。 (5)実験動物を用いた反復投与毒性試験におけるNOAEL/LOAELについて検討されたEUの最新評価において、信頼性のあるデータのうち、腎臓影響(非腫瘍性病変)を標的とした最小のLOAELはラットの2年間混餌投与試験における腎相対重量増加(雌雄)並びに腎盂移行上皮の過形成及びヘモジデリン沈着(雌)に基づき、1,500 ppm(114 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)と報告されている。(EU REACH CoRAP (2019))。 (6)本物質の職業的にばく露した労働者に一時的な吐き気、嘔吐、気管支炎がみられ、さらに重篤になると大量の慢性ばく露によって中枢神経及び末梢神経の障害を引き起こすとの指摘がある(厚労省 リスク評価書 (2019))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=360μg/L(環境省リスク評価第1巻、2002)から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 急速分解性があり(BODによる分解度:66%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=3.98(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分に該当しないとした。 | ||
残留性・分解性 | 化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3077 | |||
品名(国連輸送名) | 環境有害性物質(固体)、n.o.s. | |||
国連分類 | 9 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | V | |||
海洋汚染物質 | 該当 | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 171 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) がん原性物質(作業記録等の30年保存対象物質)(労働安全衛生規則第577条の2) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) 健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
毒物及び劇物取締法 | - | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(X類物質)(施行令別表第1)【ジフェニル】 個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【ジフェニル】 | |||
船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||
修正履歴 | ||||
R6.3.29: ・危険有害性の分類について物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。 ・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。 |