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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ポリメチレンポリフェニレン=イソシアナート
作成日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称ポリメチレンポリフェニレン=イソシアナート
化学品の英語名称Polymethylenepolyphenylene isocyanate
製品コードR06-S17-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限ポリウレタンフォーム・塗料・接着剤原料(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2
呼吸器感作性区分1
皮膚感作性区分1
発がん性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1(呼吸器)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1(呼吸器)
分類実施日
(環境有害性)
令和3年度(2021年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性-

GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報吸入すると生命に危険
強い眼刺激
吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
発がんのおそれの疑い
呼吸器の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害
注意書き
 安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
 応急措置吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
気分が悪いときは,医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ポリメチレンポリフェニレン=イソシアナート
慣用名又は別名PMDI
英語名Polymethylenepolyphenylene isocyanate
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)Unspecified (-)
化学特性 (示性式又は構造式)構造不定
CAS番号9016-87-9
官報公示整理番号
(化審法)
7-872
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)4,4'-MDI(〇%含有)

4.応急措置
吸入した場合呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
自分の身を守りながら、被害者を危険な場所から新鮮な空気のある場所に移動する。
被害者を静かな場所に寝かせ、低体温症から保護する。
できるだけ早く、被害者にグルココルチコイド吸入スプレーを繰り返し深く吸入させる。
呼吸困難の場合は、被害者に酸素を吸入させる。
医師に連絡をする。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
汚染された衣服を脱ぐ。
まず、ティッシュ ペーパー/繊維素材を使用して、油分を皮膚から拭き取る。
次に、水とポリエチレン グリコール 400 を交互に数分間すすぐ。最後に、石鹸と水で洗うこと。
PEG 400 が入手できない場合:付着した皮膚部分を流水で石鹸で洗浄すること。
医師に連絡をする。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合まぶたを大きく広げて、眼を流水で 10 分間すすぐ。
医師に連絡をする。
以上、GESTIS参照。
飲み込んだ場合口をすすぎ、液体を吐き出す。
被害者に意識がある場合は、コップ1杯の水(約200 ml)を飲ませる。
被害者に嘔吐させない。
医師に連絡をする。
自発的に嘔吐しているときは、誤えんを防ぐために、負傷者の頭を低くして体をうつ伏せにする。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤粉末消火剤、二酸化炭素
大規模な火災には泡で消火する。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性危険物質(亜窒素ガス(一酸化窒素)、シアン化水素蒸気、一酸化炭素および二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
激しい反応が起こるため、容器に水が入らないようにする。
加熱すると圧力が上昇し、破裂する恐れがある。
発火源を遮断する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置自給式呼吸器と密閉性の高い特殊スーツを着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
漏出した場所の周辺から人を退避させる。
適切な保護措置を講じた後にのみ、漏出した場所に入ることができる。
以上、GESTIS参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
作業場を清潔で乾燥した状態に保つ。
作業場には、作業を進めるために必要な量を超える量の物質を持ち込まない。
容器を開いたままにしない。
補充、移動、または開放使用の場合は十分な換気をする。
飛散を避ける。
ラベルの付いた容器にのみ充填する。
物質を取り扱う際は、いかなる接触も避ける。
壊れやすい容器で輸送する場合は、適切な外部容器を使用すること。
以上、GESTIS参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
毎日清掃すること。
必要に応じて、清掃中に保護具を使用すること。
汚れた装置は、清掃した後でのみ他の作業エリアで使用する。
作業場では飲食禁止。
皮膚との接触を避ける。接触した場合は皮膚を洗浄する。
眼との接触を避ける。接触した場合は目を洗い流す。
蒸気またはミストを吸入しないこと。
衣服との接触を避ける。汚染された衣服は交換し、慎重に洗浄する。
シャワー付きの洗面所を用意し、可能であれば、普段着と作業着を別々に保管できる部屋を用意すること。
休憩前と仕事の終わりには、皮膚を石鹸と水で洗うこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
食品容器は使用しない。
容器にラベルを付ける。
できる限り元の容器に保管する。
容器は涼しく乾燥した換気の良い場所でしっかりと閉める。
湿気に触れると危険な圧力が生じる場合があるため湿気から保護する。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。
容器、パイプ、ポンプの場合:
ステンレス鋼、フェライト鋼、ボイラープレート
シール材の場合:
ポリテトラフルオロエチレン PTFE (テフロン)、フッ素化ポリマーゴム (FKM,FPK,FFKM)
プラスチックは耐性が証明されている必要がある。
以上、GESTIS参照。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)参考
0.05 mg/m3 (4,4'-MDI)
ACGIH (2024年版)参考
TWA:0.005 ppm (4,4'-MDI)
設備対策作業エリアは、可能であれば物理的に分離する。
作業エリアを換気する。
排出された空気を作業エリアに戻さない。
洗浄設備を設置する。
洗眼設備を設置する。これらの場所には標識を付ける。
可能であれば密閉装置を使用する。
必要に応じて廃ガスの浄化をする。
容器とパイプラインにラベルを付ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
緊急時(例:物質の意図しない放出、職業ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。着用の最大期間を考慮する。
フィルター装置の使用限界を超える濃度、酸素濃度が18%未満、または不明な状況の場合は使用しない。
以上、GESTIS参照。
手の保護具保護手袋を使用する。手袋の素材は、物質に対して十分な不浸透性と耐性を備えている必要がある。着用前に締め付けを確認する。手袋は外す前によく洗浄し、換気の良い場所に保管する。
繊維または革の手袋は適していない。
以下は、ポリマー部分を含む異性体の混合物に関する情報である。
保護手袋には、以下の素材が適している (浸透時間 >= 8 時間):
天然ゴム/天然ラテックス - NR (0.5 mm) (粉末を含まないアレルゲンフリーの製品を使用)、ポリクロロプレン - CR (0.5 mm)、ニトリルゴム/ニトリルラテックス - NBR (0.35 mm)、ブチルゴム - ブチル (0.5 mm)
フッ素ゴム - FKM (0.4 mm)、ポリ塩化ビニル - PVC (0.5 mm)
以上、GESTIS参照。
眼の保護具側面保護付きのメガネを着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護
リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
こげ茶色
臭いデータなし
融点/凝固点約-24 ℃ (GESTIS (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性可燃性 (GESTIS (2024))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点> 200 ℃ (GESTIS (2024))
215〜218 ℃ (HSDB in PubChem (2024))
自然発火点> 400 ℃ (GESTIS (2024))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水: 加水分解 (GESTIS (2024))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度1.23 g/cm3 20℃ (GESTIS (2024))
1.2 g/cm3 20℃/20℃ (HSDB in PubChem (2024))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性境界面で水と反応し、二酸化炭素と固体、高融点、不溶性の反応生成物 (ポリウレア) を生成する。
以上、GESTIS参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件火気、加熱、高温、静電気、火花、爆発性混合気の形成
不適切な材料:銅、亜鉛
硝酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムを含む製剤。
有機過酸化物および自己反応性物質。
この物質は、危険な化学反応を起こす可能性のある物質と一緒に保管しないこと。
非鉄金属
以上、GESTIS参照。
混触危険物質感染性、放射性、爆発性の物質。
ガス。
強酸化性物質。
危険な反応を起こす可能性:アルコール、アミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、酸、水
以上、GESTIS参照。
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLD50:> 10,000 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2020))
経皮(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:> 9,400 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2020)、AICIS (旧NICNAS IMAP) (2013))
吸入: ガスGHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト(1)より、区分2とした。
【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間): 0.49 mg/L(エアロゾル)(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2020)、AICIS (旧NICNAS IMAP) (2013)、DFG MAK (1992))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性データ不足のため分類できない。
【参考データ等】
(1)本物質がヒトの皮膚に直接接触した場合、掻痒性の紅斑を生じる(DFG MAK (1992))。
(2)ウサギに対して本物質の原液を閉塞適用したところ、わずかな紅斑及び革質様がみられたとの報告がある(HSDB (Accessed Oct. 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(1)(2)より、ガイダンスに従い、区分2とした。
【根拠データ】
(1)本物質がヒトの眼に直接接触した場合、一過性の眼瞼結膜炎が生じる(DFG MAK (1992))。
(2)本物質の短期間ばく露で眼と気道を刺激するとの報告がある(DFG MAK (2008))。
呼吸器感作性(1)〜(3)より、ガイダンスに従い、区分1とした。
【根拠データ】
(1)本物質をばく露したヒトにおいて、外因性アレルギー性肺炎(過敏性肺炎)の症例が数例報告されている。稀には喘息様症状を伴う肺胞炎がみられる(DFG MAK (1992))。
(2)本物質及びモノマーであるMDIは気道アレルギーを引き起こす(DFG MAK (2000))。
(3)DFG MAKではSah(気道皮膚感作性物質)に分類されている。
皮膚感作性(1)より、ガイダンスに従い、区分1とした。なお、(2)の知見は詳細が確認できず、分類に用いなかった。
【根拠データ】
(1)DFG MAKではSah(気道皮膚感作性物質)に分類されている。
【参考データ等】
(2)モルモットを用いたMaximisation試験において、陰性であった(DFG MAK (1992))。
生殖細胞変異原性データ不足のため分類できない。
発がん性(1)〜(2)より、区分2とした。
【根拠データ】
(1)国内外の分類機関による既存分類でとして、IARCではグループ3に、EPAでは"not classifiable or a Group D (1986年基準)"、又は"cannot be determined, but for which there is suggestive evidence that raises concern for carcinogenic effects (1996年基準)" に(IRIS (1998))、DFG MAKでは Category 3B(DFG MAK (2015))に分類されている。
(2)ラットを用いた2年間吸入ばく露による発がん性試験において、最高濃度の6.0 mg/m3群では肺腺腫が雄6/60例、雌2/60例に、肺腺がんが雄1/60例に認められた(DFG MAK (2008)、IRIS (1998)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2013))。
【参考データ等】
(3)ラットに本物質長期ばく露後に肺に前腫瘍性及び腫瘍性変化が生じた。慢性的な炎症に伴う細胞増殖による腫瘍発生機序が想定されている(DFG MAK (2008))。
生殖毒性データ不足のため分類できない。
【参考データ等】
(1)PMDIを被験物質としたラットを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(妊娠6〜15日、6時間/日)において、0.012 mg/Lで親動物に明らかな一般毒性影響(死亡(2/24例)、体重増加抑制、肝臓重量減少、肺重量増加)、児動物に発生影響として胎児及び胎盤重量低下、骨格変異の増加及び骨化遅延がみられたとの報告がある(DFG MAK (2008))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)(1)〜(3)より、区分1(呼吸器)とした。
【根拠データ】
(1)本物質の短期間ばく露で眼と気道を刺激するとの報告がある(DFG MAK (2008))。
(2)客車の内部に絶縁体を取り付ける作業において、本物質のエアロゾル混合物を用いたところ、風により吹き飛ばされ、20〜40m離れたところにいた作業員12人がばく露された。全員が2時間以内に眼の後ろの痛み、鼻の分泌物、胸骨後胸痛、胸部締付け感、咳、頭痛などの症状を発症した。数日以内に回復したとの報告がある(DFG MAK (1992))。
(3)ラットを用いた単回吸入(蒸気)ばく露試験(4時間)において、0.384 mg/L及び0.523 mg/L(区分1の範囲)の群で、ばく露中に努力呼吸及び口呼吸を呈し、死亡例では一部の例で肺の出血、鼻の周囲に血様液体付着が、最高用量群では殆どの例で肺は灰白色を呈し湿り気を帯びていたがみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2020)、NICNAS IMAP (2013)、DFG MAK (1992))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)(1)〜(3)より、区分1(呼吸器)とした。
【根拠データ】
(1)ヒトでの反復ばく露影響に関する報告から、肺機能障害はPMDIの87 ppb(0.9 mg/m3)の低濃度からみられた。20 ppb(0.2 mg/m3)の濃度では、肺活量に影響はないが、気道症状がみられた。PMDI(Polymeric methylene diphenyl diisocyanate)の10 ppb(0. 1 mg/m3)以下の濃度ばく露では、呼吸器症状の主訴の発生率は有意な増加を示さなかったとの報告がある(DFG MAK (2008))。
(2)ラットを用いた13週間吸入ばく露試験(エアロゾル、6時間/日、5日/週)において、4.1 mg/m3以上(ガイダンス値換算:0.0029 mg/L、区分1の範囲)で肺にマクロファージの増加と間質へのマクロファージの浸潤、縦隔リンパ節に黄色の封入体を持つマクロファージの出現が、8.4 mg/m3以上(ガイダンス値換算:0.0059 mg/L、区分1の範囲)で鼻腔に嗅上皮の傷害と基底細胞過形成が、12.3 mg/m3(ガイダンス値換算:0.0088 mg/L、区分1の範囲)で体重増加抑制、重度呼吸不全により雄11/30例及び雌4/30例が死亡したとの報告がある(DFG MAK (1992))。
(3)ラットを用いた2年間吸入ばく露試験(エアロゾル、6時間/日、5日/週)において、1.0 mg/m3(0.001 mg/L、区分1の範囲)以上で鼻腔(嗅上皮の変性と基底細胞過形成、ボウマン腺の過形成)、肺(マクロファージの増加、巣状の線維化、肺胞管の上皮化)および縦隔リンパ節(黄色の封入体を持つマクロファージの出現)への影響がみられたとの報告がある(DFG MAK (2008)、AICIS (旧NICNAS) IMAP (2013)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2020))。
誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)データ不足のため分類できない
水生環境有害性 (長期間)データ不足のため分類できない
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2810
品名(国連輸送名)その他の毒性液体、有機物、他に品名が明示されていないもの
国連分類6.1
副次危険-
容器等級II
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当する
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*153
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)【メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(別名MDI】(令和8年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)【メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(別名MDI】(令和8年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)【メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(別名MDI】(令和8年4月1日以降)
化学物質審査規制法優先評価化学物質(法第2条第5項)【225 α−(イソシアナトベンジル)−ω−(イソシアナトフェニル)ポリ[(イソシアナトフェニレン)メチレン]】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【52 アルファ−(イソシアナトベンジル)−オメガ−(イソシアナトフェニル)ポリ[(イソシアナトフェニレン)メチレン]】
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 【6 第四石油類】
海洋汚染防止法有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) 【(435) ポリメチレンポリフェニルイソシアナート】
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」