| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | サチライシン | ||
| 化学品の英語名称 | Subtilisin | ||
| 製品コード | R06-C-156-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 洗濯用洗剤用たん白分解酵素(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成21年度(2009年度)、ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分4 | |
| 急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト) | 区分1 | ||
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | ||
| 呼吸器感作性 | 区分1 | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(呼吸器系) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成21年度(2009年度)、ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009) | ||
| 環境に対する有害性 | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有害 吸入すると生命に危険 眼刺激 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ 呼吸器系の障害 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 | ||
| 保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | サチライシン | ||
| 慣用名又は別名 | サブチリシン スブチリシン | ||
| 英語名 | Subtilisin | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | Unspecified (-) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | 特定できない | ||
| CAS番号 | 9014-01-1 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | - | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | 11-(2)-226,11-(2)-227,11-(2)-247,11-(2)-270 | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、乾燥消火剤、泡消火剤、二酸化炭素 以上、GESTIS参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 影響を受ける周囲に警告すること。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 その後、周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 閉じた装置のみを使用すること。 容器とパイプラインにラベルを貼ること。 水への深刻な危険。水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | リサイクルの方法がない場合は、それぞれの国および地域の規制に従って廃棄する必要がある。 少量の物質の収集: 固体有機残留物の容器に収集する。 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 毎日掃除をすること。 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 粉じんの形成を避けること。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集する必要がある。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 清掃にブロワーを使用しないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 こぼさない。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 粉じんが舞い上がるのを避けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質 ガス 自然発火性物質 水と接触した可燃性ガスを放出する物質 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 眼に入った場合は、影響を受けた眼を洗い流す。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 できれば、ガラス容器ではなく、壊れにくい容器を使用すること。 容器を密閉すること。 推奨保管温度:-20℃。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | TLV-C:0.00006 mg/m3 (as 100% crystalline active pure enzyme) | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 作業エリアは、可能であれば物理的に分離する必要がある。 作業エリアの換気を良好に保つ。 床に排水口を設置しない。 作業場での洗浄設備を設置する。 洗眼設備を設置し、標識を付ける。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管すること。 ポリクロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、FKM、およびポリ塩化ビニルは、未溶解の固形物から保護するための手袋材料として適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 白色 | ||
| 臭い | データなし | ||
| 融点/凝固点 | データなし | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | データなし | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:> 100 g/L (25℃) よく溶ける (GESTIS (2024)) 水:125 g/L (25℃) (ECHA CHEM(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | LogKow:ca. -1.3 (20℃) (ECHA CHEM(2024)) | ||
| 蒸気圧 | 0.007 Pa (25℃) (ECHA CHEM(2024)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.32〜1.42 g/cm3(20℃) (GESTIS (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | ラットのLD50値、370 mg aep/kg、510 mg aep/kg、830 mg aep/kg(aep: active enzyme proteinの略で理論上の活性のある純酵素タンパク質量)(以上、HERA(2007):Human & Environmental Risk Assessment on ingredients of household cleaning products, Edition 2.0 February 2007)に基づき、区分4とした。 [ズブチリシンは分子量約27 kDaの球状タンパク質で、一次構造、特に中心部は相同性66-99%のよく保存されたセリンプロテアーゼであることから、ズブチリシン酵素類としてデータを採用した。] | |||
| 経皮 | データなし。なお、ズブチリシン酵素類は相対的に分子量が大きいので無傷の皮膚を浸透可能とは考えられず、経皮ばく露により急性の全身毒性を惹起しないと想定される(HERA(2007))との記述がある。 | |||
| 吸入: ガス | 常温で固体である。 | |||
| 吸入: 蒸気 | データなし。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | ラットのLC50値、0.0177 mg aep/L、0.1〜 0.4 mg aep/L(以上、HERA(2007))に基づき、危険性の高い方の区分1とした。なおズブチリシン酵素類としてデータを採用し、「タンパク質分解酵素粉末の吸入」との記述から粉じんの基準値により分類した。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ウサギを用いたDraize試験で、PII(primary irritation index)が、1.1、1.3、1.7、2(以上、HERA(2007))であり、2.3以下で刺激性評価は軽度(mildまたはslightly)であったことから、JIS分類基準の区分に該当しない(国連分類基準の区分3)とした。ズブチリシン酵素類のひとつのSavinaseを被験物質にした試験でPIIが2.6との報告(HERA(2007))もあるが、溶媒コントロールのPIIが2.9であり、有意差がないと考え採用しなかった。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギの改良Draize試験で、結膜の軽度の浮腫を伴う発赤が広がり、処置後24時間でピークに達したが、処置後7日目には症状は消失した(HERA(2007))との記述に基づき、区分2Bとした。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より区分1とした。 【根拠データ】 (1)サブチリシン(サチライシンの別名)酵素類(Bacillus. Subtilisまたは類似生物由来のタンパク質分解酵素)は気管支収縮および呼吸器アレルギーを引き起こす(ACGIH(7th, 2001))。 (2)英国でBacillus. Subtilisから抽出した洗濯洗浄液を製造していた作業者の呼吸器疾患を調査した結果、主な症状は呼吸困難で、喘鳴やその他の呼吸器閉塞の兆候を伴うこともあった。3名の患者を検査した結果、1秒量(FEV1)が減少し、気道閉塞の兆候がみられた。また、低濃度の酵素抽出物を吸入すると直ちに喘息が起こり、その後FEV1が著しく減少した(ACGIH(7th, 2001))。 (3)米国でサブチリシン製剤を扱う作業者で、サブチリシンばく露により、のどの痛み、鼻づまり、頭痛、および持続的な咳がみられた(ACGIH(7th, 2001))。 【参考データ等】 (4)本物質はEU CLP分類でResp. Sens. 1 (CLP分類 (Accessed Oct. 2024))、MAK(DFG) でSa(気道感作性物質)(MAK(DFG)(2001))に分類されている。 | |||
| 皮膚感作性 | モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization試験およびBuehler試験)では陰性の結果が報告されている(食品安全委員会(2006)、HERA(2007))。また、ボランティアのパッチテストによる皮膚感作性試験、ばく露を受けた労働者や消費者のパッチテストによる調査が幾度も実施されている(HERA(2007))が、ズブチリシン酵素類が皮膚感作を引き起こす証拠は見られず、これらのヒトにおける証拠から、ズブチリシン酵素類は皮膚感作性物質とは見なせないと述べられている(HERA(2007))。一方、ズブチリシンのばく露を受けた121名の労働者の皮膚パッチテストで、アトピー性の労働者(64%(16/25))の方が正常な労働者(33%(32/96))より感作率が高かったこと(ACGIH(2001))、また、酵素調製に係わり呼吸器疾患を有する患者3名が皮膚試験で陽性が報告されている(ACGIH(2001))が、詳細不明でACGIHの評価ではSENに区分されていないので、これらのヒト皮膚パッチ試験の結果のみでは分類できない。また、逆に上述のヒトおよび動物の陰性情報(食品安全委員会(2006)、HERA(2007))に基づき、区分に該当しないとするにも疑義があるため「分類できない」とした。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 雄マウスの経口投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原生試験)で陰性(HERA(2007))、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた経口投与による染色体異常試験(OECD TG475)(体細胞in vivo変異原生試験)で陰性(HERA(2007))、以上の結果に基づき区分に該当しないとした。なお、in vitro変異原生試験として、Ames試験・ヒト末梢血リンパ球やV79細胞を用いた染色体異常試験などでも陰性(以上、HERA(2007))の結果が得られている。 | |||
| 発がん性 | データなし。なお、洗剤に含まれる酵素に発がん性があるとする公表された文献は無く、洗剤添加酵素が全身性に生体内に残留する量は極めて低く毒性学的に重要でないことが示されており、また、酵素はタンパク質として消化管ですみやかに生分解されることなどを理由に「一般に酵素製剤における発がん性は想定されない」とする記述がある(HERA(2007))。 | |||
| 生殖毒性 | ラットにズブチリシン酵素類のひとつのEsperaseを交尾後6日から16日(器官形成期)に経口投与した試験(OECD TG414: GLP準拠)において催奇形性は認められず、CDラットの妊娠2日目にAlcalase(36〜240 mg aep/kg/day)を経口投与した別の試験では、母獣および仔の体重変化も無く発生毒性影響は認められず、同様に妊娠1日目にAlcalase(54〜540 mg aep/kg/day)を経口投与した試験では、用量540 mg aep/kgで母獣1匹が死亡し、他の母獣では用量依存性にストレス兆候・体重や摂飼量の減少などの一般毒性影響が見られ、わずかに仔の頭蓋骨骨化遅延がみられたが、催奇形性の証拠は認められなかった(両試験ともOECD TG414に準拠)(以上、HERA(2007))、以上の結果に基づきズブチリシン酵素類による発生毒性影響はないと考えられるが、生殖毒性影響に関する記述がなく、データ不足で分類できない。なお、酵素はタンパク質として消化管ですみやかに生分解されること、また、分子量が大きいため容易に皮膚や粘膜を浸透しないので全身の循環系に持続的な濃度を維持し得ない、さらに、ズブチリシン酵素類は既知の内分泌かく乱物質とは構造的に相関しない、などの理由から「ズブチリシンが生殖に有害である可能性は想定されない」との記述もある(HERA(2007))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | モルモットの試験で12%溶液の吸入ばく露(1 mg/m3/6h, (4時間換算値:0.0058 mg/L))において、肺水腫がみられ〔ACGIH(2001)〕、ラット5匹にズブチリシン酵素類の1つのAlcalaseを吸入ばく露(0.1 to 0.4 mg aep/L/4h)した試験(OECD TG403)では、肺のうっ血と出血を伴う浮腫が認められた〔HERA (2007)〕こと、また、ヒトでは「ズブチリシンは既知の気道刺激性物質である」との記述〔ACGIH(2001)〕、以上を総合して区分1(呼吸器)とした。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 経口投与によるラットの試験(OECD TG408)・イヌの試験(OECD TG409)、吸入ばく露によるサルの試験・モルモットの試験、経皮投与によるウサギの試験(OECD TG410に類似)などの報告(HERA(2007))がある。ところが、いずれの報告にも有意な有害性を示す証拠の記述は無く、区分に該当しないに分類される可能性もあるがリスト2のデータであり、分類できないとした。 | |||
| 誤えん有害性* | データなし。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 魚類(ゼブラフィッシュ)での96時間LC50 = 200-400mg/L(NICNAS, 1993)であることから、区分に該当しないとした。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 急性毒性区分に該当しないであり、難水溶性でない(readily soluble in water(NICNAS, 1993))ことから、区分に該当しないとした。 | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 2811 | |||
| 品名(国連輸送名) | その他の毒性固体、有機物、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 6.1 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | I | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 154 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 【186 サチライシン】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【611 サチライシン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【186 サチライシン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【611 サチライシン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) 【サチライシン】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||