| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | アクリル酸重合物のナトリウム塩(別名ポリアクリル酸ナトリウム) | ||
| 化学品の英語名称 | Acrylic acid homopolymer, sodium salt | ||
| 製品コード | R06-B-155-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 凝集剤,,化粧品配合原料,吸水性樹脂原料,食品添加物(増粘剤)(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、令和3年度(2021年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 発がん性 | 区分1B | |
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3 (気道刺激性) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 令和5年度(2023年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 環境に対する有害性 | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 発がんのおそれ 呼吸器への刺激のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
| 応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | ポリアクリル酸ナトリウム | ||
| 慣用名又は別名 | 2−プロペン酸ホモポリマーナトリウム塩 | ||
| 英語名 | Acrylic acid homopolymer, sodium salt | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | (C3H4O2)x.xNa (-) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 9003-04-7 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 6-901 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で安静に休息させること。 以上、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 以上、ICSC参照。 | ||
| 眼に入った場合 | 数分間多量の水で洗い流す(できればコンタクトレンズをはずす)。医療機関に連絡する。 以上、ICSC参照。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 口をすすぎ、液体を吐き出す。 以上、ICSC参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 短期ばく露の影響:機械的刺激を引き起こすことがある。 長期または反復ばく露の影響:反復または長期の吸入により、肺に影響を与えることがある。 以上、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、乾燥消火剤、粉末消火薬剤、アルコール耐性泡消火剤、二酸化炭素 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素と二酸化炭素、金属酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器にラベルを貼ること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | こぼれた物質を密閉容器内に収集する。 湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる 以上、ICSC参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 粉じんを発生させないこと。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集すること。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 清掃にブロワーを使用しないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 職場を清潔で乾燥した状態に保つように注意すること。 容器を開けたままにしないこと。 補充、移し替え、または開放使用のためには、十分な換気を確保する必要がある。 ラベルの貼られた容器にのみ充填すること。 粉じんを発生させないこと。 裸火禁止。 粉じんの堆積を防ぐ。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 強酸化性物質。 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 容器にラベルを貼ること。 乾燥した場所に保管すること。 物質は吸湿性のため、湿気を避ける。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2023年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 他に使用する物質に応じて換気対策を選択すること。 取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 白色、グレー | ||
| 臭い | 特徴的な臭い | ||
| 融点/凝固点 | > 300 ℃ (アクリル酸ソーダ) (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | 可燃性 | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:混和 (GESTIS (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
| 蒸気圧 | データなし | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.1〜1.4 g/cm3 (ICSC (2008)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 可燃性。 空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。 以上、ICSC参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 酸化剤と 激しく反応する。 火災や爆発の危険を生じる。 以上、ICSC参照。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素と二酸化炭素、金属酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | 【分類根拠】 (1)、(2)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 40,000 mg/kg(GESTIS (Accessed June 2024)) (2)ラットのLD50(架橋型):> 2,000 mg/kg(MAK(DFG) (2001)) | |||
| 経皮 | 【分類根拠】 (1)、(2)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50(架橋型):> 2,000 mg/kg(MAK(DFG) (2001)) (2)ラットのLD50(架橋型):> 2,000 mg/kg(同上) | |||
| 吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
| 吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)、(2)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットの複数試験のLC50の範囲(架橋型、微粒子(複数試験の被験物質の空気力学的質量中央径 (MMAD) の範囲:0.79〜16.2 μm)(4時間):> 2.17〜 57.1 mg/L(MAK(DFG) (2001)) (2)(1)において、死亡例はみられていないとの報告がある(MAK(DFG) (2001))。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1)本物質(架橋型)を純粋粉末、又は生理食塩液中4%懸濁液として、ウサギ又はマウスの皮膚に24時間/日、計28日間閉塞適用したが、皮膚反応は一次刺激性、累積刺激性影響ともいずれの動物にも認められなかった。本物質暴露群の適用部位皮膚は病理組織学的に対照群と差異がなかった(MAK(DFG) (2001))。 (2)ウサギの無傷又は有傷皮膚に本物質(架橋型)500 mgを純粋粉末又は生理食塩液に溶解して、閉塞又は半閉塞下で4時間適用した複数の皮膚刺激性試験では、いずれも皮膚反応は認められなかった(同上)。 (3)本物質(架橋型)の乾燥粉末を25〜30人の接触皮膚炎又は他の皮膚疾患患者の皮膚に48時間閉塞適用した結果、パッチ除去30分後に2人に極めて軽度の発赤が見られたが、24時間後には皮膚反応は見られなかった(MAK(DFG) (2001))。 (4)本物質(架橋型)を乾燥粉末、又はワセリンの25%及び50%混合物として12人に24時間、2日間連続して閉塞適用後、最初の適用72時間後まで処置皮膚に皮膚刺激性はみられなかった(同上)。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)本物質(架橋型)の乾燥純品又は生理食塩水でペースト状にした検体100 mgをウサギ(n=6)の眼に適用した複数の試験で、適用30秒後に洗浄した処置眼には刺激性反応はみられず、非洗眼動物の大部分では適用約24時間後に軽度の眼刺激性が示されたが2日ないし3日後に完全回復し、顕著な刺激性は示されなった(MAK(DFG) (2001))。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)本物質(架橋型)について、モルモットを用いた3つのマキシマイゼーション試験及び2つのビューラー法による全ての皮膚感作性試験において、感作性反応は認められなかった(MAK(DFG) (2001))。 (2)36人の被験者を対象とした二重盲検試験において、本物質(架橋型、生理食塩液中懸濁液)を24時間/日、5日間連続して被験者の腕に塗布した。最終ばく露の16日後に惹起刺激を行い、48時間後に感作性影響の有無を判定した結果、感作性の証拠は示されなかった(同上)。 (3)男性7人、女性47人の被験者を対象とした架橋ポリアクリル酸塩の一次刺激性、累積刺激性影響並びに感作性影響の検討試験において、本物質(架橋型、乾燥固体又は生理食塩液中懸濁液)を約24時間/日、計11日間連続適用(半閉塞パッチ)後、10及び28日後に惹起刺激(48時間半閉塞パッチ)した。その結果、試験期間を通して、刺激性反応も感作性ポテンシャルの証拠も示されなかった(同上)。 (4)約90人の被験者を対象に本物質(架橋型)の10%懸濁液(生理食塩液中)0.2 gを週3回、3週間感作誘導(24時間/回、閉塞適用)の後、最終誘導処置17日後に24時間2回パッチによる惹起を行った結果、刺激性も感作性もみられなかった(同上)。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、生殖細胞変異原性を有さないと考えられ、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、本物質(被験物質は分子量2000 Daの低分子型)についてマウス小核試験で陰性(EU EFSA (2007))、本物質(架橋型)について、マウスの経口投与による3つの小核試験及びラットを用いた経口及び腹腔内投与による2つの染色体異常試験で、全て陰性の結果がある(MAK(DFG) (2001))。 (2)In vitroでは、本物質について、複数の細菌を用いた復帰突然変異試験、マウスリンフォーマ試験、及びほ乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験報結果があり、全て陰性の結果であった(MAK(DFG) (2001))、EU EFSA (2007))。なお、EFSAは2種類(分子量:2000及び4500 Da)のポリアクリル酸で行われた試験結果から、分子量が2000〜4500 Daのポリアクリル酸は遺伝毒性を示さないと結論している(MAK(DFG) (2001)、安衛法による変異原性試験結果 (Accessed July 2024)、EFSA (2013))。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 ヒトの発がん性に関する情報はない。実験動物では、吸入経路について(1)より1試験、1動物種ではあるが、適正な試験で雄雌のラットの肺に悪性あるいは良性と悪性を合わせた腫瘍の発生率の増加が認められ、動物で十分な証拠があると考えられることから区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)本物質(架橋型)の微粒子(被験物質のMMADの範囲: 2.18〜2.58 μm)をラットに104週間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)した発がん性試験において、最高用量の0.8 mg/m3群で細気管支-肺胞腺がんの頻度増加(雌)、細気管支-肺胞腺腫と同腺がん合計頻度の増加が認められた。肺腫瘍の増加は、遺伝毒性機序により発生したものではなく、顕著な炎症反応に関連したものと考えられた(MAK(DFG) (2001))。 【参考データ等】 (2)国内外の分類機関による既存分類結果として、DFGでCategory 4に分類されている (MAK(DFG) 2001)。 (3)ポリアクリル酸について、IARCはグループ3に分類した(IARC Suppl. 7 (1984))が、これは当該物質については分類根拠とすべきデータがないことに基づく分類である(IARC 19 (1979))。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、本物質は発生毒性を示さなかったが、生殖能・性機能への影響に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1)本物質(被験物質の分子量は低分子型:4,500Da、高分子型:90,000 Da)を雌ラットの妊娠6〜15日(一部は妊娠6〜13日)に経口投与した発生毒性試験において、低分子量で3,000 mg/kg/dayまで、高分子量で1,125 mg/kg/dayまで生殖影響(Reproductive effects)はみられなかった(CIR Expert Panel (2019))。 (2)本物質(架橋型)を被験物質としたラットの吸入ばく露による発生毒性試験(0.3〜10 mg/m3、妊娠6〜15日、6時間/日)において、最高濃度まで母動物毒性も胎児への発生影響も認められなかった(MAK(DFG)(2001))。 (3)本物質(架橋型)を被験物質としたラットの混餌投与による発生毒性試験(妊娠6〜15日、100〜5,000 mg/kg/day)において、5,000 mg/kg/dayまで母動物毒性も胎児への発生影響も認められなかった(MAK(DFG)(2001))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)より、本物質(架橋型)の微粒子の吸入ばく露では一過性影響として気道刺激性が示唆されることから、区分3 (気道刺激性) とした。 【根拠データ】 (1)本物質(架橋型)の微粒子(複数試験の被験物質のMMADの範囲:0.79〜16.2 μm)について、ラットを用いた複数の単回吸入ばく露試験(ばく露時間不明)においてばく露群では立毛、鼻汁、呼吸雑音が観察され、肺相対重量の高値がみられた。LC50は>2.17〜 57.1 mg/Lと報告されたが、いずれの試験においても死亡例は生じなかった(MAK(DFG) (2001))。 (2)本物質(架橋型)を被験物質としたラット及びマウスの単回経口投与試験では急性毒性は示されず、LD50は> 2,000 mg/kgであった(同上)。 (3)本物質(架橋型)を被験物質としたラット及びウサギの単回経皮投与試験では、2,000 mg/kgの用量で症状はみられず、LD50は> 2,000 mg/kgであった(同上)。 (4)上気道部位(鼻や喉)に沈着するサイズの粒子は継続的な接触で粘膜を脱水させ、一過性の上気道(鼻や喉)刺激性がある(官民連携プロジェクト提供情報 (ポリアクリル酸塩粉塵の取扱安全指針))。 【参考データ等】 (5)市販の本物質(架橋型)に関して、ヒトでのばく露による急性中毒の報告はない(MAK(DFG) (2001))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(6)より、区分1(呼吸器)とした。 【根拠データ】 (1)国内の化学工業製品製造工場において、化粧品や医薬品に用いられる架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物の吸入性粉じんを取り扱う複数の労働者から、肺組織の線維化などの呼吸器疾患が生じたとして労災請求がなされたことについて、検討を行った結果、呼吸器疾患は架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物の吸入性粉じんのばく露により発症し得るとの結論に達したとの報告がある(厚生労働省 「架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物の吸入性粉じんの製造事業場で発生した肺障害の業務上外に関する検討会」報告書 (2019))。 (2)ラットに本物質(架橋型)の微粒子 (中用量/高用量群のMMAD 2.43/2.50 μm) を91日間にわたり65回ばく露(6時間/日、5日/週)した試験において、2.5 mg/m3(ガイダンス値換算:0.0018 mg/L:区分1)で肺に肺胞内泡沫細胞凝集の増加、間質細胞の増生、及び肺胞中隔の肥厚がみられた(MAK(DFG)(2001))。 (3)ラットに本物質(架橋型)の微粒子 (MMAD 1.95〜2.07 μm) を13週間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)した試験において、64回ばく露後に1.0 mg/m3(ガイダンス値換算:0.0007 mg/L:区分1)以上で肺重量の増加、肺胞炎、肺胞マクロファージ数の増加、多形核好中球数の増加、10 mg/m3(同0.0071 mg/L)で肺の結合組織の形成(コラーゲン沈着)が認められた(同上)。 (4)ラットに本物質(架橋型)の微粒子 (MMAD 2.18〜2.58 μm) を104週間吸入ばく露(6時間/日、5日/週)した試験において、最高用量の0.8 mg/m3で26及び52週後(0.0008 mg/L)に肺の絶対及び相対重量増加、気管気管支リンパ節の重量増加がみられたが、104週後には肺重量の増加が雌にみられたのみであった。104週後には肺の非腫瘍性病変(肺胞上皮の過形成、肺胞管の細気管支化、腺房中心性の肺胞炎・結合組織の形成等)の頻度増加が主に0.2 mg/m3(0.0002 mg/L)以上の群に認められた(同上)。 (5)ラットに本物質(架橋型)を92日間混餌投与した試験において、区分2超の用量(1,000及び/又は3,000 mg/kg/day)で腎臓重量の増加、尿中電解質濃度の変化がみられたが、腎臓に病理組織学的変化はみられていない(MAK(DFG)(2001))。 (6)ラットに本物質(架橋型)150 mg(生理食塩液中)を13週間閉塞経皮適用(7日/週)した試験において、有害影響は認められなかった(MAK(DFG)(2001))。 (7)肺の肺胞部へ沈着することができる微細粒子(吸入性)は、吸入により動物の肺に炎症反応をもたらした。微粒子化粒子をラットの生涯に亘って吸入させた研究では投与量0.20 mg/m3 以上で肺の炎症とコラーゲンの沈着が認められた(官民連携プロジェクト提供情報 (ポリアクリル酸塩粉塵の取扱安全指針))。 【参考データ等】 (8)本物質(架橋型)を扱う工場の作業者を対象とした2つのコホート研究(コホート1:3,174人、コホート2:270人、呼吸域での本物質ダストの平均濃度:< 2 μg/m3〜14.4 μg/m3)において、コホート1の男性非喫煙者では最初の6~24ヵ月後に肺機能パラメータの低下(FVCの減少、FEV1の減少)がみられた。同様の肺機能パラメータの低下がコホート1の男性喫煙者、コホート2の男性非喫煙者でもみられたが、コホート1の女性では喫煙者、非喫煙者とも肺機能パラメータの低下は男性に比べて僅かであった。みられた肺機能パラメータの低下は臨床的に重大なものでなく、測定精度の範囲内での変動ではあるが、正常な集団において加齢による生理的減少(20 mL/年)の範囲内の変動であることから、生物学的意義のある変化とは考えられなかった(MAK(DFG) (2001))。 | |||
| 誤えん有害性* | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | データがなく、分類できない。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | データがなく、分類できない。 | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 該当しない | |||
| 品名(国連輸送名) | 該当しない | |||
| 国連分類 | 該当しない | |||
| 副次危険 | 該当しない | |||
| 容器等級 | 該当しない | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 該当しない | |||
| 航空規制情報 | 該当しない | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | - | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | - | |||
| 化学物質審査規制法 | 優先評価化学物質(法第2条第5項) 【161 アクリル酸重合物のナトリウム塩】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 水道法 | 水質基準(平15省令101号) 【36 ナトリウム及びその化合物】 | |||
| 海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Z類物質)(施行令別表第1) 【(117) ポリアクリル酸ナトリウム溶液】 | |||
| 16.その他の情報 | ||||
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| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||