1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | N-ビニル-2-ピロリドン (N-Vinyl-2-pyrrolidone) | ||
製品コード | H27-B-023 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 結合剤、反応性希釈剤、ポリマー原料 (医薬、化粧品、工業用) (化学工業日報社) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H27.10.31、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | ||
急性毒性(経皮) | 区分3 | |||
急性毒性 (吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |||
発がん性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器、肝臓、血液系) | |||
分類実施日 (環境有害性) | H21.3.27、政府向けGHS分類ガイダンス (H20.9.5版) を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分3 | ||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと有害 皮膚に接触すると有毒 重篤な眼の損傷 吸入すると有害 発がんのおそれの疑い 中枢神経系、呼吸器、肝臓の障害のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、肝臓、血液系の障害 水生生物に有害 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である。(このラベルの・・・を見よ) 口をすすぐこと。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | |||
保管 | 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | データなし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | N-ビニル-2-ピロリドン | ||
別名 | 1-ビニル-2-ピロリドン (1-Vinyl-2-pyrrolidone)、1-エテニルピロリジン-2-オン (1-Ethenylpyrrolidin-2-one) | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | O2NC6H4CH3 (111.14) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 88-12-0 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 5-114 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | データなし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | データなし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。 多量の水と石鹸で洗うこと。 汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。 気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 粉末消火剤、二酸化炭素、泡消火剤、乾燥砂、水噴霧 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状放水 | ||
特有の危険有害性 | 熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。 激しく加熱すると燃焼する。 火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。 当該製品は分子中にNを含有しているため火災時に刺激性もしくは有毒なヒューム (又はガス) を放出する。 当該製品は分子中にNを含有しているため燃焼ガスには、一酸化炭素のほか、窒素酸化物系のガス等の有毒ガスが含まれるので消火作業の際には、煙を吸入しないように注意する。 $火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 容器が熱に晒されているときは、移さない。 安全に対処できるならば着火源を除去すること。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な保護具や耐火服を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 全ての着火源を取り除く。 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 密閉された場所に立入る前に換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 不活性材料 (例えば、乾燥砂又は土等) で流出物を吸収して、化学品廃棄容器に入れる。 封じ込め及び浄化方法・機材 危険でなければ漏れを止める。 二次災害の防止策 すべての発火源を速やかに取除く (近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 保護手袋/保護衣/保護めがね/保護面を着用すること。 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。 | ||
接触回避 | 酸化剤 | ||
衛生対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること 保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2015年度版) | 未設定 | ||
ACGIH(2015年版) | TLV-TWA: 0.05 ppm (0.23 mg/m3) (N-ビニル-2-ピロリドン) | ||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄剤のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 (HSDB (2015)) | ||
臭い | かすかなアミン様 (GESTIS (2015)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | データなし | ||
pH | 9〜10(20℃) (濃度: 100 g/L) (GESTIS (2015)) | ||
融点・凝固点 | 13℃ (ICSC (2004)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 90〜93℃ (1.3 kPa) (ICSC (2004)) | ||
引火点 | 93℃ (ICSC (2004)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | 1.4〜10 vol% (空気中) (ICSC (2004)) | ||
蒸気圧 | 12 Pa (20℃) (ICSC (2004)) | ||
蒸気密度 | 3.83 (空気 = 1) (ICSC (2004)) | ||
比重(相対密度) | 1.04 (水 = 1) (ICSC (2004)) | ||
溶解度 | 水: 易溶 (ICSC (2004)) 多くの有機溶媒に溶ける (HSDB (2015)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow = 0.4 (ICSC (2004)) | ||
自然発火温度 | 364℃ (ICSC (2004)) | ||
分解温度 | データなし | ||
粘度(粘性率) | 2.07 cP (25℃) (ICSC (2004)) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 水溶液はアルカリ性である。 引火性の液体。 水と混ざる。 | ||
化学的安定性 | わずかに揮発する | ||
危険有害反応可能性 | 光と酸の影響のある空気中で温められると重合する可能性がある。 燃焼により分解し、有毒で腐食性のガスを生じる。 酸との混合時に加熱すると重合する。 酸化剤と積極的に反応する。 | ||
避けるべき条件 | 加熱と燃焼 | ||
混触危険物質 | 酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 加熱時に硝酸の有毒なヒュームを生じる。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、834〜1,314 mg/kg、1,022 mg/kg、1,700 mg/kg、2,500 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993)) 及び1,043 mg/kg (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)) の5件の報告がある。4件が区分4、1件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当するので、最も多くのデータが該当する区分4とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分3 ラットのLD50値として、1,043〜4,127 mg/kg (NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993))、ウサギのLD50値として、> 400 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993))、560 mg/kg (NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993)) の3件の報告がある。1件が区分3に該当し、その他2件のデータでは区分を特定できないので、1件が該当する区分3とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ラットの飽和蒸気 (0.6 mg/L) を6〜8時間吸入させた結果 (4時間換算値: 0.73〜0.85 mg/L (161〜187 ppm))、死亡例はみられなかったとの報告 (EU-RAR (2003)) がある。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 区分4 ラットのLC50値 として、3.07 mg/L (4時間) (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、DFGOT vol. 5 (1993))、> 3.7 mg/L (6時間) (4時間換算値: > 5.55 mg/L) (DFGOT vol. 5 (1993)) の2件の報告 (DFGOT vol. 5 (1993)) がある。1件が区分4、1件が区分外に該当するので、LC50値の最小値が該当する区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.6 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分外 ウサギを用いた皮膚刺激性試験4報において、本物質を20又は24時間適用した結果、軽度の紅斑、軽度の浮腫、軽度の落屑がみられたのみであり、刺激性なし又は軽度の刺激性と判断されている (EU-RAR (2003)、HSDB (2015))。また、ラットを用いた皮膚刺激性試験において、本物質1,043 mg/kgを、体表面積の約10%に24時間適用した結果刺激性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、DFGOT vol.5 (1993)、HSDB (2015))。一方、ウサギに本物質を適用した結果著しい刺激性がみられたとの報告が3報あるが (EU-RAR (2003))、いずれも古い報告であることからEU-RAR (2003) はより新しい報告を採用し、皮膚刺激性物質に区分していない (EU-RAR (2003))。また、ボランティア6人に本物質を8時間適用した結果、3人に軽度の紅斑がみられたが、他の3人に症状はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000))。以上の結果から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分1 ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質0.1 mLを適用した結果、発赤 (スコア1.9)、結膜炎 (スコア2.2)、虹彩炎 (スコア1)、角膜混濁 (スコア1.8) がみられ、回復性はみられず症状がひどくなる傾向がみられたことから重度の刺激性と判断されている (EU-RAR (2003))。また、ウサギを用いた他の報告において、本物質の原液の適用により軽度から重度の結膜炎、浮腫、角膜混濁がみられ観察期間の8日中に回復性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、DFGOT vol.5 (1993))。また、本物質はEU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (2015))。以上の結果から区分1とした。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、EU-RAR (2003) では、本物質が皮膚感作性がみられないことや、蛋白と結合しないことから、少なくとも免疫システムによる呼吸器感作性は起こさないだろうと記載している (EU-RAR (2003))。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 区分外 モルモットを用いたビューラー試験において、本物質 (純度99.7%) による感作性はみられなかったとの報告がある (EU-RAR (2003)、HSDB (2015))。この試験について、EU-RARは、媒体対照群は設けていないが未処理対照群があること、陽性対照群についても試験の6ヶ月以内にα-hexylcinnamaldehydeを用いたビューラー試験で陽性結果が得られていることから試験の感度に問題はないとし感作性なしと判断している。以上より、区分外とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験、ラット肝臓のDNA結合試験で陰性である (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol. 5 (1993))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、不定期DNA合成試験で陰性である (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、ACGIH (7th, 2003)、DFGOT vol. 5 (1993))。 | ||
発がん性 | GHS分類: 区分2 本物質の蒸気をラット (雌10匹) に45 ppmの濃度で3ヶ月間吸入ばく露し、21ヶ月間無処置で放置後に剖検した結果、生存した6例中4例の肝臓に腫瘍が肉眼的に観察され、うち2例は肝細胞がんであった (EU-RAR (2003)、ACGIH (7th, 2003))。また、本物質 (安定化剤としてKerobit (抗酸化剤: 3 ppm) を含有) の蒸気を雌雄ラットに5、10、又は20 ppm で2年間吸入ばく露した試験では、5 ppm以上で肝細胞がん、及び鼻腔の腺腫、又は腺がんの発生頻度の増加、20 ppm ではさらに喉頭の扁平上皮細胞がんの頻度増加が認められた (EU-RAR (2003)、ACGIH (7th, 2003))。ヒトでの発がん性の情報はないが、上記の実験動物を用いた試験結果に基づき、ACGIHはA3に分類した (ACGIH (7th, 2003))。また、EUはラットの肝臓腫瘍誘発はヒトへの妥当性があるとし (EU RAR (2003))、CLP分類で Carc. 2に分類した (ECHA CL Inventory (2015))。よって、分類ガイダンスに従い、本項は区分2とした。なお、IARCは1999年にグループ3に分類後 (IARC vol. 71 (1999))、再評価を行っていないため、より新しい年度の分類結果に従った。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 分類できない ヒトでの生殖影響に関する情報はない。実験動物では、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6〜19日) に本物質蒸気を吸入ばく露した発生毒性試験報告があり、母動物毒性 (体重増加量が対照群より68%低下) が顕著な用量 (20 ppm: 92 mg/m3) で、胎児には重量の低値、骨化遅延及び波状肋骨の頻度増加がみられ、骨格への影響は母動物毒性による二次的影響と考えられている (EU RAR (2003))。すなわち、本物質は吸入経路では重大な発生影響を生じないと考えられるが、性機能、及び生殖能を評価した試験成績がなく、よってデータ不足のため分類できない。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分2 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) 本物質は、吸入及び経口経路で気道刺激性を有する (EU-RAR (2003)、NICNAS (2000)、IARC 71 (1999))。 実験動物では複数のデータがある。吸入ばく露では、ラット、マウスの3.07 mg/L (LC50) (区分2に相当) で、呼吸困難、流涎、鼻汁、立毛、呼吸数減少、円背位、よろめき歩行、運動失調、昏睡が認められ、ラットでは死亡例の剖検で、肝臓、肺が主要な標的器官である。肝臓では小葉中心性肝細胞壊死、単細胞壊死、細胞核変化を含む傷害、腎臓の変色、肺の鬱血、アルカリホスファターゼの増加と総タンパク量減少がみられている。経口投与では、ラットの834〜1,314 mg/kg (区分2に相当) で、流涙、眼瞼下垂、利尿、正向反射消失 (NICNAS (2000)、EU-RAR (2003))、マウスの 420-1,400 mg/kg (区分2及びそれ以上に相当) で背弯姿勢を伴う筋痙攣収縮 (convulsive twitching with arching of the back)、振戦の報告がある (EU-RAR (2003))。 上述の所見において、肝臓及び肺の変化については死亡動物の所見であるが、反復投与でも肝臓及び肺に対する病理組織学的変化がみられているため、単回投与による毒性症状と判断した。腎臓については、変色と利尿のみであるため、分類対象臓器としなかった。 ヒトの情報はない。 以上より、本物質は、気道刺激性、中枢神経系、呼吸器、肝臓への影響が認められるため、区分2 (中枢神経系、呼吸器、肝臓) とした。 新しい情報を加え、旧分類の区分を見直した。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (呼吸器、肝臓、血液系) ヒトに関する情報はない。 実験動物では、マウスを用いた7週間吸入毒性試験において、5 ppm (ガイダンス値換算: 0.0088 mg/L) 以上でカタル性化膿性鼻炎、鼻の嗅上皮の萎縮、粘膜下腺細胞の過形成、鼻の呼吸上皮の過形成、ラットを用いた7週間吸入毒性試験において、15 ppm (ガイダンス値換算: 0.027 mg/L) 以上で貧血、γーGT増加、グルタチオン増加、血小板数の増加、タンパク異常血症、鼻の嗅上皮の萎縮、45 ppm (ガイダンス値換算: 0.08 mg/L) で肝臓の絶対重量増加、肝臓の小葉中心性肝細胞の壊死・脂肪蓄積がみられている (NICNAS (2000))。ラットを用いた3ヶ月間吸入毒性試験において、15 ppm (ガイダンス値換算: 0.045 mg/L) 以上、ラット、マウスを用いた6ヶ月間吸入毒性試験で10 ppm (ガイダンス値換算: 0.045 mg/L) でも血液、血液生化学、肝臓・鼻腔の病理組織学的変化は7週間吸入ばく露試験と同様の所見がみられている (NICNAS (2000)、EU-RAR (2003))。 ラットを用いた3ヶ月間強制経口投与毒性試験において、100 mg/kg/day (90日換算: 72.2 mg/kg/day) で肝臓への影響 (肝臓重量増加、γ-GT増加、肝細胞のわずかな変性) がみられ、ラットを用いた3ヶ月間飲水投与毒性試験において、75 ppm (8.3 mg/kg/day) でタンパク異常血症がみられている (NICNAS (2000)、EU-RAR (2003))。 以上のように気道、肝臓、血液に対する影響が区分1の範囲でみられた。 したがって、区分1 (呼吸器、肝臓、血液系) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、HSDB収載の数値データ (粘性率: 2.07 mPa・s; 密度 (比重) : 1.04 (HSDB (2015)) より、動粘性率は1.99 mm2/sec (25℃) と算出される。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | GHS分類: 区分3 甲殻類 (Daphnia sp.) の48時間EC50 = 45 mg/L(EU RAR, 2003)から区分3とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | GHS分類: 区分外 急性毒性区分3であるが、急速分解性があり (DOCによる分解度: 100%、(EU RAR, 2003))、生物濃縮性も低いと推定(logKow = 0.37、PHYSPROP)されることから区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2810 | |||
国連品名 | TOXIC LIQUID, ORGANIC, N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | L | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法に従う。 | |||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 153 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
化審法 | 旧第2種監視化学物質 | |||
航空法 | 毒物類・毒物 | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物 | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質 | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質 | |||
外国為替及び外国貿易管理法 | 輸出貿易管理令別表第1の16の項 輸出貿易管理令別表第2 輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」 | |||
特定廃棄物輸出入規制法 (バーゼル法) | 廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |