1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | N-メチル-2-ピロリドン (別名: N-メチルピロリドン) (N-Methyl-2-pyrrolidone) | ||
製品コード | H27-B-027 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 樹脂溶剤、アセチレン溶剤、MOS半導体製造用溶剤、化粧品基剤 (化学工業日報社) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H27.10.31、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分4 | ||
健康に対する有害性 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | |||
生殖毒性 | 区分1B | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3 (麻酔作用) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分2 (神経系、肺、肝臓、骨髄) | |||
分類実施日 (環境有害性) | H21.3.27、政府向けGHS分類ガイダンス (H20.9.5版) を使用 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 可燃性液体 皮膚刺激 強い眼刺激 眠気又はめまいのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、肺、肝臓、骨髄の障害のおそれ | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である。(このラベルの・・・を見よ) 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | データなし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | N-メチル-2- ピロリドン | ||
別名 | 1-メチル-2-ピロリジノン (1-Methyl-2-pyrrolidone)、4-(メチルアミノ)酪酸ラクタム (4-(Methylamino)butyric acid lactam)、N-メチルピロリドン (N-Methylpyrrolidinone) | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C5H9NO (99.13) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 872-50-4 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 5-113 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 8-1-1013 8-1-1014 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | データなし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石鹸で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぐこと。 汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入 : 頭痛。 皮膚 : 吸収される可能性あり。皮膚の乾燥、発赤。 眼 : 発赤、痛み、かすみ眼 | ||
応急措置をする者の保護 | データなし | ||
医師に対する特別な注意事項 | データなし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類、水噴霧 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状放水 | ||
特有の危険有害性 | 熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。 激しく加熱すると燃焼する。 当該製品は分子中にNを含有しているため火災時に刺激性もしくは有毒なヒューム (又はガス) を放出する。 当該製品は分子中にNを含有しているため燃焼ガスには、一酸化炭素のほか、窒素酸化物系のガス等の有毒ガスが含まれるので消火作業の際には、煙を吸入しないように注意する。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 容器が熱に晒されているときは、移さない。 安全に対処できるならば着火源を除去すること。 | ||
消火を行う者の保護 | 適切な空気呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 緊急措置 全ての着火源を取り除く。 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 密閉された場所に立入る前に換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 裸火や高温のものから遠ざけること。‐禁煙。 取扱い後はよく手を洗うこと。 使用前に使用説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 皮膚との接触を避けること。 眼に入れないこと。 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
接触回避 | 強酸及び強塩基、硫黄及び二硫化炭素 | ||
衛生対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 酸化剤から離して保管する。 炎及び熱表面から離して保管すること。 容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | データなし |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2015年度版) | 1 ppm (4 mg/m3) | ||
ACGIH(2015年版) | 未設定 | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 ばく露を防止するため、装置の密閉化又は局所排気装置を設置すること。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 (ICSC (2014)) | ||
臭い | 穏やかなアミン臭 (HSDB (2015)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | データなし | ||
pH | 7.7〜8 (HSDB (2015)) | ||
融点・凝固点 | -25℃ (HSDB (2015)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 202℃ (760 mmHg) (HSDB (2015)) | ||
引火点 | 86℃ (密閉式) (ICSC (2014)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | 1.3〜9.5 (ICSC (2014)) | ||
蒸気圧 | 39 (25℃) (ICSC (2014)) | ||
蒸気密度 | 3.4 (空気= 1) (ICSC (2014)) | ||
比重(相対密度) | 1.03 (水 = 1) (ICSC (2014)) | ||
溶解度 | 水: 混和する (HSDB(2015)) アルコール、エーテル、アセトン、エチルアセテート、クロロホルム、ベンゼン: 混和する ひまし油: 混和する 低級アルコール及びケトン: 混和する 脂肪族炭化水素: 適度に溶ける (HSDB (2015)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | 0.38 (ICSC (2014)) | ||
自然発火温度 | 245℃ (ICSC (2014)) | ||
分解温度 | データなし | ||
粘度(粘性率) | 1.65 cP (25℃) (HSDB (2015)) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 銅及びその合金を腐食する。 アルミニウム、軽金属、ゴム及びプラスチックを腐食する。 | ||
化学的安定性 | データなし | ||
危険有害反応可能性 | 強酸及び強塩基と激しく反応する。 高圧高温下で硫黄及び二硫化炭素と危険な反応を生じる。 | ||
避けるべき条件 | 加熱や燃焼 強酸及び強塩基 | ||
混触危険物質 | 強酸及び強塩基 高圧高温下で硫黄及び二硫化炭素 | ||
危険有害な分解生成物 | 加熱及び燃焼時に、窒素酸化物の有害なヒューム及び一酸化炭素を生じる。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、3,500 mg/kg、3,600 mg/kg、3,800 mg/kg (DFGOT vol. 10 (1998))、3,605 mg/kg (SIDS (2009))、3,914 mg/kg (環境省リスク評価暫定的有害性評価シート第8巻 (2010)、SIDS (2009))、4,150 mg/kg (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001)、DFGOT vol. 10 (1998))、4,320 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002))、4,850 mg/kg、7,900 mg/kg (DFGOT vol. 10 (1998)) との9件の報告がある。いずれも区分外に該当するが、8件のデータが該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、> 5,000 mg/kg (SIDS (2009))、7,000 mg/kg (SIDS (2009)、DFGOT vol. 10 (1998))、ウサギのLD50値として、6,000 mg/kg (DFGOT vol. 10 (1998)) との報告に基づき、区分外とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 区分外 ラットのLC50値 (4時間) として、> 5.1 mg/Lとの報告 (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001)、DFGOT vol. 10 (1998)) に基づき、区分外とした。なお、試験はエアロゾルで行われたとの記載、及びLD50値が飽和蒸気圧濃度 (1.3 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分2 ウサギを用いたドレイズ試験において、未希釈の本物質 (純度> 98 %) 0.5 mLを24時間閉塞適用した結果、軽度の紅斑 (ドレイズスコア: 1) がみられ、一次刺激指数 (PII) は0.5 (最大値8) であったとの報告がある (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001)、DFGOT vol.10 (1998))。一方、ウサギの皮膚に本物質を5-15分適用した結果、重度の紅斑と落屑がみられ、さらに20時間適用した結果重度の浮腫がみられたが (DFGOT vol.10,1998)、SIDS (2009))、SIDS はこの報告について信頼性が低いとして評価に採用せず、本物質はウサギに対しては軽度の刺激性と結論している (SIDS SIAP (2009))。また、ヒト50人の擦傷皮膚に本物質を24 時間貼付試験を計15 回実施した結果、軽度から中等度の一過性刺激が引き起こされたとの報告がある (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001))。なお、職業ばく露において本物質を扱う作業者において発赤やかゆみなどの皮膚症状が報告されているが (日本産業衛生学会許容濃度の提案理由書 (2002))、回復性などの詳細については不明である。以上より、動物試験について区分外相当の報告もあるが、ヒトにおいて中等度の刺激性の報告があることから区分2とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (2015))。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分2A ウサギを用いたドレイズ試験において、未希釈の本物質 (純度> 98 %) 0.1 mLを適用した結果、角膜に対する刺激性 (一次刺激指数: 洗浄眼; 0〜35、非洗浄眼; 0〜41) がみられたが、21日以内に回復したとの報告がある (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001))。また、ウサギを用いた別の眼刺激性試験において、角膜混濁、発赤、腫れがみられ、8日後症状が続いたとの報告 (DFGOT vol.10 (1998)) や、中等度から強度の刺激性がみられたとの報告がある (DFGOT vol.10 (1998))。以上の結果から区分2Aとした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (2015))。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験において感作性はみられなかったとの報告や (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001)、DFGOT vol.10 (1998))、ヒト50人の擦傷皮膚に本物質を24時間貼付試験を計15回実施した結果、感作性はみられなかったとの記載がある (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001)、DFGOT vol. 10 (1998)) が、いずれも試験条件等詳細不明である。一方、職業ばく露においては本物質を扱う作業者において接触性皮膚炎や皮膚症状などが報告されている (産業衛生学会許容濃度の提案理由書 (2002))。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない In vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、マウス及びチャイニーズハムスターの骨髄細胞の小核試験、チャイニーズハムスターの骨髄細胞の染色体異常試験で陰性の報告がある (CICAD 35 (2001)、SIDS (2009)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 10 (1998))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、不定期DNA合成試験でいずれも陰性である (CICAD 35 (2001)、SIDS (2009)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 10 (1998)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002)、NTP DB (2015))。 | ||
発がん性 | GHS分類: 分類できない ヒトの発がん性に関する情報はない。実験動物では、ラットを用いた吸入経路、及び経口経路 (混餌) での2年間ばく露による発がん性試験では腫瘍誘発の証拠は示されなかった (SIDS (2009))。一方、マウスを用いた経口経路 (混餌) での18ヶ月間ばく露による発がん性試験では、肝細胞がん、又は肝細胞の腺腫が雄マウスに、肝細胞の変異巣の増加が雌雄に認められ、マウス肝臓での腫瘍発生機序としてペルオキシソーム増殖作用、或いは細胞増殖作用の亢進を示唆する記述 (SIDS (2009)) がある。このように、動物種間で相反する結果が得られ、国際機関による発がん性分類結果もなく、現時点ではデータ不足のため分類できない。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分1B ヒトでは妊娠16週に流出した本物質を洗浄作業中に直接皮膚に付着し、妊娠20週まで本物質に職業ばく露を受けたとされる女性研究助手の症例報告において、超音波診断での胎児観察で、妊娠13.8週に異常はみられなかったが、妊娠26週に胎児の成長遅延がみられ、31週で死産が確認された。本症例では本物質に経皮、及び吸入ばく露された可能性が高いが、ばく露濃度は不明で、1例のみの報告で、本物質ばく露と胎児死亡との関連性は明らかでないとされた (CICAD 35 (2001)、環境省リスク評価暫定的有害性評価シート第8巻 (2010))。 実験動物では、異なる2系統のラットを用いた経口経路 (混餌) による2世代生殖毒性試験において、F0、及びF1親動物に一般毒性影響がない (SD系)、又は体重増加抑制、摂餌量減少がみられる (Wistar系) 高用量で、F1及びF2児動物への発達影響として、死亡率の増加、体重増加量の減少がみられたが、F0、F1世代の雌雄親動物に生殖毒性影響はみられなかった (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001))。また、吸入経路では、交配14週間前から妊娠期間中を通して、本物質蒸気を吸入ばく露し、生まれたF1児動物を生後70日に非ばく露の雌雄動物と交配させた試験において、F0世代の高用量 (479 mg/m3) では雌親動物に音刺激への反応性低下 (麻酔作用によると推測)、及びF1児動物に体重の低値がみられたのみで、F1の受胎能、受精能ともに影響はみられなかった (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001))。すなわち、ラットを用いた経口、及び吸入経路での試験では、親動物に一般毒性影響が発現する用量で、児動物の発生・発達への影響はみられたが、親動物の性機能・生殖能への有害影響はみられなかった。 一方、発生毒性影響としては、妊娠ラット又は妊娠ウサギの器官形成期に経口、吸入、又は経皮経路で投与した催奇形性試験結果がある。強制経口投与した試験では、ラット、ウサギともに母動物に体重増加抑制がみられる用量で、胎児への発生毒性 (胎児重量の低値、矮小児の増加、ウサギでは骨格・軟組織の奇形、又は変異の頻度増加) がみられた (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001))。同様に、吸入経路での発生毒性試験では、ラットでは母動物に体重増加抑制、摂餌量減少がみられる用量で、胎児に体重の低値がみられたのみで、ウサギではラットと同濃度でばく露したが、高用量群の胎児に骨格変異 (過剰肋骨) がみられた以外、母動物、胎児ともに異常はみられなかった (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001))。さらに、経皮経路での発生毒性試験では、ラットでは母動物に体重増加抑制がみられる用量で、胎児に死亡例増加、体重の低値、骨化遅延、及び骨格奇形頻度の増加がみられたのに対し、ウサギでは1,000 mg/kg/dayまでの投与量で、母動物毒性は生じず、胎児に骨格変異 (過剰肋骨) がみられたのみであった (SIDS (2009)、CICAD 35 (2001))。 以上、ラットを用いた経口及び吸入経路での生殖毒性試験で、親動物に一般毒性影響がみられる用量まで投与しても、親動物の生殖能に影響はなかった。しかし、妊娠動物の器官形成期投与による発生毒性試験では、経口経路ではラット、ウサギともに母動物毒性がみられる用量で、胎児に骨格奇形を含む発生毒性影響が認められた。骨格奇形はラットの経皮経路の試験でも認められており、体重増加抑制など母動物毒性のみられる用量での胎児の所見ではあるが、胎児毒性及び奇形は母動物毒性による二次的影響ではない (SIDS (2009)) との記述も併せ考え、骨格奇形の誘発は本物質投与による重大な生殖毒性影響を示唆する所見と判断した。よって、本項は区分1Bとした。 なお、本物質はEU CLP分類でもRepr. 1B に分類されており、それに基づきEUは本物質を高懸念物質 (SVHC) に指定した (ECHA CL Inventory (2015))。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分3 (麻酔作用) 本物質は実験動物で気道刺激性がみられている。ヒトでは重度の眼刺激及び頭痛が認められているが、ボランテイアによる吸入試験などで気道刺激性はないと報告されている (CICAD 35 (2001)、SIDS (2009)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 10 (1998))。実験動物では、ラットの5,100 mg/m3 (5.1 mg/L) (蒸気・エアロゾル混合体) 吸入ばく露で、死亡はみられず、ばく露中、呼吸速迫、不規則呼吸、息切れ、疼痛反射低下、ばく露後は、呼吸速迫がみられた。ラット、マウスの519 mg/kgの経口投与で協調運動失調の報告がある (CICAD 35 (2001))。 これらの知見より、ヒトの気道刺激性はないと判断した。また、ラットで疼痛反射低下、協調運動失調がみられていることから、麻酔作用が考えられた。以上より、区分3 (麻酔作用) とした。新たな情報を追加し旧分類を見直した。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分2 (神経系、肺、肝臓、骨髄) ヒトに関する情報はない。 吸入ばく露による毒性は、エアロゾルと蒸気の比とばく露範囲 (頭部のみばく露または全身ばく露) に大きく影響される (CICAD 35 (2001))。 実験動物については、ラットを用いた2週間吸入毒性試験において、1,000 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.11 mg/L) の頭部ばく露では軽度の鼻刺激のみであったが、同濃度でも高湿度で粗大な液滴の全身ばく露では、顕著な死亡率の増加 (8〜9/10例)、無関心、不整呼吸、痙攣、振戦、体重/体重増加の減少、鼻部の刺激、死亡例で臓器/組織に対する重篤な影響 (ほぼすべての臓器のうっ血、脾臓のリンパ球枯渇・壊死、骨髄の汎骨髄ろう・ゼラチン様骨髄・細胞枯渇、肺の肺水腫・多発性化膿性肺炎、肝臓の壊死性変性、腺胃の潰瘍、副腎重量増加) がみられている (CICAD 35 (2001))。また、ラットを用いた4週間反復吸入毒性試験 (高用量は、多数の死亡がみられたため10日後にばく露中止)) において、1,000 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.11 mg/L) で死亡または瀕死による屠殺 (13/30)、嗜眠、不整呼吸、呼吸困難、死亡/瀕死動物で肺の浮腫・うっ血、骨髄形成不全、胸腺、脾臓、リンパ節のリンパ組織の萎縮や壊死がみられている (環境省リスク評価暫定的有害性評価シート第8巻 (2010)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2002)、CICAD 35 (2001))。 室温での蒸気相濃度最高値は、乾燥空気 (相対湿度0%) では1,318 mg/m3、通常湿度 (相対湿度60%) では412 mg/m3、湿った空気 (相対湿度100%) では0 mg/m3である (CICAD 35 (2001)。したがって、上記の1,000 mg/m3は蒸気ではなくミストを含んでいると考えられることから、ミストの区分を適用し区分2 (神経系、肺、肝臓、骨髄) とした。 なお、経口経路については、ラットを用いた複数の反復経口投与毒性試験において、覚醒低下、眼瞼閉鎖、神経行動学的検査での異常、骨髄形成不全、胸腺萎縮、肝臓の小葉中心性肝細胞肥大、小葉中心性脂肪変性、精巣の変性・萎縮、腸間膜リンパ節のリンパ系細胞の減少、慢性進行性腎症 (雄)、副腎皮質の肥厚・嚢胞形成がみられ、中枢神経系、骨髄、肝臓、精巣、腎臓、副腎に影響がみられている。これらの所見は区分2を超える範囲であった。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、HSDB収載の数値データ (粘性率: 1.65 mPa・s (25℃)、密度 (比重) : 1.027) (HSDB (2015)) から、動粘性率は1.61 mm2/sec (25℃) と算出される。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | GHS分類: 区分外 藻類 (セネデスムス)、甲殻類 (オオミジンコ) 及び魚類 (ニジマス) の毒性値はいずれも> 100 mg/Lである (SIDS (2007)) ことから区分外とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | GHS分類: 区分外 難水溶性でなく (水溶解度: 1,000,000 mg/L (SRC (2005))、急性毒性が区分外であることから、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | - | |||
国連品名 | - | |||
国連危険有害性クラス | - | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | - | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法に従う。 | |||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | - |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
化審法 | 優先評価化学物質 | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体 | |||
大気汚染防止法 | 揮発性有機化合物 | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質 | |||
外国為替及び外国貿易管理法 | 輸出貿易管理令別表第1の16の項 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |