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安全データシート
メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
作成日 2009年3月30日
改訂日 2018年3月16日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称メタクリル酸2-ヒドロキシエチル (2-Propenoic acid, 2-methyl-, 2-hydroxyethyl ester)
製品コードH29-B-100
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限熱硬化性塗料・接着剤・コンタクトレンズ原料

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性-
健康に対する有害性眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2
皮膚感作性区分1
分類実施日
(環境有害性)
環境に対する有害性はH21.3.27、政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)を使用
環境に対する有害性-
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。
GHSラベル要素
絵表示感嘆符
注意喚起語警告
危険有害性情報アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
強い眼刺激
注意書き
 安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
 保管-
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
別名2-ヒドロキシエチル=メタクリラート
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C6H10O3 (130.14)
化学特性 (示性式又は
構造式)
構造式
CAS番号868-77-9
官報公示整理番号
(化審法)
2-1044
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び
安定化添加物
情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させる。医療機関に連絡する。
皮膚に付着した場合多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
眼に入った場合数分間多量の水で洗い流し(できればコンタクトレンズをはずして)、医師の診断を受ける。
飲み込んだ場合口をすすぐ。吐かせない。コップ1、2杯の水を飲ませる。医療機関にただちに連絡する
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:咳、咽頭痛
皮膚:発赤
眼:発赤
経口摂取:咽頭痛、吸引性呼吸器有害性
応急措置をする者の保護救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
消火剤水噴霧粉末消火薬剤、水溶性液体用泡消火薬剤
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性97℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがある。
加熱により分解すると、刺激性の煙及びヒュームを放出する。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び
緊急措置
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(有機ガス及び蒸気用フィルター付マスク、化学保護衣等)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏れた液をふた付きの容器に集める。
残留液を砂又は不活性吸収剤に吸収させて安全な場所に移す。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項裸火禁止。
ミストの発生を防ぐ。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
接触回避「10.安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件安定化した状態でのみ貯蔵する。
暗所に保管する。
涼しい場所に保管する。
床面に沿って換気する。
安全な容器包装材料消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会(2017年度版)未設定
ACGIH(2017年版)未設定
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄剤のための設備を設ける。
高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具換気(粉末でない場合)、局所排気、又は呼吸用保護具を使用する。
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具安全眼鏡及び眼用保護具と呼吸用保護具を併用する。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (HSDB (2017))
臭い果物臭 (GESTIS (2017))
臭いのしきい(閾)値情報なし
pH情報なし
融点・凝固点<−60℃ (ICSC (J) (2008))
沸点、初留点及び沸騰範囲67℃ (3.5 mmHg) (HSDB (2017))
引火点101℃ (c.c.) (GESTIS (2017))
蒸発速度(酢酸ブチル=1)情報なし
燃焼性(固体、気体)該当しない
燃焼又は爆発範囲情報なし
蒸気圧17 Pa (25℃) (ICSC (J) (2008))
蒸気密度4.5 (ICSC (J) (2008))
比重(相対密度)1.034 (25℃/4℃) (HSDB (2017))
溶解度水と混和 (ICSC (J) (2008))
一般的な有機溶媒に可溶 (HSDB (2017))
n-オクタノール/水分配係数0.42 (ICSC (J) (2008))
自然発火温度情報なし
分解温度情報なし
粘度(粘性率)8.4 mm2/s (20℃) (SRC PhysProp (2017))

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性加熱や過酸化物との接触、光の影響下で重合することがある。加熱すると刺激性の煙を生じながら、激しく燃焼又は爆発することがある。安定化されていない場合、自然に重合することがある。
避けるべき条件加熱、光、混触危険物質との接触
混触危険物質過酸化物
危険有害な分解生成物加熱により分解すると、刺激性の煙及びヒュームを放出する。

11.有害性情報
急性毒性
経口GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、5,564 mg/kg (SIDS (2005)、SIDS Dossier (2005))、5,050 mg/kg、8,700 mg/kg、11,200 mg/kg、> 4,000 mg/kg (SIDS Dossier (2005)) の5件の報告に基づき、区分外とした。
経皮GHS分類: 区分外
ウサギのLD50値として、> 3,000 mg/kg (SIDS (2005)、DFGOT vol. 13 (1999)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガスGHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気GHS分類: 分類できない 
データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミストGHS分類: 分類できない 
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性GHS分類: 区分外
3件のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、刺激性なし又は軽度の刺激性 (皮膚一次刺激指数が0.08, 1.0, 1.2) との報告 (SIDS (2005)) から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Irrit. 2, H315に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。
眼に対する重篤な損傷性又は
眼刺激性
GHS分類: 区分2
ウサギを用いた眼刺激性試験で眼刺激性指数が4.6 (最大値13) で中等度 (moderately) の刺激性との記載や、別のウサギでの試験で角膜の潰瘍と肥厚が生じたが15日後には軽度の角膜障害の1匹を除いて回復して本物質は強い (highly) 刺激性を示したとの記載 (いずれもSIDS (2005)) がある。また、試験動物種は不明だが、本物質の適用で角膜傷害が7日以上残り中等度から強度 (moderate to severe) の刺激性を示したとの記載 (DFGOT vol. 13 (1999)) がある。よって、区分2とした。なお、EU CLP分類において本物質はEye Irrit. 2, H319に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。
呼吸器感作性GHS分類: 分類できない 
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性GHS分類: 区分1
本物質を取扱うことにより接触性皮膚炎を発症した歯科技工士、及び本物質の80%溶液を扱う実験技術者がパッチテストで本物質に対して陽性であったとの報告や、電子顕微鏡包埋剤やソフトコンタクトレンズ製造者が本物質に感作された事例の他に複数の事例の記載 (SIDS (2005)、DFGOT vol. 13 (1999)) がある。モルモットを用いた皮膚感作性試験では、陽性と陰性の試験結果が複数報告されている (SIDS (2005))。これらの結果から本物質は感作性を有すると考え、区分1とした。なお、EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1, H317に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on August 2017))。
生殖細胞変異原性GHS分類: 分類できない
ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (SIDS (2005))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性である (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2017)、SIDS (2005)、DFGOT vol. 13 (1999))。
発がん性GHS分類: 分類できない 
データ不足のため分類できない。
生殖毒性GHS分類: 分類できない
ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、1,000 mg/kg/dayまでの用量で親動物、児動物ともに生殖発生影響は認められなかった (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2017)、SIDS (2005))。しかし、スクリーニング試験のため、この結果のみで区分外とはできず、分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)GHS分類: 分類できない
本物質のヒトでの単回ばく露の情報はない。実験動物ではラットの単回経口投与試験において、投与後10分〜24時間に用量依存性の活動性低下、振戦、協調運動性障害、歩行異常、四肢筋肉の緊張低下、体温上昇、立毛が認められたが、生存動物ではその後、完全に回復したとの報告がある。この試験の用量は区分2超の3,403、4,259、5,350、6,741 mg/kg、死亡率は各々1/10、1/10、4/10、8/10であり、被験物質に関連した病理組織学的変化は認められなかったと記載されている。症状がみられた最小用量の記載はないが、この試験の用量は全て区分2超である (SIDS Dossier (2005))。以上より、症状からは中枢神経系への影響が考えられるが、区分2超の用量でみられているため、分類できないとした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)GHS分類: 分類できない
ヒトに関する情報はない。
実験動物については、ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、区分2のガイダンス値の範囲内である30 mg/kg/day (90日換算: 16.3 mg/kg/day) 以上で尿素窒素の増加傾向あるいは増加、100 mg/kg/day (90日換算: 54.4 mg/kg/day (雄)、45.6 mg/kg/day (雌)) 以上で腎臓の相対重量増加がみられている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2017)、SIDS (2005))。なお、腎臓の病理組織学的所見は、区分2のガイダンス値の範囲を超える1,000 mg/kg/day (90日換算: 544 mg/kg/day (雄)、456 mg/kg/day (雌)) の雄においてのみ尿細管拡張・集合管拡張がみられている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on August 2017)、SIDS (2005))。
以上、みられた影響については分類根拠としては不十分であったため、分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性GHS分類: 分類できない 
データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)藻類 (Pseudokirchn eriella subcapitata)による72h-ErC50 = 710 mg/L、甲殻類 (オオミジンコ)による48h-EC50 = 380 mg/L、魚類 (メダカ)による96h-LC50 > 100 mg/L (3試験とも環境省生態影響試験 (1996))であることから、区分外とした。
水生環境有害性(長期間)急性分類が区分外であり、難水溶性ではない (水溶解度 = 1000000 mg/L (PHYSPROP Database (2008))ことから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号該当しない
国連品名該当しない
国連危険有害性クラス該当しない
副次危険該当しない
容器等級該当しない
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書K及び
IBCコードによるばら積み
輸送される液体物質
該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号該当しない
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
化審法旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)
消防法第4類引火性液体、第三石油類水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
労働基準法感作性を有するもの(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号、平8労基局長通達、基発第182号)
疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。