1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | フタル酸ブチルベンジル (BBP) (Butyl Benzyl phthalate) | ||
製品コード | H28-B-049 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | ポリサルファイド用可塑剤(建築シーリング剤・窓枠シーリング剤), セラミックバインダー用・アクリル系塗料用可塑剤 (NITE CHRIP) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | − | |||
健康に対する有害性 | 生殖毒性 | 区分1B | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分2 (生殖器 (男性)) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH28.3、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1)) を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 区分2 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による生殖器 (男性)の障害のおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | |||
保管 | 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | フタル酸ブチルベンジル (BBP) | ||
別名 | 1,2-ベンゼンジカルボン酸ブチルフェニルメチル フタル酸ベンジルブチル フタル酸1-ベンジル-2-ブチル | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C19H20O4 | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 85-68-7 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 3-1312 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | データなし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。 | ||
使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
特有の危険有害性 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。 大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。 取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を接地すること、アースをとること。 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。 | ||
接触回避 | 情報なし | ||
衛生対策 | 情報なし | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。高温物を近づけない。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2016年度版) | 未設定 | ||
ACGIH(2016年版) | 未設定 | ||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄剤のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 (ICSC (2004)) | ||
臭い | かすかなにおい (HSDB (2016)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | データなし | ||
pH | データなし | ||
融点・凝固点 | -35℃ (HSDB (2006)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 370℃ (NFPA (13th, 2002)) | ||
引火点 | 199℃ (密閉式) (NFPA (13th, 2002)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | 可燃性 (ICSC (2008)) | ||
燃焼又は爆発範囲 | データなし | ||
蒸気圧 | 8.6×10-6 mmHg (20℃) [換算値 0.0011 Pa (25℃)] (HSDB (2006)) | ||
蒸気密度 | 10.77(空気=1) (計算値) | ||
比重(相対密度) | 1.113〜1.121 (25℃/25℃) (HSDB (2006)) | ||
溶解度 | 水: 0.71 mg/L (HSDB (2006)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logKow=4.73(測定値) (SRC:KowWin (2006)) | ||
自然発火温度 | 425℃ (ICSC (2004)) | ||
分解温度 | データなし | ||
粘度(粘性率) | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 加熱すると分解し、有毒なヒュームを生じる。酸化剤と反応する。 | ||
避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、2,300 mg/kg (IARC 73 (1999))、2,330 mg/kg (EU-RAR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)、NTP TR213 (1982))、20,000 mg/kg (IARC 73 (1999))、20,400 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2008)) との4件の報告がある。いずれも区分外に該当することから、区分外とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分外 ラットのLD50値として、6,700 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)、CICAD 17 (1999)、EU-RAR (2008)、CEPA (2000)、PATTY (6th, 2012)) との報告があり、区分外に該当する。 ウサギのLD50値として、>10,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)、IARC 73 (1999)、EU-RAR (2008)、PATTY (6th, 2012)) との報告があり、区分外に該当する。これらに基づき区分外とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分外 ウサギの皮膚刺激性試験 (24時間適用) で中等度の刺激性がみられたが (EU-RAR (2008))、その後に実施されたウサギ皮膚刺激性試験では、有傷および無傷部位に24時間閉塞適用したが刺激性は認められなかった (NITE有害性評価書 (2006)、EU-RAR (2008)、NICNAS (2015)、PATTY (6th, 2012))。また、ヒトでは 15〜30 人のボランティアに10%溶液を皮膚貼付した結果、軽度の刺激性が認められたとする報告 (NITE有害性評価書 (2006)、NITE初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000)、 EU-RAR (2008)、環境省リスク評価第2巻 (2003)) の一方で、ボランティア 200人に、本物質の原液を24時間/回、3回/週、5週間の頻度で皮膚に適用したが刺激性は認められなかったとしている (NITE有害性評価書 (2006)、NITE初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000)、EU-RAR (2008)、IARC (1999)、NICNAS (2015)、環境省リスク評価第2巻 (2003))。さらに、EU-RARには、これらの情報をもとにEUの判定基準に従えば、本物質は皮膚刺激性に分類する必要はないとの記載がある (EU-RAR (2008))。以上の情報に基づき、区分外とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分外 ウサギの眼刺激性試験で、24時間後に軽度の刺激性がみられたが、48時間後までに回復したとの報告がある (NITE有害性評価書 (2008)、EU-RAR (2008)、NICNAS (2015)、PATTY (6th, 2012))。さらに、EU-RARには、これらの情報をもとにEUの判定基準に従えば、本物質は眼刺激性に分類する必要はないとの記載がある (EU-RAR (2008))。以上の情報に基づき、区分外とした。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため、分類できない。なお、ボランティア200人に原液を3週間反復貼付して感作し、2週間後に再度原液を貼付して誘発した試験で陰性であったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000)、EU-RAR (2008))がある。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で弱い陽性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、NICNAS (2015)、IARC 73 (1999)、EU-RAR (2008)、CICAD 17 (1999)、CEPA (2000)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on June 2016))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、NICNAS (2015)、IARC 73 (1999)、EU-RAR (2008)、CICAD 17 (1999)、CEPA (2000)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、PATTY (6th, 2012)、NTP DB (Access on June 2016))。以上より、in vivoの染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陽性が認められているが、小核試験は陰性、優性致死試験も陰性であり、また、in vitro試験でもすべて陰性の結果であることから、本物質は遺伝毒性を有しないと判断した。 | ||
発がん性 | GHS分類: 分類できない ラット、又はマウスに2年間経口 (混餌) 投与した発がん性試験において、マウスに発がん性の証拠はみられなかったが、ラットでは雌に単核細胞白血病 (MNCL) の発症頻度増加がみられた (NTP TR213 (1982))。また、ラットに2年間混餌投与した他の試験では、膵臓腺房細胞腺腫、又は同腺腫と腺がんの合計頻度の増加が雄に、膀胱移行上皮の乳頭腫とがんの合計頻度の軽微な増加が雌に認められた (NTP TR458 (1997))。しかし、IARCは本物質の発がん性の証拠はヒトで不十分、実験動物で限定的としてグループ3に分類した (IARC 73 (1999))。EUは本物質はNo classification (分類できない) とカテゴリー3 (旧DSD分類: 区分2相当) との境界線上の物質であるが、遺伝毒性を有しないことから「分類できない」を推奨すると結論し (EU-RAR (2008))、さらにNICNASはIARCとEUの見解を支持し、入手可能なデータからは本物質のヒト発がん性の十分な証拠はないと結論している (NICNAS (2015))。以上より、本項は分類できないとした。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分1B ヒトでは本物質 (BBP) の尿中代謝物 (モノブチルフタレート (MBP)、モノブチルベンジルフタレート (MBzP)) 濃度と精液パラメータ (精液量、精子数、精子濃度、精子運動性、精子形態など) との関連性を調べた研究で陽性の報告もある (NICNAS (2015)、食品安全委員会 (2015)) が、全体としてはサンプル数が少ない、経時的な変動でなく1時点のみの影響である、他の物質も同時に検出されているなどから懐疑的であると記述されている (NICNAS (2015))。母親と息子のペアーに対して、母親の尿中MBP、MBzP濃度と男児のAGI (AGD (肛門生殖突起間距離) の体重比) を調べたSwanらの初期の研究では、両者に負の有意な相関がみられたが、同一コホートで母親-息子ペアーの対象例数を増加させた研究では、この相関はみられず、他の研究者によってもこれは確認されている (NICNAS (2015)、食品安全委員会 (2015))。また、母親の尿中MBP、MBzPと早産との関連性が指摘されたが、MBPとMBzPは早産や母親の性ホルモン濃度と関連性がないとの報告もある (NICNAS (2015)、食品安全委員会 (2015))。この他、母乳中のフタル酸モノエステルレベルと停留精巣との間に相関はみられなかったが、停留精巣を有する、又は有さない男児96人の血清中性ホルモンを測定した結果、MBPは性ホルモン結合グロブリン (SHBG)、LH/遊離テストステロン比 (ライディッヒ細胞機能指標) とは正の相関を、遊離テストステロンとは負の相関を示したとする報告、また有意な差ではないがMBzP濃度の増加と平行してインヒビンB (セルトリ細胞の機能指標) の増加傾向がみられたとする報告などがある (NICNAS (2015)、食品安全委員会 (2015))。以上、本物質のヒトでの発生影響は限定的かつ不確かである。 | ||
一方、実験動物では本物質が精巣毒性及び生殖障害を示す十分な証拠があり、特にF1の発生・発達期へのばく露で顕著に影響がみられている。BBPにより誘発される精巣毒性は精巣重量の減少と精巣及び付属生殖器官の萎縮、用量相関的な精子濃度の減少を特徴とし、精巣及び生殖能への影響は試験によっては他の一般毒性と同等か、それ以上の用量で観察されるが、全身毒性による二次的で非特異的な影響ではないと考えられている (NICNAS (2015))。また、BBP誘発性の発生毒性影響の報告も出生前、新生児期、及び生後発達のエンドポイントを含め十分な報告がある。それには胚吸収、着床後胚損失、又は胚/胎児死亡、胎児奇形、胎児重量及び出生時重量の減少が共通してみられている。BBPの生殖発生影響に関して、雌は雄よりも感受性が低く、雄では胎児テストステロンレベルの減少、雄出生児でのAGD減少及び乳頭遺残、思春期 (包皮分離) の遅延の報告があり、思春期以後にはテストステロンの減少、性分化障害、及び生殖器官異常の報告がある。これらの影響は顕著な母動物毒性 (主に体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓/腎臓重量増加) が生じない用量で観察されている (NICNAS (2015))。 以上、ヒトでの生殖影響は不確かであるが、実験動物での生殖発生影響は確実で特に母動物毒性のない用量でも雄出生児に顕著に認められることから、区分1Bとした。 | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 分類できない 本物質のマウスとラットへの単回経口投与試験で、区分2超の6,000〜9,000 mg/kgで、興奮と抑鬱状態が交互に生じ、四肢の麻痺、筋肉緊張、体重減少がみられたとの報告がある (EU-RAR (2008))。 また、ラットにおいて致死量またはそれに近い量 (明確な記載はないが、LD50が2,000〜20,000 mgと記載されていることから、その範囲内の用量と考えられる) の経口単回投与で、体重減少、無関心、白血球増加がみられ、病理組織学的検査で脾臓の炎症と、うっ血性脳症、ミエリン変性及びグリア細胞の増生を伴う中枢神経の変性が認められたとの報告 (CICAD 17 (1999)) がある。これらの動物実験の結果からは、本物質の影響は大量の本物質にばく露された場合にのみ観察される。したがって分類できないとした。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分2 (生殖器 (男性)) ヒトについては、本物質との関連性が明確な情報はない。 実験動物については、ラットを用いた強制経口投与による2世代生殖毒性試験において、F1世代の雄に区分2の範囲である100 mg/kg/dayで、精巣軟化、精巣上体の管腔内精子減少及び管腔内精細胞残屑がみられたとの報告がある (食品安全委員会 (2015))。 なお、ラットを用いた混餌による14日〜106週間の複数の反復投与毒性試験、イヌを用いた混餌投与による3ヵ月間反復投与毒性試験、ラットを用いた4週間及び13週間の吸入毒性試験が実施され、区分2の範囲外の用量で肝臓、膵臓、精巣等の病変が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、食品安全委員会 (2015))。 したがって、区分2 (生殖器 (男性)) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata) の96時間EC50 = 0.11 mg/L (CEPA (2000)) であることから、区分1とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 急速分解性があり (14日間でのBOD分解度=80.9%、GC分解度=97.9% (通産省公報 (1975))、甲殻類 (ミシッドシュリンプ) の28日間NOEC (致死、繁殖、成長) = 0.075 mg/L (CICAD 17 (1999)、EU-RAR (2007)、NITE初期リスク評価書 (2007)) であることから、区分2とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3082 | |||
国連品名 | ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, LIQUID, N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 9 | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | L | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の以下の規則に従う。 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空規制情報 | 航空法の以下の規則に従う。 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
陸上規制情報 | 消防法の以下の規則に従う。 第4類引火性液体、第四石油類(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
特別な安全上の対策 | 消防法の規定によるイエローカード保持の対象物。 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 171 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第四石油類(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(X類物質)(施行令別表第1) 個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
外国為替及び外国貿易管理法 | 輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」 輸出貿易管理令別表第2(輸出の承認) 輸出貿易管理令別表第1の16の項 | |||
特定廃棄物輸出入規制法 (バーゼル法) | 廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの(平10三省告示1号) |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |