1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | 無水フタル酸 (Phthalic anhydride) | ||
製品コード | H26-B-131 (24B6521) | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | フタル酸系可塑剤原料、 塗料、ポリエステル樹脂、塗料中間体(フタルイミド、フタロニトリル、o-ベンゾイル、安息香酸など)、テレフタル酸、医薬品、香料 |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 | H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用 | ||
GHS改訂4版を使用 | |||
物理化学的危険性 | 分類できない | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | |
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分2A | ||
呼吸器感作性 | 区分1A | ||
皮膚感作性 | 区分1 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 区分1 (呼吸器) | ||
分類実施日 | 水生環境有害性 (急性):H18.3.31、H24年度の分類は実施中のため、H18年度の分類を記載(GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用)。 水生環境有害性 (長期間):H18.3.31、H24年度の分類は実施中のため、H18年度の分類を記載(GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用)。 | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分3 |
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
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絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと有害 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 強い眼刺激 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 水生生物に有害 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。−【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用しても良い | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 無水フタル酸 (phthalic anhydride) | ||
別名 | フタル酸無水物 、1,2-ベンゼンジカルボン酸無水物、イソベンゾフラン-1,3-ジオン、1,3-イソベンゾフランジオン、Phthalic acid anhydride、1,2-Benzenedicarboxylic acid anhydride、Isobenzofuran-1,3-dione、1,3-Isobenzofurandione | ||
濃度又は濃度範囲 | ≤ 99.8 % | ||
分子式 (分子量) | C8H4O3(148.12) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 85-44-9 | ||
官報公示整理番号(化審法) | (3)-1344 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | (3)-1344 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 不純物:無水マレイン酸 ? 0.05 %、安息香酸 ? 0.1 %、フタル酸 ? 0.1 % |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いとき:医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石けんで洗うこと。 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 皮膚刺激又は発しんが生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 汚染された衣服を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 吐かせない。 コップ1、2杯の水を飲ませる。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入 : 咳、咽頭痛、喘鳴。気道を重度に刺激する。 反復または長期の吸入により、喘息を引き起こすことがある。喘息の症状は2〜3 時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。 皮膚 :発赤、痛み。皮膚を重度に刺激する。 反復または長期の接触により、皮膚感作を引き起こすことがある。 眼 :発赤、痛み。眼を重度に刺激する。 経口摂取 :腹痛。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 喘息の症状は2〜3 時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。 |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
特有の危険有害性 | 燃焼ガスには、一酸化炭素などの有毒ガスが含まれるので、消火作業の際には、煙の吸入を避ける。 可燃性である。 空気中で粒子が細かく拡散して爆発性の混合気体を生じる。 | ||
特有の消火方法 | 消火作業は、風上から行う。 周辺火災の場合に移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。 火災発生場所の周辺に関係者以外の立入りを禁止する。 関係者以外は安全な場所に退去させる。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業では、適切な保護具(手袋、眼鏡、マスク等)を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 作業には、必ず保護具(手袋・眼鏡・マスクなど)を着用する。 多量の場合、人を安全な場所に退避させる。 必要に応じた換気を確保する。 | ||
環境に対する注意事項 | 漏出物を河川や下水に直接流してはいけない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 回収・中和:情報なし 封じ込め及び浄化方法・機材:漏出したものをすくいとり、または掃き集めて紙袋またはドラムなどに回収する。 こぼれた物質をふた付きの容器内に掃き入れる。湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。 粉末の場合は、電気掃除機(真空クリーナー)、ほうきなどを使用して回収する。 粉塵が飛散しないようにして取り除く。 微粉末の場合は、機器類を防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。 少量の場合、吸着剤(土・砂など)で吸着させ取り除いた後、残りを大量の水で洗い流す。 多量の場合、人を安全な場所に退避させる。 盛り土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いてからドラムなどに回収する。 残留分を注意深く集め、安全な場所に移す。 必要があれば消石灰、ソーダ灰などで中和する。 付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。 床に漏れた状態で放置すると、滑り易くスリップ事故の原因となるため注意する。 漏出物の上をむやみに歩かない。 火花を発生しない安全な用具を使用する。 回収物の収納容器は、内容物の処分を行うまで密封しておく。 二次災害の防止策:情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 裸火禁止。 粉塵の堆積を防ぐ。密閉系、粉塵防爆型電気および照明設備。 粉塵の拡散を防ぐ! あらゆる接触を避ける! 粉じん、煙、ガス、ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 取扱後は手などをよく洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋、保護衣。 保護眼鏡、保護面を着用すること。 安全ゴーグル、または呼吸用保護具と眼用保護具の併用。 局所排気または呼吸用保護具。 とくに粉末の場合、拡散すると浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある。 この物質により喘息の症状を示した者は、以後この物質に接触しないこと。 | ||
接触回避 | 強酸化剤、強酸、強塩基、還元剤、熱水 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 技術的対策:情報なし 保管条件:換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 涼しいところに置くこと。 アルカリ性物質と一緒に保管しない。 可燃性物質、還元性物質、強酸化剤、強塩基、強酸、食品や飼料から離しておく。 乾燥。 | ||
安全な容器包装材料 | 情報なし |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2014年度版) | 最大許容濃度 0.33ppm | ||
ACGIH(2014年版) | TLV-TWA | ||
設備対策 | 蒸気、ヒューム、ミストまたは粉塵が発生する場合は、局所排気装置を設置する。 取扱い場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設置する。 機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 呼吸用保護具を着用すること。 個人用保護具:自給式呼吸器付化学保護衣。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型) | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 固体(結晶); 混蝕危険Hb (第2版, 1997) | ||
色 | 白色: Merck (14th, 2006) | ||
臭い | 特徴的な、鼻をつく臭気: HSDB (2009) | ||
臭いのしきい(閾)値 | 0.32-0.72 mg/m3: HSDB (2009) | ||
pH | 2 (6 g/L, 20℃): MSDS (Sigma-Aldrich) (2012) | ||
融点・凝固点 | 130.8℃: HSDB(2014) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 295℃: HSDB(2014) | ||
引火点 | 152℃(C.C.): HSDB(2014) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし。 | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし。 | ||
燃焼又は爆発範囲 | 1.7 - 10.4 Vol %: ICSC(2004) | ||
蒸気圧 | 0.000517 mmHg(25℃): HSDB (2009) | ||
蒸気密度 | 5.1: Sax (11th, 2004) | ||
比重(相対密度) | 1.53g/cm3(20℃): HSDB(2006) | ||
溶解度 | 水:1.64 g/100 g (20℃): Ullmanns(E) (6th, 2003) エタノール、ベンゼン: 可溶: Ullmanns(E) (6th, 2003) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logKow=1.60: ICSC(J) (2003) | ||
自然発火温度 | 570℃: HSDB(2014) | ||
分解温度 | データなし。 | ||
粘度(粘性率) | 1.125mPa・s(155℃): SIDS (Access on Apr. 2012) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 熱水と接触すると分解し、フタル酸を生じる。 強酸化剤、強酸、強塩基、還元剤と反応する。 酸化銅や亜硝酸ナトリウムと熱すると激しく反応し、爆発の危険をもたらす。 水の存在下で、多くの金属を侵す。 ステンレス鋼とアルミニウムは耐久性がある。湿気が遮断されているときのみ、炭素鋼は耐久性がある。 | ||
化学的安定性 | 通常の使用条件下では安定。 高温の溶融無水フタル酸は発火し易い。 粉末や顆粒状で空気と混合すると、粉塵爆発の可能性がある。 | ||
危険有害反応可能性 | 強酸化剤と反応する。 湿気、水の存在により腐食性のフタル酸に変化し、多くの金属を侵す。 | ||
避けるべき条件 | 混触危険物質との接触。 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、強酸、強塩基、還元剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 燃焼により、一酸化炭素、二酸化炭素などを生成する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値として、800-1,600 mg/kg (ACGIH (7th, 2014)、NTP TR159 (1979))、800-4,020 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008))、1,530 mg/kg (CICAD 75 (2009)、DFGOT vol. 25 (2009)、SIDS (2006)、環境省リスク評価第2巻:暫定的有害性評価シート (2003))、2,000 mg/kg (DFGOT vol. 25 (2009))、4,020 mg/kg (DFGOT vol. 25 (2009)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、NTP TR159 (1979)) の9件の報告がある。最も多くのデータ (6件) が該当する区分4とした。 | ||
経皮 | ウサギのLD50値として、> 10,000 mg/kgとの報告 (DFGOT vol. 25 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)) に基づき、区分外とした。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値 (1時間) として、> 0.21 mg/L (4時間換算値:> 0.0525 mg/L) との報告 (DFGOT vol. 25 (2009)、NITE初期リスク評価書 (2008)、SIDS (2006)、環境省リスク評価第2巻:暫定的有害性評価シート (2003)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)) があるが、このデータのみでは区分を特定できない。なお、SIDS (2006) では、このデータは古く、動物数が少ないため、信頼性が低いもの (Relaiability 4) としている。LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.017 mg/L) より高いため、粉じんの基準値を適用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | テストガイドライン (OECD TG 404) に準拠した試験が2報あり、1報目は平均皮膚刺激指数1.21で軽度の刺激性 (SIDS (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008))、2報目では刺激反応はみられなかったことから刺激性なし(SIDS (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008)) と報告されている。また、ウサギの皮膚に本物質500 mgを水で湿らせて24時間半閉塞適用した結果、皮膚刺激指数 (PDII) が1.5で軽度の刺激性 (SIDS (2006)) と報告されていることに基づき、JIS分類基準の区分外 (国連分類基準の区分3に相当) とした。なお、ヒトの皮膚に対して強い刺激性があるとの記載があるが (NITE初期リスク評価書 (2008))、SIDS (2006) ではヒトの職業ばく露における影響を、原体中に含まれる不純物が原因のように思われる (SIDS (2006)) と記載している。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギの結膜嚢に未希釈の試験物質50 mgを適用した試験において、角膜、虹彩、結膜に刺激性がみられたが、7日間の観察期間内に結膜発赤を除き全て回復し中等度の刺激性との報告がある (SIDS (2006)。また、ウサギの眼に未希釈の試験物質100 mgを適用した試験では、平均スコア (AOIに相当) は24時間において59.2で刺激性ありとの評価 (SIDS (2006)) が得られている。以上の刺激性スコア及び中等度の刺激性との記載に基づき区分2Aとした。なお、本物質はEU DSD分類において「Xi:R42」、EU CLP分類において「Eye Dam 1 H318」に分類されている。 | ||
呼吸器感作性 | 本物質は、日本産業衛生学会で気道感作性物質の第1群に、ACGIH (7th, 2013) ではRSEN (Respiratory Sensitizer) に分類されている (産業衛生学会許容濃度の勧告 (2014)、ACGIH (7th, 2013))。また、喘息とアレルギー性鼻炎の最初の事例が1939年に報告されて以来、呼吸器感作物質として知られている (SIDS (2006)) との記載がある。本物質を扱う作業者において喘息の報告が複数あり、118人の疫学調査で、13人 (11%) に慢性気 管支 炎、21人 (18%) に喘息の報告や (SIDS (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008)、DFGOT vol. 11 (1998))、アルキド樹脂製造工場で働く作業者35人の調査において、5人に喘息、6人に慢性気管支炎がみられた (SIDS (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008)) との報告がある。 以上の結果から、区分1Aと判断した。 | ||
皮膚感作性 | モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG 406) において、陽性率は90%であった (SIDS (2006)) との報告がある。また、モルモットを用いたビューラー試験やマウスを用いた局所リンパ節試験(LLNA試験) など多くの試験で陽性結果が得られたことから感作性ありと判断されている (SIDS (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008))。ヒトにおいても、本物質を取り扱う作業者191人にパッチテストを行った結果、14%の作業者にアレルギー反応がみられたとの報告がある (SIDS (2006))。また、本物質は、DFGOT vol. 25 (2009) でSEN、ACGIH (7th, 2013) ではDSEN に分類されている (DFGOT vol. 25 (2009)、ACGIH (7th, 2013))。以上の結果から区分1と判断した。 | ||
生殖細胞変異原性 | データ不足のため分類できない。In vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験で陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性である (NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2014)、SIDS (2006)、NTP DB (Access on October 2014)、CICAD 75 (2009)、DFGOT vol. 25 (2009))。 | ||
発がん性 | ACGIHでA4に分類されている (ACGIH (7th, 2014)) ことから、「分類できない」とした。 | ||
生殖毒性 | データ不足のため分類できない。 旧分類において、「環境省リスク評価第2巻 (2003) の記述から、母動物での一般毒性に関する記述はないが、精子形成、睾丸及び副睾丸への影響がみられていることから区分2とした。」と記載されている。根拠データは、雄ラットに45日間吸入ばく露した試験であるが、SIDS (2006) では報告が不十分であり評価できないとしている。また、雄の生殖器についてのみ調べていることから分類に用いなかった。 なお、本物質ではないが、フタル酸を妊娠ラットに混餌投与した催奇形性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる極めて高い用量 (3,000 mg/kg/day) において胎児にわずかな影響 (尾椎の骨化遅延) が報告されている (SIDS (2006))。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 本物質は、気道刺激性を示す(環境省リスク評価第2巻:暫定的有害性評価シート (2003)、ACGIH (7th, 2014)、CICAD 75 (2009)、DFGOT vol. 25 (2009)、SIDS (2006))。ヒトにおいては、高濃度のガス状の吸入ばく露で、呼吸器障害、粉塵等の吸入ばく露で、頭痛、めまい、吐き気、心窩部灼熱感、窒息感が報告されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (1998)、SIDS (2006))。 実験動物では、経口投与500 mg/kgで、鎮静、ふらつきの報告がある (SIDS (2006))。 以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | アルキド樹脂又はポリエステル樹脂の製造工場で本物質に反復吸入ばく露を受けた作業者118名のうち、28名に鼻炎及び上気道の炎症、13名に慢性気管支炎、21名に喘息がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 75 (2009)、ACGIH (7th, 2014)) との記述、並びにアルキド樹脂製造工場で本物質に反復吸入ばく露された作業者35名中16名に結膜炎、14名に鼻炎、5名に喘息、6名に慢性気管支炎がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、CICAD 75 (2009)) との記述がある。 実験動物ではラット、又はマウスに7週間又は2年混餌投与した試験では、1,000 mg/kg/dayを超える用量でも明確な標的臓器毒性はみられなかった (SIDS (2006)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2014))。一方、吸入経路では信頼性に制限はあるが、モルモットに反復吸入ばく露 (8.5 mg/m3: 3時間/日、4日間連続ばく露後10日間ばく露を中止するサイクルで8ヶ月間ばく露) した試験において、眼 (結膜炎) 及び呼吸器 (気道粘膜の充血、肺の炎症) に影響がみられた (ACGIH (7th, 2014)、NITE初期リスク評価書 (2008))。以上より、区分1 (呼吸器) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 藻類(セレナストラム)の72時間ErC50 = 68mg/L (環境省生態影響試験 (2003)) から、区分3とした。 水生生物に有害 (H18.3.31、H24年度の分類は実施中) | ||
水生環境有害性(長期間) | 急速分解性があり(BODによる分解度:85.2%) ( 日本化学物質安全・情報センター「化審法既存化学物質安全性点検データ集」)かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Pow = 1.6) (PHYSPROP DB (2005)) ことから、区分外とした。(H18.3.31、H24年度の分類は実施中) | ||
オゾン層への有害性 | 分類実施中 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託すること。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2214 | |||
国連品名 | PHTHALIC ANHYDRIDE with more than 0.05% of maleic anhydride | |||
国連危険有害性クラス | 8 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | L | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法の規制に従う。 | |||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 156 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法 | 第1種指定化学物質 | |||
船舶安全法 | 腐食性物質(無水マレイン酸の含有率が0.05%質量を超えるもの) | |||
航空法 | 腐食性物質(無水マレイン酸の含有率が0.05%質量を超えるもの) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
<モデルSDSを利用するときの注意事項> 本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。 |