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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
テトラブロモビスフェノールA
作成日 2008年10月06日
改訂日 2016年03月31日
改訂日 2020年03月13日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称テトラブロモビスフェノールA (Tetrabromobisphenol A)
製品コードR01-B-002
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限難燃剤 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (吸入: 粉塵、ミスト)区分4
発がん性区分1B
生殖毒性区分1B、授乳影響
分類実施日
(環境有害性)
H27年度、政府向けGHS分類ガイダンス (平成25年度改訂版 (Ver.1.1)) (R1年度、分類実施中)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分2
GHSラベル要素
絵表示感嘆符健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報吸入すると有害
発がんのおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
授乳中の子に害を及ぼすおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師に連絡すること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名テトラブロモビスフェノールA
別名2,2'-ビス(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジブロモフェニル)プロパン
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C15H12Br4O2 (543.87)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号79-94-7
官報公示整理番号
(化審法)
4-205
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。気分が悪いときは医師に連絡すること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤噴霧水、耐アルコール性泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性火災の場合、有害物質 (臭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素) が放出される可能性がある。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護自給式呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
密封し、換気のよい冷暗所に保管する。
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2019年度版)吸入性粉じん: 2 mg/m3*
総粉じん: 8 mg/m3*
(第3種粉じん: その他の無機及び有機粉じん)
* 多量の粉じんの吸入によるじん肺を予防する観点から、この値以下とすることが望ましいとされる濃度。
ACGIH (2019年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具緊急時には呼吸用保護具を着用する。
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡を着用する。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色
臭いデータなし
融点/凝固点179℃ (HSDB (Access on November 2019))
沸点、初留点及び沸騰範囲316℃ (HSDB (Access on November 2019))
可燃性不燃性 (GESTIS (Access on May 2019))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度200〜300℃ (EU-RAR (2006))
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水: 1.26 mg/L (25℃, pH7) (BUA239 (2002))
アセトン、メタノールに易溶 (厚労省既存化学物質毒性データベース (2015))
n-オクタノール/水分配係数log Kow (25℃) = 4.75 (pH 7.53) (HSDB (Access on May 2019))
蒸気圧4.68×10-8 mmHg (25℃) (HSDB (Access on November 2019))
密度及び/又は相対密度2.2 kg/L (4℃) (HSDB (Access on May 2019))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性加熱により分解し、臭素の有毒な蒸気を放出する。
避けるべき条件情報なし
混触危険物質情報なし
危険有害な分解生成物臭素、臭化水素

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(3) より、ガイダンスの区分外 (国連分類基準の区分5) 又は区分外に相当し、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on May 2015)、NTP TR587 (2014)、EHC 172 (1995))
(2) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (環境省リスク評価第1巻 (2002)、EHC 172 (1995))
(3) ラットのLD50: > 50,000 mg/kg (EU-RAR (2006))
経皮【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 1,000 mg/kg (NTP TR587 (2014))
(2) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (環境省リスク評価第1巻 (2002)、EHC 172 (1995))
(3) ウサギのLD50: > 10,000 mg/kg (EU-RAR (2006))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1) より、区分4とした。なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.000001 mg/L) よりも高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50値 (2時間): 2.5 mg/L (4時間換算値: 1.25 mg/L) (NICNAS PEC (2001))

【参考データ等】
(2) ラットにエアロゾルを0.5 mg/Lで8時間 (4時間換算値: 1.0 mg/L) 吸入させた結果、無影響であった (EU-RAR (2006)、EHC 172 (1995))
(3) ラットにエアロゾルを1.3 mg/Lで1時間 (4時間換算値: 0.325 mg/L) 吸入させた結果、無影響であった (EU-RAR (2006))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた別の皮膚刺激性試験の報告が複数あり、本物質500 mgを適用した結果、刺激性はみられなかったと報告されている (EHC 172 (1995)、EU-RAR (2006)、BUA 239 (2002))。
(2) EU-RAR (2006) では、本物質は皮膚刺激性はないと結論している (EU-RAR (2006))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験報告が複数あり (EHC 172 (1995)、EU-RAR (2006))、本物質の適用により刺激性はみられなかった。
(2) 軽度の結膜の発赤、結膜炎、わずかな流涙などがみられたが全て7日以内に回復性を示したとの報告がある (EU-RAR (2006)、EHC 172 (1995))。
(3) EU-RAR (2006) では、本物質は眼刺激性はないと結論している (EU-RAR (2006))。

【参考データ等】
(4) ウサギを用いた眼刺激性試験において、適用24時間後に軽度〜中等度の結膜発赤がみられたが、72時間後までに回復したとの報告がある (BUA 239 (2002))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)、(2) の報告はあるが試験の詳細が不明であるため分類に用いるには不十分なデータと判断し、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) モルモットを用いた感作性試験において、本物質による感作性はみられなかったとの報告がある (EHC 172 (1995)、EU-RAR (2006))。
(2) 54人のボランティアに本物質3〜5 mgを上腕部に計10回閉塞貼付後、10〜14日後に別部位に72時間再貼付し観察した結果、1例でパッチ除去直後に軽度の発赤がみられたが。テープの刺激と判断し、本物質の感作性は陰性とした。 (EU-RAR (2006))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2) より、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。


【根拠データ】
(1) in vivoでは強制経口投与によるマウス末梢血赤血球の小核試験で陰性との報告がある (NTP TR587 (2014))。
(2) in vitroでは細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験、不定期DNA合成試験でいずれも陰性の結果であった(NTP TR587 (2014)、IARC 115 (2018)、EHC 172 (1995)、EU-RAR (2006)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on May 2019)、EFSA (2011))。
発がん性【分類根拠】
(1) の既存分類結果から、ガイダンスに従い区分1Bとした。なお、新たな情報源の利用により、旧分類から区分を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCがグループ2A (IARC 115 (2018)) に分類している。

【参考データ等】
(2) ラットを用いた2年間強制経口投与による発がん性試験 (250、500、1,000 mg/kg) において、500 mg/kg以上で、子宮における腺がん、腺腫又は悪性ミューラー管混合腫瘍の単独又は合計の発生頻度の増加、精巣間細胞腺腫の発生頻度増加が認められた。これらのうち、雌ラットの子宮の上皮性腫瘍 (主に子宮の腺がん) に対しては発がん性の明らかな証拠 (clear evidence) があるとしたが、雄ラットの精巣間細胞は曖昧な証拠 (equivocal evidence) と結論された (NTP TR587 (2014))。
(3) マウスを用いた2年間強制経口投与による発がん性試験 (250、500、1,000 mg/kg) において、250 mg/kgの雄に肝芽腫、肝細胞がんの単独又は合計の発生頻度の増加、250及び500 mg/kg投与の雄に盲腸又は結腸の腺腫又はがんの発生頻度増加、及び血管肉腫 (全臓器) の発生頻度増加が認められた。これらのうち、雄マウスの肝芽腫に対しては発がん性のある程度の証拠 (some evidence) があるとした一方、雌マウスには発がん性の証拠なしと結論された (NTP TR587 (2014))。
(4) 発がん性メカニズムに関する複数の試験により、本物質は発がん物質の重要な特徴 (核内受容体への作用、内分泌かく乱作用、酸化ストレス作用及び免疫抑制作用) を有する強固な証拠 (strong evidence) があり、これらはヒトにおいて有効であり得るとし、IARCワーキンググループは本物質を2Aに分類した (IARC 115 (2018))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)、(2) から児動物の神経発生・発達への有害性影響を示唆する知見が報告されていることから、区分1Bとした。参考データに示した通り、多くの標準的な生殖毒性試験において生殖発生影響は認められなかったが、(1)、(2) のごとく、特殊な実験条件下でのみ検出可能な次世代の神経発生・発達影響を重視し、本区分とした。また、(1)、(2) は妊娠期・授乳期への投与による所見であること、(3) より、ヒト母乳から本物質が検出されていることを踏まえ、授乳影響を追加した。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた1世代生殖毒性試験において、親動物に対する影響として血清T4レベルの低値がみられた。児動物では生後50〜110日齢で実施された聴覚脳幹誘発電位の検査において難聴を示す所見がみられたと報告されている (Lilienthal, H. et al., Toxicology, 246 (1) (2008); Van der Ven, L.T. et al., Toxicology, 245 (1-2) (2008))。
(2) 妊娠ラットを用いて妊娠10日から分娩後20日まで混餌投与した試験において、生後20日の新生児の海馬歯状回の顆粒細胞下帯でアポトーシス小体の増加がみられ、神経発生障害を示唆する所見とされた (Saegusa, Y. et al., Arch. Toxicol., 86 (9) (2012))。
(3) ドイツ及びノルウェーでの疫学研究で、母乳サンプルの分析の結果、母乳脂質成分から本物質が検出されている (EU-RAR (2006))。

【参考データ】
(4) ラットを用いた強制経口投与による2世代生殖毒性試験において、親動物に対する影響として血清T4レベルの低値、体重増加抑制がみられたが、生殖能、児動物に対する影響はみられていない (EU-RAR (2006))。
(5) ラットを用いた2世代生殖毒性試験において、親動物に対する影響として血清T4レベルの低下がみられたものの、親動物の生殖能に影響はみられず、児動物への影響として画像解析検査の結果、F2児動物に頭頂骨皮質の厚さのわずかな減少がみられたが、病理組織学的変化を伴わず、生物学的意義は不明と報告されている (Cope, R. B. et al., Toxicology, 329 (2015))。
(6) 妊娠ラットを用いて妊娠0〜19日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物、胎児共に影響がみられていない (EU-RAR (2006)、環境省リスク評価第1巻 (2002))。
(7) 雌ラットの妊娠7〜生後19日に経口投与した神経発達毒性試験 (OECD TG 426) において、母動物に対する影響はみられず、児動物において順化能、学習・記憶能のわずかな低下が観察されたが、被験物質投与による影響かどうか結論できなかったと記述されている (EU-RAR (2006))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
本物質の急性影響に関するヒトでの報告はない。実験動物では、経口及び経皮経路では区分に該当しない。しかしながら、吸入経路では区分1上限の濃度で毒性影響がみられなかったとの報告があるものの、区分2上限での影響が不明であるため分類できない。したがって分類できないとした。

【参考データ等】
(1) ラットを用いた3件の単回経口投与試験で、2,000 mg/kg (区分2上限) 又は5,000 mg/kg (区分2超) でも毒性症状はみられず、剖検でも投与関連病変は認められなかったとの報告がある (EU-RAR (2006)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on May 2019)、EHC 172 (1995))。

(2) ウサギを用いた3件の単回経皮投与試験で、2,000 mg.kg (区分2上限) 又は3,160 mg/kg (区分2超) でも毒性症状はみられず、剖検でも投与関連病変は認められなかったとの報告がある (EU-RAR (2006)、EHC 172 (1995))。

(3) ラット、マウス及びモルモットに本物質のエアロゾル0.5 mg/Lを8時間単回吸入ばく露した試験 (4時間換算値: 1 mg/L、区分1上限) で、毒性症状はみられず、剖検でも投与関連病変は認められなかったとの報告がある (EU-RAR (2006)、EHC 172 (1995))。また、ラットに本物質のエアロゾル1.3 mg/Lを1時間単回吸入ばく露した試験 (4時間換算値: 0.325 mg/L、区分1) で、死亡例はなく、毒性症状も認められなかったとの報告がある (EU-RAR (2006))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)〜(5) より、経口経路では区分に該当しない。他経路についてはデータがなく分類できない。

【根拠データ】
(1) マウスを用いた14週間の強制経口投与毒性試験において、500 mg/kg/day (90日換算: 389 mg/kg/day、区分2超) 以上で腎臓の尿細管細胞質変性がみられた (NTP TR587 (2014))。
(2) ラットを用いた14週間の強制経口投与毒性試験において、500 mg/kg/day (90日換算: 389 mg/kg/day、区分2超) 以上で肝臓重量増加、貧血がみられた (NTP TR587 (2014))。
(3) マウスを用いた3ヵ月間の経口混餌投与毒性試験において、15,600 ppm (2,200 mg/kg/day、区分2超) 以上で体重低下、貧血、中性脂肪低下、総タンパク低下、脾臓の重量増加・出血が報告されている (環境省リスク評価第1巻 (2002)、EHC 172 (1995)、NTP TR587 (2014))。
(4) マウスを用いた2年間の強制経口投与毒性試験において、250 mg/kg/day (区分2超) 以上で腎臓の尿細管細胞質変性、前胃の潰瘍・単核細胞浸潤・炎症・上皮過形成がみられた (NTP TR587 (2014))。
(5) ラットを用いた2年間の強制経口投与毒性試験の3ヵ月の検査において1,000 mg/kg/day (区分2超) で肝臓重量増加がみられた (NTP TR587 (2014))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)魚類 (ニジマス) の96時間LC50 = 0.4 mg/L (EHC172 (1995)、NICNAS (2001)) であることから、区分1とした。
水生環境有害性 (長期間)急速分解性がなく (14日でのBOD分解度 = 0%、GC分解度 = 0.7% (通産省公報 (1997))、魚類 (ファットヘッドミノー) の35日間NOEC (surviving fish) = 0.16 mg/L (NICNAS (2001)) から、区分2とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号3077
国連品名ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S.
国連危険有害性クラス9
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法該当しない
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法該当しない
化学物質審査規制法旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項)【旧番号10 2,2’,6,6’−テトラブロモ−4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフェノール(平成23年4月1日をもって廃止)】 
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用