| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | トリ−2−トリル=ホスファート(別名リン酸トリo-クレジル) | ||
| 化学品の英語名称 | tri-2-Tolyl phosphate | ||
| 製品コード | R06-B-059-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 可塑剤,難燃剤,不燃性作動液,潤滑油添加剤(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分4 | |
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (神経系) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系)、区分2 (生殖器 (男性)) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版) | ||
| 環境に対する有害性 | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有害 神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による生殖器(男性)の障害のおそれ | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | トリ−2−トリル=ホスファート | ||
| 慣用名又は別名 | リン酸トリo-クレジル リン酸トリ(オルト−トリル) リン酸トリオルソクレジール o−トリクレジルフォスフェート o−トリクレジルホスフェート | ||
| 英語名 | tri-2-Tolyl phosphate | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C21H21O4P (368) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 78-30-8 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 3-2522, 3-2613, 3-3363 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。 呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。医師に連絡すること。 気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。 ポリエチレングリコール 400 と水を交互に使用してすすぐ。最後に、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 眼に入った場合 | まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間、患部を洗眼する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 直ちに医師に連絡すること。 何も飲ませない。 自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 急性影響: 中枢神経系および末梢神経系に影響を与えることがある。 許容濃度を超えてばく露すると、神経系の変性を引き起こすことがある。 これらの影響は、遅れて現われることがある。 医学的な経過観察が必要である。 慢性的な影響: 神経系に影響を与えることがある。 以上、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、乾燥消火剤、二酸化炭素、アルコール耐性泡消火剤、二酸化炭素。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(リン酸化物)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 周囲の容器を水スプレーで冷却する。 可能であれば、容器を危険区域から移動する。 着火(発火)源を遮断する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 影響を受ける周囲に警告する。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼ること。 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | この物質を環境中に放出してはならない。 こぼれた物質を密閉容器内に収集する。 残留液を、砂または不活性吸収剤に吸収させる。 地域規則に従って保管・処理する。 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 火花を発生しない安全な用具を使用する。 | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 容器を開けたままにしないこと。 補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。 しぶきを避ける。 機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 ガス。 水と接触した可燃性ガスを放出する物質。 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 密閉すること。 涼しい場所に保管すること。 乾燥した場所に保管すること。 排水溝のない場で貯蔵する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 消防法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | 0.03 mg/m3 | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2023年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | TLV-TWA: 0.02 mg/m3 (Inhalable fraction, and vapor)(Skin) | |||
| 設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 作業場は換気をすること。 床に排水溝を設置しない。 作業場での洗濯設備を設置する。 以上、GESTIS | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。 次の材料は保護手袋に適している(浸透時間>= 8時間): ポリクロロプレン - CR (0,5 mm)、ニトリルゴム/ニトリルラテックス - NBR (0,35 mm)、ブチルゴム - ブチル (0,5 mm)、フッ素樹脂ゴム - FKM (0,4 mm)、ポリ塩化ビニル - PVC (0,5 mm) 厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 液体 | ||
| 色 | 無色〜淡黄色 | ||
| 臭い | 無臭 | ||
| 融点/凝固点 | 11 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | 410 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 可燃性 | 可燃性 | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | 225 ℃ (Closed cup) (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 自然発火点 | 385 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 分解温度 | 410 ℃ | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:不溶 (NFPA (14th, 2010)) 四塩化炭素、エタノール、エーテル、トルエン、酢酸:可溶 (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | logPow:6.3 (ICSC (2006)) | ||
| 蒸気圧 | 0.00000196 mmHg (25℃) (HSDB in PubChem (2024)) 2.2 mbar (25℃) (ホンメル(1991)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.1955 g/cm3 (20℃) (HSDB in PubChem (2024)) 1.2 (水=1) (相対密度) (NFPA(2010)) | ||
| 相対ガス密度 | 12.7 (空気=1) (NFPA (2010)) | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 物質は可燃性である。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 加熱により分解する。 可燃性。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 以上、ICSC参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 火気、加熱、高温、静電気、火花、爆発性混合気の形成 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災の場合、有害物質が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より区分4とした。なお、新たな知見も加えて検討した結果、分類結果を変更した(2024年度)。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1,160 mg/kg(EHC 110 (1990)、厚労省リスク評価書 (2021)、AICIS IMAP (2018)、Patty 6th. (2012)、HSDB in PubChem (Accessed July 2024)、 GESTIS (Accessed July 2024)) (2)ラットのLD50:8,400 mg/kg(EHC 110 (1990)、AICIS IMAP (2018)、HSDB in PubChem (Accessed July 2024)) (3)ラットのLD50:1,600〜8,400 mg/kg(厚労省リスク評価書 (2021)、ACGIH (2016)) (4)マウスのLD50:900〜1,220 mg/kg(厚労省リスク評価書 (2021)) | |||
| 経皮 | 【分類根拠】 (1)より区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:> 3,700 mg/kg(厚労省リスク評価書 (2021)、Patty 6th. (2012)、 GESTIS (Accessed July 2024)) | |||
| 吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 | |||
| 吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、情報源のデータを精査し、分類結果を変更した(2024年度)。 【参考データ等】 (1)本物質は無傷皮膚を介した吸収は乏しく、ラットの皮膚には刺激性影響を示さなかったとの報告がある(Patty 6th. (2012))。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)本物質が直接ヒトの眼に接触しても、眼に対し一次刺激作用はなく、縮瞳や神経損傷も生じなかったとの記述がある(GESTIS (Accessed July 2024))。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)本物質はヒトで皮膚感作性を生じることはほとんどない(ACGIH (2016)、GESTIS (Accessed July 2024))。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)本物質について、in vivoではラットを用いた経口投与(50 mg/kg/day、10日間)によるDNA付加体形成試験において、肝臓、腎臓、肺、心臓で陽性(脳、精巣で陰性)の報告がある(厚労省リスク評価書 (2021))。in vitro試験結果はない。 (2)リン酸トリクレジル(異性体混合物:CAS登録番号 1330-78-5)について、in vivoではラットに経口投与後の肝細胞を用いたUDS試験で陰性(MOE初期評価 (2005))、in vitroでは細菌を用いた復帰突然変異試験、チャイニーズハムスター卵巣 (CHO) 細胞を用いた染色体異常試験で陰性の結果がある(ACGIH (2016)、MOE初期評価 (2004)、NTP TR433 (1994))。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、情報源のデータを精査し、分類結果を見直した(2024年度)。 【参考データ等】 (1)リン酸トリクレジル(異性体混合物(CAS登録番号 1330-78-5):o-異性体約1%含有)について、ラット及びマウスを用いた2年間混餌投与(ラット:75〜300 ppm、追加群600 ppm(22週間投与後、普通飼料で維持)、マウス:60〜250 ppm)による発がん性試験では、投与に関連した腫瘍発生頻度の増加はみられなかった(ACGIH (2016)、MOE初期評価 (2005)、NTP TR433 (1994))。 (2)国内外の評価機関による発がん性分類では、MAK (DFG)でカテゴリー3の分類されている(List of MAK and BAT values (2023))。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)より、発生影響はみられていないが、受胎能への影響に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。 【根拠データ】 (1)妊娠雌ラットを用いた経口投与(87.5〜350 mg/kg/day、妊娠6〜18日)による発生毒性試験では、母動物の28%が死亡した350 mg/kg/dayまで胎児に発生影響は認められなかった(厚労省リスク評価書 (2021)、ACGIH (2016))。 【参考データ等】 (2)雄ラットに本物質500 mg/kgを単回経口投与し、21日後まで経時的に精子検査及び精巣の病理組織学的検査を行った結果、7日後以降に精子の形態異常(無尾など)を認め、21日後には精子形成過程最終ステージの精子細胞に対する影響で精巣上体中の成熟過程にある精子の形態異常を含んでいた(厚労省リスク評価書 (2021)、ACGIH (2016))。 (3)雄ラットに本物質を10〜100 mg/kg/dayで63日間経口投与した結果、10 mg/kg/day以上で精巣の非特異的エステラーゼ(NSE)活性の低下、25 mg/kg/day以上で精子の形態異常、50 mg/kg/day以上で体重増加抑制とともに精巣相対重量の低下、精巣上体内の精子運動性と精子数の減少、及び精巣中の神経障害標的エステラーゼ(NTE)活性の低下が認められた(厚労省リスク評価書 (2021)、AICIS IMAP (2018)、ACGIH (2016))。 (4)(2)の用量設定試験において、雄ラットに本物質を100〜1,600 mg/kg/dayで14日間経口投与し、精巣・精巣上体への影響を調べた結果、200 mg/kg/day以上で用量に依存して死亡率の増加がみられた。100 mg/kg/dayでは10例全例が生存したが、精巣上体内精子数の減少及び精細管変性が全例に認められた(厚労省リスク評価書 (2021))。 (5)雄ラットに本物質を150 mg/kg/dayで3〜21日間経口投与し、精巣毒性の経時変化を調べた結果、10日間以上の投与群で精子生存率及び精巣上体尾部精子数の減少、21日間投与群で精巣重量と精巣中のNTE及びNSE活性の低下が認められた。また、21日間投与後に98日間回復期間を設けたが、依然として上記の影響が認められ精巣毒性影響の非可逆性が示唆された(厚労省リスク評価書 (2021))。 (6)厚労省リスク評価では、ラット雄に経口投与した試験において精巣相対重量の低下、精巣上体内の精子運動性と数の減少、精巣中のNTE及びNSE活性の低下に加え、精子の形態異常(無尾の精子など)や精細管変性など、精巣の病理学的変化も報告されていることから、生殖毒性ありと判断している(厚労省リスク評価書 (2021))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分1(神経系)とした。 【根拠データ】 (1)本物質による急性中毒は、摂取後、まず下痢などの胃腸症状がみられ、10〜20日の潜伏期を経て遅発性神経毒性による神経症状が現れ、初期症状は下肢の疼痛、異常感覚である。運動障害が主体となり、両下肢や四肢に麻痺が起こり、重症例では椎体路徴候が加わる。病理学的には、末梢神経の軸索変性、脊髄前角細胞、側索や後索に変性がみられる(厚労省リスク評価書 (2021)、ACGIH (2016))。 (2)本物質による中毒の徴候には、末梢知覚異常、運動失調、攣縮、弛緩性麻痺などがある(ACGIH (2016))。 (3)ラットとニワトリに本物質を単回経口投与後(ラット:330〜1000 mg/kg、ニワトリ:50〜500 mg/kg)、神経障害標的エステラーゼとアセチルコリンエステラーゼが阻害され、3週間後には遅発性ニューロパチーが認められた(同上)。 (4)ネコに本物質を単回経皮投与した試験では、250 mg/kg以上で遅発性神経症状として27日目に脚弱、36日目に運動失調が現れた。病理組織学的に脊髄及び末梢神経に軸索の変性が認められた(厚労省リスク評価書 (2021))。 【参考データ等】 (5)本物質について、労働基準法施行規則35条別表第一の二第四号の規定に基づく厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病として、末梢神経障害が記載されている (平成二十五年厚生労働省告示第三百十六号)。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分1(神経系)、区分2(生殖器 (男性))とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。 【根拠データ】 (1)本物質は、ヒトに末梢神経障害を引き起こす。症状の発現が 1 〜 3 週間遅れるという特徴がある。本物質は、ヒトに対する最も強力な有機リン誘発性遅延性神経障害 (OPIDN) 神経毒の 1 つと定義されている。初期症状には、筋肉のけいれんや痛み、筋力低下などがあり、症状は、四肢の部分的な麻痺 (軽症) または完全な麻痺 (重症) に進行する場合がある(AICIS IMAP (2018))。 (2)雄ラットに本物質を10〜100 mg/kg/dayで63日間経口投与した結果、10 mg/kg/day以上で精巣の非特異的エステラーゼ(NSE)活性の低下、25 mg/kg/day(90日換算:17.5 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で精子の形態異常、50 mg/kg/day(同35 mg/kg/day、区分2の範囲)以上で体重増加抑制とともに精巣相対重量の低下、精巣上体内の精子運動性と精子数の減少、及び精巣中の神経障害標的エステラーゼ(NTE)活性の低下が認められた(厚労省リスク評価書 (2021)、AICIS IMAP (2018)、ACGIH (2016))。 (3)雄ラットに本物質を150 mg/kg/dayで3〜21日間経口投与し、精巣毒性の経時変化を調べた結果、10日間以上の投与(90日換算:16.7 mg/kg/day、区分2の範囲)群で精子生存率及び精巣上体尾部精子数の減少、21日間投与(同35 mg/kg/day、区分2の範囲)群で精巣重量と精巣中のNTE及びNSE活性の低下が認められた。また、21日間投与後に98日間回復期間を設けたが、依然として上記の影響が認められ精巣毒性影響の非可逆性が示唆された(厚労省リスク評価書 (2021))。 【参考データ等】 (4)リン酸トリクレジルを含むcresyl phosphateの神経毒性は異性体特異的であることが実証されており、o-異性体のみがOPIDNを引き起こす (AICIS IMAP (2018))。 (5)本物質の製造に従事していた労働者で多発性神経炎が3例報告されており、気中濃度の測定で本物質は0.55〜2.5 mg/m3であったとされている(MOE初期評価 (2005))。 (6)本物質について、労働基準法施行規則35条別表第一の二第四号の規定に基づく厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病として、末梢神経障害が記載されている (平成二十五年厚生労働省告示第三百十六号)。 | |||
| 誤えん有害性* | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | データ不足のため分類できない。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | データ不足のため分類できない。 | ||
| 残留性・分解性 | 化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | - | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 2574 | |||
| 品名(国連輸送名) | リン酸トリクレジル(3質量%を超えるオルト異性体を含有するもの) | |||
| 国連分類 | 6.1 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | II | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 消防法の規定に従う | |||
| 特別な安全上の対策 | 消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 151 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【626の3 りん酸トリトリル】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【2266 りん酸トリトリル】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【626の3 りん酸トリトリル】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【2266 りん酸トリトリル】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) 濃度基準値設定物質(労働安全衛生規則第577条の2第2項)【りん酸トリトリル(りん酸トリ(オルト−トリル)に限る。)】 | |||
| 労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【りん酸トリオルトクレジル】 | |||
| 化学物質審査規制法 | 優先評価化学物質(法第2条第5項) 【219 りん酸トリトリル】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【513 りん酸トリトリル】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 消防法 | 第4類 引火性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 【6 第四石油類】 | |||
| 海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) 【(491) 燐酸トリトリル】 | |||
| 船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【248 りん酸トリトリル】 | |||
| 16.その他の情報 | ||||
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| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||