1.化学品等及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | ヨウ化カドミウム(II) (Cadmium iodide) | ||
製品コード | R01-A-010 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 写真製版用、医薬原料、試薬 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
生殖細胞変異原性 | 区分1B | ||
発がん性 | 区分1A | ||
生殖毒性 | 区分1A | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、消化管) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器、腎臓、骨) | ||
分類実施日 (環境有害性) | R1年度、分類実施中 | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 遺伝性疾患のおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、消化管の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、腎臓、骨の障害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | ヨウ化カドミウム(II) | ||
別名 | 情報なし | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | CdI2 (366.22) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 7790-80-9 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 1-200 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。直ちに医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 小火災: 粉末消化剤、二酸化炭素、散水 大火災: 粉末消化剤、二酸化炭素、耐アルコール泡消化剤、散水 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
特有の危険有害性 | 火災時に刺激性、腐食性、毒性のガスを発生するおそれがある。 加熱により、容器が爆発するおそれがある。 消火水や希釈水は腐食性、毒性があり、汚染を引き起こすおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ、容器を火災の場所から移動する。 容器内に水を入れてはいけない。 消火後も大量の水を用いて容器を冷却する。 | ||
消火を行う者の保護 | 自給式呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | すべての着火源を取り除く (現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。 適切な保護衣を着けていないときは、破損した容器や漏洩物に触れてはいけない。 危険でなければ、漏れを止める。 排水溝、下水溝、地下室や狭い場所への流入を防ぐ。 乾燥した土、砂や不燃性物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。 容器内に水を入れてはいけない。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること (毒劇物)。 密封し、乾燥した換気の良い場所で保管する。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
---|---|---|---|
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | |||
管理濃度 | 0.05 mg/m3 (Cdとして) | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会 (2019年度版) | 0.05 mg/m3 (Cdとして) | ||
ACGIH (2019年版) | TLV-TWA: 0.01 mg/m3 * TLV-TWA: 0.002 mg/m3 (Respirable fraction of the aerosol)* * Cadmium and compounds, as Cd | ||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 緊急の場合、呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 保護眼鏡を着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色 (ホンメル (1991)) | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 388℃ (ホンメル (1991)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 796℃ (ホンメル (1991)) | ||
可燃性 | 不燃性 (ホンメル (1991)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水:100 mLの水に86.2 g (25℃) (ホンメル (1991)) アセトン、エーテル、アルコールに可溶 (Merck (15th, 2013)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logPow < -0.64 (EST) (PHYSPROP Database (2019)) | ||
蒸気圧 | データなし | ||
密度及び/又は相対密度 | 5,670 g/cm3 (30℃) (GESTIS (Access on May 2019)) | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 加熱されると分解して、腐食性および/または毒性のヒュームを発生するおそれがある。 | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 刺激性、腐食性、毒性のガス |
11.有害性情報 | ||||
---|---|---|---|---|
急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50:222 mg/kg (GESTIS (Access on July 2019)) (2) マウスのLD50:139〜193 mg/kg (EHC 134 (1992)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) のデータはあるが、分類に十分なものではなく、分類できないとした 【参考データ等】 (1) 皮膚炎や湿疹を有する患者に対するパッチテストで2%塩化カドミウム (CAS番号 10108-64-2) 溶液は刺激性を示した (DFGOT vol.22 (2006))。 (2) いくつかのカドミウム化合物は皮膚刺激性を有する (IPCS, PIM089 (1992)、Sittig (1985)、Lenga (1988))。 (3) 22ヵ月にわたり1502人に対して2%塩化カドミウムの影響をみたパッチテストにおいて2%塩化カドミウムは頻繁に25例で皮膚反応を示したが、陽性例に関して過去のカドミウムばく露は明白ではないため、関連性は否定される (DFGOT vol.22 (2006)、Wahlberg 1977))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1) のデータはあるが、分類に十分なものでなはく、分類できないとした 【参考データ等】 (1) いくつかのカドミウム化合物は粉じん、蒸気も含め、眼に対して強い腐食性を示す (IPCS, PIM 089 (1992))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 カドミウムや他のカドミウム化合物について (1)〜(5) のデータはあるが、明白な判断は困難であり分類できないとした。 【参考データ等】 (1) 塩化カドミウム (CAS 10108-64-2) を用いたモルモット皮膚感作性試験2試験 (マキシマイゼーション法) において試験群、対照群共に皮膚反応を認め、感作性陰性と判定されている (DFGOT vol.22 (2006))。 (2) 金属作業者、歯科関連作業者、皮膚疾患保有者等を対照とした硫酸カドミウム (CAS 10124-36-4) 及び塩化カドミウムに対するパッチテストの結果が報告されているが、陽性例の報告や反応との関連性を否定する報告が混在する (DFGOT vol.22 (2006))。 (3) 入れ墨用染料に対するアレルギー反応で硫酸カドミウムの関与が示唆されているが、アレルギー試験は実施されていない(DFGOT vol.22 (2006))。 (4) カドミウムを含む入れ墨用染料で紫外線照射後に浮腫を生じた例について、アレルギーではなく、カドミウムの光伝導性の結果によるものと考察されている (DFGOT vol.22 (2006))。 (5) 250人に対するリンパ球形質転換試験において18%がカドミウムに対して陽性を示した (DFGOT vol.22 (2006))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 本物質のデータはないが、水溶性カドミウム化合物として、(1)、(2) より区分1Bとした。 【根拠データ】 (1) 本物質自体のin vivo/in vitroデータはない。 (2) 2018年度GHS分類では、塩化カドミウム (CAS番号 10108-64-2) など水溶性カドミウムは区分1Bに分類されている。 【参考データ等】 (3) 本物質の水溶解度は1,850 g/L (20℃) である (GESTIS (Access on June 2019))。 (4) 塩化カドミウム等の水溶性カドミウム化合物について、EU CLP分類ではMuta. 1Bに分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on June 2019))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 本物質の発がん性試験データは無い。(1) より本物質もカドミウム化合物として区分1Aとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、カドミウム及びカドミウム化合物を、IARCがグループ1 (IARC 101C (2012))、NTPがKに (NTP RoC (14th, 2016))、日本産業衛生学会が第1群に (産衛学会許容濃度の勧告 (2016)、1996年提案) 分類している。 【参考データ等】 (2) カドミウム及びカドミウム化合物はヒトで肺がんを生じること、またカドミウム及びカドミウム化合物へのばく露と腎がん及び前立腺がんとの間に正の相関があることから、カドミウム及びカドミウム化合物のヒトでの発がん性は十分な証拠がある (IARC (2012))。 (3) 実験動物では主に塩化カドミウムを用いた発がん性試験結果から、カドミウム化合物には実験動物での発がん性の十分な証拠がある (IARC (2012))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 本物質のデータはないが、(1) より区分1Aとした。 【根拠データ】 (1) 日本産業衛生学会は疫学研究報告及び実験動物での知見より、カドミウム及びカドミウム化合物を生殖毒性物質第1群に分類している (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2013))。 【参考データ等】 (2) ヒトでは神通川流域の妊婦の集団では、尿中カドミウム濃度が高い妊婦の群が低い妊婦の群と比べて妊娠期間の有意な短縮及び低体重児の出産率の有意な高値を示したとの報告、バングラディシュの妊婦では尿中カドミウム濃度と女児の出生児体重との間に有意な負の相関がみられたとの報告、母子のコホート研究では母体血中カドミウム濃度と出生児の頭囲とは逆相関し、臍帯血中濃度の上昇が3歳児における身長、体重及び頭囲を有意に低下させたとの報告、及び東京の妊婦における研究でも尿中カドミウム濃度と出生児の体重との間に有意な負の相関があったとの報告など、妊婦のカドミウム中毒による発生影響に関する複数の疫学研究がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2013))。 (3) 実験動物でも妊娠動物にカドミウム化合物 (主に塩化カドミウム) を経口投与した試験で、胎児に体重低値、骨格変異・奇形の増加、胚/胎児吸収の増加、新生児に神経発達障害(自発運動低下、知覚運動協調性反射の発達遅延など)、腎機能低下など発生・発達影響が数多く報告されている (ATSDR (2012))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(4) より、区分1 (呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、消化管) とした。 【根拠データ】 (1) 自殺目的で本物質81.5 mg/kg (25 mg Cd/kg) 又は塩化カドミウム (CAS番号 10108-64-2) 1,840 mg/kgを経口摂取したヒト各1例では、いずれも消化管出血、体液損失、浮腫、多臓器障害をきたし、各々7日後又は約30時間後に死亡した。剖検の結果、心筋、肝臓、腎臓及び消化管の損傷、肺水腫、消化管の出血性壊死が認められた (DFGOT vol. 22 (2006)、ATSDR (2012))。 (2) 上記のヒト2症例のうち、本物質を摂取した1例では、心室細動を含む心リズム障害と無尿がみられたとの記載がある (ATSDR (2012))。 (3) カドミウム (CAS番号 7440-43-9) のヒュームに吸入ばく露されたヒト1例が、重篤な胃腸炎、血圧低下、心リズム障害、無尿を示し、72時間後に死亡した。剖検の結果、肺と胃粘膜のうっ血、大腸及び小腸の充血、心筋への炎症性細胞浸潤、肝臓の小葉中心性壊死、腎臓ヘンレ管の細胞性壊死が認められた (IPCS, PIM089 (1992))。 (4) カドミウム化合物一般のヒトでの急性毒性として、吸入ばく露では肺炎と肺水腫、経口摂取では急激で重篤な悪心、嘔吐、腹痛が報告されている (EHC 134 (1992))。 【参考データ等】 (5) 塩化カドミウムを用いたラットにおける単回吸入ばく露試験で肺炎・肺水腫が、同じくラットにおける単回経口投与試験で、肝臓 (肝細胞壊死)、腎臓 (尿量減少)、消化管 (腸の壊死、出血、潰瘍) への影響がみられた (ATSDR (2012))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 本物質の反復ばく露によるデータはない。本物質は水溶性カドミウム化合物であり、(1) の自殺目的での単回経口摂取の事例から経口摂取により体内に取り込まれることが示されていることから、(2)、(3) に示す、体内に取り込まれたカドミウムによる毒性影響に基づき分類を行うのが妥当と判断した。よって、区分1 (呼吸器、腎臓、骨) とした。 【根拠データ】 (1) 本物質を摂取し7日後に死亡した男性において、初期の尿中カドミウム濃度は15,600 mg/Lであり、7日目には100 mg/Lまで低下した。3日後にサンプリングした血液中のカドミウム量は1.1 mg/L、剖検の各臓器のカドミウム含量は、脳0.5 mg/g、肝臓80 mg/g、腎臓80 mg/g (皮質) 及び8.9 mg/g (髄質) と報告されている (IPCS, PIM089 (1992))。 (2) カドミウムは広範囲の臓器組織に毒性を示すが、主要な標的臓器は腎臓であり、骨及び吸入による肺も毒性に対する感受性が高いとの記載がある (ATSDR (2012))。 (3) 長期職業ばく露は肺及び腎臓を主とする重篤な慢性影響を生じさせ、慢性的な腎障害は一般集団にもみられる。その他の影響の中には、カルシウム代謝の阻害、高カルシウム尿、腎結石の生成がある。高濃度のカドミウムばく露の大多数は栄養上の欠陥などの他の要因と共存し、骨粗しょう症、骨軟化症を発症させるとの記載がある (EHC 134 (1992))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | - | ||
水生環境有害性 (長期間) | - | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 特別管理産業廃棄物に該当する。 特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬又は処分を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2570 | |||
国連品名 | CADMIUM COMPOUND | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | III | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 154 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 作業環境評価基準(法第65条の2第1項)【10 カドミウム及びその化合物】 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,5号)【10 カドミウム及びその化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【129 カドミウム及びその化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【606 沃素及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【129 カドミウム及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【606 沃素及びその化合物】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第1種指定化学物質、特定第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1、施行令第4条)【75 カドミウム及びその化合物】 | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【22 カドミウム化合物。ただし、硫黄、カドミウム及びセレンから成る焼結した物質を除く。】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2570 カドミウム化合物】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2570 カドミウム化合物】 | |||
水道法 | 有害物質(法第4条第2項)、水質基準(平15省令101号)【3 カドミウム及びその化合物】 | |||
下水道法 | 水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【1 カドミウム及びその化合物】 | |||
大気汚染防止法 | 排出規制物質(有害物質) (法第2条第1項3、政令第1条)【1 カドミウム及びその化合物】 | |||
水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条、排水基準を定める省令第1条)【1 カドミウム及びその化合物】 | |||
土壌汚染対策法 | 特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条)【1 カドミウム及びその化合物】 | |||
廃棄物処理法 | 特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4)【5 カドミウム及びその化合物を含有する特定有害産業廃棄物】 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |