1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | ヘプタオキシド二クロム酸ナトリウム水和物 (Disodium heptaoxidodichromate dihydrate) | ||
製品コード | H28-A-078 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | クロムなめし,クロム酸系顔料・染料原料,酸化剤,媒染剤,医薬・サッカリン等製造用 (NITE CHRIP) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | − | |||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分3 | ||
急性毒性(経皮) | 区分3 | |||
急性毒性 (吸入:粉塵、ミスト) | 区分1 | |||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |||
呼吸器感作性 | 区分1B | |||
皮膚感作性 | 区分1A | |||
生殖細胞変異原性 | 区分1B | |||
発がん性 | 区分1A | |||
生殖毒性 | 区分1B | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器、血液系、肝臓)、区分2 (腎臓) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 分類未実施 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 分類未実施 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 皮膚に接触すると有毒 吸入すると生命に危険 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 重篤な眼の損傷 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 遺伝性疾患のおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、血液系、肝臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による腎臓の障害のおそれ | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。−【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用しても良い。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 | |||
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | ||||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | ヘプタオキシド二クロム酸ナトリウム水和物 | ||
別名 | ヘプタオキシド二クロム酸二ナトリウム二水和物 二クロム酸ナトリウム二水和物 μ-オキソ-ヘキサオキソ二クロム酸二ナトリウム二水和物 | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | Cr2Na2O7・2H2O | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 7789-12-0 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 1-283 (既存/旧二監/旧三監) | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | データなし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 周辺の状況や火災の状況に応じて水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。 | ||
使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
特有の危険有害性 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な保護具や耐火服を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。 取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 粉じんを発生させないようにする。 | ||
接触回避 | 情報なし | ||
衛生対策 | 情報なし | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2016年度版) | 未設定 | ||
ACGIH(2016年版) | 未設定 | ||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 橙黄色 (化学商品 (2014)) | ||
臭い | 無臭 (GESTIS (2016)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | データなし | ||
pH | 1% soln: 4.0 (Merck (15th, 2013)) 10% soln: 3.5 (Merck (15th, 2013)) | ||
融点・凝固点 | 356.7℃ (anhydr salt) (Merck (15th, 2013)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
引火点 | データなし | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | データなし | ||
蒸気圧 | データなし | ||
蒸気密度 | データなし | ||
比重(相対密度) | 2.348 (25/4℃) (Merck (15th, 2013)) | ||
溶解度 | 水: よく溶ける (化学商品 (2014)) アルコールに難溶 (化学商品 (2014)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
自然発火温度 | データなし | ||
分解温度 | 約400℃ (GESTIS (2016)) | ||
粘度(粘性率) | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分3 ラットのLD50値 (OECD TG 401) として、252.4 mg/kg (雄)、181.0 mg/kg (雌) (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016)) との報告に基づき、区分3とした。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分3 ウサギのLD50値として、336 mg/kg (雄)、361 mg/kg (雌) (ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013)) の報告に基づき、区分3とした。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 区分1 ラットのLC50値 (4時間) として、70 mg/m3 (雄)、31 mg/m3 (雌) (ATSDR (2012)、CICAD 78 (2013)) の2件の報告があり、1件は区分1に、1件は区分2に該当する。有害性の高い区分を採用し、区分1とした。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分1 本物質 (水和物) に関する情報は得られなかったが、同じく水溶性の本物質の無水物をウサギの皮膚に4時間適用した試験において、皮膚の紅斑、浮腫、壊死が認められたとの報告がある (ATSDR (2012))。また、EU RARには、水溶解度の高い六価のクロム化合物は、一定の条件下で、重篤な皮膚への影響を引き起こすと結論付けている (EU-RAR (2005))。よって、区分1とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分1 本物質を含む水溶解度の高い六価のクロム化合物は、一定の条件下で、重篤な皮膚への影響を引き起こすとの報告 (EU-RAR (2005))や、眼に対して重篤な損傷を引き起こすとの記載 (EU-RAR (2005))に基づき、区分1とした。なお、ウサギを用いた眼一次刺激性試験において、本物質の無水物の水溶液を点眼した結果、ウサギの眼に刺激性は認められなかったとの記載があるが、試験の詳細が不明である (ATSDR (2012))。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 区分1B 日本産業衛生学会許容濃度勧告では、クロム及びクロム化合物は気道感作性第2群に指定されていることから (産衛誌 58 (2016))、区分1Bとした。なお、六価クロムを含む化合物を取り扱った作業者に喘息、呼吸困難などの呼吸器感作性を発症した症例が報告されている (ATSDR (2012))。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 区分1A 日本産業衛生学会許容濃度勧告では、クロム及びクロム化合物は皮膚感作性第1群に指定されていることから (産衛誌 58 (2016))、区分1Aとした。なお、六価クロムを含む化合物について、職業的に暴露した作業者に感作性を示唆する皮膚炎が認められており (CICAD 78 (2013))、また、モルモットを用いた皮膚感作性試験において陽性の結果が報告されている (ATSDR (2012))。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 区分1B In vivoでは、マウスの末梢血赤血球又は骨髄細胞を用いた飲水経口投与小核試験で陰性、陽性の結果、マウスの骨髄細胞を用いた腹腔内投与小核試験で陽性である (NTP DB (Access on October 2016)、ATSDR (2012))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (NTP DB (Access on October 2016)、厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016)、ATSDR (2012))。本物質に関するin vivo生殖細胞変異原性、in vivo生殖細胞遺伝毒性のデータはないが、水溶性Cr (VI) はin vivo生殖細胞変異原性を有する (EU-RAR (2005)) との評価がされている。したがって、水溶性Cr (VI) である本物質にEU-RAR (2005) の評価を適用し、区分1Bとした。 | ||
発がん性 | GHS分類: 区分1A 本物質は六価のクロム化合物に該当し、六価クロム化合物はIARCでグループ1 (IARC 100C (2010)) に、EPA (IRIS (1998))、NTP (NTP RoC (13th, 2014)) でともにK (Known (to be) human carcinogen) に、ACGIHでA1 (ACGIH (7th, 2001)) に、日本産業衛生学会で第1群 (許容濃度の勧告 (2016)) にそれぞれ分類されている。以上より、本項は区分1Aとした。なお、本物質自体のデータは、ヒト、実験動物ともに情報はないが、ラット及びマウスを用いた二クロム酸ナトリウム二水和物の2年間飲水投与による発がん性試験において、ラットでは口腔粘膜及び舌の扁平上皮乳頭腫又は扁平上皮がんの頻度の増加が、マウスでは小腸の腺腫とがんの合計頻度の増加が報告されている (NTP TR546 (2008)、ATSDR (2012)、CICAD 76 (2013))。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分1B ラットを用いた本物質強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、一般毒性影響 (ヘモグロビンの低値、網状赤血球数の高値、胃粘膜のびらん・潰瘍性変化など) がみられる 30 mg/kg/day で妊娠期間の延長がみられたが、その他には親動物、児動物ともに生殖発生影響は認められなかった (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016))。この報告以外に本物質自体の毒性情報はない。しかしながら、本物質は六価クロム化合物に該当し、六価のクロム化合物の生殖影響に関する情報が利用可能と考えられる。すなわち、ヒトでは六価クロムへの職業ばく露で精子数及び精子運動能の低下がみられたとの報告、並びに血中クロム濃度と精子の尾の欠損、精子数の減少、精子運動能の減少との間に強い相関がみられ、クロム濃度の増加に伴い精子生存率は減少したとの報告がある (CICAD 78 (2013))。 | ||
実験動物ではニクロム酸カリウムを雄マウスに7週間混餌投与した試験で、精子数の減少、精細管の変性、形態異常精子の増加がみられたとの報告がある (CICAD 76 (2013)、ATSDR (2012))。また、ニクロム酸カリウムを雌マウスに20日間飲水投与した2つの試験では、受胎率の低下、黄体数の減少、着床数の減少、着床前胚損失の増加、性周期期間の増加が1件で、成熟卵胞数の減少、卵巣の組織変化 (卵胞の核濃縮、閉鎖卵胞など)、性周期期間の増加が他の1件で報告されている (CICAD 76 (2013)、ATSDR (2012))。 同様に、ニクロム酸カリウムを雌ラットに90日間飲水投与した試験でも、体重増加抑制がみられる用量で、性周期の消失がみられている (CICAD 76 (2013)、ATSDR (2012))。一方、二クロム酸カリウムを妊娠前に雌マウスに飲水投与した試験、及び妊娠マウスに飲水投与した試験では体重増加抑制など母動物毒性が発現するよりも低い用量から、胎児に胎児重量減少、着床後胚損失の増加、胎児死亡率増加、皮下出血斑、短曲尾などの発生毒性がみられた (CICAD 76 (2013)、ATSDR (2012))。 以上、六価クロム化合物はヒトで精子への影響が懸念され、実験動物では精巣及び卵巣の形態及び機能への有害影響、受胎率低下、胚/胎児毒性、外表奇形など広範な生殖発生毒性を示す知見がある。よって、本項は区分1Bとした。なお、EUは本物質をRepr. 1Bに分類している (ECHA C&L Inventory (Access on October 2016))。 | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓) 本物質は六価クロム化合物である。ヒトでは、本物質及び他の六価クロム化合物である無水クロム酸 (CAS番号 1333-82-0) の水溶液ミストの急性吸入ばく露により気道の炎症、鼻、胸の痛み、咳、呼吸困難、チアノーゼを生じることが報告されている (EU-RAR (2005))。経口経路では、本物質 (摂取量不明) を誤飲した小児が心肺停止により死亡し、剖検で全身及び肺の浮腫、重度の気管支炎、急性気管支性肺炎、心筋の低酸素性変化、肝臓のうっ血、肝臓、腎尿細管及び消化管の壊死が認められたとの報告が1例ある (ATSDR (2012))。無水クロム酸や他の六価クロム化合物である二クロム酸カリウム (CAS番号 7778-50-9) でも事故や自殺企図による経口摂取で、呼吸器への影響として肺のうっ血、呼吸不全、心血管系への影響として血圧低下、心拍数低下、肝臓への影響として肝臓肥大、肝細胞壊死、黄疸、ビリルビン増加、肝臓機能関連酵素値の上昇、腎臓への影響として蛋白尿、乏尿、血尿、無尿を呈する急性腎不全の症状、腎臓肥大、浮腫、腎尿細管壊死が認められた複数の例が報告されている (EU-RAR (2005)、ATSDR (2012))。肝臓、腎臓の障害を示す症状は生存例においても認められた (EU-RAR (2005))。実験動物ではラットを用いた本物質の単回経口投与試験において、区分1相当の180 mg/kgで自発運動低下、緩徐呼吸、軟便、流涙、チアノーゼが認められたとの報告がある (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016))。またラットで本物質の単回吸入ばく露により、区分1範囲の用量で呼吸困難、上気道の刺激が認められたとの報告がある (CICAD 78 (2013))。 | ||
以上の本物質及び他の六価クロム化合物のデータを総合すると、本物質は呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓に影響を与えると考えられる。消化管の所見については、局所刺激の影響として採用しなかった。以上より区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓) とした。 | |||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (呼吸器、血液系、肝臓)、区分2 (腎臓) ヒトについては、クロム酸又は二クロム酸のナトリウム塩又はカリウム塩のダスト、或いは水溶液を介して六価の水溶性クロムに反復吸入ばく露されたヒトで生じる主な毒性影響は呼吸器への影響で、鼻中隔の潰瘍及び穿孔、気道の炎症、肺気腫、肺の線維化、慢性閉塞性気管支肺症などであるとの記述がある (CICAD 78 (2013))。 実験動物については、ラット、マウスを用いた飲水投与による3ヵ月間反復投与毒性試験において、ラットでは区分1相当の62.5 mg/L (評価書中換算値:5 mg/kg/day) 以上で小球性低色素性貧血、ALT活性増加、ソルビトール脱水素酵素 (SDH) 活性増加、胆汁酸増加、膵リンパ節の組織球性細胞浸潤、区分2相当の125 mg/L (評価書中換算値:10 mg/kg/day) 以上で十二指腸及び肝臓の組織球性細胞浸潤、1,000 mg/L (評価書中換算値:60 mg/kg/day) で膵リンパ節のリンパ球増生及びリンパ洞の拡張、腺胃の限局性潰瘍、再生性上皮過形成及び扁平上皮化生、骨髄過形成がみられ、マウスでは区分1相当の62.5 mg/L (評価書中換算値:9 mg/kg/day) 以上で十二指腸の上皮の過形成、区分2相当の125 mg/L (評価書中換算値:15 mg/kg/day) 以上で組織球性細胞浸潤 (十二指腸、腸間膜リンパ節) がみられている (NTP TOX72 (2007)、CICAD 78 (2013))。 | ||
ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、区分1相当の6 mg/kg/day (90日換算値:2.5 mg/kg/day (雄)、2.7〜3.5 mg/kg/day (雌)) で胃のびらん/潰瘍性変化、区分2相当の30 mg/kg/day (90日換算値:12.3 mg/kg/day (雄)、13.7〜17.7 mg/kg/day (雌)) で平均赤血球ヘモグロビン量・平均赤血球ヘモグロビン濃度の減少、網状赤血球数の増加、ヘモグロビンの減少、腎臓の尿細管上皮細胞の壊死がみられている (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on October 2016))。また、ラット、マウスを用いた飲水での2年間反復投与毒性試験においても、区分1〜2の用量でラット、マウスで小球性低色素性貧血、肝臓の組織球性細胞浸潤、ラットで肝臓の病変 (慢性炎症、脂肪変性、好塩基性巣、明細胞巣) が認められており、マウスで十二指腸・空腸のびまん性上皮過形成、組織球性細胞浸潤 (十二指腸、空腸、腸間膜リンパ節、膵リンパ節) が認められている (NTP TR546 (2008)、CICAD 78 (2013))。 以上、呼吸器、消化管、血液系、リンパ系、肝臓、腎臓に影響がみられている。消化管については刺激性に起因したものと考えられこと、リンパ系については小腸の病変と関連した二次的所見と考えられることから標的臓器としなかった。 したがって、区分1 (呼吸器、血液系、肝臓)、区分2 (腎臓) とした。 | |||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 分類未実施 | ||
水生環境有害性(長期間) | 分類未実施 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3288 | |||
国連品名 | TOXIC SOLID, INORGANIC, N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | K | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の以下の規則に従う。 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空規制情報 | 航空法の以下の規則に従う。 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
陸上規制情報 | 道路法、毒物及び劇物取締法の以下の規則に従う。 道路法 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) 毒物及び劇物取締法 劇物(指定令第2条) | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード保持の対象物。 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 151 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
化審法 | 旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項) 旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項) | |||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 作業環境評価基準(法第65条の2第1項) 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,5号) 特定化学物質特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条3) | |||
水道法 | 有害物質(法第4条第2項)、水質基準(平15省令101号) | |||
下水道法 | 水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4) | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条) | |||
水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条、排水基準を定める省令第1条) | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質、優先取組物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第1種指定化学物質、特定第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1、施行令第4条) | |||
外国為替及び外国貿易管理法 | 輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」 輸出貿易管理令別表第1の16の項 輸出貿易管理令別表第2(輸出の承認) | |||
特定廃棄物輸出入規制法 (バーゼル法) | 廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの(平10三省告示1号) | |||
廃掃法 (廃棄物の処理及び清掃に関する法律) | 特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4) | |||
労働基準法 | がん原性化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第7号) 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) | |||
土壌汚染対策法 | 特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |