| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | 硫酸ニッケル | ||
| 化学品の英語名称 | Nickel sulfate | ||
| 製品コード | R06-C-151-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | ニッケルメッキ,ニッケル触媒原料,媒染剤,ペンキ原料,アルミ着色,電池,試薬(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成21年度(2009年度)、ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分4 | |
| 呼吸器感作性 | 区分1 | ||
| 皮膚感作性 | 区分1 | ||
| 発がん性 | 区分1A | ||
| 生殖毒性 | 区分1B | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(呼吸器、雄性生殖器) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成26年度(2014年度)、ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分2 | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分2 | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有害 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、雄性生殖器の障害 水生生物に毒性 長期継続的影響によって水生生物に毒性 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | |||
| 化学名又は一般名 | 硫酸ニッケル | ||
| 慣用名又は別名 | 硫酸第一ニッケル | ||
| 英語名 | Nickel sulfate | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | H2O4S.Ni (155) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 7786-81-4 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 1-813 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。医師に連絡すること。 意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。 呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。 気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。 医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 眼に入った場合 | まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間、患部を洗眼する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。 口をすすぎ、液体を吐き出す。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 急性の影響: 本物質は、皮膚、眼および気道を刺激する。胃腸および心血管の機能障害、神経系の障害。 慢性的な影響: 反復または長期の接触により、皮膚感作を引き起こすことがある。 反復または長期の吸入により喘息を引き起こすことがある。 反復または長期のエアロゾルの吸入により、肺に影響を与えることがある。副鼻腔に影響を与えることがある。 炎症および潰瘍を生じることがある。 吸入すると、ヒトで発がん性を示す。 ヒトで生殖・発生毒性を引き起こすことがある。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 不燃性である。消火対策は、周囲の状況に合わせて選択すること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 周囲の火災に含まれると、有害物質(硫黄酸化物金属、酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 不燃性である。消火対策は、周囲の状況に合わせて選択すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 影響を受ける周囲に警告すること。 その後、周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 発がん性物質および生殖細胞変異原性物質は、密閉装置でのみ使用する必要がある。 この物質を環境中に放出してはならない 容器とパイプラインにラベルを貼ること。 水への深刻な危険。水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | こぼれた物質を密閉式容器内に収集する。 湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 地域規則に従って保管・処理する。 少量の物質の収集: 廃棄物を流し台やゴミ箱に入れたり置いたりしないこと。 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 粉じんの形成を避けること。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集する必要がある。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 こぼさない。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 粉じんが舞い上がるのを避けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質 ガス。 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質 自然発火性物質 水と接触した可燃性ガスを放出する物質 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 容器を密閉すること。 容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所で保管すること。 排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | Niとして0.1 mg/m3 (ニッケル化合物、粉状のものに限る) | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | 許容濃度:0.01 mg/m3 (ニッケル化合物、水溶性) | |||
| ACGIH (2024年版) | TLV-TWA:0.1 mg/m3 (I) (Nickel, soluble inorganic compounds, as Ni) | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 作業エリアは、可能であれば物理的に分離する必要がある。 きれいにされた空気は作業エリアに戻さないこと。 床に排水口を設置しない。 作業場での洗浄設備を設置する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管すること。 次の材料は保護手袋に適している(透過時間>= 8時間):天然ゴム/天然ラテックス-NR(0.5 mm)(非粉末およびアレルゲンフリー製品を使用)、ポリクロロプレン-CR(0.5 mm)、ニトリルゴム/ニトリルラテックス-NBR(0.35 mm)、ブチルゴム-ブチル(0.5 mm)、フッ素炭素ゴム-FKM(0.4 mm)、ポリ塩化ビニル-PVC(0.5 mm) 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 黄色〜黄緑色 | ||
| 臭い | 無臭 | ||
| 融点/凝固点 | 840 ℃ (分解) (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | 不燃性 (ICSC (2017)) | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | 840 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:29.3 g/100 cc (0℃) (HSDB in PubChem (2024)) アルコール、エーテル、アセトン: 不溶 (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
| 蒸気圧 | データなし | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 4.01 g/cm3 (HSDB in PubChem (2024)) 3.68 g/cm3 (GESTIS (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 不燃性である。他の使用する物質に応じて、火災および爆発防止対策を選択すること 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 不燃性物質。 この物質は、酸化剤と危険な反応を示す可能性がある。 848℃で分解する。 有毒な三酸化硫黄および一酸化ニッケルのフュームを生じる。 酸化剤と反応する。 火災や爆発の危険を生じる。 水溶液は、弱酸である。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 周囲の火災に含まれると、有害物質(硫黄酸化物金属、酸化物ヒューム)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | |||
|---|---|---|---|
| 急性毒性 | |||
| 経口 | ラットのLD50値46 mg/kg(雄)および39 mg/kg(雌)(区分2に該当)(ATSDR(2005))、500 mg/kg(区分4に該当)(ECETOC TR33(1989))、275 mg/kg(区分3に該当)(ECETOC TR33(1989))、325 mg/kg(区分4に該当)(ECETOC TR33(1989))から該当区分の多い区分4と判断した。 | ||
| 経皮 | データなし。 | ||
| 吸入: ガス | GHSの定義における固体である。 | ||
| 吸入: 蒸気 | データなし。 | ||
| 吸入: 粉じん及びミスト | データなし。 | ||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ウサギのDraize試験報告(RTECS(2008))があるが試験結果の記載がなくデータ不足で分類できない。なお、EU分類ではR38でXiと分類されている。 | ||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | データなし。 | ||
| 呼吸器感作性 | EU分類R42/43であり、ニッケルないしニッケル化合物として日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で気道感作性物質(第2群)に、DFG(MAK/BAT No43(2007))で気道感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 | ||
| 皮膚感作性 | アレルギー性接触型アトピー性皮膚炎と疑われた4140症例のうち女性の23.8%、男性の5.2%にニッケル感作性が明らかであるとしている(DFGOT vol.22(2006))。また、EU分類R42/43であり、ニッケルないしニッケル化合物として日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で皮膚感作性物質(第1群)に、DFG(MAK/BAT No43(2007))で皮膚感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 | ||
| 生殖細胞変異原性 | ラット精原細胞を用いたin vivo染色体異常試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)(EHC 108(1991))陰性、ラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験およびマウス骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性(EHC 108(1991))であることから区分に該当しないと判断した。なお、in vitro変異原性試験:エームス試験は陰性(EHC 108(1991))、V79細胞を用いた突然変異試験は陽性(IARC 49(1990))、マウスリンフォーマ試験の結果は弱陽性(EHC 108(1991))である。 | ||
| 発がん性 | IARC(1990)でグループ1(IARC 49(1990))、EUはカテゴリー1(EU-Annex I(2009))、日本産業衛生学会では第1群(産衛学会勧告(2008))、NTPではK(NTP RoC(11th, 2005))に分類していることより区分1Aとした。なお、可溶性無機ニッケルをACGIHはA4(ACGIH-TLV(2008))に分類している。 | ||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 本物質の水和物を用いた試験報告(1)、(2)から、親動物に明確な毒性影響のみられない用量で胎児毒性が生じることが示唆される。また、(3)より同じ可溶性ニッケル化合物に属する塩化ニッケルについて、胎児毒性と催奇形性が認められたとの報告から、本物質も妊娠期ばく露により催奇形性を示す可能性が予測される。以上より区分1Bとした。新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。 【根拠データ】 (1)硫酸ニッケル六水和物(CAS登録番号 10101-97-0)について、ラットを用いた強制経口投与(10〜75 mg/kg/day、2.2〜16.8 mg Ni/kg/day)による一世代生殖毒性試験(二世代生殖毒性試験の用量設定予試験)では、F0雌雄親動物には最高用量まで全身毒性は認められず、受胎能も対照群と差異はなかったが、F1動物には10 mg/kg/day以上で生存率低下、30 mg/kg/day以上で着床後胚/胎児死亡率の増加、75 mg/kg/dayで生後0日での死亡児発生率の増加及び同腹児数の減少が認められた(NITE初期リスク評価書 (2008)、AICIS IMAP (2014)、SCOEL RAC (2011)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。 (2)硫酸ニッケル六水和物について、ラットを用いた強制経口投与(1〜10 mg/kg/day、0.22〜2.2 mg Ni/kg/day)による二世代生殖毒性試験では、F0雌雄親動物には最高用量の10 mg/kg/daまで一般毒性影響も受胎能にも有害影響は認められなかったが、10 mg/kg/dayのF1児動物に着床後胚/胎児死亡率の軽度増加(非有意)がみられた(同上、EU RAR (2009))。 (3)塩化ニッケル六水和物(CAS登録番号 7791-20-0)について、妊娠マウスを用いた強制経口投与(46.125〜184.5 mg Ni/kg/day、妊娠6〜13日)による発生毒性試験では、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量・摂水量減少)がみられた中及び高用量群において、一腹当たりの着床後胚・胎児死亡率の増加、一腹当たりの生存胎児数の減少とともに骨格異常・奇形の発生増加が認められた。骨格異常・奇形は母動物毒性がみられない低用量からみられている(ATSDR (2023)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024)。 【参考データ等】 (4)妊娠ウサギに本物質(硫酸ニッケル)を強制経口投与(100 mg/kg/day(22 mg Ni/kg/day)、妊娠6〜15日)した発生毒性試験で、母動物には自然流産、胎児には胎児毒性と奇形誘発影響が認められたとのアブストラクトのみの報告がある(SCOEL RAC (2011)、EU RAR (2009))。 (5)塩化ニッケル(II)(CAS登録番号 7718-54-9)は区分1Bに分類されている(2009年度政府GHS分類結果)。 (6)EU では本物質はRepr. 1Bに分類されている(CLP分類(Accessed Aug. 2024))。 (7)ニッケルおよびニッケル化合物は日本産衛学会で生殖毒性:第3群に分類されている (日本産衛学会許容濃度(2023))。 | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | ラット吸入試験においてガイダンス値の区分1に相当する36.5 mg Ni/m3(0.037 mg/L/2h;4時間換算、0.018 mg/L/4h)の用量で、肺に出血が認められた(ATSDR(2005))とあるが、症状の程度が不明であり、他にデータがない事から分類できないとした。 なお、塩化ニッケルの有害性も相互参照のこと。 | |||
|---|---|---|---|---|
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ラットの吸入ばく露13週間投与試験で肺の慢性活動性炎症、好中球増加症などが用量>0.00006mg Ni/L(雌)、0.00022mg Ni/Lないし0.0004mg Ni/L(雄)が認められ、Lymphocytosis、リンパ節過形成、嗅上皮退行性変化などが0.0004mg Ni/Lおよび0.0004mg Ni/L(雌雄)が認められた(NTP TR454(1996))。また、ラットの吸入ばく露2年間投与試験でも炎症性肺障害、肺線維症などの肺病変が用量0.00006mg Ni/Lおよび/または0.0001mg Ni/L(雌雄)(7ヶ月・15ヶ月・試験終了時)で認められ、リンパ節過形成や嗅上皮退行性変化が用量0.0005 mg/L(雌雄)(試験終了時)で認められた(NTP TR454(1996))。これらの用量はいずれもガイダンス値区分1に該当し、鼻腔および肺への病変が認められたことから、区分1(呼吸器)とした。また、ラットの雄の120日間の経口投与試験のガイダンスの区分2に相当する25mgNi/kgの用量で精巣への影響、マウス雄の35日間の経口投与試験のガイダンスの区分1に相当する1.1mgNi/kgの用量において精嚢、精巣上体と中心部輸精管萎縮が認められている事から区分1(雄性生殖器)とした。なお、塩化ニッケルの有害性も相互参照のこと。 | |||
| 誤えん有害性* | データなし。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 甲殻類 (オオミジンコ) での48時間EC50 = 5.27 mg/L (NITE初期リスク評価書, 2008) であることから、区分2とした。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 慢性毒性データを用いた場合、金属化合物につき、水中での環境動態が不明であり、魚類(ゼブラフィッシュ)の14日間NOEC = 0.105 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分2となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、金属化合物につき、水中での環境動態が不明であり、甲殻類 (オオミジンコ) での48時間EC50 = 5.27 mg/L (NITE初期リスク評価書, 2008) であることから、区分2となる。 以上の結果から、区分2とした。 | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | 化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 3077 | |||
| 品名(国連輸送名) | 環境有害物質、固体、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 9 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | III | |||
| 海洋汚染物質 | 該当する | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 171 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質(施行令別表第3第2号・特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2号) 【23の3 ニツケル化合物】 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2、5号) 【23の3 ニツケル化合物】 特定化学物質特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条の4) 【ニツケル化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【418 ニッケル及びその化合物】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【24 ニッケル及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【418 ニッケル及びその化合物】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降) 【24 ニッケル及びその化合物】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業環境評価基準(法第65条の2第2項)【21の3 ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)】 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) 【硫酸ニッケル】 特殊健康診断対象物質・現行取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第1項) 【3 ニツケル化合物】 特殊健康診断対象物質・過去取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第2項) 【17 ニツケル化合物】 | |||
| 労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【ニッケル及びその化合物】 | |||
| 化学物質審査規制法 | 優先評価化学物質(法第2条第5項) 【148 硫酸ニッケル(U)】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 特定第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1、施行令第4条) 【355 ニッケル化合物】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【148 ニッケル及びその化合物】 有害大気汚染物質、優先取組物質(中央環境審議会第9次答申)【16 ニッケル化合物】 | |||
| 水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) 【45 ニッケル及びその化合物】 | |||
| 船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
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| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||