職場のあんぜんサイト

安全データシート
塩素
作成日 2002年12月10日
改定日 2014年3月31日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称塩素 (Chlorine)
製品コードH25-B-045
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限塩化ビニル、塩素系溶剤などの有機塩素化合物及び無機塩素化合物の原料、紙・パルプ繊維の漂白、上下水道の消毒殺菌、香料医薬品、農薬の製造、鉱石製錬や金属の回収、粘土ケイ砂などの鉄分除去

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日H25.9.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性支燃性又は酸化性ガス区分1
高圧ガス液化ガス
健康に対する有害性急性毒性(吸入:ガス)区分2
皮膚腐食性及び皮膚刺激性区分1
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性区分1
特定標的臓器毒性(単回ばく露)区分1 (呼吸器)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)区分1 (呼吸器、肝臓、腎臓)
分類実施日改定日 2006年7月 25日
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分1
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示円上の炎ガスボンベ腐食性どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報発火又は火災助長のおそれ:酸化性物質
高圧ガス:熱すると爆発のおそれ
重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
重篤な眼の損傷
吸入すると生命に危険
呼吸器の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、肝臓、腎臓の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
安全対策衣類及び他の可燃物から遠ざけること。
バルブ及び付属品にはグリース及び油を使用しないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。−【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用しても良い
応急措置飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
火災の場合:安全に対処できるならば漏えい(洩)を止めること。
漏出物を回収すること。
保管換気の良い場所で保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。
廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名塩素
別名二塩素(Dichlorine)
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)Cl2
(70.906)
化学特性 (示性式又は構造式)Cl-Cl
CAS番号7782-50-5
官報公示整理番号(化審法)-
官報公示整理番号(安衛法)-
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
呼吸に関する症状が出た場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
皮膚を流水又はシャワーで洗うこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
眼に入った場合直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入した場合:腐食性。灼熱感、息切れ、咳、頭痛、吐き気、めまい、息苦しさ、咽頭痛。症状は遅れて現われることがある。
皮膚に付着した場合:液体に触れた場合、凍傷を起こす。腐食性、皮膚熱傷、痛み。
眼に入った場合:腐食性。痛み、かすみ眼、重度の熱傷。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
消火剤
使ってはならない消火剤粉末消火剤、二酸化炭素、ハロン消火剤
特有の危険有害性加熱により容器が爆発するおそれがある。
破裂したボンベが飛翔するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合には、その場所から避難し、燃焼させておく。
漏洩部や安全装置に直接水をかけてはいけない。凍るおそれがある。
損傷したボンベは専門家だけが取り扱う。
火災をおさえる。消火が必要であれば、注水又は水噴霧が推奨される。
容器内に水を入れてはいけない。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
ガスが拡散するまでその区域を立入禁止とする。
漏洩場所を換気する。
環境に対する注意事項河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
封じ込め及び浄化の方法及び機材回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、ポンプで汲み取る。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
可能ならば、漏洩している容器を回転させ、液体でなく気体が放出するようにする。
蒸発を抑え、蒸気の拡散を防ぐため散水を行う。
二次災害の防止策: 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
漏洩物又は漏洩源に直接水をかけない。
住居地域及び工業地域の住民に直ちに警告し、危険地域から避難する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項可燃物から遠ざけること。
減圧バルブにはグリースや油を使わないこと。
容器は丁寧に取り扱い、衝撃を与えたり、転倒させない。
容器の取り付け、取り外しの作業の際は、漏洩させないよう、十分注意する。
使用後は、バルブを完全に閉め、口金キャップを取り付け、保護キャップを付ける。
可燃性ガスと混合すると、発火、爆発の危険性がある。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
吸入すると、死亡する危険性がある。
漏洩すると、材料を腐食させる危険性がある。
皮膚、粘膜等に触れると、炎症を起こす。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取り扱い後は手を洗う。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
接触回避「10.安定性及び反応性」を参照。
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件技術的対策: 容器は保安上使用開始後1年以内に、速やかに販売事業者に返却すること(高圧ガス保安協会指針)。
保管条件: 専用の高圧ガス容器に保管する。
可燃物、酸化されやすい物質、重合促進剤、還元剤、ハロゲン、酸、金属微粉末から離して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。
容器は直射日光や火気を避け、40℃以下の温度で保管すること。
施錠して保管すること。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度0.5ppm
許容濃度
日本産衛学会(2013年度版)最大許容濃度 0.5ppm 1.5mg/m3
ACGIH(2013年版)TLV-TWA 0.5ppm, TLV-STEL 1ppm
設備対策減圧バルブにはグリース及びオイルを使用しないこと。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
完全密閉系及び完全密閉装置でのみ取り扱うこと
気中濃度を推奨された管理濃度・許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
高熱工程でガスが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸用保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具保温用手袋を着用すること。
適切な保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣(耐酸スーツ等)を着用する。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。
安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣、顔面用の保護具を着用すること。
一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状気体
帯緑色〜黄色
臭い刺激臭
臭いのしきい(閾)値情報なし
pH情報なし
融点・凝固点-101:ICSC (2009)
沸点、初留点及び沸騰範囲-34:ICSC (2009)
引火点不燃性:HSDB(2013)
蒸発速度(酢酸ブチル=1)情報なし
燃焼性(固体、気体)不燃性:HSDB(2013)
燃焼又は爆発範囲情報なし
蒸気圧673 kPa (20 ℃):ICSC (2009)
蒸気密度2.5:ICSC (2009)
比重(相対密度)2.898 g/L:HSDB(2013)
溶解度水:6,300 mg/L(25 ℃):HSDB(2013)
有機:情報なし
n-オクタノール/水分配係数情報なし
自然発火温度不燃性:HSDB(2013)
分解温度情報なし
粘度(粘性率)情報なし

10.安定性及び反応性
反応性安定である。
化学的安定性安定である。
危険有害反応可能性水に溶け、有毒・腐食性ガス(塩酸)を発生する。
液化ガスは非常に速やかに気化し、有毒・腐食性ガス(塩 酸)を発生する。
水溶液は強酸であり、塩基と激しく反応し、腐食性を示す。 多くの有機化合物、アンモニア、水素、アセチレンガス、 微細金属と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
水の存在下で、多くの金属を侵す。
酸と接触すると非常に有毒なヒュームを放出する。
プラスチック、ゴム、被覆剤を侵す。
避けるべき条件加熱、漏洩、水。
混触危険物質水、塩基、有機物、可燃性物質、アンモニア、水素、アセチレンガス、 微細金属。
プラスチック、ゴム、被覆剤。
危険有害な分解生成物該当しない

11.有害性情報
急性毒性
経口GHSの定義におけるガスである。
経皮GHSの定義におけるガスである。
吸入:ガスラットの1時間LC50値として、293-1,000 ppm (4時間換算値: 147-500 ppm) (PATTY (6th, 2012))、850 mg/m3 (293 ppm) (4時間換算値: 146 ppm) (EHC 21 (1982)、 ATSDR (2010)、ACGIH (7th, 2001))、447 ppm (4時間換算値: 224 ppm) (ATSDR (2010)、EU-RAR (2007)) の報告がある。ラットの53分ばく露LC50値として、1000 ppm (4時間換算値: 470 ppm) (ATSDR (2010))、ラットの30分ばく露LC50値として、688 ppm (4時間換算値: 243 ppm) (ATSDR (2010))、ラットの440分ばく露LC50値として、250 ppm (4時間換算値: 339 ppm) (ATSDR (2010)) の報告がある。これらのLC50値はいずれも区分2に該当することに基づき、区分2とした。
吸入:蒸気GHSの定義におけるガスである。
吸入:粉じん及びミストGHSの定義におけるガスである。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ヒトで塩素ガスへのばく露により顔面に軽度の火傷を生じた事例 (EHC 21 (1982))、皮膚に腐食性を示す可能性がある HSDB (Access on September 2013)) との記載がある。また、液化塩素は凍瘡、火傷を起こすとの記載 (HSDB (Access on September 2013)) があることから、液化塩素への接触には特に注意を要する。EU-RAR (2007) では、皮膚腐食性があることにより区分1を提案している。したがって、これらの情報に基づき、区分1とした。なお、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/37/38」、EU CLP分類において「Skin Irrit. 2 H315」に分類されている。今回の調査で入手した EU-RAR、EU DSD分類及びEU CLP分類を追加した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性本物質は、眼へのばく露で重篤な影響があると記載されている (詳細不記載) (SIDS-SIAP (2003))。また、サルで眼に刺激性を認めたとの記載 (PATTY (6th, 2012))、ヒトで濃度により軽度から重度の刺激があるが、いずれも短時間で回復するとの記載 (EHC 21 (1982))、及びヒトで眼に腐食性や火傷を引き起こす危険があり、重篤なあるいは永続的な障害を及ぼすことがあるとの記載 (HSDB (Access on September 2013)) がある。すなわち、SIDS (2003) における眼へのばく露で重篤な影響と、HSDB (Access on September 2013) のヒトで眼に腐食性や火傷を引き起こす危険があり、重篤なあるいは永続的な障害を及ぼすとの情報は、区分1に該当する。なお、本物質はEU DSD分類で「Xi; R36/37/38」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。今回の調査で入手したSIDS-SIAP、EU DSD分類及びEU CLP分類の情報を追加した。
呼吸器感作性呼吸器感作性: データ不足のため分類できない。
皮膚感作性皮膚感作性: データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験、染色体異常試験で陰性である (ATSDR (2010)、IUCLID (2000))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、染色体異常試験で陽性、陰性の結果が存在する (ATSDR (2010)、IUCLID (2000))。塩素 (次亜塩素酸ナトリウム) は、in vitro変異原性を示す可能性があるが、in vivoでは変異原性を示さないと考えられている (SIDS (2003)、EU-RAR (2007))。なお、試験は次亜塩素酸ナトリウムを使って実施されていることが多いが、塩素の変異原性評価には妥当と考えられている (EU-RAR (2007))。
発がん性ACGIH (1995) でA4に、IARC (1991) でグループ 3 (塩素消毒した飲料水として) に、IRIS (1994) でグループDに分類されていることにより、「分類できない」とした。分類ガイダンスの改訂により分類区分を変更した。
生殖毒性ラット及びマウスの試験において、親の生殖能力、児の発生発育に対する影響が見られないこと (EHC 21 (1982)、EU-RAR (2007)、IRIS (1994)、IUCLID (2000))、及び塩素工場従業員において妊娠から授乳に至るまで影響がなかったとの記載 (EHC 21 (1982)) に基づいて区分外とした。EU-RAR (2007) を追加した。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)マウス、ウサギ、イヌの吸入ばく露において、区分1のガイダンス値範囲内のばく露量に相当する用量 (< 2,500 ppm) で肺水腫、肺出血、肺機能低下、気管支炎、気管上皮の壊死など呼吸器系への障害が見られ、ラットでも用量の記載はないが同様の障害が見られる (EHC 21 (1982)、EU-RAR (2007))。また、マウス、ネコ、ウサギ及びモルモットでは気道粘膜の炎症、息詰まり、呼吸数減少、上部気道刺激の記載 (EHC 21 (1982)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、EU-RAR (2007)) もある。ヒトにおいては、肺炎、肺水腫、気管支炎、気管気管支の潰瘍、肺機能の低下、喘息及び喘息様症状 (RADS)、喉や鼻への刺激、咳、呼吸困難など呼吸器系への障害及び刺激性を示す記載 (EHC 21 (1982)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)) がある。これらの情報に基づいて区分1 (呼吸器) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)ラットに6週間、マウスに2年間ガスを吸入ばく露した試験において、区分1のガイダンス値範囲内の濃度 0.41-3 ppm) で、気道や肺に障害を及ぼすとの記載や、気道上皮の炎症及び組織学的変化を認めたとの記載 (EHC 21 (1982)、 PATTY (6th, 2012)、IUCLID (2000)) がある。ヒトで気管支疾患、肺出血を起こす可能性が指摘され (EHC 21 (1982))、咳、喉の痛み、喀血、胸痛などの所見が記載されている (ACGIH (7th, 2001))。これらの情報に基づいて区分1 (呼吸器) とした。また、ラットの6週間吸入ばく露試験 (ガス) において、区分1のガイダンス値範囲内の濃度で、肝細胞の空胞化 (1.4ppm以上 (90日換算値))、腎臓の近位尿細管の変性 (4.2 ppm (同換算値)) がみられたとの記載 (PATTY (6th, 2012)) に基づき、区分1 (肝臓、腎臓) とした。なお、旧分類に採用された区分1 (嗅覚器) への影響は「呼吸器」に包含されると判断し、これを削除した。また、旧分類の区分2 (歯) はList 3の情報源を基にした分類結果であったが、今回調査したList 1及び2の情報源からは「歯」を標的臓器毒性とする根拠データが得られなかったため、これを削除した。
吸引性呼吸器有害性GHS定義におけるガスである。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 14μg/L (IUCLID (2000)) から、区分1とした。
水生生物に非常に強い毒性(区分1)
水生環境有害性(長期間)急性毒性が区分1、水中での挙動及び生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。
長期的影響により水生生物に非常に強い毒性(区分1)
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物高圧ガスを廃棄する場合は、高圧ガス保安法一般高圧ガス保安規則の規定に従うこと。
汚染容器及び包装高圧ガスの容器を廃棄する場合は、製造業者等専門業者に回収を依頼すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。
国際規制
国連番号1017
国連品名CHLORINE
国連危険有害性クラス2.3
副次危険5.1、8
容器等級
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報高圧ガス保安法の規定に従う。
毒劇法の規定に従う。
特別安全対策移動、転倒、衝撃、摩擦などを生じないように固定する。
運搬時には容器を40℃以下に保ち、特に夏場はシートをかけ温度上昇の防止に努める。
火気、熱気、直射日光に触れさせない。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
鋼材部分と直接接触しないようにする。
重量物を上乗せしない。
移送時にイエローカードの保持が必要。
緊急時応急措置指針番号124

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
特定化学物質第2類物質、特定第2類物質
毒物及び劇物取締法劇物
消防法貯蔵等の届出を要する物質
高圧ガス保安法特定高圧ガス
毒性ガス
液化ガス
大気汚染防止法特定物質
排出規制物質
海洋汚染防止法個品運送P
航空法輸送禁止
船舶安全法高圧ガス
港則法その他の危険物・高圧ガス
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)
労働基準法疾病化学物質

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
<モデルSDSを利用するときの注意事項>
本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。