1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | 過酸化水素 (Hydrogen peroxide) | ||
製品コード | H25-B-044 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 漂白剤(紙・パルプ、天然繊維)、工業薬品(酸化剤及び可塑剤、ゴム薬品、公害処理などの還元剤)、医薬品(酸化剤、殺菌剤)、食品(水産加工の漂白殺菌剤、酸化漂白剤、その他各種漂白剤)、ロケット燃料(90%品) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 | H25.9.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | 酸化性液体 | 区分1 | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | ||
急性毒性(経皮) | 区分3 | |||
急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 | |||
急性毒性(吸入:ミスト) | 区分2 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 区分1 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分1 | |||
発がん性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 区分1 (呼吸器) | |||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | 区分1 (呼吸器) | |||
分類実施日 | 改定日 2006年 4月9日 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分2 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 区分外 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 火災又は爆発のおそれ:強酸化性物質 飲み込むと有害 皮膚に接触すると有毒 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 重篤な眼の損傷 吸入すると有毒 発がんのおそれの疑い 呼吸器の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 水生生物に毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 衣類及び他の可燃物から遠ざけること。 可燃物と混合を回避するために予防策をとること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 防火服/防炎服/耐火服を着用すること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 衣類にかかった場合:服を脱ぐ前に、直ちに汚染された衣類及び皮膚を多量の水で洗うこと。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 | |||
医師に連絡すること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 大火災の場合で大量にある場合:区域から退避させ、爆発の危険性に応じ、離れた距離から消火すること。 | ||||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 過酸化水素 | ||
別名 | オキシフル(Hydroperoxide) オキシドール(Hydrogen dioxide) | ||
濃度又は濃度範囲 | >60%水溶液 | ||
分子式 (分子量) | H2O2 (34.014) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | HO-OH | ||
CAS番号 | 7722-84-1 | ||
官報公示整理番号(化審法) | (1)-419 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 既存 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。 直ちに医師に連絡すること。 皮膚を速やかに洗浄すること。 多量の水と石鹸で洗うこと。 皮膚を流水又はシャワーで洗うこと。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。 | ||
眼に入った場合 | 直ちに医師に連絡すること。 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 医師の手当、診断を受けること。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入した場合:咽頭痛、咳、めまい、頭痛、吐き気、息切れ。 皮膚に付着した場合:腐食性。白斑、発赤、皮膚熱傷、痛み。 眼に入った場合:腐食性。発赤、痛み、かすみ眼、重度の熱傷。 飲み込んだ場合:咽頭痛、腹痛、腹部膨満、吐き気、嘔吐。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 小火災:水 大火災:大量の水 多量の溶剤や油類の場合は泡、粉末、二酸化炭素などの消火剤を使用する。 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
特有の危険有害性 | 火災に巻き込まれると、燃焼を加速する。 熱で容器が爆発するおそれがある。 火災によって刺激性、又は毒性のガスを発生するおそれがある。 火災又は爆発のおそれ | ||
特有の消火方法 | 区域より退避させ、爆発の危険性により遠くから消火する。 大火災の場合、火災区域に適度の距離から大量の水を散水する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。 消火活動は、有効に行える十分な距離から行う。 容器内に水を入れてはいけない:激しい反応が起こる可能性がある。 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。 適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。 風上に留まる。 低地から離れる。 密閉された場所に立入る前に換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。 環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 回収、中和: 少量の場合、漏洩区域を大量の水で洗い流す。 大量の場合、漏洩物の除去や廃棄処理は専門家の指示による。 封じ込め及び浄化の方法・機材: 蒸発を抑え、蒸気の拡散を防ぐため散水を行う。 二次災害の防止策: 可燃物(木、紙、油等)は漏洩物から隔離する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 局所排気装置・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気装置、全体換気を行なう。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に使用説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。 可燃物や酸化されやすい物質との混触を避けること。 周辺での高温物の使用を禁止する。 眼、皮膚に付けないこと。 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 接触、吸入又は飲み込まないこと。 衣類にかかった場合、服を脱ぐ前に、直ちに汚染された衣類及び皮膚を多量の水で洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
接触回避 | 「10.安定性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 可燃物及び指定された禁忌物質から離して保管すること。 熱から離して保管すること。 燃焼性物質から離して保管すること。 火源の近くに保管しない。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2013年度版) | 未設定 | ||
ACGIH(2013年版) | TLV-TWA 1ppm | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。 高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 指定された保護手袋を着用すること。 二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。 飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣(耐酸スーツ等)を着用する。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。 安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な顔面用の保護具を着用すること。 一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。 しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服(例えば、酸スーツ)及びブーツが必要である。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 無臭またはオゾン臭 | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | pH: 5.1 (90 wt%) 、pH: 4.6 ( 35 wt% ) HSDB (2013) | ||
融点・凝固点 | -11℃(90%)、-39℃(70%):ICSC (2000) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 141℃(90%)、125℃ (70%):ICSC (2000) | ||
引火点 | 情報なし | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 情報なし | ||
燃焼又は爆発範囲 | 不燃性:ICSC (2000) | ||
蒸気圧 | 0.2kPa(20℃)(90%)、0.1kPa(20℃)(70%):ICSC (2000) | ||
蒸気密度 | 情報なし | ||
比重(相対密度) | 1.4(90%)、1.3(70%):ICSC (2000) | ||
溶解度 | 混和する(水):HSDB(2013) アルコール、エーテルに可溶:HSDB(2013) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow -1.36:ICSC (2000) | ||
自然発火温度 | 不燃性:ICSC (2000) | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 1.245 centipoises (液体):HSDB(2013) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 66%以上のものは爆発性がある。 加温や光の影響により分解し、酸素を生じて火災の危険性を増大させる。 | ||
化学的安定性 | 66%以上のものは爆発性がある。 加温や光の影響により分解し、酸素を生じて火災の危険性を増大させる。 | ||
危険有害反応可能性 | アンモニアと接すると爆発の危険がある。 炭素と接すると激しく分解し、支燃性ガス(酸素)を発生する。とくに金属が存在すると火災と爆発の危険を生じる。 強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質と激しく反応し、とくに金属が存在すると火災や爆発の危険をもたらす。 | ||
避けるべき条件 | 加熱、光、衝撃、摩擦。 | ||
混触危険物質 | アンモニア、炭素、金属、酸化剤、可燃性物質、還元性物質。 繊維、紙など多くの有機物を侵す。 | ||
危険有害な分解生成物 | 加熱により支燃性ガス(酸素)が発生する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | 本物質の70%溶液を用いたラットのLD50値として2件の報告がある。75 mg/kg (EU-RAR (2003)、ECETOC Special Report (1996)) は区分3に、805 mg/kg (EU-RAR (2003)、DFGOT vol.26 (2011)、ECETOC Special Report (1996)) は区分4に該当し、両者に大きな差がある。しかし、EU-RAR (2003) では、75 mg/kgの知見はAppendixの記載であり本文では引用されていない。したがって、75 mg/kgの知見の重み付けは低いと判断し、危険性の低い区分を採用して区分4とした。なお、本調査で入手した DFGOT vol.26 (2011) に記載のデータを追加し、本物質の70%溶液のデータを用いて分類した。 | ||
経皮 | 本物質の90%溶液を用いたLD50値は2件の報告がある。ラットのLD50値は約3.5 mL/kg (= 約5,000 mg/kg) (EU-RAR (2003)) であり、区分外 (国連分類基準の区分5) に該当する。ウサギのLD50値は、690 mg/kg (EU-RAR (2003)、DFGOT vol.26 (2011)、ECETOC Special Report (1996)) であり、区分3に該当する。区分3と区分外の該当数が同じであるため、危険性の高い区分を採用し、区分3とした。なお、旧分類の根拠であるラットLD50値 4,060 mg/kg (EU-RAR (2003)) は試験物質濃度が不明であったため不採用とし、本調査で入手した DFGOT vol.26 (2011) に記載のデータを追加し、本物質の90%溶液のデータを用いて分類した。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | 本物質の蒸気を用いたラットのLC50値 (4時間) 2,000 mg/m3 (= 1,438 ppmV) (EU-RAR (2003)、DFGOT vol.26 (2011)、ECETOC Special Report (1996)) は区分3に該当する。本調査で入手したDFGOT vol.26 (2011) に記載のデータを追加し、本物質の蒸気で実施されたとの記載から、ミストを含まないものとして ppmV を単位とする基準値を用いて分類した。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | 本物質の90%溶液のエアロゾルをマウスに、13,200 mg/m3を10分間ばく露 (4時間換算値:0.55 mg/L)、11,800 mg/m3を15分間ばく露 (4時間換算値:0.74 mg/L) した結果、いずれも10匹中5匹死亡した ((EU-RAR (2003)、ECETOC Special Report 10 (1996)) との報告がある。さらにこの報告に基づいて、本物質の90%溶液エアロゾルでのマウスの2時間ばく露でのLC50値は920-2,000 mg/m3 (4時間換算値:0.46-1.00 mg/L) (DFGOT vol.26 (2011)) との報告がある。これらのLC50値は区分2及び区分3に同数づつ該当するので、LC50値の最小値がある区分を採用し、区分2とした。なお、本調査で入手した DFGOT vol.26 (2011) に記載のデータを追加し、本物質の90%溶液のデータを用いて分類した。なお、4時間換算のLC50値が飽和蒸気圧濃度の3.605 mg/L より小さくなるが、エアロゾルで実施されたとの記載から、mg/L を単位とする基準値を適用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 本物質のウサギの皮膚に対する3分間、1時間又は4時間の適用で、皮膚の全層におよぶ壊死、あるいは腐食性と記載されている (EU-RAR (2003)、ECETOC Special Report 10 (1996))。さらに、本物質は皮膚腐食性物質であり、EU DSD分類において「C; R35」、EU CLP分類において「Skin Corr. 1A H314」に分類されている。以上の情報に基づき、区分1とした。今回の調査で入手した EU DSD分類及びEU CLP分類を追加した。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 本物質は皮膚腐食性物質である。動物で重度の刺激性を有し、腐食性物質であるとの記載 (ECETOC JACC (1993)、EU-RAR (2003)) がある。以上の情報に基づき、区分1とした。 | ||
呼吸器感作性 | 呼吸器感作性: データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | 皮膚感作性: モルモットでは2試験で陰性の成績 (EU-RAR (2003)、ECETOC JACC (1993)) があり、ヒトではパッチテストで多数の被験者が陰性であったと記載されている (EU-RAR (2003))。EU-RAR (2003) では、「過酸化水素貼付試験で陽性の報告例が 2 例あり、古い動物試験 (結果は陰性) には不確かさがあり、また何十年にも及ぶ広範な職業的及び消費的使用についての知見があるが、過酸化水素の皮膚感作誘発能は極めて低く、分類基準に当てはまらないことは明白である。」と記述されている。しかし、ACGIH (7th, 2001) は、要約の中で本物質は感作性物質と推奨できる十分利用可能なデータはない、と結論しており、EU-RAR (2003) の結論とは差があるが、総合的に十分な証拠がないと判断し、ACGIH (7th, 2001) を採用して分類できない、とした。 | ||
生殖細胞変異原性 | 分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験 (EU-RAR (2003)、ECETOC-JACC (1993)) 及びラット骨髄細胞の染色体異常試験で陰性である (IARC 71 (1999)、ECETOC-JACC (1993))。in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験、染色体異常試験で複数の陽性結果がある (IARC 71 (1999))。本物質はin vitro変異原と考えられているが、in vivoにおいては、本物質は変異原に分類されないと結論している (SIDS (1999)、EU-RAR (2003))。 | ||
発がん性 | IARC (1999) でグループ3、ACGIH (7th, 2001) でA3と分類されている。ACGIH (7th, 2001) は、IARC (1999) によりレビューされた発がんデータに関して本物質の発がん性には限定的な証拠が存在することから、A3としている。したがって新しいACGIHの分類を採用し、区分2とした。分類ガイダンスの改訂により区分を変更した。 | ||
生殖毒性 | データ不足のため分類できない。なお、ECETOC JACC (1993) でのラットを用いた経口 (飲水) 経路での試験で、精子運動能への影響、雌の発情周期への影響、出産母動物数の減少及び出生児の体重減少がみらたとの報告は、記載が不十分であるため評価することができない。また、経口 (飲水) 経路で雄マウス、雄ウサギの精子への影響、雄の生殖能を調べた試験については、対照群を用いていない限定的な試験から確実な結論は出せない。したがって、分類できないとした。 なお、最も新しい評価書であるEU-RAR (2003)では、限られた生殖毒性試験の結果から生殖機能に重大な障害は示されていないこと、マウスを用いた90日間反復毒性試験、マウス及びラットを用いた発がん性試験においても生殖器に有害影響はみられていないことから、生殖毒性物質でないとの判断がなされている。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 動物 (ラット、マウス) (EU-RAR (2003)) 及びヒト (ACGIH (7th, 2001)) の吸入ばく露で、鼻、喉、気管への刺激性が報告されている。動物 (ラット、マウス) ではいずれも区分1のガイダンス値の範囲内の用量 (0.34-0.43 mg/L) で、肺、気管の充血、肺水腫、肺気腫、肺うっ血の記載 (EU-RAR (2003)、 ECETOC Special Report 10 (1996)) がある。これらに基づき、区分1 (呼吸器) とした。ヒトで頭痛、めまい、振戦、痙攣、意識喪失、失神、及び脳梗塞の記載 (ACGIH (7th, 2001)、EU-RAR (2003)) があるが、これらの知見は詳細な情報がなく、腐食性物質の吸入による二次的あるいは非特異的症状と判断し採用しなかった。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | イヌ及びラットにおける本物質の蒸気の吸入試験で、区分1のガイダンス値範囲内の濃度 (0.005-0.01 mg/L) で肺に線維化病巣が散見され、無気肺領域と気腫領域の混在 (イヌ)、鼻腔上皮に壊死及び炎症、喉頭に細胞浸潤 (ラット) を認めたとの記述 (EU-RAR (2003))、ヒトにおいても鼻、喉に刺激性を示し、最悪のケースでは肺水腫を生じるリスクがあるとの記述 (ECETOC JACC (1993)) があることから、区分1 (呼吸器) とした。なお、旧分類ではラット100日間経口投与試験結果を基に区分2 (血液) に分類されたが、区分2の用量範囲内での血液所見はヘマトクリット値及び血漿タンパクの減少と血漿カタラーゼ活性の低下のみで、「溶血」の記述はなく (EU-RAR (2003))、区分2 (血液) への分類を支持するのに十分な所見はないと判断し、今回の分類では削除した。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 甲殻類(ミジンコ)の48時間EC50=2.4mg/L 36) から、区分2とした。 水生生物に毒性 | ||
水生環境有害性(長期間) | 水中で速やかに分解するため、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2015 | |||
国連品名 | HYDROGEN PEROXIDE, STABILIZED or HYDROGEN PEROXIDE, AQUEOUS SOLUTION, STABILIZED with more than 60% hydrogen peroxide | |||
国連危険有害性クラス | 5.1 | |||
副次危険 | 8 | |||
容器等級 | J | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別安全対策 | 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。 危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 移動、転倒、衝撃、摩擦などを生じないように固定する。 火気又は熱気に触れさせない。 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 他の危険物や燃えやすい危険物に上積みしない。 他の危険物のそばに積載しない。 重量物を上積みしない。 移送時にイエローカードの保持が必要。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 143 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 危険物・酸化性の物 名称等を表示すべき危険物及び有害物 | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物 | |||
消防法 | 第6類酸化性液体、過酸化水素 | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質 | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質 | |||
航空法 | 酸化性物質類・酸化性物質 | |||
船舶安全法 | 酸化性物質類・酸化性物質 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
<モデルSDSを利用するときの注意事項> 本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。 |