1.化学品及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | 塩化ニッケル | ||
化学品の英語名称 | Nickel dichloride | ||
製品コード | R03-C-060-MHLW | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 電解メッキ、殺菌剤(失効農薬) (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 ※一部、ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分3 | |
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 | ||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
呼吸器感作性 | 区分1 | ||
皮膚感作性 | 区分1 | ||
発がん性 | 区分1A | ||
生殖毒性 | 区分1B | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2(神経系) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分2(肺、中枢神経系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 吸入すると生命に危険 皮膚刺激 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 発がんのおそれ 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 神経系の障害のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による肺、中枢神経系の障害のおそれ 長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 | ||
応急措置 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | 塩化ニッケル | ||
慣用名又は別名 | 塩化ニッケル(II) | ||
英語名 | Nickel dichloride Nickel compounds Nickel(II) chloride | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | Cl2Ni (129.6) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 7718-54-9 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 1-242 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。 眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 極めて毒性が強い。吸入、経口摂取、皮膚からの吸収により、致命的となるおそれがある。 皮膚との接触を避ける。 接触や吸入の影響は遅れて現れるおそれがある。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 適切な空気呼吸器、防護服を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 医師が暴露物質名を知り、防護のための注意を払うことを確認する。 |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 小火災 ・粉末消火剤、二酸化炭素または散水。 大火災 ・散水、水噴霧または一般の泡消火剤。 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 不燃性。アルカリ金属、過酸化物と危険な反応をする可能性がある。加熱して分解すると、塩化水素の非常に有毒なガスを放出する。 | ||
特有の消火方法 | 安全にできるのであれば、火災の場所から損傷していない容器を移動する。 消火後も大量の水を用いて容器を冷却する。 大火災の場合は、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合にはその場所から避難し、燃えるままにしておく。 安全弁から音が発生したり、タンクが変色したときは直ちに避難する。火災に巻き込まれたタンクから常に離れる。 タンク、貨車あるいはタンク車が火災に巻き込まれた場合は、すべての方向に、適切な隔離距離と適切な初期避難距離をとる。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具を着用する。 防火服は、熱に対する防護はするが、化学物質に対しては限定的である。 |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 適切な呼吸器用保護具を着用する。 耐薬品用保護衣を着用する(火災の危険性がない時) 適切な防護衣を着けていないときは、破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。 危険でなければ、漏れを止める。 蒸気抑制泡剤は蒸気濃度を低下させるために用いる。 | ||
環境に対する注意事項 | 排水溝、下水溝、地下室や閉鎖場所への流入を防ぐ。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。 乾燥した土、砂や不燃物質で吸収し、あるいは覆って容器に移す。 容器内に水をいれてはいけない。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告モデル規則で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
---|---|---|---|---|
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 0.1 mg/m3 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2021年版) | 許容濃度: 0.01 mg/m3(ニッケル化合物(総粉じん),水溶性) | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 0.1 mg/m3(水溶性ニッケル化合物、Niとして) | |||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。 作業場では全体換気を行う。 設備は可能であれば密閉系とし局所排気装置を用いる。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 作業者が粉塵に暴露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 黄橙色(無水)、緑(六水和物) | ||
臭い | 無臭 | ||
融点/凝固点 | 1001 ℃(GESTIS(2022)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 973 ℃(昇華、潮解)(PubChem(2022)) | ||
可燃性 | 不燃性(GESTIS(2022)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | データなし | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | >140 ℃(GESTIS(2022)) | ||
pH | 約4(酸性)(PubChem(2022)) | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 642 g/l(20℃、無水)(GESTIS(2022)) 水: 2540 g/l(20℃、六水和物)(GESTIS(2022)) エタノール、水酸化アンモニウムに可溶(PubChem(2022)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | 1 mm Hg(671℃(固体))(PubChem(2022)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 3.55 g/cm3(無水)(GESTIS(2022)) 1.92 g/cm3(六水和物)(GESTIS(2022)) 3.51 (PubChem(2022)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる。 | ||
危険有害反応可能性 | 不燃性。アルカリ金属、過酸化物と危険な反応をする可能性がある。加熱して分解すると、塩化水素の非常に有毒なガスを放出する。 | ||
避けるべき条件 | 熱 | ||
混触危険物質 | アルカリ金属、過酸化物 | ||
危険有害な分解生成物 | 塩化水素 |
11.有害性情報 | ||||
---|---|---|---|---|
急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分3とした。なお、塩化ニッケル換算値に基づき分類結果を変更した。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。 【根拠データ】 (1)ラット(雌)のLD50(塩化ニッケル六水和物(CAS番号:7718-54-9)):210 mg/kg(塩化ニッケル換算:115 mg/kg)(NITE初期リスク評価書(2017)、CERI有害性評価書(2008)) (2)ラット(雄)のLD50(塩化ニッケル六水和物):175 mg/kg(塩化ニッケル換算:95.4 mg/kg)(NITE初期リスク評価書(2017)、CERI有害性評価書(2008)) (3)ラット(雌)のLD50(塩化ニッケル六水和物):500 mg/kg(塩化ニッケル換算:273 mg/kg)(OECD TG 425)(AICIS IMAP(2014)、EU EFSA(2018)) 【参考データ等】 (4)本物質はEU CLHにおいて、区分3に分類されている。 | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分2とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。旧分類とEUで急性毒性(経口)のGHS区分に差異があったため、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。 【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLC50(塩化ニッケル六水和物(CAS番号:7718-54-9)、4時間):0.593 mg/L(塩化ニッケル換算:0.323 mg/L)(OECD TG 403、GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (2)ラット(雌)のLC50(塩化ニッケル六水和物、4時間):0.746 mg/L(塩化ニッケル換算:0.407 mg/L)(OECD TG 403、GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 動物を用いた試験データはないが、ヒトにおける刺激性閾値として、塩化ニッケル水溶液濃度が閉塞系で1 %、非閉塞系で10 %としている(EHC No. 108, 1991)こと、EU分類においてはXi; R38に分類されていることから区分2とした。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | データなし。 | |||
呼吸器感作性 | EU分類R42/43 でありEU-Annex I(access on Jan. 2009)、ニッケルないしニッケル化合物として日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で気道感作性物質(第2群)に、DFG(MAK/BAT No43(2007))で気道感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 | |||
皮膚感作性 | モルモットを用いたマキシマイゼーション試験およびポラック法で感作性を示し(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)、U分類R42/43 であり、ニッケルないしニッケル化合物として日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で皮膚感作性物質(第1群)に、DFG(MAK/BAT No43(2007))で皮膚感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 | |||
生殖細胞変異原性 | ラットおよびマウスの優性致死試験(EHC 108(1991))、マウスの骨髄細胞を用いた2つの小核試験(EHC 108(1991))の結果は陰性であることに基づき区分に該当しないとした。なお、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験とマウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験は陽性(IARC 49(1990; ATSDR(2005)である。In vitro変異原性試験;チャイニーズハムスターV79細胞、CHOAS52細胞を用いる突然変異試験で陽性、CHO細胞を用いる突然変異試験で陰性、マウスのリンパ球細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性、エームス試験陰性、CHO細胞を用いた染色体異常試験において陽性結果が確認されている(IARC 49, 1990; ATSDR, 2005; EHC No. 108, 1991; ECETOC TR. 33, 1989)。そしてFm3Aマウス乳癌細胞を用いた染色体異常試験(IARC 49, 1990; EHC No. 108, 1991)。ヒト末梢血リンパ球細胞を用いた染色体異常試験(EHC No. 108, 1991)において陽性結果が確認されている。 | |||
発がん性 | IARC(1990)でグループ1(IARC 49(1990))、EUはカテゴリー1(EU-Annex I(2009))、日本産業衛生学会では第1群(産衛学会勧告(2008))、NTPではK(NTP RoC(11th, 2005))に分類していることより区分1Aとした。また、ラットの筋肉内投与試験においては腫瘍形成が見られなかったが(IARC vol. 49, 1990)、雄ラットの経口投与試験において本物質が腎臓がんのプロモーターであると結論付けられており(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)、雌ラットの腹腔内投与試験においても32 匹中4 匹に腹部腫瘍が確認されている(1 匹は腹膜中皮腫、3 匹は肉腫; NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)。なお、可溶性無機ニッケルをACGIHはA4(ACGIH(2001))に分類している。 | |||
生殖毒性 | 雌マウスの経口投与試験における自然流産の増加(ATSDR, 2005)、雌ラットの経口投与試験における胚死亡率の増加(IARC No. 49, 1990)、仔動物の小型化、そして出産前および新生仔死亡率の増加(EHC No. 108, 1991)、ラットの腹腔内投与試験における水頭、水腎、心臓欠損などの催奇形性(IARC No. 49, 1990)などが見られている。親動物で一般毒性が発現しない用量で明確な仔動物への生殖毒性が見られることから区分1Bとした。なお、EU分類においてはRepr. Cat 2; R61に区分されている。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | ラットの吸入暴露試験において「気管支の過形成およびそれに伴う気管上皮細胞におけるリンパ球の浸潤」が起こった(EHC No. 108, 1991)とあるが投与時間が不明で分類できない。ラットの経口投与試験においてガイダンスの区分2に相当する430 mg/kg(雄), 529 mg/kg(雌)の用量で「興奮、運動量の増加に続き、神経系の機能低下を起こした。」とある(ECETOC TR33, 1989)ことより区分2(神経系)とした。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ラットの90日間経口投与試験において、ガイダンスの区分2に相当する35 mg/kg/日の投与群で雌(10/25 匹)、雄(7/25 匹)に肺胞マクロファージの肺胞内蓄積に特徴付けられる肺の炎症及びII型肺胞上皮細胞の萎縮がみられたことから(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)区分2(肺)とした。また、ラットの77日間経口投与による学習能力試験においてガイダンスの区分2に相当する20 mg Ni/kg/day投与群は対照群に比較し、レバーを押す割合が少なかったとされている。著者によると、レバーを押す頻度の低下は、ニッケルによる基本的な知覚の低下、協調運動作用の低下、または動機達成意欲の阻害に基づくとしている(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)。また、ラットの90日間経口投与試験においてガイダンスの区分2の上限」である100 mg/kg/dayの濃度において試験終了までに100 %の死亡および症状として雌雄ともに毛先端脱色、流涎、協調運動失調、不規則呼吸、体温低下、嗜眠がみられた(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0 No. 115, 2008)こと、さらに既存分類として、ACGIHでは可溶性無機ニッケルとして中枢神経系への影響を示唆している(ACGIH TLV-Basis-Critical Effects: Central Nervous System; ACGIH-TLV, 2004)ことから区分2(中枢神経系)とした。 | |||
誤えん有害性* | データなし。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 甲殻類(ネコゼミジンコ属)の48時間LC50 = 0.013 mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 急性毒性が区分1、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。 | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3288 | |||
品名(国連輸送名) | 毒性固体(無機物)、n.o.s. | |||
国連分類 | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | U | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 151 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2、5号) 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業環境評価基準(法第65条の2第1項) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) | |||
化審法 | 優先評価化学物質(法第2条第5項) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 特定第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1、施行令第4条) | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質、優先取組物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)【ニッケル及びその化合物】 | |||
船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1) その他の有害物件 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 |