1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | フッ化水素 | ||
化学品の英語名称 | Hydrogen fluoride | ||
製品コード | R03-B-008-MHLW | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 触媒(重合、加水分解)、冷媒(フロンガス)原料、フッ素樹脂原料、フッ素化合物原料、半導体(高純度)のエッチング用 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 | ||
物理化学的危険性 | 高圧ガス | 液化ガス | |
健康に対する有害性 | 急性毒性(吸入:ガス) | 区分1 | |
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分1 | ||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(呼吸器、心血管系) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(歯、呼吸器、骨、神経系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分3 | |
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ 吸入すると生命に危険 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 呼吸器、心血管系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による歯、呼吸器、骨、神経系の障害 水生生物に有害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 | ||
応急措置 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | フッ化水素 | ||
慣用名又は別名 | 情報なし | ||
英語名 | Hydrogen fluoride | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | HF (20.00) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 7664-39-3 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 1-306 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 | ||
皮膚に付着した場合 | 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:灼熱感。咽頭痛。咳。息苦しさ。息切れ。吐き気。嘔吐。 皮膚:吸収される可能性あり。発赤。痛み。重度の皮膚熱傷。水疱。「吸入」参照。 眼:充血。痛み。重度の熱傷。 経口摂取:口や喉の熱傷。灼熱感。腹痛。嘔吐。ショック/虚脱。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 症状は遅れて現われることがある。肺水腫の症状は、2〜3 時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要であるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。 汚染された衣服を、バッグまたは容器に入れ密閉し、隔離する。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素 大火災:散水、水噴霧、一般の泡消火剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災時に刺激性、腐食性、毒性のガスを発生するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 安全にできるのであれば、火災の場所から損傷していない容器を移動する。 容器内に水を入れてはいけない。 損傷したボンベは、専門家だけが扱うべきである。 消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。 消火後も大量の水を用いて容器を冷却する。 漏洩源や安全装置に直接水をかけてはいけない;凍るおそれがある。 安全弁から音が発生したり、タンクが変色したときは直ちに避難する。 火災に巻き込まれたタンクから常に離れる。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具を着用する。 密閉型防護服を着用する。 防火服は、熱に対する防護はするが、化学物質に対しては限定的である。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 適切な呼吸器用保護具を着用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性が高い不浸透性保護衣を着用する。 耐薬品用保護衣を着用する(火災の危険性がない時)。 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。 流出や漏れている場所から、全ての方向に適切な距離をとる。 必要により、風下に適切な隔離距離をとる。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境汚染を引き起こすおそれがある。 この物質を環境中に放出してはならない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ、漏れを止める。 可能ならば、漏洩している容器を回転させ、液体でなくガスが放出するようにする。 排水溝、下水溝、地下室や閉鎖場所への流入を防ぐ。 漏洩物や漏洩源に直接水をかけない。 蒸発を抑え、蒸気の拡散を防ぐために散水する。 ガスが拡散するまで、その区域は立入禁止とする。 専門家に相談する。 換気。 細かな噴霧水を用いて、ガスを除去する。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 日光から遮断すること。 冷所。 建物内にある場合、耐火設備。 床面に沿って換気。 混触危険物質から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | ハステロイ、ニッケル、鋼、ステンレス鋼 高圧ガス保安法、消防法及び国連危険物輸送勧告モデル規則で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 0.5 ppm | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2021年版) | 最大許容濃度: 3 ppm、2.5 mg/m3(皮) | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 0.5 ppm(Skin) | |||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。 作業場では全体換気を行う。 設備は密閉系とし局所排気装置を用いる。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を着用する。 防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。 -防毒マスクは、日本工業規格(JIS T8152)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 -濃度に対応した酸性ガス用吸収缶を使用する -作業者が粉塵に暴露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 不浸透性手袋の使用を検討すること。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 気体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 刺激臭 | ||
融点/凝固点 | -83.37 ℃(GESTIS(2021)) -83 ℃(ICSC(2017)) -83.57 ℃(PubChem(2021)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 19.5 ℃(GESTIS(2021)、Lewis(2001)) 20 ℃(ICSC(2017)) | ||
可燃性 | 不燃性(ICSC(2017)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | 不燃性(ICSC(2017)) | ||
自然発火点 | 不燃性(PubChem(2021)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | 弱酸(ICSC(2017)) | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水に非常によく溶ける(GESTIS(2021)、ICSC(2017)) ベンゼン: 2.54 wt%(5℃)(PubChem(2021)) トルエン: 1.80 wt%(5℃において)(PubChem(2021)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | 122 kPa(25℃)(ICSCS(2017)) 400 mm(2.5°)(SAX(2000)) 760 mmHg(20℃)(NFPA(2002)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 0.968 g/cm3(沸点での液相密度)(GESTIS(2021)) 0.901 g/L(SAX(2000)) | ||
相対ガス密度 | 0.921 g/L(GESTIS(2021)) 0.7〜2.6 (空気=1)(ICSC(2017)) | ||
粒子特性 | 該当しない |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 不燃性ガス。吸湿性。多くの化合物と激しく反応する。 火災や爆発の危険を生じる。 塩基と激しく反応し、大部分の一般金属に対して腐食性を示して、引火性/爆発性ガスを生成する。 ガラス、ある種のプラスチック、ゴムおよび被覆剤を侵す。 高温に熱せられている物質と接触すると水素ガス(可燃性)を発生する。アルカリ金属、アルカリ土類金属、銀、鉛、亜鉛、水銀、鉄等の金属と反応すると水素ガス(可燃性)を発生する。砂、ガラス、陶磁器のような珪酸を含む物質を激しく腐食する。 | ||
避けるべき条件 | 熱 | ||
混触危険物質 | 塩基、金属類、珪酸を含む物質 | ||
危険有害な分解生成物 | 水素ガス |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。なお、同一CAS番号のフッ化水素酸の分類も参照のこと。 | |||
経皮 | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 (1)より、区分1とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)無水フッ化水素酸フュームの致死濃度は5分で50〜250 ppm以上であるとの報告がある(臨床中毒学 (2009))。 【参考データ等】 (2)ラットのLC50(1時間):966 ppm (4時間換算:483 ppm)(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、US AEGL (2004)、EU RAR (2001)、AICIS PEC (2001)) (3)ラットのLC50(1時間):1,000〜2,300 ppmの間 (4時間換算:500〜1150 ppm)(DFG MAK (2001)) (4)ラットのLC50(1時間):2,229〜2,328 ppmの間 (4時間換算:1114.5〜1164 ppm)(GLP)(EU RAR (2001)) (5)ラットのLC50(1時間):1,276 ppm (4時間換算:638 ppm)(US AEGL (2004)) (6)ラットのLC50(1時間):1,304 ppm (4時間換算:652 ppm)(EU RAR (2001)) | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)より、区分1とした。なお、(1)のデータはミスト換算した値で分類を行った。新たな知見に基づき分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)無水フッ化水素酸フュームの致死濃度は50〜250 ppm(ミスト、4時間換算:0.0008〜0.004 mg/L)以上であるとの報告がある(臨床中毒学 (2009))。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分1とした。 【根拠データ】 (1)フッ化水素及びフッ化水素酸(液体)は皮膚及び粘膜に対し腐食性又は高度刺激性を示す(DFG MAK (2001))。 (2)フッ化水素の経皮ばく露による臨床症状(疼痛、腫脹、水疱、紅斑及び壊死)は、多くの場合数時間後に発症する(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (3)純粋なフッ化水素との皮膚接触による体表の3.6%で2〜3度の火傷をきたし、全身影響(悪心、嘔吐、徐脈、多尿)が発生した(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、AICIS (旧NICNAS) PEC (2001))。 (4)本物質は、平成8年労働省告示第33号(平成25年厚生労働省告示第316号により改正)において、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)に「弗化水素酸(弗化水素を含む。)」として指定されており、本物質にさらされる業務による、特定の症状又は障害を主たる症状又は障害とする疾病(皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害)が、業務上の疾病として定められている。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分1とした。 【根拠データ】 (1)皮膚腐食性/刺激性で区分1である。 (2)2名の男性ボランティアに0.026、0.05および0.1 mg/l (32, 61及び122 ppm) の濃度のフッ化水素を非常に短い期間曝露された。122 ppmの吸入では、1分以内に著しい結膜および呼吸器の刺激を引き起こし、皮膚障害をきたした。61 ppmでは、目と鼻の刺激が顕著であったが、皮膚障害はみられなかった。目と鼻の刺激は32 ppmでは軽度であり、不快感を伴ったが許容された。すべての濃度で、気道の刺激と口内の酸味があった(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (3)本物質は、平成8年労働省告示第33号(平成25年厚生労働省告示第316号により改正)において、労働基準法施行規則別表第一の二第四号1の厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)に「弗化水素酸(弗化水素を含む。)」として指定されており、本物質にさらされる業務による、特定の症状又は障害を主たる症状又は障害とする疾病(皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害)が、業務上の疾病として定められている。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分に該当しない。 【参考データ等】 (1)In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(吸入ばく露、1 mg/m3、1ヵ月間(6時間/日、5日/週))で陽性(高倍数性)、マウスを用いた優性致死試験で陰性の報告がある(ACGIH (2005)、産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、EU RAR (2001) 、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験で陰性の報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020)、EU RAR (2001) 、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (3)(1)のin vivo試験 (ラット骨髄細胞の染色体異常試験、マウスの優性致死試験) の結果からは結論できない。染色体異常試験(高倍数性で見られた)の陽性は分裂後期の細胞で異常が見られたものである。しかし、フッ素イオンはDNAと共有結合せず付加体を形成しないため二次的な影響と考えられ、EUは無機フッ化物はin vivoで染色体損傷を誘発しないと結論した(EU RAR (2001))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(7)より、ヒト及び動物での知見において呼吸器系、心血管系への影響がみられたことから、区分1(呼吸器、心血管系)とした。 【根拠データ】 (1)顔面への本物質の飛散は致命的な肺水腫及び、低カルシウム血症及び低マグネシウム血症を含む全身影響を引き起こすことの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (2)健康な非喫煙男性のボランティア23名に対して、本物質を低ばく露群(0.2〜0.6 mg/m3)、中ばく露群(0.7〜2.4 mg/m3)、高ばく露群(2.5〜5.2 mg/m3)で1時間(最初の45分は安静、残りの15分は自転車エルゴメーターによる75Wの運動)ばく露し、上気道、下気道の刺激症状を0(なし)〜5(非常に強い)の6段階で評価した報告がある。その結果、上気道症状のばく露前とばく露後の得点の差は、低・中ばく露群と比較して高ばく露群で有意に高く、ばく露後4時間後にはほとんどすべての症状が消失したとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (3)ヒトに対して、3.3〜3.9 mg/m3の1時間ばく露による鼻洗浄(NAL)で鼻腔内反応を調査した結果、自覚症状では10名中7名が上気道症状の増悪を認め、好中球増加、アラキドン酸代謝物(PGE2、LTB4)の増加、TNF-αの増加、たんぱく質の増加がみられたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (4)ボランティアに2.5 mg/m3で1時間以上吸入ばく露した場合、気道症状(痒みやヒリヒリ感)の増加がみられ、別の試験では平均1.16 mg/m3の低濃度で、眼、皮膚、鼻粘膜に刺激を生じたとの報告がある。1時間フッ化水素を吸入したヒトボランテイアの気管支肺胞洗浄液を用いた評価では、試験した中レベル(0.7〜2.4 mg/m3)及び高レベル(2.5〜5.2 mg/m3)では炎症の徴候がみられたが、低レベル(≦ 0.6 mg/m3)ではみられなかったとの報告がある(AICIS PEC (2001))。 (5)極めて高濃度のフッ化水素/フッ化水素酸へのばく露により重篤な心血管系影響を引き起こす恐れがある。これは低カルシウム血症と高カリウム血症の組合わせに起因するもので、顔面にフッ化水素酸のしぶきを浴びたヒトが心不整脈を生じた事例があるとの報告がある(ATSDR (2003))。 (6)サルを用いた単回吸入ばく露試験(1時間)において、690 ppm(4時間換算値:345 ppm、区分1の範囲)で呼吸困難、麻痺、流涙、鼻汁、吐き気、くしゃみ、嘔吐がみられた。なお、LC50は1,774 ppmとされ、剖検では大量の肺出血及び浮腫がみられたとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (7)ウサギを用いた単回吸入ばく露試験において、23 ppm(区分1の範囲)で心筋の壊死及びうっ血がみられたとの報告がある(ACGIH (2005)、ATSDR (2003))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)より、ヒトの知見において骨及び歯への影響が考えられ、(2)〜(4)より、動物での知見において歯、呼吸器、骨、神経系への影響がみられたことから、区分1(歯、呼吸器、骨、神経系)とした。 【根拠データ】 (1)ヒトにおいて、フッ素は骨及び歯芽に蓄積し、高レベルのフッ化物及びフッ化水素への慢性ばく露により、骨フッ素症が発生するとの報告がある(産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由書 (2020))。 (2)ラットを用いた1ヵ月間反復吸入ばく露試験(6時間/日)において、1.2 ppm(90日換算:0.286 ppm、区分1の範囲)で歯のエナメル質の損傷、気管支粘膜の萎縮と局所の浮腫(若齢)、肺に気管支周囲の過形成(高齢)、12か月齢の動物では不規則な骨小腔の形成がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (3)ラットを用いた91日間反復吸入ばく露試験(GLP、6時間/日、5日/週)において、10 ppm(7.14 ppm、区分1の範囲)で顕著な体重減少、眼の赤い分泌物、被毛粗剛等症状、歯の不正咬合がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。 (4)ラットを用いた5ヵ月間反復吸入ばく露試験において、0.03 ppm(区分1の範囲)で条件反射の低下、刺激後の運動神経反射が起こるまでの潜伏時間の延長が、0.1 ppm(区分1の範囲)で神経細胞シナプスの組織学的変化がみられたとの報告がある(ATSDR (2003))。 【参考データ等】 (5)フッ化水素及びフッ化物のダストにばく露された作業者には早発性骨フッ素症がみられたとのいくつかの証拠がある。これらの研究ではフッ素のばく露レベルとの関係が十分に特徴づけられておらず、大部分の研究で骨の線維化の診断に関して不確実性があるとの報告がある(ATSDR (2003))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 甲殻類(ヨコエビ)96時間EC50(遊泳阻害)= 73.3 mg/L[38.28 mgF/L 換算値](ECETOC TR91:2003)であることから、区分3とした。なお、分類にはフッ化ナトリウムのデータを使用した。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 水中での挙動は不明であるが、対水溶解度が自由混和であり、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖)= 7.1 mg/L[3.7 mgF/L 換算値](NICNAS PEC:2001), EU RAR:2001)、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(速度法)=> 402 mg/L[210 mgF/L 換算値](環境省生態影響試験:2017)、魚類(メダカ)の28日間NOEC(初期生活段階試験)=>8.6 mg/L[NaF:9.9 mg/L 換算値](環境省生態影響試験:2017)であることから、区分に該当しないとした。なお、分類にはフッ化ナトリウムのデータを使用した。 | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1052 | |||
品名(国連輸送名) | フッ化水素(無水物) | |||
国連分類 | 8 | |||
副次危険 | 6.1 | |||
容器等級 | T | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、消防法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、消防法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 125 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質、特定第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2、3号 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9) 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業環境評価基準(法第65条の2第1項) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
毒物及び劇物取締法 | 毒物(法第2条別表第1) | |||
消防法 | 貯蔵等の届出を要する物質(法第9条の3・危険物令第1条の10五別表1−8・平元省令2号)【ふっ化水素】 | |||
水道法 | 有害物質(法第4条第2項)【フッ素及びその化合物】 水質基準(平15省令101号)【フッ素及びその化合物】 | |||
大気汚染防止法 | 有害物質 (法第2条第1項3、政令第1条) 特定物質 (法第17条第1項、施行令第10条)【弗化水素】 有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条) | |||
土壌汚染対策法 | 第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条) | |||
下水道法 | 水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【ふっ素及びその化合物】 | |||
船舶安全法 | 腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)(フッ化水素(無水物)) | |||
航空法 | 腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)(フッ化水素(無水物)) | |||
港則法 | その他の危険物・腐食性物質(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)(フッ化水素(無水物)) | |||
高圧ガス保安法 | 毒性ガス(一般高圧ガス保安規則第2条2)(その他のガス) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 |