1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | 塩化コバルト(II) | ||
製品コード | H30-C-050-MHLW | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 触媒・塗料・顔料・インキ乾燥剤用原料,メッキ薬,医薬(パッチテスト貼付剤),毒ガス吸収剤 |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H31.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | - | |||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分3 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 区分2 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分2 | |||
呼吸器感作性 | 区分1 | |||
皮膚感作性 | 区分1 | |||
生殖細胞変異原性 | 区分2 | |||
発がん性 | 区分2 | |||
生殖毒性 | 区分1B | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(中枢神経系、消化管、肝臓、腎臓)、区分3(気道刺激性) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系)、区分2(精巣) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | ||
水生環境有害性(長期間) | 区分1 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 皮膚刺激 強い眼刺激 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 遺伝性疾患のおそれの疑い 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 中枢神経系、消化管、肝臓、腎臓の障害 呼吸器への刺激のおそれ 長期にわたる又は反復ばく露による神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系の障害 長期にわたる又は反復ばく露による精巣の障害のおそれ 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 取扱い後は...よく洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である (このラベルの...を見よ)。注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣服を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚刺激または発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ばく露またはばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当を受けること。 気分が悪いときは、医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | |||
保管 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 二塩化コバルト(II) | ||
別名 | 塩化コバルト 塩化コバルト(II) 塩化第一コバルト Cobalt and cobalt compounds Cobalt chloride (CoCl2) Cobalt dichloride Cobalt muriate Cobalt(II) chloride Cobaltous chloride Cobaltous chlride | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | Cl2Co (129.84) | ||
化学特性 (示性式又は 構造式) | |||
CAS番号 | 7646-79-9 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 1-207 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び 安定化添加物 | - |
4.応急措置 | 「2.危険有害性の要約」における応急措置も確認すること。 | ||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 データなし | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | データなし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤、乾燥砂類 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状放水 | ||
特有の危険有害性 | 不燃性であり、それ自身は燃えないが、加熱されると分解して、腐食性及び/ 又は毒性の煙霧を発生するおそれがある。 火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。 | ||
特有の消火方法 | 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 適切な空気呼吸器、防護服( 耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び 緊急措置 | 情報なし | ||
環境に対する注意事項 | 情報なし | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 漏洩物を掃き集めて空容器に回収し、後で廃棄処理する。 水で湿らせ、空気中のダストを減らし分散を防ぐ。 プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に使用説明書を入手すること。 すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 粉じん、蒸気、スプレー、ヒュームをしないこと。 飲み込まないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 | ||
接触回避 | 「1 0 .安定性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 情報なし | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 容器を密閉して冷乾所で保管すること。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | データなし |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | コバルトとして0.02 mg/m3 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2019年度版) | 許容濃度: 0.05 mg/m3、コバルト及びその化合物 | ||
ACGIH(2019年度版) | TLV-TWA: 0.02 mg/m3、コバルトとして | ||
設備対策 | この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 ばく露を防止するため、装置の密封または局所排気設備を設置すること。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 粉末,淡青色 (空気や湿気にばく露するとピンクになる。) (ICSC (2013)) | ||
臭い | 鋭いにおい (HSDB(2015)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | データなし | ||
pH | データなし | ||
融点・凝固点 | 737℃ (Lide (version 2010)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 1,049℃ (Merck (15th, 2013)) | ||
引火点 | 不燃性 (GESTIS (2015)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | データなし | ||
蒸気圧 | 10 kPa (75 mmHg) (818℃) (HSDB (2015)) | ||
蒸気密度 | データなし | ||
比重(相対密度) | 3.367 (25℃/4℃) (Merck (15th, 2013)) | ||
溶解度 | 水:56.2g/100g (25℃) (Lide (version2010)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log P = 0.85 (ICSC (2013)) | ||
自然発火温度 | 不燃性 (GESTIS (2015)) | ||
分解温度 | 400(長時間) ℃(HSDB(2015)) | ||
粘度(粘性率) | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | データなし | ||
危険有害反応可能性 | 加熱により分解する。 アルカリ金属との接触で爆発を生じる危険性を有する。 | ||
避けるべき条件 | データなし | ||
混触危険物質 | データなし | ||
危険有害な分解生成物 | 加熱による分解で有毒な塩化水素のヒュームを生じる。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値として、80 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013))、93.4 mg/kg (CICAD 69 (2006)、ATSDR (2004))、161.1 mg/kg (ATSDR (2004))、418 mg/kg (CICAD 69 (2006))、418 mg/kg (環境省リスク評価第11巻 (2013)) との5件の報告がある。3件が区分3に2件が区分4に該当するので、最も多くのデータが該当する区分3とした。今回の調査で入手した情報を追加し、区分を見直した。 | ||
経皮 | データ不足で分類できない。なお、ラットのLDLo値として、2,000 mg/kg (RTECS (Access on September 2015)) との報告があるが、List 3の情報であり、原著による確認ができなかったため、分類には採用しなかった。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 本物質はヒトの皮膚に対して刺激性を持つ (HSDB (Access on September 2015)) との記載があることから区分2とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 本物質は眼を刺激するとの記載があることから (環境省リスク評価第11巻 (2013)、HSDB (Access on September 2015))、区分2とした。 | ||
呼吸器感作性 | 本物質の職業ばく露において本物質ばく露による喘息の報告が複数ある (DFGOT vol.23 (2007))。また、日本産業衛生学会はコバルト化合物として気道感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、感作性に関わる全ての物質が同定されているわけではないとの記載がある (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。本物質はEU CLP分類において「Resp. Sens. 1 H334」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 | ||
皮膚感作性 | モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において本物質適用による感作性がみられたとの報告や (DFGOT vol.23 (2007))、ヒトへのパッチテストで陽性結果が複数報告されている (DFGOT vol.23 (2007))。また、日本産業衛生学会はコバルト化合物として皮膚感作性第1群としている (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。以上から区分1とした。なお、感作性に関わる全ての物質が同定されているわけではないとの記載がある (日本産業衛生学会 許容濃度の勧告 (2015))。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。本物質はEU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。 | ||
生殖細胞変異原性 | In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、染色体異常試験で陽性 (CICAD 69 (2006)、DFGOT vol. 23 (2007))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、ヒト培養リンパ球の小核試験でいずれも陽性である (DFGOT vol. 23 (2007))。以上より、in vivo体細胞変異原性試験で陽性であり、ガイダンスに従い、区分2とした。 | ||
発がん性 | 本物質を含む可溶性コバルト化合物のヒトでの発がん性に関する情報はない。実験動物では本物質粉末 (塩化コバルト) をラットに40 mg/kgで9日おきに5回皮下注射し、12ヶ月後の剖検で、皮下に線維肉腫の発生を認めたとの結果、また、水溶性コバルト化合物を用いた発がん性評価として、硫酸コバルト・7水和物をラット、又はマウスに2年間吸入ばく露した発がん性試験において、いずれの種、性でも肺胞/細気管支の腺腫、又はがんの発生頻度に用量依存的な増加が認められた (IARC 86 (2006)) ことから、IARCは実験動物では発がん性の十分な証拠があると結論し、コバルト及びコバルト化合物全体の発がん性を「グループ2B」に分類した (IARC 52 (1991))。また、2006年の再評価では、硫酸コバルト及び他の可溶性コバルト(II) 塩類に対し、グループ2Bとした (IARC vol. 86 (2006))。この他、ACGIH がコバルト (金属元素及び無機化合物) に対し「A3」に、日本産業衛生学会がコバルト及びコバルト化合物に対し「2B」に分類している (ACGIH (7th, 2001))。以上より、分類ガイダンスに従い、本項は区分2とした。なお、EUは本物質の分類を「Carc. 1B」とし、SVHC指定の根拠とされている (ECHA Candidate List of substances of very high concern for Authorisation (Access on September 2015))。 | ||
生殖毒性 | 【分類根拠】 実験動物データも本物質自体の生殖影響に関する情報は限られているが、本物質投与に関連した毒性影響は生体に吸収後のコバルトイオンに起因するものと考えられる。したがって、他の水溶性コバルト化合物の情報も本分類に利用することとした。ヒトへの影響については、(5)のように塩化コバルトの催奇形性は認められないと報告されている。(1)、(3)、(4)より水溶性コバルト化合物は雄に精巣毒性及び精子への有害影響を生じ、雌を受胎させる能力(授精能)を低下させる。(2)から、母動物に顕著な毒性がない用量でラット、マウスに胎児毒性及び催奇形性を生じる報告がある。以上、本物質を含む水溶性コバルト化合物では経口経路で雄生殖器官への有害影響や授精能の低下、並びに母動物毒性のない用量で催奇形性を示すことが報告されているため、本項は区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)硫酸コバルト・七水和物(CAS:10026-24-1)をマウスに13週間吸入ばく露した試験では、3 mg/m3以上で精子の運動性低下、30 mg/m3で精巣及び精巣上体重量減少、異常精子の比率の増加が認められた(環境省リスク評価第11巻(2013)、NICNAS IMAP(Accessed Oct. 2018))。 (2)硫酸コバルト(II)(CAS:10124-43-3)を妊娠ラットに妊娠期間を通して強制経口投与した結果、母動物に軽微な影響(肝臓、副腎、脾臓の相対重量増加)がみられた100 mg/kg/dayよりも低い用量(25, 50 mg/kg/day)で、胎児の体重低値に加え、骨格・内臓の発達遅延、奇形(主に頭蓋、脊柱、腎盂、尿細管、卵巣、精巣に奇形)の増加がみられた。本物質50 mg/kg/dayを妊娠マウスの器官形成期(妊娠6〜15日)に強制経口投与した場合も、胎児に骨格の発育遅延、奇形(主に眼瞼、腎臓、頭蓋、脊椎)発生率の増加がみられた(環境省リスク評価第11巻(2013))。 (3)本物質を雄マウスに12週間飲水投与後に無処置雌と交配させた結果、200 ppm(25 mg/kg/day)以上で吸収胚数及び生存胎児数減少、400 ppm(47 mg/kg/day)以上で妊娠雌数及び着床部位数の減少が認められた。雄には精巣・精巣上体等の重量減少、精巣及び精巣上体における精子数の減少、精子形成能の低下が認められており、妊娠雌数の減少は雄の授精能の低下に起因すると考えられている(環境省リスク評価第11巻(2013)、NICNAS IMAP(Accessed Oct. 2018)、厚労省初期リスク評価書(2009))。 (4)本物質を雄マウスに72 mg Co/kg/dayで10週間飲水投与後に無処置雌と交配させた結果、投与群では妊娠動物数の減少、1腹当たりの生存胎児数の減少、及び同着床前死亡の増加がみられた。以上の結果は、雄の精子濃度の減少による受精率の低下による影響と考えられた。飲水投与し交配後の雄を6週間休薬させた回復群では、精子濃度は回復しなかったが、精子の運動量及び運動速度は正常レベルまで回復した(厚労省初期リスク評価書(2009))。 【参考データ等】 (5)ヒトにおける催奇形性は認められないとの報告、また出産時に抗貧血剤として塩化コバルトを服用した女性から産まれた新生児に臨床学的な変化は認められなかったとの報告がある(厚労省初期リスク評価書(2009))。 (6)EU CLPではRepr. 1Bに分類されている。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | 本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。ヒトにおいては、約1.7 mgを摂取した6歳男児の症例報告で、ばく露7時間後に好中球減少症 (neutropenia) が報告されている (ATSDR (2004))。実験動物では、ラットの経口投与 (区分1相当の用量) で、自発運動低下、筋緊張低下、接触応答低下、呼吸数減少、肝臓、腎臓、胃腸管への影響、死亡 (死亡原因は不明との記載) がある (ATSDR (2004))。その他、動物種や用量は不明ながら、経口投与で鎮静、下痢、体温低下、また、モルモットの吸入ばく露 (用量不明) で、肺出血、肺水腫、死亡の報告がある (IARC 52 (1991))。 ヒトにおける好中球減少症は1例の所見であるため、血液系への影響は採用しなかった。 以上より、本物質は気道刺激性の他、実験動物の所見から中枢神経系への影響、肝臓、腎臓、消化管への影響が考えられ、区分1 (中枢神経系、消化管、肝臓、腎臓)、区分3 (気道刺激性) とした。 なお、旧分類のHSDB (2004) の所見が記載されており、「子供に赤血球の生成の抑制によるチアノーゼ、昏睡及び死に至るとの記述」、及び「本物質による影響には胸骨●に痛み、耳鳴り、吐き気及び嘔吐、神経性難聴、気管圧迫を伴う甲状腺過形成、粘液水腫、倦怠感などが記述」 いずれの文献もtherapenticsとの記載があることから、ヒトの治療事例と推察され、単回ばく露の対象とはしなかった。 旧分類の区分を見直した。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | ヒトにおいて、貧血の治療用に本物質、又は硫酸コバルトを投与した際の過剰障害として、神経系 (食欲不振、吐き気、耳鳴り、難聴、神経障害)、甲状腺 (甲状腺腫、甲状腺へのヨウ素の取り込み阻害) への影響、ボランティアに本物質を経口投与した結果、赤血球系の造血亢進がみられた他、自覚症状として頭痛、腹部不快感の主訴が多かった (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)) との報告がある。また、かつてビールの泡の安定化目的で、硫酸コバルトが添加されており、多量にコバルトを含むビールの大量消費者に心筋症による死亡例が報告され、コバルトの心筋障害作用が懸念され (CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001))、コバルトの添加制限を行うことにより、心筋症の発生、それによる死亡例は消失したとされる (環境省リスク評価第11巻 (2013))。以上より、ヒトでの本物質を含む可溶性コバルト化合物の反復ばく露による標的臓器として、神経系、心血管系、甲状腺、血液系が挙げられる。 実験動物ではラットに本物質を7ヶ月間強制経口投与した試験において、0.5 mg/kg/day以上の用量で、赤血球数及びヘモグロビン量の増加が認められている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。また、本物質の6水和物をラットに8週間強制経口投与した試験でも血液影響がみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。この他、硫酸コバルト7水和物のラット、又はマウスを用いた13週間、又は2年間吸入ばく露試験において、ラット、マウスともに0.3 mg/m3の低濃度から、呼吸器に炎症性組織変化がみられ、ラット13週間ばく露では、加えて血液影響 (多血症、血小板数減少、網状赤血球数増加) もみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。この他、雄マウスに本物質を200〜800 ppmの濃度で12週間飲水投与した試験で、400〜800 ppm (43〜96 mg/kg/day: 区分2相当) で精巣重量減少、精巣上体精子数の減少、精子形成能の低下、精細管及び間質組織の変性がみられた (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006)) との報告がある。以上より、実験動物での本物質を含む可溶性コバルト化合物の標的臓器は呼吸器、血液系、精巣と考えられ、精巣は区分2、他は区分1の用量範囲での影響であった。 以上、ヒト及び実験動物での本物質を含む可溶性コバルト化合物の反復ばく露影響に関する情報に基づき、本項は区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系)、区分2 (精巣) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 単子葉植物(コウキクサ)7日間EC50 (生長、湿重量) = 212 μgCo/L(換算値:0.47 mg CoCl2/L相当)(環境省リスク評価第11巻, 2013)であることから、区分1とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 慢性毒性データを用いた場合、金属で水中での挙動が不明であり、魚類(ゼブラフィッシュ)の16日間NOEC (生存) = 0.06 mg Co/L(換算値:0.13 mg CoCl2/L)(CICAD 69, 2006)であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、金属で水中での挙動が不明であり、甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50 = 1110 μgCo/L(換算値:2.4 mg CoCl2/L相当)(環境省リスク評価第11巻, 2013)であることから、区分2となる。 以上の結果を比較し、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | データなし |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3288 | |||
国連品名 | TOXIC SOLID, INORGANIC, N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | I | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及び IBCコードによるばら積み 輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 化学品を扱う場合の一般的な注意として、輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 151 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emergency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 特定化学物質(第二類物質) 名称等を表示し、又は通知すべき危険物及び有害物(法第57条、施行令第17条別表第3第1号並びに施行令第18条及び第18条の2別表第9) 作業環境評価基準(法第65条) | |||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質(中央環境審議会第9次答申) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |