| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | 四塩化チタニウム | ||
| 化学品の英語名称 | Titanium tetrachloride | ||
| 製品コード | R06-A-024-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 金属チタン原料,酸化チタン(顔料,電子部品)・窒化チタン(化学蒸着用)・有機チタン原料,触媒(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
| 急性毒性 (吸入: 蒸気) | 区分1 | ||
| 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | ||
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(呼吸器) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(呼吸器) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | - | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | - | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 吸入すると生命に危険 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 呼吸器の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | 四塩化チタニウム | ||
| 慣用名又は別名 | 塩化チタン(IV) | ||
| 英語名 | Titanium tetrachloride | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | Cl4Ti (190) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 7550-45-0 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 1-262 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる 半座位。呼吸が止まっている場合は、呼吸補助具(蘇生バッグなど)や口鼻蘇生法で人工呼吸を行う。口対口蘇生法は緊急事態の場合にのみ行う。医師に連絡すること。 以上、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 直ちに皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで少なくとも10〜20分間洗浄する。 以上、ICSC参照。 | ||
| 眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 口をすすぎ、液体を吐き出す。 無理に吐かせないこと。 以上、ICSC参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 急性影響: 本物質は眼、皮膚および気道に対して、腐食性を示す。 経口摂取すると、腐食性を示す。 蒸気を吸入すると、肺水腫を引き起こすことがある。これらの影響は、遅れて現われることがある。医学的な経過観察が必要である。 慢性的な影響: 肺および気道に影響を与えることがある。 機能障害を生じることがある。 以上、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 周辺の火災時には、適切な消火剤を使用する。 火災時:水を噴霧して容器類を冷却する。 以上、ICSC参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 周囲の火災に含まれると、有害物質(塩化水素 )が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 不燃性である。消火対策は、周囲の状況に合わせて選択すること。 周囲火災の場合:可能であれば、容器を危険区域から移動する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 影響を受ける周囲に警告すること。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 こぼれた液体は吸収剤(珪藻土、バーミキュライト、砂など)で吸収し、規制に従って廃棄すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼ること。 適切な材料: ガラス、鋼 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | この物質を環境中に放出してはならない。 水は使用しない。 こぼれた物質を密閉式容器内に収集する。 残留液を、乾燥砂または不活性吸収剤に吸収させる。 少量の物質の収集:氷冷した10%ソーダ灰汁に攪拌しながら残留物を慎重に滴下する。塩溶液の収集容器に入れるか、pH値を6〜8に調整するか、無機残留物や重金属塩とその溶液の収集容器に入れる。 収集容器にはラベル付けすること。 個人用保護具:自給式呼吸器付完全保護衣 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 作業場を清潔で乾燥した状態に保つこと。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 しぶきを避けること。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 混触危険物質と一緒に輸送しないこと。 電気器具は、腐食のリスクが高いため、定期的に点検すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質 ガス 可燃性液体 可燃性固体 自然発火性物質 水と接触した可燃性ガスを放出する物質 強酸化性物質 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 眼に入った場合は、影響を受けた眼を洗い流す。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 容器にはラベルを貼付すること。 できるだけ元の容器に保管すること。 小さな容器は、収集浴槽付きのキャビネットに保管すること。 本物質は吸湿性のため、湿気から保護すること。 容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所で保管すること。 以上、ICSC参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | TLV-C 0.5ppm (as HCl) | |||
| 設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 作業場での洗浄設備を設置する。 本物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーを設置すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管すること。 布製または革製の手袋はまったく不適切です。 次の材料は、保護手袋に適している(透過時間>= 8時間):天然ゴム/天然ラテックス-NR(0.5 mm)(非粉末およびアレルゲンフリー製品を使用)、ポリクロロプレン-CR(0.5 mm)、ニトリルゴム/ニトリルラテックス-NBR(0.35 mm)、フッ素樹脂ゴム-FKM(0.4 mm) 次の材料は、劣化、重度の腫れ、または浸透時間の低さから保護手袋には適していない。 ブチルゴム - ブチル、ポリ塩化ビニル - PVC 記載されている時間は、22°Cでの測定と一定の接触によって示唆されている。温められた物質や体温などによる温度の上昇や、膨張による有効層厚の弱化により、ブレークスルータイムが大幅に短縮される可能性がある。層の厚さが1.5倍に増減すると、ブレークスルー時間が2倍/半減する。このデータは純物質にのみ適用される。物質の混合物に転写すると、これらの数値は配向の補助としてのみ適用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 液体 | ||
| 色 | 無色〜黄色 | ||
| 臭い | 刺激的な酸臭 | ||
| 融点/凝固点 | -24.1 ℃ (HSDB in PubChem(2024)) -30 ℃ (ホンメル(1991)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | 136.4 ℃ (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 可燃性 | 不燃性 (ICSC (2004)) | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | 0.079 cP (粘度) (HSDB in PubChem(2024)) 0.8 mPa.s (20℃) (GESTIS(2024)) | ||
| 溶解度 | 水:冷水に可溶で、温水では分解する (MOE初期評価第7巻:暫定的有害性評価シート(2009)) 有機溶剤:可溶 (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
| 蒸気圧 | 12 hPa (20℃) (ECHA CHEM(2024)) 9.6 mmHg (22℃) (MOE初期評価第7巻:暫定的有害性評価シート(2009)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.726 g/cm3 (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 相対ガス密度 | 6.55 (空気=1) (ホンメル(1991)) | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 不燃性である。他の使用する物質に応じて、火災および爆発防止対策を選択すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 加熱により分解する。 不燃性物質。 物質は危険な反応を示す可能性がある: アンモニア、水、アルコール、フッ化水素、尿素、テトラヒドロフラン、金属 物質は重合触媒として反応する可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 空気の存在下で加熱すると分解し、自然発火することがある。 火災時に、 塩化水素などの刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 水と 激しく反応する。熱および塩化水素などの腐食性のフュームを生じる。 空気と接触すると、塩酸が発生する。 水の存在下で、多くの金属を侵す。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 混触危険物質 | 接触すると爆発の危険性: カリウム 以上、GESTIS参照。 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | 【分類根拠】 (1)、(2)より区分3とした。 【根拠データ】 (1)ラットのLD100:464 mg/kg (ACGIH (2020)、MOE初期評価第8巻 (2010)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024)) (2)本物質は国連危険物輸送勧告においてClass 6.1(毒物)に分類されている (国連危険物輸送勧告 (改訂23版) (2023))。 | |||
| 経皮 | 【分類根拠】 (1)より区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。 【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:3160 mg/kg (ACGIH (2020), MOE初期評価第8巻 (2010), ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024)) | |||
| 吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 | |||
| 吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 (1)より区分1とした。LC50値が飽和蒸気圧濃度の90%より低いことから、ガスの基準値に基づき分類した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50 (4h):0.46 mg/L (60 ppm) (ACGIH (2020)、ATSDR(1997)、US AEGL (2007)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024)) 【参考データ等】 (2)本物質は水分と接触すると加水分解を起こして発熱し、塩化水素(CAS RN: 7647-01-0)及び水酸化チタン(CAS RN: 12651-23-9)を生じる。ラットを用いた試験では、本物質は塩化水素よりも強い毒性を示すと報告されており、そのメカニズムとして、微粒子状の酸塩化物中間体の関与が示唆されている。そのため、本物質の吸入によって引き起こされる肺の損傷は、塩化水素の生成のみによるものではないと推察されている(US AEGL (2007)、ATSDR (1997))。 (3)相対湿度が30%から95%超(25℃)の条件下で、6〜110 ppmの濃度の本物質にラットを4時間ばく露した試験で、 相対湿度が30〜35%で0.296 mg/L (38 ppm) で6/6例が死亡した。四塩化チタンと空気中の水分の反応による加水分解生成物の生成増加により致死毒性が高まった (ACGIH (2020)、US AEGL (2007)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質は皮膚腐食性物質と判断され、区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質ばく露による作業者の事故例の3例の報告があり、いずれもばく露後に水を噴霧され、化学的および熱的皮膚損傷を負った。腐食性・熱性の皮膚損傷は本物質と水の反応によって発生した熱と塩酸により生じた (ACGIH (2020)、ATSDR (1997)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))。 (2)ウサギに本物質水溶液0.5 mLを半閉塞適用した結果、1時間以内に皮膚の全層壊死がみられた (ACGIH (2020)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))。 【参考データ等】 (3)モルモット(n= 3)に本物質(原体)を3日間連続して1日2回塗布した試験で、いずれも皮膚に火傷が生じ、第2度熱傷に相当する皮膚外層の損傷がみられた (ATSDR (1997)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))。 (4)EU CLP分類で Skin Corr. 1B に分類されている (CLP分類 (Accessed Aug. 2024))。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より区分1とした。 【根拠データ】 (1)本物質は水または湿潤空気との接触で容易に加水分解され、接触粘膜に対する影響は強酸によるものと同様である。液体の飛沫またはエアロゾルは重度の眼損傷(化膿性炎症、瞼の癒着、角膜の瘢痕化、空胞化、穿孔、失明に至るまでの角膜混濁)を引き起こす。蒸気/ミストへのばく露でも、重度の角膜損傷を引き起こした(GESTIS (Accessed May 2024))。 (2)本物質は皮膚腐食性及び刺激性区分1に分類されている(2024年度政府GHS分類)。 (3)ウサギの眼に本物質を1 滴点眼し、10 秒後大量の水で洗浄すると化膿性結膜炎と角膜の黒ずみが生じ、加水分解生成物 TiCl(OH)3 の固体を塗布すると、結膜に軽度の刺激が生じ、水性加水分解生成物は、結膜の充血を引き起こしたとの報告があるが、詳細は不明である (ECHA CHEM (Accessed Sep 2024))。 | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)モルモットを用いた修正マキシマイゼーション試験において、フロイント完全アジュバントを加えて乳化した本物質1%を6回皮内注射し、1週間後に2%、5% TiCI4エタノール溶液を閉塞適用した結果、2%溶液では1/10例、5%溶液では 5/10例で陽性反応がみられた(ACGIH (2020))。 (2)マウスを用いたSensitive Lymph Node Assay (SLNA) において、本物質0.02%〜2%を皮内注射、5%を経皮適用した結果、わずかなリンパ球増殖がみられたものの刺激指数 (SI) は3未満であり、感作性陰性と判定された (ACGIH (2020))。 (3)ACGIHでは証拠の重み付けにより、本物質は皮膚感作性物質ではないと評価している (ACGIH (2020))。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 In vivoのデータがなく、データ不足で分類できない。 【参考データ等】 (1)in vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性の報告がある(ACGIH (2020)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 ヒトの調査では(1)の情報があるが、本物質のばく露とがん発生の相関は示されていない。動物試験は、(2)のラットの発がん性試験の情報があるが、ヒトへの適用の妥当性に疑問があるとされていること及び病理診断の妥当性から、分類できないとした。 【参考データ等】 (1)本物質を使用して二酸化チタンを生産する工場の1935〜1985年の従業員969名を対象としたコホート内症例対照研究で、本物質への職業ばく露と死亡率、呼吸器疾患、または肺がんのリスクとの関係について調査したところ、統計的に有意な相関は認められなかった(ACGIH (2020))。 (2)ラットを用いた本物質の104週間吸入ばく露試験(6時間/日、5日/週、0.1〜10 mg/m3)において、10 mg/m3で肺胞領域における扁平上皮がんが認められた(雄2/69例、雌3/74例、3例は顕微鏡サイズの高分化型扁平上皮がん、2例は角化嚢胞状扁平上皮がん)(ACGIH (2020)、ATSDR (1997))。しかし、ATSDR (1997) では、発生したがんの種類はラットにおいて実験的に誘発された特有の腫瘍であり、ヒトへの適用については疑問が残るとされているほか、扁平上皮がんとされた肺病変は専門家パネルの診断基準に従った再検査では扁平上皮化生または増殖性角化嚢胞と診断され腫瘍ではないという見解が報告されている。 (3)ACGIHでは動物実験及び疫学研究の結果に基づき、発がん性についてA4 (Not Classifiable as a Human carcinogen) に分類している (ACGIH (2020))。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)雄ラットを用いた4週間吸入ばく露試験(最大40 mg/m3)では、精巣および精巣上体における組織病理学的変化は報告されていない(ACGIH (2020)、ATSDR (1997))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(4)より区分1(呼吸器)とした。 【根拠データ】 (1)本物質のヒュームを短時間吸入した労働者で咳や胸部の圧迫感、呼吸困難がみられ、重症例では重度の気道障害、低酸素症とびまん性肺浸潤、気管支全体に紅斑や肉腫様のポリープ状病変が認められたとの報告がある(ACGIH (2020)、US AEGL (2007)、ATSDR (1997))。 (2)雄ラットに本物質のヒュームを4時間吸入ばく露した試験(6〜110 ppm、0.047〜0.85 mg/L/4時間相当、区分1の範囲))では、呼吸困難が認められた(ACGIH (2020)、US AEGL (2007))。 (3)雌ラットに本物質のヒュームを10分間吸入ばく露した試験(1,466〜11,492 mg/m3、0.061〜0.48 mg/L/4時間相当、いずれも区分1の範囲)では、鼻の濡れ、鼻汁、まぶたの腫れ及び呼吸困難が認められたが、いずれもばく露48〜72時間後に消失した。ばく露7日後の病理組織学的検査では肺における軽微な病変が認められ、5,112 mg/m3(0.21 mg/L/4時間相当)以上で炎症の痕跡、肺胞隔壁の肥厚、食細胞の蓄積が認められた(US AEGL (2007)、ACGIH (2020))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より区分1(呼吸器)とした。 【根拠データ】 (1)チタン金属製造業の労働者209名を対象とした断面調査では、本物質及び二酸化チタン微粒子にばく露される作業が換気能の低下と関連している可能性があると結論づけている。被験者17名の胸部X線写真に胸膜プラーク及び胸膜肥厚が認められ、この所見は、チタン製造業務に従事した期間と関連していた(ACGIH (2020)、MOE初期評価第8巻(2010)、ATSDR (1997))。 (2)雌雄ラットに本物質を104週間(6時間/日、5日/週)吸入ばく露した試験(0.013〜1.3 ppm(0.0001〜0.01 mg/L/6時間/日相当、いずれも区分1の範囲))では、0.0001 mg/L/6時間/日以上の雌雄で鼻炎、不規則呼吸及び異常な肺雑音が、0.001 mg/L/6時間/日以上の雌雄で気管支炎及び肺胞内の塵埃細胞を取り囲むII型肺胞細胞の過形成が、0.01 mg/L/6時間/日の雌雄で好中球増加、肺重量増加、肺胞の細気管支化、泡沫マクロファージを伴うコレステロール肉芽腫、肺胞蛋白症、限局性胸膜炎及び肺胞領域における扁平上皮がん(雄2/69例、雌3/74例)、雄で赤血球数の減少、平均細胞容積及び平均細胞ヘモグロビンの増加が認められた(ACGIH (2020)、ATSDR (1997))。 【参考データ等】 (3)本物質を使用して二酸化チタンを生産する工場の1935〜1985年の従業員969名を対象としたコホート内症例対照研究で、本物質への職業ばく露と死亡率、呼吸器疾患、または肺がんのリスクとの関係について調査したところ、ばく露と慢性呼吸器疾患または胸部X線異常との間にも有意な相関は認められなかった。本物質へのばく露指標のいずれについても、胸膜肥厚/プラークのリスクとの間に一貫した用量反応関係は認められず、また、本物質ばく露群または非ばく露群のいずれにおいても線維症の症例は認められなかった。本研究では、工場特有の死因も報告されていない(ACGIH (2020))。 | |||
| 誤えん有害性* | 【分類根拠】 データがなく分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | - | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | - | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 1838 | |||
| 品名(国連輸送名) | 四塩化チタン | |||
| 国連分類 | 6.1 | |||
| 副次危険 | 8 | |||
| 容器等級 | I | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 137 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | - | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 水道法 | 水質基準(平15省令101号) 【38 塩化物イオン】 | |||
| 船舶安全法 | 毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 輸送禁止(施行規則第194条) | |||
| 港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
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| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||