1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | tert-ブタノール | ||
化学品の英語名称 | tert-Butanol | ||
製品コード | R04-C-050-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 各種有機合成原料,試薬 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 ※一部、ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
物理化学的危険性 | 可燃性固体 | 区分1 | |
健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | |
発がん性 | 区分2 | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3(麻酔作用、気道刺激性) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 可燃性固体 強い眼刺激 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 呼吸器への刺激のおそれ 眠気またはめまいのおそれ | ||
注意書き | |||
安全対策 | 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 容器を接地しアースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 取扱い後は手をよく洗うこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 | ||
応急措置 | 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは医師に連絡すること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | tert-ブタノール | ||
慣用名又は別名 | 2−メチルプロパン−2−オール | ||
英語名 | tert-Butanol 2-Methylpropan-2-ol | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C4H10O (74.12) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 75-65-0 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 2-3049 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 2-(8)-303 ( 2-(8)-395 ) | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。呼吸が止まっている場合は人工呼吸を行う。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水で10〜20分洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 流水で10分間洗浄する。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続けること。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。意識がある場合はコップ一杯の水(約200mL) を飲ませる。食用油、ひまし油、牛乳またはアルコールは使用しない。無理に吐かせない。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:鼻と喉の刺激・灼熱感、頭痛、吐き気(嘔吐)、ふらつき、めまい。 眼:灼熱感、痛み、充血、目のかすみ、結膜炎;角膜損傷の可能性。 皮膚:発赤、脱脂、ひび割れ(炎症は主に長時間の接触によってのみ生じるが、アレルギー反応は完全には排除できない)。 経口摂取:協調運動障害、頭痛、脱力感、眩暈、低血圧、傾眠、重症の場合は意識障害・昏睡、呼吸抑制・呼吸不全の危険性。肝臓・腎臓の機能障害の可能性。 以上、GESTIS参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤、耐アルコール泡消火薬剤、二酸化炭素。 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 以上、GESTIS参照。 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
特有の消火方法 | 周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。バックファイヤーに注意する。防爆機器を使用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 全ての着火源を断つ。周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | こぼれた液体を吸収剤(例:珪藻土、バーミキュライト、砂)で吸収し、規則に従って廃棄する。火花の出ない器具を使用する。その後、換気し、漏出した場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
二次災害の防止策 | 火花を発生しない安全な用具を使用する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。こぼれないようにする。熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。容器を接地しアースを取る。使用時は十分な換気をすること。 機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。蒸気やミストの吸入を避ける。汚染された衣服は慎重に交換、洗浄しなければならない。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管する。容器を密閉して室温の換気の良い場所に保管する。着火源、熱源、強酸化剤、強酸から離しておく。 以上、GESTIS、ICSC、GHS分類結果参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2022年版) | 許容濃度: 50 ppm、150 mg/m3 | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 100 ppm(A4) | |||
設備対策 | 作業場所には適切な局所排気装置等を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設けること。過剰な量を扱う場合は緊急用シャワーを設けること。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。 防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。 -防毒マスクは、日本工業規格(JIS T8152)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 -濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する 注) ”…”は、物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 -作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。 以上、GESTIS参照。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。クロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴムが適している。天然ゴム、PVCは適さない。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | エプロンまたは白衣を着用する。耐火性/帯電防止性のある保護衣を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 液体または固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 特徴的な臭気 | ||
融点/凝固点 | 26 ℃(GESTIS(2022)) 25 ℃(ICSC(2018)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 83 ℃(GESTIS(2022), ICSC(2018)) | ||
可燃性 | データなし | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 1.4〜10.9 vol.%(GESTIS(2022)) 1.7〜8.0 vol.%(ICSC(2018)) | ||
引火点 | 11 ℃(Closed cup)(GESTIS(2022), ICSC(2018)) | ||
自然発火点 | 470 ℃(GESTIS(2022), ICSC(2018)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: (混和)(GESTIS(2022), ICSC(2018)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow: 0.35(GESTIS(2022)) log Pow: 0.3(ICSC(2018)) | ||
蒸気圧 | 41.2 hPa(20℃)(GESTIS(2022)) 4.1 kPa(20℃)(ICSC(2018)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 0.79 g/cm3(20℃)(GESTIS(2022)) 0.8 (ICSC(2018)) | ||
相対ガス密度 | 2.55 (GESTIS(2022)) 2.6 (ICSC(2018)) | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 強無機酸または強酸化剤と接触すると、分解する。 火災や爆発の危険を生じる。 | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | アルカリ/アルカリ土類金属、アルミニウム、 強酸化剤、酢酸アルデヒド、三酸化クロム | ||
危険有害な分解生成物 | 一酸化炭素 |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | ラットのLD50値として、2,298 mg/kg(雌)、3,046 mg/kg(雄)(NITE 有害性評価書(2007))、3,500 mg/kg(ACGIH(7th, 2001)、NTP TR436(1995)、NTP TR53(1997)、PATTY(6th, 2012))、2,200-3,500 mg/kg(DFGOT vol. 19(2003))の報告に基づき、区分外(国連分類基準の区分5)とした。 | |||
経皮 | ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kgの報告(NITE 有害性評価書(2007)、PATTY(6th, 2012))及びウサギへの2,000 mg/kg適用試験で死亡が認められなかったとの記載(DFGOT vol.19.(2003))に基づき、区分外とした。 | |||
吸入: ガス | GHSの定義における固体である。 | |||
吸入: 蒸気 | ラットLC50値(4時間)として、> 10,000 ppm(雌雄)(NITE 有害性評価書(2007)、> 14,100 ppm(PATTY(6th, 2012))の報告があるが、これらのデータでは区分4か区分外かを判定できないため、分類できないとした。なお、GHSの定義における固体であるが、融点25℃(ICSC(2008))、蒸気圧40.7 mmHg(25.6℃)(HSDB(Access on September 2013))との報告があり、蒸気吸入が考えられ、これらの試験濃度(10,000 ppm、14,100 ppm)はいずれも飽和蒸気圧濃度(53,553 ppm)より低いので、粉じん/ミストがほとんど混在しないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | DFGOT vol. 19(2003)には、ウサギに無希釈の試験物質0.5 mLを適用した試験で2-4時間あるいは24時間後に刺激性は認められず、皮膚刺激性指数が0.4であったとの報告がある。NITE 有害性評価書(2007)には、ウサギの皮膚に試験物質0.5 mLを適用した試験で軽度の皮膚刺激性がみられたとの報告がある。また、ACGIH(7th, 2001)には、5人のヒト被験者に適用した試験で、適用部位に軽度の紅斑と充血が認められたとの報告がある。以上の情報に基づき、区分外(国連分類基準の区分3又は区分外)とした。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | NITE 有害性評価書(2007)には、ウサギの眼一次刺激性試験において、100 μLの適用で投与後96時間の判定において強度(未洗眼)・中等度(洗眼)の眼刺激性が報告されており、6匹中2匹の動物において、投与後34日においても角膜傷害が持続していたとの記述がある。また、DFGOT vol. 19(2003)には、ウサギの試験で、眼に無希釈の試験物質を適用後96時間までの間に中等度の刺激性が観察され、誘発された角膜傷害の回復は緩やかであったこと、また眼を洗浄しない場合の刺激性は重度であったとの記述がある。本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/R38」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。以上の情報に基づき区分2Aとした。 | |||
呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | DFGOT vol. 19(2003)には、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験(OECD TG 406)で感作性は認められなかったとの結果と、陽性率が25-30%で、「陽性」とはみなされない(GHS文書では30%以上(アジュバンド使用)の反応で陽性と考えられているため)結果が報告されている。一方、ヒトでは本物質を含む日焼け止め液により、顔、頚部、腕及び胸部に広範な掻痒性の発赤、小胞発疹を起こした男性1人に対し本物質の70%溶液をパッチテストした結果、紅斑と水泡がみられたとの報告(NITE 有害性評価書(2007))や本物質は重大な感作性を有すると結論できない(DFGOT vol. 19(2003))と記載されている。以上の情報では、明確に感作性の有無を判断できないことから、分類できないとした。 | |||
生殖細胞変異原性 | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラットの骨髄細胞及びマウスの骨髄細胞及び末梢血赤血球の小核試験で陰性(NITE 有害性評価書(2007)、NTP TR436(1995)、NTP DB(Access on September 2013))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験及び染色体異常試験で陰性である(NITE 有害性評価書(2007)、NTP TR436(1995)、IUCLID(2000))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、動物種2種において発がん性の限られた証拠があること、及び、EPAの評価結果を踏まえ、区分2とした。新たな情報源を利用し、分類結果を見直した(2022年度)。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた2年間飲水投与試験では、雄では投与群に腎臓の尿細管腺腫とがんを合わせた発生の増加がみられた(対照群1/50例、1.25 mg/mL群3/50例、2.5 mg/mL群4/50例、5 mg/mL群3/50例)。雌では腫瘍の発生増加は認められなかった。試験を実施したNTPの評価では、発がん性の証拠は、雄ではある程度の証拠、雌では証拠なしと結論された。(NTP TR436 (1995)、ACGIH (7th, 2001)、NITE 有害性評価書 (2007)、MOE 初期評価 (2017))。 (2)マウスを用いた2年間飲水投与試験では、雄では中用量の10 mg/mL群に甲状腺のろ胞細胞腺腫とがんを合わせた発生の増加(対照群1/60例、10 mg/mL群4/59例)、雌では最高用量の20 mg/mL群に甲状腺のろ胞細胞腺腫の発生増加(対照群2/58例、20 mg/mL群9/59例)が認められた。試験を実施したNTPの評価では、発がん性の証拠は、雄では不確かな証拠、雌ではある程度の証拠と結論された(NTP TR436 (1995)、ACGIH (7th, 2001)、NITE 有害性評価書 (2007)、MOE 初期評価 (2017))。 (3)(1)で雄ラットにみられた腎臓腫瘍は雄ラットに特異的なα2u-グロブリン腎症に関連した影響でヒトには当てはまらないと考えられたが、EPAの評価ではみられた腎臓影響の全てがα2u-グロブリン腎症では説明できないとされた。慢性進行性腎症(CPN)が腎臓腫瘍の発生に関連していると考えられるが、CPNは雌ラットにもみられている。雌ラットに腎臓腫瘍が認められないことから、CPNがα2u-グロブリン腎症を増強し雄に腫瘍発生を誘発するか、α2u-グロブリン腎症以外のまだ明らかでない作用機序が腎腫瘍発生に関わっている可能性も指摘された。すなわち、雄ラットの腎腫瘍(主に尿細管腺腫)は作用機序的にヒトに当てはまる可能性があると結論された。また、(2)でみられた雌雄マウスの甲状腺腫瘍もヒトへの外挿可能性のある腫瘍と判断された(IRIS (2021))。 (4)国内外の評価機関による既存分類では、EPAでS(Suggestive evidence of carcinogenic potential)に(IRIS (2021))、ACGIHでA4に(ACGIH (7th, 2001))分類されている。 【参考データ等】 (5)本物質はEthyl tert-Butyl Ether(ETBE:CAS番号 637-92-3)、Methyl tert-Butyl Ether(MTBE:CAS番号 1634-04-4)などの物質の代謝物である。ETBEはラットの2年間吸入ばく露試験で雄に肝臓腫瘍(肝細胞腺腫、がん)、MTBEもラット、マウスの吸入及び経口投与試験で肝臓、腎臓等に腫瘍の発生増加が認められ、これらの影響の一部はtert-Butyl Etherの影響と考えられている(IRIS (2021))。 (6)本物質の親化合物のETBEはEPAでSに分類されている(IRIS (2021))。 | |||
生殖毒性 | ラットを用いた経口経路(強制)生殖発生スクリーニング試験(OECD TG 421)において、親動物に一般毒性(雄で腎臓重量増加、雌で投与2-4週間の間、一過性の傾眠、運動失調)がみられる用量で妊娠期間の延長がみられ、さらに親動物に肝臓重量増加(雄)、雌で妊娠期間中の体重増加抑制がみられる用量で死産児数増加、生存児数減少、生存児低体重、平均同腹児数の低下がみられている(NITE 有害性評価書(2007))こと、マウスの妊娠6〜20日に混餌投与により用量依存的な同腹児数低下と死産児数増加がみられている(NTP TR53(1997)、NITE有害性評価書(2007)、DFGOT vol.19(2003))こと、さらに、ラットの妊娠8日〜出生までの飲水投与により、親動物で体重増加抑制が認めらた用量で分娩時体重減少、生後の体重増加抑制、同腹児数低下、周産期及び生後の死亡率増加が示されている(DFGOT vol.19(2003))ことに基づき、区分2とした。なお、親動物の性機能及び生殖能に対する悪影響、及び児の発生における催奇形性は認めれていない(NITE 有害性評価書(2007)、DFGOT vol.19(2003))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | ラットに経口投与(4,000-6,000 mg/kg)による中枢神経系の抑制(ACGIH(7th, 2001))、ウサギに経口投与あるいはラットに吸入ばく露による麻酔作用(ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.19(2003)、NITE 有害性評価書(2007)、PATTY(6th, 2012))がそれぞれ認められ、高濃度の蒸気ばく露による昏睡がみられた(NIOSH Publications 81-123(1978))。一方、無嗅覚のヒトでは約2秒間のばく露で鼻に刺激性がみられる(DFGOT vol.19(2003))との記載があり、EU分類ではR36/37に区分されている。以上の知見に基づき区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。これらの所見の他に、ラットに1,850 mg/kgを経口投与による肝臓のトリグリセライド濃度の増加(ACGIH(7th, 2001)、NTP TR53(1997))があるが、さらに高用量の経口投与(4,000-6,000 mg/kg)によりトリグリセライド、コレステロール、リン脂質に変化は認められなかった(ACGIH(7th, 2001))と記載がある。したがって、肝臓の所見に関してはデータの一貫性を欠き、また、病理組織学的裏付けがないため分類根拠としなかった。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ラット及びマウスの13週間及び2年間経口(飲水)投与試験において、区分2のガイダンス値範囲内の用量までは毒性影響はみられず、区分外の高用量(200 mg/kg/day以上)ではラット、マウスとも膀胱(移行上皮の過形成、炎症)に、加えて区分外の用量でラットで腎臓(石灰化、慢性腎症(雌雄ともにみられたが、雄では雄ラット特異的な硝子滴の増加を伴っていた))、マウスで甲状腺(濾胞上皮細胞の過形成)に影響がみられた(NTP TR436(1995)、NITE 有害性評価書(2007))。また、吸入経路では、ラット又はマウスに蒸気を13週間吸入ばく露した試験において、区分2のガイダンス値を超える高濃度(1080 ppm = 3.2 mg/L)でラットでは赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少、肝臓及び腎臓重量の増加が、マウスでは死亡、体重増加抑制がみられている(NTP TR53(1997)、NITE 有害性評価書(2007))。なお、ラットでは区分2の範囲内の濃度(135 ppm = 0.41 mg/L)から用量依存的な腎症の重篤度の増加が雄のみにみられたが、ラット13週間経口投与でも雄では腎症の重篤度の増加と共に硝子滴の増加がみられており、α2u-グロブリンによる雄ラット特異的な現象と考えられた。以上より、経口及び吸入経路では区分外相当であるが、経皮ばく露による毒性情報がなく、データ不足のため分類できないとした。 | |||
誤えん有害性* | データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)72時間ErC50 > 110 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 > 110mg/L、魚類(メダカ)96時間LC50 > 120 mg/L(いずれも環境省生態影響試験, 2009)であることから、区分外とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性でない(BODによる分解度:2.5%(既存点検, 1977)が、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC = 110 mg/L(環境省生態影響試験, 2009)であることから、区分外となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、魚類の急性毒性が区分外相当であり、難水溶性ではない(miscible、ICSC, 2008)ことから、区分外となる。 以上の結果から、区分外とした。 | ||
残留性・分解性 | 化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
生態蓄積性 | 化審法分解度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1120 | |||
品名(国連輸送名) | ブタノール | |||
国連分類 | 3 | |||
副次危険 | − | |||
容器等級 | U | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、消防法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 129 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3) 危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 該当しない | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
消防法 | 第4類 引火性液体 第一石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Z類物質)(施行令別表第1)【ブチルアルコール】 | |||
船舶安全法 | 引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 R5.3.31: 発がん性項目を見直した。 |