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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ヨードホルム
作成日 2003年05月06日
改訂日 2006年09月15日
改訂日 2020年03月13日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称ヨードホルム (Iodoform)
製品コードR01-B-057
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限医薬、有機合成原料、試薬 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分4
急性毒性 (経皮)区分4
急性毒性 (吸入: 粉塵、ミスト)区分4
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分3 (麻酔作用)
分類実施日
(環境有害性)
H30年度、政府向けGHS分類ガイダンス (平成25年度改訂版 (Ver.1.1))
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分2
水生環境有害性 (長期間)区分2
GHSラベル要素
絵表示感嘆符環境
注意喚起語警告
危険有害性情報飲み込むと有害
皮膚に接触すると有害
皮膚刺激
強い眼刺激
吸入すると有害
眠気又はめまいのおそれ
水生生物に毒性
長期継続的影響によって水生生物に毒性
注意書き
 安全対策容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。

漏出物を回収すること。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名ヨードホルム
別名トリヨードメタン
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)CHI3 (393.73)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号75-47-8
官報公示整理番号
(化審法)
2-44
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。気分が悪いときは医師に連絡すること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤情報なし
使ってはならない消火剤情報なし
特有の危険有害性情報なし
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護情報なし

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2019年度版)-
ACGIH (2019年版)TLV-TWA: 0.6 ppm、(NIC) 0.2 ppm、10 mg/m3、(NIC) 3.3 mg/m3 (Inhalable fraction and vapor)
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具緊急時には、呼吸用保護具を着用する。
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具安全眼鏡を着用する。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
黄色 (GESTIS (Access on September 2019))
臭いサフランのような臭い (GESTIS (Access on September 2019))
融点/凝固点119℃ (GESTIS (Access on September 2019))
沸点、初留点及び沸騰範囲218℃ (GESTIS (Access on September 2019))
可燃性不燃性 (GESTIS (Access on September 2019))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率該当しない
溶解度100 mg/L (室温) (HSDB (Access on August 2019))
n-オクタノール/水分配係数log Pow = 3.03 (EST) (PHYSPROP Database (2019))
蒸気圧0.0237 mmHg (EST) (25℃) (PHYSPROP Database (2019))
密度及び/又は相対密度4.008 g/cm3 (25℃) (HSDB (Access on November 2019))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性光により徐々に分解する。
危険有害反応可能性リチウムと激しく反応する。
避けるべき条件光、混触危険物質との接触
混触危険物質リチウム、酸化水銀、カロメル、硝酸銀、タンニン、バルサムペル
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 355 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on July 2019))
経皮【分類根拠】
(1) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: 1,184 mg/kg (PATTY (6th, 2012))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)より、区分4とした。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (0.50 mg/L) より高いため、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (7時間): 165 ppm (4時間換算値: 4.65 mg/L) (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on July 2019))、183 ppm (4時間換算値: 5.16 mg/L) (PATTY (6th, 2012))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1) より、区分2とした。新しいデータが得られたことから区分を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚、眼、粘膜に刺激性を有する (PATTY (6th, 2012))。

【参考データ等】
(2) ヨウ素は刺激物となり得る。また、濃度や接触時間によっては腐食性を示す可能性もある (HSDB (Access on July 2019))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は皮膚、眼、粘膜に刺激性を有する (PATTY (6th, 2012))。

【参考データ等】
(2) ヨウ素は刺激物となり得る。また、濃度や接触時間によっては腐食性を示す可能性もある (HSDB (Access on July 2019))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
In vivoのデータがなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、染色体異常試験で陰性の報告がある (NTP DB (Access on July 2019))。
発がん性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) ラット及びマウスに本物質を78週間強制経口投与した発がん性試験では腫瘍発生率の増加は認められていないが、雄ラット投与群での生存率が低く甲状腺腫瘍を引き起こす可能性を排除することはできず、本試験からは本物質の発がん性に関する説得力のある証拠は得られなかった (no convincing evidence) と結論された (NTP TR110 (1978))。
生殖毒性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)〜(3) のヒト及び実験動物での情報から、区分3 (麻酔作用) とした。腎臓、肝臓、心臓に関しては、詳細な情報が得られなかったため、標的臓器としなかった。

【根拠データ】
(1) 本物質はヒトで局所消毒剤として用いられた場合に、傷からの経皮吸収により、中枢神経系抑制作用を示し、嘔吐、頻脈、昏睡、腎臓、肝臓、心臓の障害などの全身毒性症状を生じるとの記載がある (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。
(2) ラット、マウス、モルモットへの単回経口又は経皮投与により、最初に傾眠と活動性低下がみられ、更に血液混じりの鼻汁 (bloody nasal exudate)、呼吸困難、間代性痙攣と四肢の麻痺を示して死に至るとの報告がある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on July 2019))。
(3) イヌ及びネコでは本物質の傷への適用によって中毒を生じ、嘔吐、筋肉痙攣、体温低下、心抑制、傾眠を示すとの報告がある (PATTY (6th, 2012))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) 傷口からの経皮吸収によりヨードホルムによる全身中毒が生じる。少なくとも1例で、ヨードホルム中毒に起因したせん妄及び幻覚が生じた (ACGIH (7th, 2001))。
(2) ラット、マウスを用いた発がん性試験結果 (NTP TR110 (1978)) があるが、ACGIHはこの試験結果について、病理組織学的検査も不適切であるとしている (ACGIH (7th, 2001))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)魚類 (ファットヘッドミノー) 96時間LC50 = 2.92 mg/L (AQUIRE (2018)、HSDB (2018)、Geiger, D.L. et al. (1988)) であることから、区分2とした。
水生環境有害性 (長期間)慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく、急性毒性区分2であることから、区分2とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号3077
国連品名ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S.
国連危険有害性クラス9
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【607 ヨードホルム】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【607 ヨードホルム】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法該当しない
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用