1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | ホスゲン (Phosgene) | ||
製品コード | R02-B-064 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 染料および染料中間体原料、イソシアネート類原料、医薬品、可塑剤、ポリカーボネート原料 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | 高圧ガス | 低圧液化ガス | |
健康に対する有害性 | 急性毒性 (吸入: ガス) | 区分1 | |
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (呼吸器) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (呼吸器) | ||
分類実施日 (環境有害性) | 平成18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版) | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ 皮膚刺激 強い眼刺激 吸入すると生命に危険 呼吸器の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 呼吸用保護具を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 直ちに医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | ホスゲン | ||
別名 | カルボニルクロライド | ||
クロロホルミル クロリド | |||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | CCl2O (98.92) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 75-44-5 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 1-124 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 半座位。 酸素処置が必要なことがある。 直ちに医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 凍傷の場合:多量の水で洗い流し、衣服は脱がせない。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。気分が悪いときは医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: 咳、咽頭痛、胸部圧迫感、息切れ、吐き気、嘔吐、症状は遅れて現われることがある。 皮膚: 発赤、液体に触れた場合:凍傷。 眼: 充血、流涙、液体に触れた場合:凍傷。 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 肺水腫の症状は、2〜3時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 小火災: 粉末消火剤、二酸化炭素 大火災: 散水、水噴霧、水噴霧、一般の泡消火剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
特有の危険有害性 | 情報なし | ||
特有の消火方法 | 水を噴霧して圧力容器を冷却する。 直接水をかけない。 安全な場所から消火作業を行う。 | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険区域から立ち退く! 専門家に相談する! 換気をする。 できれば圧力容器の栓を閉める。 細かな噴霧水を用いて、ガスを除去する。 ガスが離散するまで、その区域を隔離する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 刺激や特徴的な臭気がなくても、深刻な中毒になることがある。 (圧力容器の腐食を防ぐため) 漏出している圧力容器に水を噴霧してはならない。 圧力容器が漏出しているときは、気体が液状で漏れるのを防ぐため、洩れ口を上にする。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 建物内にある場合、耐火設備 作業領域から隔離しておく。 混触危険物質から離しておく。 冷所 乾燥 床面に沿って換気 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法、高圧ガス保安法、国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度 | ||||
日本産衛学会 (2020年度版) | 0.1 ppm、0.4 mg/m3 | |||
ACGIH (2020年版) | TLV-TWA: 0.1 ppm, 0.4 mg/m3 | |||
設備対策 | 密閉系、または換気を使用する。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり) | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。(ICSCには、保温手袋を着用することとの記載あり) | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡や保護面を着用する。(ICSCには、呼吸用保護具と併用して、顔面シールドまたは保護眼鏡を使用することとの記載あり) | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣 (化学防護服) を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり) |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 気体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 無色 | ||
臭い | 特徴的な臭気 | ||
融点/凝固点 | -128℃ (ICSC (2013)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 8℃ (ICSC (2013)) | ||
可燃性 | 不燃性 (ICSC (2013)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | 該当しない | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水: 反応する (ICSC (2013)) ベンゼン、四塩化炭素、トルエン、クロロホルム及び酢酸に可溶 (HSDB (Access on May 2020)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | 161.6 kPa (20℃) (ICSC (2013)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.4 (水=1) (ICSC (2013)) | ||
相対ガス密度 | 3.4 (空気=1) (ICSC (2013)) | ||
粒子特性 | 該当しない |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 300℃以上で分解する。 水または水分と接触すると、分解する。 腐食性の塩酸を生じる。 エタノール、強酸化剤、アンモニア、アミンおよびアルミニウムと 激しく反応する。 水の存在下で、多くの金属を侵す。 | ||
避けるべき条件 | 混触危険物質との接触 | ||
混触危険物質 | エタノール、強酸化剤、アンモニア、アミン、アルミニウム | ||
危険有害な分解生成物 | 腐食性の塩酸 |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分1とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 0.0086 mg/L (2.1 ppm) (MAK (DFG) (2015)) (2) ヒトのLC50は500 ppm (1分間) であり、3 ppmの170分間ばく露と30 ppmの17分間ばく露は同等に致死的との報告がある (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2020))。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスであり、区分に該当しない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分2とした。 【根拠データ】 (1) 本物質は高濃度では皮膚刺激性を示す可能性がある (EHC 193 (1997))。 (2) 本物質は強い皮膚刺激性を示す (IPCS PIM 419 (1997))。 (3) ホスゲンによる皮膚障害及び前眼部障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 (4) 本物質 (液体) への接触は強い刺激性を示すとは考えられていない (GESTIS (Access on May 2020))。 (5) 本物質の皮膚への大量のばく露では火傷を生じる可能性があるが、少量では刺激を生じる (HSDB (Access on May 2020))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分2とした。細区分の明白な根拠が得られないため、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質は非常に危険なガスであり、ばく露される初期症状として眼刺激性及び火傷を示す可能性がある (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質は非常に強い眼刺激性を示す (IPCS PIM 419 (1997))。 (3) 本物質は 4 ppm以上で眼刺激性を示し、10 ppm以上で強い眼刺激性と気道刺激性を示す (US AEGL (2002)、GESTIS (Access on May 2020))。 (4) ホスゲンによる皮膚障害及び前眼部障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 (5) 本物質 (液体) の眼への深刻なばく露では角膜混濁を生じる可能性がある (HSDB (Access on May 2020))。 【参考データ等】 (6) イヌにおいて致死量のばく露で眼に刺激性及び角膜浮腫が報告されている (EHC 193 (1997))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、マウスに本物質を6時間吸入ばく露による染色体異常誘発性、異数性誘発性、姉妹染色分体交換及び小核の誘発性は認められなかった報告がある (MAK (DFG) (2015)、IRIS Tox. Review (2006)、HSDB (Access on May 2020))。 (2) in vitroでは、本物質をガス状ばく露による細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告の報告がある (MAK (DFG) (2015)、IRIS Tox. Review (2006)、HSDB (Access on May 2020)) | |||
発がん性 | 【分類根拠】 利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1) より分類できないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでI (inadequate information to assess carcinogenic potential) (IRIS (2006)) に分類されている。 【参考データ等】 (2) 同期間に雇用された男性労働者について、本物質に毎日ばく露された労働者694人とばく露されなかった労働者9,280人を比較したコホート研究 (ばく露期間は2ヵ月〜1年、フォローアップ期間は30年) では、呼吸器疾患と肺がんのSMRは対照群とばく露した労働者で有意差はみられなかった。本研究はサンプルサイズが小さく、ヒトの発がんリスクを評価するには適切でない (IRIS (2006))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分1 (呼吸器) とした。 【根拠データ】 (1) ヒトの死因の多くはホスゲン無酸素症に関連しており、生存例では肺の広範な線維化、肺気腫、無気肺、気管支炎がみられた。初期症状 (咳、呼吸困難、眼刺激及び熱感) に続いて数時間後に、細気管支炎、気管支周囲浮腫及び広範な肺のうっ血がみられた (ACGIH (7th, 2001))。 (2) 本物質は吸入した場合、肺胞内で徐々に加水分解され、塩化水素と塩素を放出し、通常ばく露6〜24時間後の遅延死を生じる (ACGIH (7th, 2001))。 (3) 本物質は6 mg/m3で臭いを感じ、12 mg/m3で眼、鼻、喉の刺激、120 mg/m3-分以上で肺の傷害、600 mg/m3-分以上で肺水腫を起こす (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。 (4) 国内で 1966年に起きた本物質の漏洩事故で382人がばく露され、うち12人が入院しており、頭痛、吐き気、咳、呼吸異常、疲労、咽頭痛、胸部締付感、胸の痛み、発熱の他に1人で流涙及び眼の発赤がみられた。また、48時間後のX線検査で7人が肺水腫と診断されており、眼や鼻の刺激症状がない場合でも、肺水腫の起こり得ることが示されている (MOE初期評価第3巻 (2004)、EHC 193 (1997))。 (5) ホスゲンによる頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分1 (呼吸器) とした。 【根拠データ】 (1) 本物質は水分と接触すると、塩酸と二酸化炭素に加水分解される。体内でも同様で、吸入すると細気管支、肺胞などに侵入した後、徐々に分解され、生じた塩酸によって肺充血、肺水腫などを起こし、さらに肺炎へと進む。肺水腫では、循環血漿の30〜50%までが肺に集まることさえあり、いわゆる“陸上溺死”の状態になる。このため血液は濃縮し、血流が障害され、組織は酸素不足をきたす。心臓の負担がしだいに増し、心衰弱へと進む。ときには肺膿瘍を起こす。激しい咳、褐色の痰、呼吸困難、チアノーゼ、脈の頻小などが現れ、ついには窒息と心衰弱により死に至る。また、肺障害の原因として、塩酸の他に、生体成分のアシル化反応も関与するといわれている (MOE初期評価第3巻:暫定的有害性評価シート (2004))。 (2) 少量の本物質に1.5〜3.5年の間繰り返しばく露された5名の労働者を調査した結果、肺気腫が2例、換気異常が全員にみられた (HSDB (Access on May 2020))。 (3) ホスゲンによる頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害又は気道・肺障害は、労働基準法施行規則別表第一の二に掲げる業務上の疾病として定められている (労働省告示第三十三号 (1996))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 GHSの定義におけるガスである。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | データがなく分類できない。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | データがなく分類できない。 | ||
オゾン層への有害性 | - |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 1076 | |||
国連品名 | PHOSGENE | |||
国連危険有害性クラス | 2.3 | |||
副次危険 | 8 | |||
容器等級 | - | |||
海洋汚染物質 | - | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | - | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 毒物及び劇物取締法、消防法、道路法、高圧ガス保安法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 毒物及び劇物取締法、消防法、道路法、高圧ガス保安法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 125 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【ホスゲン】 | |||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【545 ホスゲン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【545 ホスゲン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 作業場内表示義務(法第101条の4) 特定化学物質第3類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第6号)【7 ホスゲン】 | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
毒物及び劇物取締法 | 毒物(指定令第1条)【26の4 ホスゲン及びこれを含有する製剤】 | |||
化学物質審査規制法 | 優先評価化学物質(法第2条第5項)【191 ホスゲン】 | |||
消防法 | 貯蔵等の届出を要する物質(法第9条の3・危険物令第1条の10五別表1−8・平元省令2号第1条)【26 ホスゲン及びこれを含有する製剤】 | |||
道路法 | 車両の通行の禁止(施行令第19条の12、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第1)【3−ニ ホスゲン】 | |||
高圧ガス保安法 | 液化ガス(法第2条3)【液化ガス】 毒性ガス(一般高圧ガス保安規則第2条2)【ホスゲン】 | |||
航空法 | 輸送禁止(施行規則第194条)【【国連番号】1076 ホスゲン】 | |||
船舶安全法 | 高圧ガス(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】1076 ホスゲン】 | |||
港則法 | その他の危険物・高圧ガス(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2イ ホスゲン】 | |||
大気汚染防止法 | 特定物質 (法第17条第1項、政令第10条)【20 ホスゲン】 | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)【16 ホスゲン】 | |||
化学兵器禁止法 | 第2種指定物質・毒性物質(施行令第3条別表3第3欄)【1 二塩化カルボニル】 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |