1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | 1,1‐ジクロロエタン (1,1-Dichloroethene) | ||
製品コード | H26-B-045(製品コードなし) | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 麻酔薬、洗浄剤等 |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 | H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用 | ||
GHS改訂4版を使用 | |||
物理化学的危険性 | 引火性液体 | 区分2 | |
健康に対する有害性 | 急性毒性 (吸入:蒸気) | 区分4 | |
皮膚腐食性及び刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 区分2 | ||
生殖細胞変異原性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系)、 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | ||
分類実施日 | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | ||
環境に対する有害性 | 分類できない |
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
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絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 引火性の高い液体及び蒸気 皮膚刺激 強い眼刺激 吸入すると有害 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ 遺伝性疾患のおそれの疑い 中枢神経系の障害 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を密閉しておくこと。 容器を接地すること/アースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | 1,1‐ジクロロエタン (1,1-Dichloroethene) | ||
別名 | エチリデンクロライド (Ethylidene chloride) | ||
濃度又は濃度範囲 | 99%以上 | ||
分子式 (分子量) | C2H4Cl2 (98.97) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 75-34-3 | ||
官報公示整理番号(化審法) | (2)-54 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 2-(13)-22 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | データなし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 皮膚を速やかに洗浄すること。 水と石鹸で洗うこと。 気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。 気分が悪い時は、医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:めまい、し眠、感覚鈍麻、意識喪失、嘔吐 皮膚:刺激、発赤 眼:発赤、眼のかすみ 経口摂取:灼熱感、咳、めまい、吐き気、意識喪失 | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素、散水、泡消火剤 大火災:散水、噴霧水、泡消火剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 引火性の高い液体及び蒸気 極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。 加熱により容器が爆発するおそれがある。 火災によって刺激性、腐食性又は毒性のガスを発生するおそれがある。 加熱により蒸気が空気と爆発性混合気を生成するおそれがある。:屋内、屋外又は下水溝で蒸気爆発の危険がある。 | ||
特有の消火方法 | 引火点が極めて低い:散水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には散水する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。 大火災の場合、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。これが不可能な場合には、その場所から避難し、燃焼させておく。 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用すること。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。 関係者以外の立入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。 風上に留まる。 低地から離れる。 密閉された場所に入る前に換気する。 | ||
環境に対する注意事項 | 環境中に放出してはならない。 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。 蒸気抑制泡は蒸発濃度を低下させるために用いる。 回収、中和: 少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。 少量の場合、吸収したものを集めるとき、清潔な帯電防止工具を用いる。 大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。 大量の場合、散水は、蒸気濃度を低下させる。しかし、密閉された場所では燃焼を抑えることが出来ないおそれがある。 二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。 『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。 | ||
安全取扱い注意事項 | 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。 容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 眼に入れないこと。 接触、吸入又は飲み込まないこと。 空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
接触回避 | 『10.安定性及び反応性』を参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。−禁煙。 酸化剤から離して保管する。 容器は直射日光や火気を避けること。 容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2014年度版) | 100 ppm 400 mg/m3 | ||
ACGIH(2014年版) | TLV-TWA (100 ppm) TLV-STEL (- ppm) | ||
設備対策 | 防爆の電気・換気・照明機器を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 空気中の濃度を制御するには、一般適正換気で十分である。 高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。 この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 適切な呼吸器保護具を着用すること。 | ||
手の保護具 | 適切な保護手袋を着用すること。 | ||
眼の保護具 | 適切な眼の保護具を着用すること。 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型) | ||
皮膚及び身体の保護具 | 適切な保護衣、顔面用の保護具を着用すること。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体: HSDB (2005) | ||
色 | 無色: HSDB (2005) | ||
臭い | 特徴的な臭気(クロロホルム類似臭) : Merck (13th, 2001) | ||
臭いのしきい(閾)値 | 情報なし | ||
pH | 中性 : HSDB (2005) | ||
融点・凝固点 | -97.6℃ (融点): GESTIS (2014), -96.9℃: HSDB (2014) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 57.4℃ :HSDB (2014), 57℃: GESTIS (2014) | ||
引火点 | -17、-12℃ (c.c.): HSDB (2014), -10℃ (c.c.): GESTIS (2014) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | 情報なし | ||
燃焼性(固体、気体) | 非該当 | ||
燃焼又は爆発範囲 | 下限 5.4voL% 上限 11.4voL%: NFPA (13th, 2002) | ||
蒸気圧 | 2.27*10^2mmHg(25℃、測定値) [換算値 ] Howard (1997) | ||
蒸気密度 | 3.42 (air = 1): NFPA (13th, 2002) | ||
比重(相対密度) | 1.2 (water = 1): NFPA (13th, 2002) | ||
溶解度 | 水:0.6g/100mL (20℃):ICSC(1993) 有機溶媒: 可溶=アセトン、容易に可溶=エタノールとエーテル: HSDB (2005) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow = 1.79 (測定値):HSDB (2005) | ||
自然発火温度 | 440℃: GESTIS (2014) | ||
分解温度 | 情報なし | ||
粘度(粘性率) | 0.417mm2/s (21℃) : Renzo (3rd, 1986) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 情報なし | ||
化学的安定性 | 加熱により分解し、有毒ガスを生成する。 | ||
危険有害反応可能性 | 強酸化剤、アルカリ金属など激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。 | ||
避けるべき条件 | 高温、混触危険物質との接触。 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、アルカリ金属、アルカリ土類金属、金属粉末、腐食性物質 | ||
危険有害な分解生成物 | 燃焼により、有毒ガス(塩化水素、ホスゲン、塩化ビニルなど)を発生する。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | ラットのLD50値として、725 mg/kg (ATSDR (2013)、PATTY (6th, 2012))、8,200 mg/kg (環境省リスク評価第8巻 (2010))、14,100 mg/kg (ATSDR (2013)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第8巻 (2010)) の3件の報告がある。分類ガイダンスに従い、最も多くのデータが該当する区分外とした。 | ||
経皮 | データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:ガス | GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | ラットのLC50値 (4時間) として、13,000 ppm との報告 (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (236,920 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。新たな情報源 (環境省リスク評価第8巻 (2010)) を追加し、分類ガイダンスに従い、4時間データを優先して分類を見直した。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 本物質の蒸気はヒトの皮膚に対して刺激性を持つとの記載 (PATTY (6th, 2012)) から区分2とした。なお、ウサギへの反復ばく露により軽度の浮腫や、軽度の壊死がみられ中等度の刺激性あり (IUCLID (2000)) との報告がある。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギを用いた眼刺激性試験において、角膜への刺激や局部的な腫れがみられたが、1週間後に回復したとの記載がある (IUCLID (2000))。また、本物質の蒸気はヒトの眼に対して刺激性をもつとの記載 (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2014)) がある。以上の結果から区分2とした。なお、本物質はEU DSD分類で「Xi; R36」、EU CLP分類で「H319 Eye Irrit. 2」に分類されている。 | ||
呼吸器感作性 | 呼吸器感作性:データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | 皮膚感作性:データ不足のため分類できない。 | ||
生殖細胞変異原性 | In vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験、染色体異常試験、ラット及びマウスの肝臓、腎臓、胃、肺におけるDNA、RNA、タンパク質との付加体形成試験でいずれも陽性、マウス肝臓のDNA損傷試験で陰性である (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ATSDR (2013)、ACGIH (7th, 2001)、IUCLID (2000))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験、ラット及びマウスの初代肝細胞の不定期DNA合成試験でいずれも陽性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験でのみ陰性 (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ATSDR (2013)、IUCLID (2000)、ACGIH (7th, 2001)、NTP DB (Access on July 2014)) となっている。以上より、in vivoで陽性を示し、in vitroでも復帰突然変異試験など陽性結果が認められることから、本物質はin vivoで変異原性を有すると判断し、ガイダンスに従い区分2とした。 | ||
発がん性 | ACGIH (2008) でA4、EPA (2000) でCと分類されているため、より新しいACGIHの情報を優先し、「分類できない」とした。 | ||
生殖毒性 | ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物で摂餌量減少、体重増加抑制がみられる用量で胎児にわずかな影響 (骨化遅延) がみられたのみであった (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2012))。しかし、生殖能に対する影響に関してはデータがなく不明のため分類できないとした。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | ヒトにおいては、吸入ばく露により、気道刺激性、流涎、眩暈、嗜眠、感覚鈍麻、吐き気、嘔吐、意識喪失、流涙、チアノーゼ、循環器系不良、高濃度の場合には意識喪失などが認められ、中枢神経系抑制作用があるが、麻酔剤として使用された場合、不整脈を引き起こす可能性があるため、使用されなくなったとの報告がある。経口摂取では、灼熱感が認められている。経口摂取で急性中毒により死亡した14 人の神経系を形態学的に調べた報告では、血管障害やび漫性変化が脳にみられ、脳、脊髄の形態的変化は急性の腫脹や萎縮、虚血性変化であり、中程度のミエリン変性で示される脊髄及び末梢神経の変化があったとされている (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2013)、PATTY (6th, 2012))。 実験動物では、ラットの4000 mg/kgの経口投与で中枢神経系抑制、ラットの吸入ばく露で麻酔作用の報告がある (PATTY (6th, 2012))。 以上より、実験動物への影響は区分2の範囲を超える用量でみられているが、ヒトへの影響が明確に認められているため、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、旧分類で、区分1 (肝臓、腎臓) と分類されているが、これらの十分な知見が認められなかったため採用しなかった。また、旧分類で中枢神経系を採用していなかったが、今回中枢神経系を採用した。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | ヒトでは塩化ビニルとの混合ばく露を受けた工場労働者で、肝機能検査、血液検査の一部の項目で影響を疑う所見があったが、「塩化ビニル症」と診断された症例では混合ばく露による影響であるとされ (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻 (2010))、本物質ばく露との関連性については不明である。この他、ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻 (2010)、ATSDR (2013) にはヒトでの本物質ばく露による影響についての記述はみられない。 実験動物では、ラット、マウスに6週間及び78週間強制経口投与した試験で、いずれも区分2までの用量範囲では毒性影響はなく、78週間投与試験においてラットで382 mg/kg/day、マウスで2,885 mg/kg/dayの高用量で生存率の低下がみられたが、特定の臓器への毒性は示されなかった (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ATSDR (2013))。 一方、吸入経路ではラット、モルモット、ウサギ、ネコに500 ppmを13週間吸入ばく露し、その後 1,000 ppmに濃度を上げて、13週間追加ばく露した試験で、1,000 ppm までの濃度でラット、モルモット、及びウサギには毒性影響は認められなかったが、ネコでは体重増加抑制を示し、血中尿素窒素及びクレアチニンの増加、腎尿細管に結晶析出、管腔の閉塞、拡張がみられた (環境省リスク評価第8巻 (2010)、ATSDR (2013))。この吸入ばく露試験における本物質の存在状態は蒸気と推定され、区分外相当の1,000 ppm (4,050 mg/m3) で、ネコにのみ腎臓への影響が観察された。 以上、実験動物での毒性情報より、経口及び吸入経路では区分外相当であると考えられるが、経皮経路、ヒトへの影響に関して知見が不足しており、データ不足のため分類できないとした。なお、旧分類ではList 3又はList以外の情報源より、ヒトの知見に基づき分類されたが、今回の List 1の情報源からの調査では、上記のようにヒトで分類に利用可能な信頼性のあるデータはないことが判明した。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 甲殻類(ブラインシュリンプ)の24時間TLm=320mg/L(HSDB、2004)から、区分外とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 難水溶性でなく(水溶解度=5040mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上、処理を委託する。 焼却: アフターバーナ及びスクラバ付き焼却炉の火室へ噴霧し、焼却する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、分類実施中の12項の環境影響情報とに、基づく修正の必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2362 | |||
国連品名 | 1,1-DICHLOROETHANE | |||
国連危険有害性クラス | 3 | |||
副次危険 | II | |||
容器等級 | - | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当する | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法の規制に従う。 毒劇法の規制に従う。 | |||
特別安全対策 | 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。 危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。輸送前に容器が密閉されているか、又、液やガスの漏れがないかを確認する。 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 移送時にイエローカードの保持が必要。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 130 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 危険物・引火性の物 | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体 | |||
船舶安全法 | 引火性液体類 | |||
航空法 | 引火性液体 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
<モデルSDSを利用するときの注意事項> 本安全モデルデータシートは作成年月日時点における情報に基づいて記載されておりますので、事業場においてSDSを作成するに当たっては、新たな危険有害性情報について確認することが必要です。さらに、本安全データシートはモデルですので、実際の製品等の性状に基づき追加修正する必要があります。また、特殊な条件下で使用するときは、その使用状況に応じた情報に基づく安全対策が必要となります。 |