1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | 塩化リチウム | ||
化学品の英語名称 | Lithium chloride | ||
製品コード | R04-C-009-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 医薬原料,溶接用フラックス,熱交換用媒体,乾燥剤,リチウム電池原料 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 ※一部、ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009) | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | |
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | ||
生殖毒性 | 区分1A、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分2(神経系) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分2(神経系、腎臓) | ||
分類実施日 (環境有害性) | ガイダンス(H22.7版) (GHS 3版, JIS Z 7252:2009) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分3 | |
水生環境有害性 長期(慢性) | 区分3 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有害 皮膚刺激 強い眼刺激 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 神経系の障害のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、腎臓の障害のおそれ 水生生物に有害 長期継続的影響により水生生物に有害 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | 塩化リチウム | ||
慣用名又は別名 | 情報なし | ||
英語名 | Lithium chloride | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | ClLi (42.39) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 7447-41-8 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 1-231 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を多量の流水で洗浄する。医師の診察を受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 流水で10分間洗浄する。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続けること。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。吐き出させる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:鼻水、鼻出血、喉の乾燥。 皮膚:非刺激性。 眼:眼刺激(灼熱感、充血、流涙)。 経口摂取:多量の摂取で下痢と嘔吐を誘発。 吸収:迅速に吸収され、高度が高いと痙攣等を起こす。 以上、GESTIS参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 不燃性。周辺の火災に応じた適切な消火剤を使用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 情報なし | ||
火災時の特有の危険有害性 | 情報なし | ||
特有の消火方法 | 周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 自給式呼吸器を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 粉じんが発生しないように回収する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。粉じんの発生を避ける。使用前に取扱説明書を入手する。すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わない。使用時は十分な換気をすること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 眼、皮膚や衣類への接触を避ける。粉じんの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗う。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管する。容器を密閉して乾燥した場所に保管する。吸湿性があるので湿気は避ける。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2022年版) | 未設定 | |||
ACGIH(2022年版) | 未設定 | |||
設備対策 | 作業場所には換気設備を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。 作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 以上、GESTIS参照。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。天然ゴム、クロロプレン、ブチルゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、PVCが適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて、保護衣または化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 610 ℃(GESTIS(2022)) 613 ℃(ICSC(2018)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 1360 ℃(GESTIS(2022),ICSC(2018)) | ||
可燃性 | 不燃性(ICSC(2021)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | データなし | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | ca. 6 (20℃, 50g/L)(GESTIS(2022)) | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 832 g/L(20℃)(GESTIS(2022)) 水: 76.9 g/100 mL(ICSC(2018)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Pow: -2.7(ICSC(2018)) | ||
蒸気圧 | データなし | ||
密度及び/又は相対密度 | 2.07 g/cm3(20℃)(GESTIS(2022)) 2.1 (ICSC(2018)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 加熱により分解する。吸湿性。(GESTIS) | ||
危険有害反応可能性 | 水溶液は、金属に対して腐食性である。粉じん爆発の危険性はない(GESTIS) | ||
避けるべき条件 | 熱 | ||
混触危険物質 | アルカリ金属、BF3 | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | ラットのLD50値 526-840 mg/kg(IUCLID(2000))および757 mg/kg(HSDB(2007))に基づき、区分4とした。 [健康有害性に関しては他のリチウム化合物も参照のこと] | |||
経皮 | データなし。 | |||
吸入: ガス | GHSの定義における固体である。 | |||
吸入: 蒸気 | データなし。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | データなし。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ウサギを用いた試験(Directive 84/449/EEC, B.4 :GLP準拠)で、3匹中1匹に14日間の観察期間中で回復しない痂皮形成が認められ、刺激性あり(irritating)との結果(IUCLID(2000))に基づき、区分2とした。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ウサギを用いた試験(GLP準拠)で、適用1時間後に刺激性が最も強く、洗浄グループでは7日後迄に、非洗浄グループでは16日後迄に回復し、中等度の刺激性(moderately irritating)との結果(IUCLID(2000))に基づき、区分2Aとした。 | |||
呼吸器感作性 | データなし。 | |||
皮膚感作性 | データなし。 | |||
生殖細胞変異原性 | 経口投与によるマウス骨髄染色体異常試験で陽性、同姉妹染色体交換試験で陰性結果が報告されている(IUCLID(2000))ものの、この報告内容には制約が多く、試験法の詳細も提供されていないので、データに基づく明確な結論は出せない。このように、本物質あるいは他のリチウム化合物について染色体異常試験/小核試験での陽性結果(KemI-Riskline NR 2002:16)が散見されるが試験方法等に問題があること、一方、染色体異常試験における陰性結果(KemI-Riskline NR 2002:16)もあり、染色体異常誘発性は明確には示されていないことから、全体的な証拠の重みづけに基づき区分外とした。なお、in vitro試験として細菌を用いる復帰突然変異試験で陰性(NTP DB(Access on Apr. 2010)、KemI-Riskline NR 2002:16)、ヒトの末梢血培養細胞を用いる染色体異常試験で陽性(IUCLID(2000)、KemI-Riskline NR 2002:16)の報告がある。 | |||
発がん性 | データなし。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)より、水溶性の無機リチウム化合物ではリチウムイオンが毒性の誘発本体と考えられ、陰イオンによる影響を無視できる限り、本項は同一の分類区分を適用できると考えられる。よって、(2)〜(5)より区分1Aとし、授乳影響を追加する。旧分類からEUでGHS区分変更が提案されたため、生殖毒性を検討して見直した(2022年度)。 【根拠データ】 (1)EUでは本物質(塩化リチウム)、炭酸リチウム(CAS登録番号:554-13-2)及び水酸化リチウム(CAS登録番号:1310-65-2)について、CLP分類の検討が実施された。これら3物質は水溶液中でリチウム陽イオン(Li+)と対応する陰イオン(Cl-、CO32-、OH-)に解離する。これらはもともと体内に存在する生理的な陰イオンであり、体内では生理的な陰イオンプールに迅速に取込まれるか、中和されるため影響を及ぼさない。したがって、水溶性リチウム化合物の全身毒性はLi+に依存すると考えられる。3つのリチウム化合物の中で、水酸化リチウムは腐食性を有するが、水溶液中では完全に解離しLi+とOH-を生成すると考えられている。以上より、これらの異なる陰イオン部分を有する3つのリチウム塩は共通の毒性を示すと考えられた(EU CLP CLH (2021))。 (2)妊娠第1三半期中の妊婦のリチウム使用が心奇形(エブスタイン奇形と対応した右心室の流出路の閉鎖障害)のリスク増加と関連があり、この相関は用量依存的であることが示された。これは最近の他の疫学研究結果からも支持される。妊婦のリチウム使用と心奇形のリスク増加の相関度は従来考えられていたよりも低いとの報告があるが、これはリチウム使用の妊婦では流産(自然流産及び治療的流産)の頻度が高いこと、リチウムが処方される妊婦の数が限られていることが関連していると考えられる。実験動物においても神経発生影響、胎児体重及び同腹児数の減少が認められている(EU CLP CLH (2021))。 (3)ヒトの母乳及び乳児の血清中にリチウムが検出されたこと、授乳中のみリチウムにばく露された母ラットの児動物では腎臓と甲状腺機能への影響に加えて、新生児では排出系の発達が未熟なためリチウムの排泄に時間がかかることから、リチウム治療を実施した母親の母乳で育てられた子供の健康には懸念がある(EU CLP CLH (2021))。 (4)本邦GHSの既存分類で、炭酸リチウムは区分1A、追加区分(授乳影響)に分類されている(政府GHS分類結果 (平成22年度))。 (5)本邦におけるリチウム製剤の主成分は炭酸リチウムであるが、添付文書には妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投薬は禁忌とされ、理由として動物実験で催奇形作用、ヒトで心臓奇形の増加の報告があると記載されている。また、ヒトで母乳を介した児への移行が確認されていること、母乳を介したリチウムばく露により児にリチウム中毒の徴候がみられたこと等から、授乳を避けさせる旨記載されている(炭酸リチウム錠の添付文書(複数社)、PMDA(医薬品医療機器総合機構)ホームページより入手)。 【参考データ等】 (6)EU CLP分類では、Repr. 1A、Lact.に分類される予定である(EU CLP CLH (2021))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | マウスの急性経口投与試験において、LD50値は1165 mg/kgで毒性症状として後肢麻痺や死亡を伴う昏迷、筋脱力、筋痙縮が記載され(IUCLID(2000))、また、別の試験(用量:1500〜3000 mg/kg)では毒性症状として嗜眠、呼吸緩徐、外部刺激に対する反応の遅れ、死亡前の痙攣などが記載されている(IUCLID(2000))。上記のマウスの所見はガイダンス値区分2の用量範囲で認められているので区分2(神経系)とした。 他のリチウム化合物の情報としては、炭酸リチウムを有効成分とする精神神経用剤の服用により、血液中のリチウム濃度に依存した中毒症状を生じ(KemI-Riskline NR 2002:16、医療用医薬品集(2010))、医薬品添付文書には用法に関連する注意として、血中リチウム濃度の測定を勧める記載(医療用医薬品集(2010))がある。さらに、リチウム治療を受ける患者では血漿中のリチウム濃度が2.5 mMを超えると、意識障害、せん妄、運動失調、全身性筋収縮、錐体外路症候群など重度の神経毒性が数時間から数日の間に発現する可能性があるとの記述(KemI-Riskline NR 2002:16)もある。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ラットに2年まで飲水した反復投与試験において、106 mg/kg/dayで投与後3-5日に傾眠と嗜眠、次いで筋振戦、衰弱が見られ、2-3週間以内に死亡した(IUCLID(2000))。また、イヌの150日までの反復経口投与試験において、100 mg/kg/dayで死亡が発生し、死亡前の症状として振戦、嗜眠、流涎、筋脱力、極度の衰弱などが観察された(IUCLID(2000))。一方、イヌを用いた57週までの反復経口投与試験(20, 50, 100 mg/kg)において、組織学的に遠位曲尿細管と集合管の障害を含む腎臓障害が観察されたIUCLID(2000))、以上の所見はガイダンス値区分2の用量範囲に相当することから区分2(神経系、腎臓)とした。ヒトでは、本物質の塩化ナトリウムの代替塩としての使用により、傾眠、振戦、神経筋過敏などリチウム中毒の徴候を呈した(IUCLID(2000))こと、および低ナトリウム食患者での事例研究に腎不全の患者が含まれていた(KemI-Riskline NR 16(2003))ことが報告されている。 他のリチウム化合物の情報としては、炭酸リチウムを有効成分とする精神神経用剤の服用により、振戦、傾眠、錯乱などの副作用が発生し(KemI-Riskline NR 2002:16、医療用医薬品集(2010))、症状はリチウムの血中濃度に依存し、手の震えから筋力低下、昏睡に至るまで神経毒性が認められている(KemI-Riskline NR 2002:16)。また、リチウム剤を投与されていた患者の追跡調査では、副作用として振戦、自覚的記憶喪失、創造力低下が報告されている(IUCLID(2000))。一方、神経系以外の副作用には、多尿症、多渇症があり、腎性尿崩症を起こした症例の報告(KemI-Riskline NR 2002:16、医療用医薬品集(2010))もあり、慢性腎不全を起こすおそれもある(KemI-Riskline NR 2002:16)と記載されている。 | |||
誤えん有害性* | データなし。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | 魚類(Ptychocheilus lucius)での96時間LC50 = 17 mg/L(AQUIRE, 2011)であることから、区分3とした。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | 急性毒性区分3であり、急速分解性に関する適切なデータが得られていないことから、区分3とした。 | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | - | |||
品名(国連輸送名) | - | |||
国連分類 | - | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | - | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 該当しない | |||
航空規制情報 | 該当しない | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 該当しない | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化候補物質リスト(令和5年) | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 該当しない | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 R5.3.31: 生殖毒性項目を見直した。 |