1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | マンガン | ||
化学品の英語名称 | Manganese | ||
製品コード | R04-B-021-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | ステンレス,特殊鋼の脱酸および添加剤,乾電池用原料 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 生殖毒性 | 区分1B | |
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(神経系、呼吸器) | ||
分類実施日 (環境有害性) | マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分4 | |
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、呼吸器の障害 長期継続的影響により水生生物に有害のおそれ | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後は手をよく洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | マンガン | ||
慣用名又は別名 | 情報なし | ||
英語名 | Manganese | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | Mn (54.94) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 7439-96-5 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 情報なし | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 皮膚に付着した部分を流水と石鹸で十分に洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 流水で10分間洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。コップ一杯の水を飲ませる。無理に吐かせない。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:呼吸器への刺激の可能性、咳、大量の曝露による肺組織の炎症は否定できず、煙、粉じん、蒸気に大量に曝露した場合、金属熱を発症する可能性。 皮膚:一般的に刺激性はない、吸収性毒性作用は考えにくい。 眼:物理的な刺激性。 経口摂取:消化管刺激の可能性、腹痛、吐き気、全身への影響は考えにくい。 吸収:急性ばく露の場合、吸収性毒性作用はないと考えられる。 以上、GESTIS参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 金属火災用消火薬剤、砂 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 水、泡消火薬剤、二酸化炭素 以上、GESTIS参照。 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 情報なし | ||
特有の消火方法 | 可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。着火源となるものを遮断する。防爆型機器を使用する。大量の粉じんが舞い上がった場合は、すぐに避難する。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 自給式呼吸器を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 全ての着火源を断つ。周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは防じんマスクを着用すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性がある。水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。多量の場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 粉じんが発生しないように回収する。火花が出ない器具を使用する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。粉じんを発生させない。使用前に取扱説明書を入手する。すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わない。使用時は十分な換気をすること。防塵防爆型設備にすること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 粉じんの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管する。容器を密閉して涼しくて乾燥した換気の良い場所に保管する。湿気、空気/酸素を遮断する。着火源、熱源、酸から離しておく。 以上、GESTIS、ICSC、GHS分類結果参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 0.05 (マンガンとして) mg/m3 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2022年版) | 許容濃度: 0.02(吸入性粉じん) ,0.1(総粉じん) mg/m3 最大許容濃度: 0.1 (総粉塵), 0.02 (吸入性粉塵) mg/m3 | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 0.02(R), 0.1 (I) mg/m3 | |||
設備対策 | 作業場所には適切な局所排気装置等を設置する。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。床に排水溝を設けないこと。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。 作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 以上、GESTIS参照。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 耐火性/帯電防止性のある保護衣を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体(GHS判定) | ||
色 | 灰白色、光沢ある灰色、スチールグレイ | ||
臭い | 無臭 | ||
融点/凝固点 | 1244〜1260 ℃(化学物質安全性データブック(1997)) 1246 ℃(GESTIS(2022)) 1244 ℃(ICSC(2001)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 1900〜2095 ℃(範囲)(GESTIS(2022)) 2097 ℃(Lewis(2001)) 1900〜2150 ℃(化学物質安全性データブック(1997)) | ||
可燃性 | 可燃性(ICSC(2003)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。(ICSC(2003)) | ||
引火点 | データなし | ||
自然発火点 | 330 ℃(GESTIS(2022)) 450 ℃(砂塵雲の最小発火温度は 450 ℃。)(HSDB in PubChem(2022)) | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: (実質的に不溶)(GESTIS(2022)) 水: (溶けない)(ICSC(2003)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | データなし | ||
蒸気圧 | 0.13 kPa(化学物質安全性データブック(1997)) 0 mmHg(約)(HSDB in PubChem(2022)) 1 mmHg(1292℃)(SAX(2004)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 7.47 g/cm3(alpha modification)(GESTIS(2022)) 7.21 g/cm3(Lange(2017)) 7.3 g/cm3(CRC(2018)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 高温で、多くに非金属類(塩素、フッ素、酸素など)と激しく反応して、火災や爆発の危険をもたらす。 過酸化水素、五フッ化臭素、二酸化窒素、アルミニウム粉じんと激しく反応して、火災や爆発の危険をもたらす。 | ||
避けるべき条件 | 粉末又は顆粒状で空気と混合すると粉じん爆発可能性がある。 高温加熱、混触危険物質との混合・接触。 | ||
混触危険物質 | 強酸化剤、強酸、過酸化水素、五フッ化臭素、二酸化窒素、非金属類、アルミニウム粉じんなど。 | ||
危険有害な分解生成物 | 加熱すると、刺激性・腐食性・毒性のガス・ヒュームが生成する。 |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラット(雌)のLD50:> 2,000 mg/kg(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間、粉じん):> 5.14 mg/L(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022)、AICIS IMAP (2018)) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、皮膚刺激性影響はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 (2)In vitro 皮膚刺激性試験(OECD TG 439相当、GLP、EpiSkinモデル)において、平均細胞生存率R=100%(区分に該当しない範囲)との報告がある(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 【参考データ等】 (3)SkinEthicRHEを用いたin vitro 皮膚腐食性試験(OECD TG 431、GLP)において、T=3分 細胞生存率R=104.4%、T=60分 細胞生存率R=97.7%(非腐食性物質に相当)との報告がある(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、見られた影響は72時間以内に消失した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1/1/1、結膜浮腫スコア:1/1/1)との報告がある(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 【参考データ等】 (2)ウサギの眼に本物質500mgを適用したところ、軽度の刺激性がみられた(AICIS IMAP (2018))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。 【根拠データ】 (1)マウス(n=4/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は0.79(2.5%)、1.16(5%)及び0.73(10%)であったとの報告がある(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)In vivoでは、本物質の塩である硫酸マンガン(CAS登録番号:7785-87-7)ではラットを用いた優性致死試験(1〜5日間強制経口投与)及びマウスを用いた相互転座試験(7週間混餌投与)はいずれも陰性、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験及び小核試験(3週間経口投与)はいずれも陽性であった。一方、塩化マンガンでは、ラットの骨髄細胞又は精原細胞を用いた染色体異常試験(180日間経口投与)はいずれも陰性であった(Canada CMP (2019))。 (2)硫酸マンガン又は塩化マンガン(CAS登録番号:7773-01-5)を用いたin vitro試験では、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性又は陽性、マウスリンフォーマ試験及びチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いた染色体異常試験の代謝活性化非存在下で陽性の報告がある(Canada CMP (2019))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)より、EPAおよびACGIHは、本物質についての吸入を含む適切な知見が認められずヒト発がん性について評価できないとしていることから、分類できないとした。新たな知見に基づき分類し、区分を変更した。 【根拠データ】 (1)国内外の評価機関による既存分類として、EPAでマンガンに対しD(not classifiable as to human carcinogenicity)に(IRIS (1995))、ACGIHでマンガン及び無機マンガン化合物に対しA4(not classifiable as a human carcinogen)に分類されている。 【参考データ等】 (2)雄ラットに既知発がん物質のニッケル20 mg又はニッケル20 mg+マンガンダスト20 mgを単回筋肉内注射し、1年以上後に腫瘍の発生を調べた結果、ニッケル単独群では7/10例に、マンガン併用群では2/10例に腫瘍発生が認められた。マンガンはニッケルの発がん性を特異的に抑制した。この結果から、マンガンは発がん性を有さないと示唆された(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 (3)ラットに金属マンガン10 mgを2回/月で12ヵ月間経口投与、又はラット及びマウスに金属マンガン10 mgを1回/月で9ヵ月間筋肉内投与した試験で、いずれも発がん性は示されなかった(AICIS IMAP (2018)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 (4)マンガンについて、実験動物を用いた経口(混餌)投与及び腹腔内投与試験では、陰性/陽性の混じった結果が得られた。殆どの試験結果は陰性であったが、腹腔内投与した1試験では最高用量で肺腫瘍の増加が認められた(ACGIH (2013))。 (5)硫酸マンガン一水和物について、ラットとマウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験において、ラットの雌雄では発がん性の証拠は認められなかった。マウスの試験では甲状腺ろ胞上皮の腺腫発生頻度の僅かな増加及びろ胞上皮過形成の統計的に有意な増加が認められ、発がん性の不確かな証拠と結論された(NITE 初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2013)、食安委 清涼飲料水評価書 (2012)、Canada CMP (2019))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分1Bとした。 【根拠データ】 (1)職業ばく露環境下でのばく露を受けた男性では、マンガン症として知られる神経学的症候群とともに、リビドーの減少、インポテンス、性機能低下及び精子の質の低下が報告されたが、矛盾する報告もある。(AICIS IMAP (2018)、産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014)、ATSDR (2012))。 (2)マンガン合金製造工場の調査でばく露による血清プロラクチン濃度の上昇傾向(p = 0.06)がみられたとの報告、不妊外来を受診した男性の調査で、精子数や精子運動能と血中マンガン濃度とに有意な負の相関がみられたとの報告がある(産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014))。 (3)実験動物においては、無機マンガン化合物投与(主に経口投与)により、受胎率の低下と血清テストステロン濃度の減少、精子数減少、精子運動能の低下、1日精子産生量の増加とLH、FSH、テストステロンの上昇、出生直後の児の生存率の減少等が報告されている(産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014))。 (4)日本産業衛生学会において、マンガン及びマンガン化合物は生殖毒性物質第2群に分類されている(産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、吸入及び経口経路では区分に該当しない。ただし、他経路での分類に十分な情報がなく、データ不足のため分類できない。なお、旧分類における根拠データは、ばく露条件等が不明であり分類に判断し採用しなかった。新たな情報源を利用し分類結果を見直した。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(ダスト、4時間)において、5.14 mg/L(区分に該当しない範囲)で、ばく露後に死亡例はなく、円背姿勢、立毛、被毛湿潤がばく露中又はばく露終了後にみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022)、AICIS IMAP (2018))。 (2)ラットの単回経口投与試験では、区分2上限の2,000 mg/kg(区分2の範囲の上限)で死亡例も症状もみられなかったとの報告がある(Accessed Sep. 2022)、AICIS IMAP (2018))。 【参考データ等】 (3)本物質のダストとヒュームは眼と気道(粘膜)の刺激物であると報告されているが、このような気道への刺激反応は吸入粒子状物質全般に当てはまるもので、本物質の直接的な寄与かどうかは不明と指摘されている(AICIS IMAP (2015)、HSDB in Pubchem (Accessed Sep. 2022))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(4)より、区分1(神経系、呼吸器)とした。 【根拠データ】 (1)粒子やダスト状の形態のマンガンへのばく露はマクロファージと白血球浸潤、粒子の貪食及び肺の局所的な浮腫領域により特徴づけられる肺の刺激と炎症と関連している。職業的な環境のみならず工場や採掘場所の付近の居住地域でもこのような報告がある。兆候や症状には咳、気管支炎、肺炎及び肺機能低下等が含まれる(AICIS IMAP (2018)、ATSDR (2012))。 (2)マンガンは吸入ばく露後に鼻腔粘膜、上気道及び肺に沈着する。マンガンの粒子サイズは吸入経路による吸収の主な決定因子である。下気道に進入が可能な小粒子(吸入画分:≦ 5 μmの大きさ)は、溶解し直接血液とリンパ液に吸収されるが、粘膜に蓄積する大きな粒子(吸引性画分)は嗅球神経連結路(olfactory neural connections)を介し嗅球(脳)に移行することが可能である(Canada CMP (2019)、AICIS IMAP (2018)、SCOEL (2011))。 (3)職業環境状況で起こり得るマンガンへの高ばく露は、全般的な認知及び運動機能障害(動作緩徐、広範囲の硬直、歩行障害、落下、ジストニア、後ろ向き歩行困難、言語障害など)により特徴づけられるマンガン中毒症(Manganism)と呼ばれる臨床神経学的病変を生じることがある。また、特に吸入によるマンガンへの低ばく露が微細運動スキル、眼と手の協調運動性と反応時間の低下など神経機能的な成績の悪化を生じる場合があるとする多くの研究報告がある。さらに、いくつかの疫学研究では飲料水中のマンガンばく露と子供の神経学的影響との関連性が示唆されている(Canada CMP (2019))。 (4)マンガン粉体について、ラットを用いた90日間吸入ばく露による反復投与毒性試験(OECD TG413、GLP)において、0.5 μg/L以上で雌雄に肺胞の組織球症(用量依存的)、雌に肺重量増加がみられた。5 μg/L以上では雄に細気管支-肺胞接合部の小肉芽腫、25 μg/Lでは雌雄に肺胞炎、雌に細気管支-肺胞接合部の小肉芽腫、雄に肺重量増加が認められた。この他肝臓・腎臓・胸腺重量に変動がみられたが病理組織変化を伴うものではなかった。以上の呼吸器への影響のうち、肺胞の組織球症は毒性影響ではなく、肺胞炎と小肉芽腫は粒子の過負荷に対する反応で毒性所見と判断されたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | データ不足のため分類できない。 | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | L(E)C50≦100mg/Lデータが存在するものの、金属であり水中での挙動が不明であるため、区分4とした。 | ||
残留性・分解性 | 情報なし | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3089(可燃性の場合) | |||
品名(国連輸送名) | 金属粉末(可燃性のもの)、n.o.s. | |||
国連分類 | 4.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | U又はV(試験結果による) | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 170 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 特定化学物質第2類物質(施行令別表第3第2号・特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2号) 特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2、5号) 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3) 作業環境評価基準(法第65条の2第1項) 作業場内表示義務(法第101条の4) | |||
労働基準法 | 女性労働基準規則の対象物質(女性労働基準規則第2条の18)【マンガンのみ。マンガン化合物は除外】 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【マンガン及びその化合物(頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状又は言語障害、歩行障害、振せん等の神経障害)】 | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
水道法 | 有害物質(法第4条第2項)【マンガン及びその化合物】 水質基準(平15省令101号)【マンガン及びその化合物】 | |||
大気汚染防止法 | 有害大気汚染物質、優先取組物質(中央環境審議会第9次答申) | |||
水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) | |||
下水道法 | 水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【マンガン及びその化合物】 | |||
船舶安全法 | 可燃性物質類・可燃性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 可燃性物質類・可燃性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
港則法 | その他の危険物・可燃性物質類(可燃性物質)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 R5.3.31: 物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。 |