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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
1,2,3,4,10,10-ヘキサクロロ-6,7-エポキシ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ−エンド-1,4-エンド-5,8-ジメタノナフタレン
作成日 2003年05月06日
改訂日 2006年09月11日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称1,2,3,4,10,10-ヘキサクロロ-6,7-エポキシ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ−エンド-1,4-エンド-5,8-ジメタノナフタレン (別名: エンドリン) (Endrin)
製品コードR02-B-045
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限殺虫剤 (販売禁止農薬) (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性自己反応性化学品タイプG
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分1
急性毒性 (経皮)区分1
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (神経系、肝臓、腎臓)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (神経系、肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
平成18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分1
GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと生命に危険
皮膚に接触すると生命に危険
神経系、肝臓、腎臓の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、肝臓の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
眼、皮膚、衣類につけないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名1,2,3,4,10,10-ヘキサクロロ-6,7-エポキシ-1,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ−エンド-1,4-エンド-5,8-ジメタノナフタレン
別名エンドリン
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C12H8Cl6O (380.91)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号72-20-8
官報公示整理番号
(化審法)
4-299
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医療機関に連絡する。
皮膚に付着した場合多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
直ちに医師に連絡すること。
汚染された衣服を脱がせる。
眼に入った場合数分間多量の水で洗い流し(できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。
飲み込んだ場合直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
水に活性炭を懸濁した液を飲ませる。
安静。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 「経口摂取」参照。
皮膚: 吸収される可能性あり!「経口摂取」参照。
経口摂取: めまい、脱力感、頭痛、吐き気、嘔吐、痙攣。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤小火災: 粉末消火剤、二酸化炭素、散水
大火災: 散水、水噴霧、一般の泡消火剤
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性不燃性。
有機溶剤を含む液体製剤は、引火性のことがある。
火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護情報なし

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり)
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材この物質を環境中に放出してはならない。
こぼれた物質を、ふた付きの 密閉式容器内に掃き入れる。
湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。
残留分を、注意深く集める。
地域規則に従って保管処理する。
下水に流してはならない。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
眼、皮膚、衣類につけないこと。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
環境への放出を避けること。
製剤に溶剤が使用されている場合は、その溶剤のICSCも参照のこと。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
消火により生じる流出物を収容するための用意をする。
食品や飼料から離しておく。
密封する。
換気のよい部屋に保管する。
排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)未設定
ACGIH (2020年版)TLV-TWA: 0.1 mg/m3
(Skin)
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり)
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用する。(ICSCには、粉末の場合には呼吸用保護具と併用して、顔面シールドまたは保護眼鏡を使用することとの記載あり)
皮膚及び身体の保護具保護衣(化学防護服)を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり)

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色
臭い無臭
融点/凝固点200℃ (ICSC (2000))
沸点、初留点及び沸騰範囲245℃ (分解) (ホンメル (1991))
可燃性不燃性 (ICSC (2000))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度245℃ (ICSC (2000))
pHデータなし
動粘性率該当しない
溶解度水: 0.25 mg/L (25℃) (HSDB (Access on May 2020))
n-オクタノール/水分配係数log Kow = 5.20 (HSDB (Access on May 2020))
蒸気圧3E-006 mmHg (20℃) (HSDB (Access on May 2020))
密度及び/又は相対密度1.7 g/cm3 (ICSC (2000))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性245℃以上で分解する。
塩化水素およびホスゲンを生じる。
避けるべき条件加熱、混触危険物質との接触
混触危険物質パラチオン、強酸化剤、強酸
危険有害な分解生成物塩化水素およびホスゲン

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(13) より、区分1とした。
なお、情報の精査により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 3 mg/kg (MOE初期評価第1巻 (2002)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 4 mg/kg (EHC 130 (1992))
(3) ラットのLD50: 雌: 4.0 mg/kg、雄: 8.9 mg/kg (EHC 130 (1992))
(4) ラットのLD50: 5.3 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2020))
(5) ラットのLD50: 雌: 5.3 mg/kg、雄: 5.6 mg/kg (EHC 130 (1992))
(6) ラットのLD50: 5.3〜43.4 mg/kg (ATSDR (2019))
(7) ラットのLD50: 雌: 7.3 mg/kg、雄: 43.4 mg/kg (EHC 130 (1992))
(8) ラットのLD50: 雌: 7.5 mg/kg、雄: 17.8 mg/kg (EHC 130 (1992))
(9) ラットのLD50: 雄: 9.0 mg/kg (EHC 130 (1992))
(10) ラットのLD50: 雌: 16.8 mg/kg、雄: 28.8 mg/kg (EHC 130 (1992))
(11) ラットのLD50: 16.8〜28.8 mg/kg (ATSDR (2019))
(12) ラットのLD50: 雄: 27 mg/kg (EHC 130 (1992))
(13) ラットのLD50: 雄: 40 mg/kg (EHC 130 (1992))
経皮【分類根拠】
(1)〜(6) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 5〜20 mg/kg (EHC 130 (1992)、MAK (DFG) vol.18 (2002)、GESTIS (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 雌: 5〜10 mg/kg、雄: 10〜20 mg/kg (EHC 130 (1992))
(3) ラットのLD50: 約10 mg/kg (EHC 130 (1992))
(4) ラットのLD50: 12.5 mg/kg (EHC 130 (1992))
(5) ラットのLD50: 雌: 15 mg/kg、雄: 18 mg/kg (ATSDR (2019)、EHC 130 (1992)、HSDB (Access on May 2020))
(6) ラットのLD50: 18 mg/kg (EHC 130 (1992)、MOE初期評価第1巻 (2002))

【参考データ等】
(7) ウサギのLD50: 60 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020)
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1) より、粉じんを2mg/Lの気中濃度でラットに1時間ばく露 (4時間換算値: 0.5 mg/L) した試験において10例中3〜5例が死亡したとのデータはあるが、LC50値のデータはなく、区分が特定できないことから分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 粉じんを2mg/Lの気中濃度でラットに1時間ばく露 (4時間換算値: 0.5 mg/L) した試験において10例中3〜5例が死亡した (EHC 130 (1992)、MAK (DFG) vol.18 (2002))。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質の粉末 (75又は150 mg/kg) をウサギに2時間/日、5日/週で14週間適用した実験で刺激性はみられず、本物質の粉末 (250 mg/kg) をウサギの皮膚に24時間適用した実験でも皮膚に影響はみられていない (EHC 130 (1992)、MAK (DFG) vol.18 (2002)、GESTIS (Access on May 2020))。
(2) 本物質は皮膚に対して刺激性及び感作性を示さない (GESTIS (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質は長期にわたり皮膚や眼にばく露可能な条件下で広く使用されてきたが、局所刺激性や傷害に関する報告はみられない (GESTIS (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 本物質は長期にわたり皮膚や眼にばく露可能な条件下で広く使用されてきたが、局所刺激性や傷害に関する報告はみられない (GESTIS (Access on May 2020))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 本物質は皮膚に対して刺激性及び感作性を示さない (GESTIS (Access on May 2020))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスを用いた優性致死試験において陰性の報告がある。一方、マウスやラットを用いたDNA損傷試験で陽性の結果が得られているが、これらの影響は、組織内の高濃度の本物質によって引き起こされる酸化ストレスによるものと考えられている (ATSDR (2019)、MAK (DFG) vol.18 (2002)、EHC 130 (1992))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、ほ乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験、ヒトのリンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験、ヒトの肺線維芽細胞及びラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験において陰性の報告がある。また、ラットの培養細胞を用いるDNA損傷試験で陽性及び陰性の報告がある (ATSDR (2019)、EHC 130 (1992)、CEBS (Access on May 2020))。
(3) 本物質にばく露された労働者の末梢血リンパ球において、染色体異常はみられなかったとの報告がある (MAK (DFG) vol.18 (2002)、EHC 130 (1992))。
発がん性【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)、(2) より区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ3 (IARC Sup7 (1987))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001))、EPAでD (not classifiable as to carcinogenicity for humans) (IRIS (1989)) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質を80週間混餌投与した発がん性試験では、いずれの種においても投与に関連した腫瘍発生率の増加は認められず、本物質はラット及びマウスにおいて発がん性を示さない (not carcinogenic) と結論された (NTP TR12 (1979))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)〜(5) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた混餌投与による3世代生殖毒性試験において、生殖影響はみられていない (EHC 130 (1992))。
(2) マウスを用いた混餌投与による生殖毒性試験において、有意な親の死亡率増加 (32%) 及び同腹児数の減少が観察されたが、生存ペア当たりの比較では受胎能、多産能及び同腹児数に差異はみられなかった (EHC 130 (1992))。
(3) 雌ラットの妊娠7〜20日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量においても胎児に影響はみられていない (MOE初期評価第1巻 (2002)、EHC 130 (1992))。
(4) 雌マウスの妊娠7〜17日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、肝臓重量増加、死亡) がみられる用量においても、催奇形性または胚致死はみられていない (EHC 130 (1992))。
(5) 雌ハムスターの妊娠4〜13日に強制経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量においても、胎児に骨化遅延がみられたが催奇形性はみられていない (EHC 130 (1992))。

【参考データ等】
(6) 雌ハムスターの妊娠7、8、9日に5 mg/kg (LD50値の半量) を単回強制経口投与した発生毒性試験において、妊娠8日投与で先天異常が多くみられ、眼瞼開裂、水かき足、口蓋裂及び癒合肋骨の増加がみられ、いずれの投与日でも口蓋裂と癒合肋骨は同程度に増加した (EHC 130 (1992))。なお、EHC 130 (1992) では、この試験でみられた先天異常は他の試験で確認できなかったとしている。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)〜(7) より、区分1 (神経系、肝臓、腎臓) とした。

【根拠データ】
(1) 本物質によるヒトに対する急性中毒は、腕と脚の痙攣、顔面筋の痙攣、強直性及び間代性収縮、痙攣、突然の虚脱及び死などの中枢神経系の毒性の症状である。本物質を製造する労働者において、急性の高用量のばく露により、痙攣の症例が多数報告されている (ATSDR (2019))。
(2) 軽度の中毒の場合、めまい、脚の脱力感、腹部不快感、吐き気、嘔吐が報告されている。重度の中毒では、突然のてんかん様の発作によって引き起こされ、口の泡立ち、顔面のうっ血、手足の激しい痙攣性の動きが現れ、時には肩の脱臼やその他の損傷につながった (EHC 130 (1992))。
(3) ヒトでは、本物質の重度の神経毒性作用により、吐き気、嘔吐、めまい、腹痛、頭痛、突然の意識喪失、痙攣、中枢神経系抑制などの症状が急速に生じる (MAK (DFG) vol.18 (2002))。
(4) 過去に繰り返し、偶然に汚染された食品の摂取の結果として、また皮膚へのばく露後に中毒のケースがあった。報告された主な症状は、吐き気、嘔吐、めまい、腹痛、頭痛、突然の意識喪失、発作、中枢神経系抑制であり、本物質を摂取後0.5〜10時間で始まった (MAK (DFG) vol.18 (2002))。
(5) オランダの工場での事故によるばく露では中毒による痙攣がみられたが、短期間で完全に回復した (MOE初期評価第1巻 (2002))。
(6) ラット、マウス、ハムスター、モルモットを用いた単回経口投与 (4 mg/kg、区分1の範囲) した結果、肝臓ではアポトーシスと限局性壊死 (細胞核、細胞質、膜の断片化の変化)、炎症反応 (白血球の浸潤とうっ血)、間質性浮腫、クッパー細胞の過形成等がすべての種にみられた。ラットでは、脂肪の蓄積と胆汁うっ滞もみられた。腎臓では、腎尿細管で細胞壊死、混濁腫脹、硝子滴の蓄積 (ラットとハムスターのみ) 及び間質性浮腫、内腔の狭窄、炎症細胞の浸潤 (ラットとマウスのみ) がみられた (MAK (DFG) vol.18 (2002)、ATSDR (2019))。
(7) 実験動物を用いた経口、経皮、吸入の単回投与試験において、肝臓重量の増加、肝血清酵素の変化、びまん性変性病変、壊死、空胞化、脂肪変性及び脂質過酸化が認められた (ATSDR (2019))。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (神経系、肝臓) とした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた2年間混餌投与試験において、5 ppm (0.25 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上では最初の40週間で体重増加抑制、肝臓相対重量増加、25 ppm (1.25 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で死亡率増加、死亡例で脳、肝臓、腎臓及び副腎のび漫性変性、雌で肝臓の相対重量増加、50 ppm (2.5 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で外部刺激に対する過敏、てんかん発作、生存動物で肝臓の退行性変化がみられた (MAK (DFG) vol.18 (2002)、JMPR (1965)、ATSDR (2019))。
(2) イヌを用いた2年間混餌投与試験において、0.05 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上の雌、0.1 mg/kg/day (区分1の範囲) の雄で痙攣、肝細胞空胞化がみられた (ATSDR (2019))。

【参考データ等】
(3) 実験動物で最も敏感な影響は神経学的影響 (活動の変化、痙攣等) と肝毒性のようである。 び漫性臓器障害 (肺、心臓、腎臓、内分泌腺) や体重への影響などは、一般に致死量でのみで観察されている (ATSDR (2019))。
(4) 中枢神経系への影響に加えて、急性及び慢性毒性の他の主な症状は、おそらく酸化ストレスの結果である肝臓及び腎臓の損傷との記載がある (MAK (DFG) vol.18 (2002))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)甲殻類 (ピンクシュリンプ) の96時間LC50 = 0.000037 mg/L (EHC130 (1992)) から、区分1とした。
水生環境有害性 (長期間)急性毒性が区分1、急速分解性がなく (BODによる分解度: 0% (既存化学物質安全性点検データ))、生物蓄積性がある (BCF = 12,600 (既存化学物質安全性点検データ)) ことから、区分1とした。
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2761
国連品名ORGANOCHLORINE PESTICIDE, SOLID, TOXIC
国連危険有害性クラス6.1
副次危険-
容器等級J
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質-
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報毒物及び劇物取締法、道路法の規定に従う。
特別な安全上の対策毒物及び劇物取締法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*151
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【507 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−6,7−エポキシ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−エンド−1,4−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【507 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−6,7−エポキシ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−エンド−1,4−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法毒物(指定令第1条)【25 ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエンドジメタノナフタリンを含有する製剤】
毒物(法第2条別表第1)【23 ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエンドジメタノナフタリン】
化学物質審査規制法第1種特定化学物質(法第2条第2項・施行令第1条)【6 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−6,7−エポキシ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−エンド−1,4−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【3 ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエンドジメタノナフタリンを含有する製剤】
航空法毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 殺虫殺菌剤(有機塩素系)(固体)(毒性のもの)】
船舶安全法毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2チ 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
海洋汚染防止法個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
農薬取締法販売禁止農薬(法第18条第2項、平成15年3月5日省令第11号)【3 1,2,3,4,10,10−ヘキサクロロ−6,7−エポキシ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−エンド−5,8−ジメタノナフタレン】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用