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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
(RS)‐アルファ‐シアノ‐4‐フルオロ‐3‐フェノキシベンジル=(1RS)‐シス‐トランス‐3‐(2,2‐ジクロロビニル)‐2,2‐ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(別名シフルトリン)
作成日 2009年3月30日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称(RS)‐アルファ‐シアノ‐4‐フルオロ‐3‐フェノキシベンジル=(1RS)‐シス‐トランス‐3‐(2,2‐ジクロロビニル)‐2,2‐ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(別名シフルトリン)
化学品の英語名称Cyano(4-fluoro-3-phenoxyphenyl)methyl 3-(2,2-dichlorovinyl)-2,2-dimethylcyclopropane-1-carboxylate
製品コードR06-C-179-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬(殺虫剤)(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成20年度(2008年度)、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分3
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2
生殖毒性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1(神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1(神経系)
分類実施日
(環境有害性)
平成20年度(2008年度)、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
吸入すると生命に危険
強い眼刺激
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
神経系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名(RS)‐アルファ‐シアノ‐4‐フルオロ‐3‐フェノキシベンジル=(1RS)‐シス‐トランス‐3‐(2,2‐ジクロロビニル)‐2,2‐ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
慣用名又は別名シフルトリン
英語名Cyano(4-fluoro-3-phenoxyphenyl)methyl 3-(2,2-dichlorovinyl)-2,2-dimethylcyclopropane-1-carboxylate
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C22H18Cl2FNO3 (434)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号68359-37-5
官報公示整理番号
(化審法)
3-4123
官報公示整理番号
(安衛法)
4-(7)-1541
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。医師に連絡すること。
意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。
呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。
直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
皮膚に付着した場合直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
刺激/不快感がある場合、または広い範囲に接触した後:医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間、患部を洗眼する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。
直ちに医師に連絡すること。
意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。活性炭懸濁水(コップ1杯の水に大さじ3杯を懸濁させたもの)を飲ませる。 無理に吐かせないこと。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。
以上、GESTIS、ICSC参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性影響: 粘膜の刺激、高用量へのばく露後のばく露領域での感受性障害、神経系の全身性障害。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、乾燥消火剤、アルコール耐性泡消火剤、二酸化炭素。
以上、GESTIS、ICSC参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、塩化水素、シアン化水素蒸気、フッ化水素、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法突然の放出や大量の粉じんの発生に備えて、直ちに避難すること。
周囲の容器を水スプレーで冷却する。
可能であれば、容器を危険区域から移動する。
着火(発火)源を遮断する。
流出水が排水システムに入らないようにすること。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。
影響を受ける周囲に警告する。
周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
閉じた装置のみを使用すること。
容器とパイプラインにラベルを貼ること。
水への深刻な危険。水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材この物質を環境中に放出してはならない。
こぼれた物質を密閉容器内に収集する。
液体の場合:漏れた液を 密閉式の容器に できる限りに集める。
残留液を、乾燥砂または不活性吸収剤に吸収させる。
地域規則に従って保管・処理する。
漏出物を回収すること。
廃棄物を流し台に置かないこと、ゴミ箱に入れないこと。
収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。
個人用保護具:空気中濃度に応じた有機ガスおよび粒子用フィルター付マスク
以上、GESTIS、ICSC参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する
粉じんを発生させないこと。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集すること。
掃除中に粉じんを起こさないこと。
清掃にブロワーを使用しないこと。
以上、GESTIS参照。
安全取扱い注意事項全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
作業場を所を清潔に保つこと。
作業に必要な量を超えて持ち込まないこと。
容器を開けたままにしないこと。
補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。
こぼれないようにすること。
ラベルの付いた容器にのみ注入すること。
粉じんを発生させないこと。
裸火禁止。
酸化剤との接触禁止。
帯電を防ぐ(例えばアースを使用)。
以上、GESTIS、ICSC参照。
接触回避感染性、放射性、爆発性の物質
ガス。
水と接触した可燃性ガスを放出する物質
硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤
有機過酸化物および自己反応性物質
以上、GESTIS参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
眼、皮膚、衣類への接触を避けること。汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所で保管すること。
強酸化剤、強酸および強塩基から離しておく
排水溝のない場で貯蔵する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
安全な容器包装材料毒劇法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)(吸入性粉じん)2 mg/m3
(総粉じん)8 mg/m3
(第3種粉じん)
ACGIH (2024年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。
作業場をは換気をすること。
床に排水溝を設置しない。
作業場をでの洗浄設備を設置する。
本物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーを設置すること。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。
以上、GESTIS参照。
手の保護具耐性のある保護手袋の使用を推奨する。
必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
無色〜茶色
臭い芳香族溶剤臭
融点/凝固点60 ℃ (HSDB in PubChem(2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性可燃性 (GESTIS(2024))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点107 ℃ (GESTIS(2024))
131 ℃ (closed cup) (EU RAC Background Document (2020))
自然発火点375 ℃ (EU RAC Background Document (2020))
分解温度> 250 ℃ (EU RAC Background Document (2020))
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:0.003 mg/L (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
水:不溶 (GESTIS (2024))
ジクロロメタン:1000 g/L (HSDB in PubChem (2024))
n-オクタノール/水分配係数logPow:5.9〜6 (20℃) (EU RAC Background Document (2020))
蒸気圧1.5×10-10 mmHg (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
密度及び/又は相対密度1.34 g/cm3 (22℃) (HSDB in PubChem (2024))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性物質は可燃性である。
以上、GESTIS参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性難燃性。
火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。
強力な酸化剤と接触すると、火災および爆発の危険性がある。
加熱すると、 急速に分解する。
強酸化剤と激しく反応する。
窒素酸化物、塩化水素、シアン化水素、フッ化水素および一酸化炭素を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。
以上、ICSC参照。
避けるべき条件発火源(火気、加熱、高温、静電気、火花など)に近づけないこと。
以上、GESTIS参照。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化窒素)、塩化水素、シアン化水素蒸気、フッ化水素、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(4)より区分3とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50(媒体:アセトン/油):雄155/雌160 mg/kg、雌: 254 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2021)、食安委 動物用医薬品評価書 (2023)、RAC Opinion (Background Doc.) (2020)、MAK(DFG) (2007)、JECFA FAS 39 (1997))
(2)ラットのLD50(媒体:DMSO):396 mg/kg(同上)
(3)ラットのLD50(媒体:N-メチルピロリドン):500〜1,000 mg/kg(同上)
(4)ラットのLD50(媒体:PEG400):雄590/雌1,190 mg/kg(同上)

【参考データ等】
(5)ラットのLD50(媒体:クレモホアEL水溶液):14.3〜20 mg/kg(6試験結果の範囲)(RAC Opinion (Background Doc.) (2020))
(6)ラットのLD50(媒体:クレモホアEL水溶液):16.2 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2021)、食安委 動物用医薬品評価書 (2023)、RAC Opinion (Background Doc.) (2020)、JMPR (2006)、JECFA FAS 39 (1997))
(7)食品安全委員会では農薬、動物用医薬品の評価において、クレモホアEL水溶液を用いた結果について、血中濃度が著しく高い条件となったことで毒性症状が強く表れていると考えられ残留農薬及び動物用医薬品の食品健康影響評価に用いるのは適切ではないと判断し、許容一日摂取量(ADI)及び急性参照用量(ARfD)の設定には用いていない (食安委 農薬評価書 (2021)、動物用医薬品評価書 (2023))。
(8)EUではAcute Tox. 2に分類されている(CLP分類 (Accecced Aug. 2024)
経皮ラットLD50値=>5000 mg/kg (JECFA No. 891 (1997))に基づき、JIS分類基準の区分に該当しない(国連分類基準の区分5)とした。
吸入: ガスGHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストラットLC50値で、区分4相当(1.089 mg/L)が1個、区分3相当(0.575 mg/L)が1個、区分2-3相当(0.469-0.592 mg/L; 0.2-0.735 mg/L))が2個、区分2相当(0.405; 0.49 mg/L)が2個(DFGOT vol. 23(2003))(JECFA No. 891(1997))であることから, 数が多く毒性が強いデータを採用し、区分2とした。なお、EU分類にてR26/28(区分1または区分2), R23(区分2)(EU-Annex I(Access on Feb. 2009))である。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギを用いた2件の試験において刺激性なし(not irritating)との報告(DFGOT vol. 23(2003))に基づき区分に該当しないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギ2件の試験結果で、いずれも一次刺激性(DFGOT vol. 23(2003))との記述に基づき区分2とした。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性モルモットを用いた2件のMaximization 試験(DFGOT vol. 23(2003))では、いずれも皮膚感作性を否定していることから、区分に該当しないとした。
生殖細胞変異原性データ不足により分類できない。なお、経口投与によるマウス優性致死試験及び経口投与によるマウス骨髄細胞染色体異常試験において陰性とする報告があるが、試験に不備があるため採用できないとの注記がある(JECFA No. 891(1997))ことから不採用とした。なお、in vitro変異原性試験:エームステスト、CHO細胞を用いる突然変異試験、CHL細胞を用いる染色体異常試験、ヒトリンパ球を用いる染色体異常試験の結果は陰性である(JECFA No. 891(1997)、DFGOT vol. 23(2003))。
発がん性ラットを用いた2年間の経口投与試験、マウスを用いた23ヶ月、18ヶ月間の経口投与試験において腫瘍の発生率の上昇は認められていない(DFGOT vol. 23(2003))ことから区分に該当しないとした。
生殖毒性OECD-TG414に準拠した経口投与によるウサギを用いた発生毒性試験において(JECFA No. 891(1997)、HSDB(2008))、母獣に体重増加抑制が認められる投与量(60 and 180 mg/kg bw per day)においてより胚吸収が生じているため、区分2とした。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)ラットに0.405 mg/L/4hの吸入ばく露(OETD TG 403)で、舞踏アテトーゼ様の動作の持続、チアノーゼ、呼吸困難を伴う不規則呼吸、異常発声、閉眼状態での伏臥あるいは側臥が観察されている(DFGOT vol. 23(2007))ことから、区分1(神経系)とした。なお、げっ歯類(ラット、マウス)の経口ばく露によるLD50値は291〜1271 mg/kgであり、舞踏アテトーゼ様の兆候、不穏、流涎、運動機能低下、運動失調、足取り不調、呼吸数の減少、呼吸困難と無気力が報告されている(DFGOT vol. 23(2007))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ラットによる4週間の強制経口投与試験で80mg/kg bw/day(90日換算値:27mg/kg bw/day=区分2相当)で無関心、運動失調、脱毛、呼吸困難の症状が、1ヶ月間の経口投与試験(混餌)で歩行異常、流涎、緊張、坐骨神経組織の変性が観察されたが、投与終了で回復した(JECFA No. 891(1997))。3ヶ月間の混餌による経口試験では1000mg/kg投与群(11mg/kg/day=区分2相当)のラット20匹中雄5匹と雌3匹が坐骨神経の変性が見られたが、8匹中1匹が投与後に回復し(JECFA No. 891(1997))、500m/kg投与群(雄:38.9, 雌42.9mg/kg bw/day=区分2相当)で一時的な歩行不全と体重減少(DFGOT vol.23(2007))が見られた。また、ラットを用いた吸入試験で、3週間では250 μg/L(90日換算値:0.06mg/L)で乱れた毛並み、ぎこちない足取り、流涎、投与期間中の体重減少(MPR "Summary of toxicological evaluations"(2006)及びNo.763(1987))、13週間では 20 μg/L(0.02mg/L=区分1相当)で非特異的な行動異常、3.0, 20 μg/L(0.003mg/L及び0.02mg/L=区分1相当)でさまざまな器官の重量減少(JMPR "Summary of toxicological evaluations"(2006)及びNo.763(1987))、4週間では6.0 mg/m3(90日換算値:0.002mg/L=区分1相当)で雄のラットに体重減少、一時的な反射または動作緩慢、体温低下、白血球数と胸腺重量の低下、尿酸の増加、46.6 mg/m3(90日換算値:0.016 mg/L=区分1相当)でばく露後に立毛、異常活動と動作緩慢(DFGOT vol.23(2007))が見られたが、いずれも顕微鏡検査で投与による損傷はなく(JMPR "Summary of toxicological evaluations"(2006)及びNo.763(1987))、病理組織学的所見はない(DFGOT vol.23(2007))。以上のデータよりガイダンスの区分1の用量で神経系への影響が見られる事から区分1(神経系)とした。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=0.000025 mg/L(AQUIRE, 2008)から区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急性毒性区分1であり、急速分解性がない(BIOWIN)ことから、区分1とした。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性-
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報特別管理産業廃棄物に該当する。
特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬又は処分を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3349
品名(国連輸送名)ピレスロイド系殺虫剤、固体、毒性のもの
国連分類6.1
副次危険-
容器等級I〜III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う
特別な安全上の対策道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*152
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)【143 アルファ−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル=3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(別名シフルトリン)】(令和7年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)【143 アルファ−シアノ−4−フルオロ−3−フェノキシベンジル=3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(別名シフルトリン)】(令和7年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) (令和7年4月1日以降)
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【シアン化水素、シアン化ナトリウム等のシアン化合物】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第二種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2) 【42 アルファシアノ4フルオロ3フェノキシベンジル=3(2,2ジクロロビニル)2,2ジメチルシクロプロパンカルボキシラート(別名シフルトリン)】
毒物及び劇物取締法劇物(指定令第2条) 【32 有機シアン化合物及びこれを含有する製剤】
水道法水質基準(平15省令101号) 【10 シアン化物イオン及び塩化シアン】 【12 フッ素及びその化合物】 【38 塩化物イオン】
廃棄物処理法特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4)
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
水質汚濁防止法有害物質(法第2条、施行令第2条)【2 シアン化合物】【25 ふつ素及びその化合物】
下水道法水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【2 シアン化合物】【26 ふっ素及びその化合物】
土壌汚染対策法第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条)【5 シアン化合物】【22 ふっ素及びその化合物】


16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」