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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
N,N-ジメチルホルムアミド
作成日 2001年3月12日
改訂日 2009年3月30日
改訂日 2019年3月15日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称N,N-ジメチルホルムアミド
化学品の英語名称N,N-Dimethylformamide
製品コードR06-B-052-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限ウレタン系合成皮革,分析化学用・有機合成用溶剤(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成20年度(2008年度)、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
物理化学的危険性引火性液体区分3
健康に対する有害性急性毒性 (経皮)区分4
急性毒性 (吸入: 蒸気)区分3
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2
発がん性区分1B
生殖毒性区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (呼吸器、肝臓、消化管)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
環境に対する有害性-

GHSラベル要素
絵表示炎どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報引火性液体及び蒸気
皮膚に接触すると有害
吸入すると有毒
皮膚刺激
強い眼刺激
発がんのおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
呼吸器、肝臓、消化管の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓の障害
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
容器を密閉しておくこと。
容器を接地しアースをとること。
防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。
火花を発生させない工具を使用すること。
静電気放電に対する措置を講ずること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
 応急措置火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名N,N-ジメチルホルムアミド
慣用名又は別名ジメチルホルムアミド
ホルミルジメチルアミン
英語名N,N-Dimethylformamide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C3H7NO (73)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号68-12-2
官報公示整理番号
(化審法)
2-680
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。医師に連絡すること。
呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。
気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
できるだけ早く、繰り返し、負傷者にグルココルチコイド吸入スプレーを深く吸い込んでもらいます。
以上、GESTIS、ICSC参照。
皮膚に付着した場合皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
アルコール、ガソリン、その他の溶剤は絶対に使用しない。
汚染された衣類は密閉式の容器に入れる。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間、患部を洗眼する。
眼の刺激が続く場合は医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
飲み込んだ場合意識がある場合は、コップ1~2杯の水を飲ませる。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性: 本物質は、眼および気道を刺激する。 肝臓に影響を与えることがある。 組織損傷を生じることがある。 これらの影響は、遅れて現われることがある。 医学的な経過観察が必要である。飲み込むと気道に入りやすく、誤嚥性肺炎を起こすことがある。胃腸の愁訴、中枢神経系および循環器系の障害、肝障害までの肝機能の変化。アルコールに対する不耐性。
慢性: 肝臓に影響を与えることがある。 機能障害を生じることがある。 実験動物では腫瘍が見つけられているが、ヒトへの関連性は不明である。ヒトの生殖に毒性影響を及ぼす可能性があることが示されている。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、乾燥消火剤、二酸化炭素、アルコール耐性泡消火剤、二酸化炭素。
以上、GESTIS、ICSC参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化炭素)、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。
可能であれば、容器を危険区域から移動する。
加熱すると圧力が上昇し、破裂や爆発の危険がある。
着火(発火)源を遮断する。
バックファイアに注意すること。
流出水が排水システムに入らないようにすること。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。
影響を受ける周囲に警告する。
周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項容器とパイプラインにラベルを貼ること
適切な材料: ガラス、ほとんどの金属材料。
不適切な材料: 銅、銅合金錫、および錫合金
水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての発火源を取り除く。
こぼれた物質を密閉容器内に収集する。
残留液を、砂または不活性吸収剤に吸収させる。
地域規則に従って保管・処理する。
ハロゲンフリー有機溶剤およびハロゲンフリー有機物質の溶液の回収容器に入れる。
収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
二次災害の防止策火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する
以上、GESTIS参照。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
静電気放電に対する措置を講ずること。
火花を発生させない工具を使用すること。
防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。
容器を接地しアースをとること。
熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
作業場所を清潔に保つこと。
この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。
容器を開けたままにしないこと。
補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用すること。
圧縮空気と一緒に輸送したり、圧縮空気を使用して輸送したりしない。
しぶきを避ける。
ラベルの付いた容器にのみ注入すること。
発火源(電気機器、裸火、熱源、火花など)から距離を置くこと。
火花の原因となる工具は使用しない。
酸化剤との接触禁止。
58℃以上では、密閉系および換気。
以上、GESTIS、ICSC参照。
接触回避感染性、放射性、爆発性の物質。
ガス。
可燃性固体物質または貯蔵クラス4.1Bの減感作物質。
自然発火性物質。
水と接触した可燃性ガスを放出する物質。
硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤
有機過酸化物および自己反応性物質。
以上、GESTIS参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。
眼に入った場合は、影響を受けた眼を洗い流す。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
使用後は手を洗うこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
涼しいところに置くこと。
容器を密閉しておくこと。
容器にはラベルを貼付すること。
できるだけ元の容器に保管すること。
小さな容器は、収集浴槽付きのキャビネットに保管すること。
十分に大きな収集室(くぼみ、壁、または安定した自立型の壁)を設置する。
容器は乾燥した換気の良い場所で密閉すること。
室温での保管を推奨する。
発火源や熱源から離して保管すること。
混触危険物質から離しておく
以上、GESTIS、ICSC参照。
安全な容器包装材料消防法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度10 ppm
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2023年度版)許容濃度: 10 ppm、 30 mg/m3(経皮吸収)
ACGIH (2024年版)TLV-TWA: 5 ppm、 15 mg/m3(Skin)
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。
高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。
シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。
作業場は換気をすること。
床に排水溝を設置しない。
作業場での洗濯設備を設置する。
洗眼設備を設置し、標識を付ける。
本物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーを設置すること。
保護具
呼吸用保護具緊急時には、呼吸保護具を着用する。
フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。
以上、GESTIS参照。
手の保護具必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に洗浄し、換気の良い場所に保管すること。
次の材料は、保護手袋に適している(透過時間>= 8時間): ブチルゴム - ブチル(0,5 mm)
厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色からごくわずかに黄色
臭いアミンのような臭い
融点/凝固点-61 ℃ (ICSC(2014))
沸点、初留点及び沸騰範囲153 ℃ (NFPA(14th, 2010))
可燃性可燃性 (HSDB in PubChem(2024))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界2.2~15.2 vol.% (NFPA(14th, 2010))
引火点58 ℃ (Closed cup) (HSDB in PubChem (2024))
自然発火点833 ? (HSDB in PubChem (2024))
445 ℃ (NFPA(14th, 2010))
分解温度> 350 ℃ 350℃を超えると分解してジメチルアミン と 二酸化炭素を生成する。 (HSDB in PubChem (2024))
pH7 (20℃、200 g/L) (GESTIS(2024))
動粘性率0.802 cP (25℃)(粘度) (HSDB in PubChem(2024))
0.85 mm2/s (25℃)(粘度) (ICSC(2014))
溶解度水:可溶 (HSDB in PubChem (2024))
エタノール、エチルエーテル、アセトン、ベンゼン:可溶 (HSDB in PubChem (2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:-1.01 (HSDB in PubChem (2024))
log Pow :-0.87 (ICSC(2014))
蒸気圧3.87 mmHg (25℃) (HSDB in PubChem (2024))
3.77 hPa (20℃) (GESTIS (2024))
密度及び/又は相対密度0.9445 g/cm3 (25℃/4℃) (HSDB in PubChem(2024))
相対ガス密度2.5 (空気= 1) (NFPA(14th, 2010))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性物質は可燃性である。
以上、GESTIS参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性引火性の液体。
次の物質は危険な反応をする可能性がある: 酸化剤、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサクロロシクロヘキサン、硝酸、マグネシウム、金属硝酸塩、メチレンジイソシアナット、ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ナトリウム、有機硝酸塩
、酸化リン、四塩化炭素、塩化チオニル鉄
加熱により分解する 窒素酸化物などの有毒なフュームを生じる。 強酸化剤、ハロゲン、ハロゲン化炭化水素および硝酸塩と 激しく反応する。 ある種のプラスチックおよびゴムを侵す。
以上、GESTIS、ICSC参照。
避けるべき条件蒸気は、物質が引火点を超えて加熱されると、空気と爆発性の混合物を形成することがある。
58℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがある。
引火性。発火源(火気、加熱、高温、静電気、火花など)に近づけないこと。
以上、GESTIS、ICSC参照。
混触危険物質接触すると爆発する危険性: ハロゲン、アルカリ金属アジド、三酸化クロム、ハロゲン化炭化水素、マンガン酸カリウム、オキシ塩化物リン+ジメチルピロール、トリエチルアルミニウム、過塩素酸ウラン
以上、GESTIS参照。
危険有害な分解生成物分解生成物:アンモニア、アミン、ホルムアルデヒド
火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス(一酸化炭素)、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)、(2)より区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:3,040 (3,010) mg/kg(SIAR (2003)、AICIS IMAP (2013)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))
(2)ラットのLD50:2,000~7,170 mg/kg(厚労省リスク評価書 (2022))
経皮【分類根拠】
(1)、(2)より区分4とした。なお、情報源のデータを精査し、分類結果を見直した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:500~1,500 mg/kg(NITE初期リスク評価書 (2005))
(2)妊娠ウサギのLD50:1,500 mg/kg(SIAR (2003))

【参考データ等】
(3)ラットのLD50:> 3,160 mg/kg(SIAR (2003)、AICIS IMAP (2013)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))
(4)ラットのLD50:3,500~11,140 mg/kg(厚労省リスク評価書 (2022))
(5)ラットのLD50:> 11,520 mg/kg(NITE初期リスク評価書 (2005))
(6)ウサギのLD50:3,800~12,350 mg/kg(SIAR (2003))
(7)ウサギのLD50:4,720 mg/kg(SIAR (2003)、厚労省リスク評価書 (2022)、HSDB in PubChem (Accessed Aug. 2024))
(8)EUではAcute Tox. 4に分類されている(CLP分類 (Accessed Aug. 2024))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
(1)、(2)より区分3とした。被験物質気中濃度(3,700 ppm)は飽和蒸気圧濃度(3,733 ppm)付近のため、飽和蒸気としてmg/Lの単位を適用した。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):9~15 mg/L(SIAR (2003)、AICIS IMAP (2013))
(2)ラット(雌雄各3匹)を3,700 ppm(9.4 mg/L)で3時間及び7時間ばく露後の死亡率:0%及び83%(US AEGL (2011))

【参考データ等】
(4)ラットのLC50(4時間):> 5.90 (5.85) mg/L(SIAR (2003)、AICIS IMAP (2013)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))
(5)ラットのLC50(4時間):1,948 ppm(5.04 mg/L)(厚労省リスク評価書 (2022))
(6)マウスのLC50(2時間):9,400 mg/m3 [4時間換算値:6.65 mg/L](厚労省リスク評価書 (2022))
(7)分子量(73.09)と蒸気圧3.77 hPa(20℃)(ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))より、飽和蒸気圧濃度は3,733 ppm(11,159 mg/m3 (= 11.2 mg/L))と算出される。
(8)EUではAcute Tox. 4に分類されている(CLP分類 (Accessed Aug. 2024))
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)より区分に該当しない。被験空気濃度(5,000 ppm)は飽和蒸気圧濃度(3,733 ppm)を超えており、ミストとしてmg/Lの基準値を適用した。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):> 5,000 ppm(> 14.9 mg/L)(US AEGL (2011))

【参考データ等】
(2)分子量(73.09)と蒸気圧3.77 hPa(20℃)(ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))より、飽和蒸気圧濃度は3,733 ppm(11,159 mg/m3 (= 11.2 mg/L))と算出される。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)~(3)より区分2とした。

【根拠データ】
(1)本物質にヒトがばく露されることによる皮膚刺激性と発疹の症状を示す情報が複数あり、軽微から中等度の皮膚刺激性を示すとの報告がある(ACGIH(2018)、CICAD(2001))。
(2)本物質と偶発的接触(体の約20%)した52歳男性は、肌を洗浄後、再び着衣し、車で帰宅したところ、45分後の症状として皮膚の炎症と充血が報告されている(PATTY(6th、2012)、厚労省リスク評価書(2022))。
(3)仕事中本物質に偶発的にばく露した21歳及び28歳の男性は、手と前腕の紅斑性発疹が生じたとの報告がある(厚労省リスク評価書(2022))。

【参考データ等】
(4)ウサギ(n= 4)を用いた皮膚刺激性試験(原液又は50%希釈液、各0.5 mL、20時間半閉塞適用)において、パッチ除去後1/4例に軽微な発赤がみられたが、翌日には消失し、本物質は皮膚刺激性なしと判断された(SIAR (2003)、厚労省リスク評価書 (2022)、MAK (DFG) (2010)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。本試験における24/48/72hの紅斑及び浮腫の平均スコアはそれぞれ0.25及び0.0と報告されている(ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。
(5)ラットの有傷皮膚に本物質原液(3,160 mg/kg)を24時間閉塞適用したが、平均皮膚一次刺激スコア(最大8)は0で、本物質は皮膚刺激性なしと判定された(SIAR (2003)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。
(6)ウサギに本物質100~500 mgを経皮適用したが皮膚刺激性は認められなかった(EHC 114 (1999)、NITE初期リスク評価書 (2005)、厚労省リスク評価書 (2022))。
(7)ウサギに本物質2,000 mg/kg/回を4週間にわたり計15回経皮適用(6時間/回)したが、皮膚刺激性は認められなかった(SIAR (2003)、EHC 114 (1999)、NITE初期リスク評価書 (2005)、厚労省リスク評価書 (2022)、MAK (DFG) (2010))。
(8)本物質について、労働基準法施行規則35条別表第一の二第四号の規定に基づく厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病として、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害、気道障害、肝障害又は胃腸障害が記載されている (平成二十五年厚生労働省告示第三百十六号)。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)~(3)より区分2とした。旧分類では2Bとされているが、旧分類では2Bとされているが、試験の詳細が不明(動物数、回復期間など)であることから細区分は行わなかった。なお、情報源のデータを精査し、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n= 2)を用いた眼刺激性試験では、原液0.1 mL又は原液1滴(約50μL)を5分間あけて2回適用後に刺激性影響(顕著な発赤、浮腫及び膿性分泌物が2例に、角膜混濁(適用後2日目)が1例)が認められた。2例とも6日後又は7日後には回復した(SIAR (2003)、AICIS IMAP (2013)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。
(2)ウサギ(n= 6)を用いた眼刺激性試験(原液0.1 mL、非洗浄、13日間観察)では、Draizeの判定スコアに基づく一次眼刺激指数は点眼1時間には50.8であったが、72時間後に35.8、4日後に35.0に減少し、13日後には3.3まで低下した。点眼1及び4時間後の観察時に全例の上下眼瞼の内側に大きな水疱がみられた。これは24時間後には軽減し、48時間後には回復した(同上)。
(3)ウサギの眼に0.1 mLを点眼した結果、中等度の角膜傷害と結膜の充血がみられ、2~3日後で顕著となった。14日後まで軽度の結膜充血と重篤な傷害、軽度の角膜表面の歪み及び下層の血管新生を伴なう中等度の角膜傷害がみられた(厚労省リスク評価書 (2022)、EHC 114 (1991))。

【参考データ等】
(4)EUではEye Irrit. 2に分類されている(CLP分類 (Accessed Aug. 2024))。
(5)本物質について、労働基準法施行規則35条別表第一の二第四号の規定に基づく厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病として、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害、気道障害、肝障害又は胃腸障害が記載されている (平成二十五年厚生労働省告示第三百十六号)。
呼吸器感作性【分類根拠】
データがなく分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)、(2)より区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)マウス局所リンパ節試験(LLNA、25μLを3日間連続、耳介背部皮膚に塗布)において、影響はみられなかった(SIAR (2003)、MAK (DFG) (2010)、厚労省リスク評価書 (2022)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。
(2)モルモットを用いるマキシマイゼーション試験で、本物質は感作性を示さなかった(SIAR (2003)、MAK (DFG) (2010)、厚労省リスク評価書 (2022)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。
(3)本物質に皮膚感作性の証拠はない(MAK (DFG) (2010)、ACGIH (2018))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2)より区分に該当しない。なお、情報源の情報を精査し、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた腹腔内投与による5つの小核試験のうち1試験のみ陽性であったが、他の4試験は全て陰性であった。また、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(吸入ばく露)、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験(腹腔内投与)、さらに雄ラットを用いた2つの優性致死試験(吸入ばく露)又は雄マウスを用いた優性致死試験(腹腔内投与)はいずれも陰性の結果であった(厚労省リスク評価書 (2022)、IARC 115 (2018))。
(2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験、ほ乳類の培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験及び染色体異常試験は各1試験で陽性であったが、殆ど試験では陰性であった(同上)。

【参考データ等】
(3)ラットの末梢血リンパ球を標的とした14日間強制経口投与によるコメットアッセイで陽性であったことから、本物質のDNA傷害性を示唆する結果が得られた(同上)。
(4)ヒト肝細胞用いたDNA傷害性試験ではγH2AXを指標とした2試験で陽性、8-OHdGを指標とした酸化的DNA傷害性試験も陽性の結果であった(同上)。
(5)IARCによれば、本物質の発がん性の作用機序の証拠の強さは、酸化ストレス及び細胞増殖が腫瘍を誘発するという強い証拠があるのに対し、遺伝毒性の証拠は中程度であると判断された(同上)。
発がん性【分類根拠】
ヒトの発がん性の証拠は限定的である。(1)より動物2種で肝臓の良性及び悪性腫瘍の発生頻度に有意な増加が認められたことから、区分1Bとした。

【根拠データ】
(1)実験動物では、ラット及びマウスを用いた2年間吸入ばく露(200~800 ppm、6時間/日、5日/週)による発がん性試験において、肝細胞腺腫、肝細胞がん、肝芽腫(マウスのみ)、又は肝細胞腺腫/がん/肝芽腫(マウスのみ)の組合せの発生頻度にいずれも正の相関がみられ、低又は中用量以上のばく露群で対照群に比べ各腫瘍発生頻度の有意な増加が認められた(IARC 115 (2018)、厚労省リスク評価書 (2022)、産衛学会発がん性物質の提案理由書 (2020)、ACGIH (2018)、MAK (DFG) (2016)、厚労省委託がん原性試験結果 (2000))。

【参考データ等】
(2)国内外の評価機関による発がん性分類では、IARCでグループ2A(IARC 115 (2018))、ACGIHでA3(ACGIH (2018))、日本産業衛生学会で2A(産衛学会発がん性物質の提案理由書 (2020))、DFGでカテゴリー4(List of MAK and BAT values (2023))に分類されている。
生殖毒性【分類根拠】
(1)より受胎能への影響及び次世代への発生影響(奇形発生含む)が示され、(2)~(5)より、投与経路、動物種にかかわらず母動物毒性が重篤ではない用量で様々な奇形を含む発生影響が認められた。よって、区分1Bとした。

【根拠データ】
(1)マウスを用いた飲水投与(1,000~7,000 ppm:約219~1,455 mg/kg/day)による連続交配試験において、僅かな一般毒性影響(肝臓重量増加、体重低値等)を示した中用量以上で受胎率の低下と性周期異常例の増加がF0雌に、妊娠率及び同腹児数の減少がF1雌にみられた。F1児動物には中用量以上で生後生存率の低下及び低体重とともに生存例で奇形(頭蓋顔面及び胸骨分節)の発生増加がみられ、同様の奇形がF2では低用量から認められた(SIAR (2003)、厚労省リスク評価書 (2020)、ACGIH (2018)、産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014)、AICIS IMAP (2013))。
(2)妊娠ウサギを用いた吸入ばく露(50~450 ppm、妊娠7~19日、6時間/日)による発生毒性試験(OECD TG414、GLP)では、母動物毒性(体重増加抑制)がみられた最高用量で、胎児毒性(低体重及び骨格変異の増加)とともに奇形発生(特に臍ヘルニア)の頻度増加が認められた(SIAR (2003)、厚労省リスク評価書 (2022)、MAK (DFG) (2016)、産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014)、US AEGL (2011)、 NITE初期リスク評価書 (2005))。
(3)妊娠ラットを用いた強制経口投与(約167~1,520 mg/kg/day、妊娠6~15日)による発生毒性試験(FDAガイドライン)では、母動物毒性(中用量で体重増加抑制、高用量で死亡1例)がみられた用量で、着床後胚/胎児死亡率の増加、生存胎児に奇形(全身浮腫、尾の形成不全、鎖肛、口蓋裂などの骨格奇形など)の発生増加が認められた(SIAR (2003)、厚労省リスク評価書 (2022)、産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014)、NITE初期リスク評価書 (2005))。
(4)妊娠ウサギを用いた経皮投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP)では、母動物毒性(体重増加抑制、流産1例)が生じた高用量で胎児に奇形(臍ヘルニア、骨格奇形(胸骨分節)、胆嚢欠損)の発生増加がみられている(同上)。
(5)妊娠マウスを用いた強制経口投与による発生毒性試験(FDAガイドライン)では、高用量まで母動物毒性はみられなかったが、胎児には中用量で矮小児の増加、高用量で奇形(口蓋裂、外脳症、水頭症、前蝶形骨の形成不全)がみられた(SIAR (2003)、NITE初期リスク評価書 (2005))。

【参考データ等】
(6)国内外の評価機関による既存分類では、日本産業衛生学会で第2群(産衛学会生殖毒性物質の提案理由書 (2014))、EUでRepr. 1B(CLP分類 (Accessed July, 2024))に分類されている。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)~(3)より、区分1(呼吸器、肝臓、消化管)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)偶発的な事故により本物質が体の約20 %にかかった男性には皮膚の炎症や充血がみられ、食欲不振が1~2日後に生じた。事故の62時間後以降に心窩部痛が生じ、痛みの広がりにつれて嘔吐も生じた。入院後の血液検査で白血球数及び血清抱合ビリルビンと総ビリルビン、AST及びALT 活性の上昇がみられた。ばく露後11日目の肝臓の吸引生検で、僅かな隔壁性肝線維症及び単核細胞の集積がみられた(厚労省リスク評価書 (2022)、US AEGL (1991))。
(2)本物質を溶媒とする動物用安楽死剤を摂取した自殺企図者の入院時の血清ALT及びAST値は正常であったが、ASTは摂取後4日目、ALTは摂取後6日目に最大値を示した。著者らは、肝毒性作用はジメチルホルムアミドに起因すると報告した(MAK (DFG) (2010))。
(3)ラットを用いた単回吸入ばく露試験において、4.92~5.85 mg/L(区分1の範囲内)の3用量群で死亡例が生じ、最高濃度ばく露群で3/10例が死亡した。これらのばく露群では呼吸困難(不規則又は断続的な呼吸)と被毛粗剛がみられ、死亡はばく露日から3日目以降に生じた(SIAR (2003)、AICIS IMAP (2013)、ECHA CHEM (Accessed Aug. 2024))。
(4)本物質について、労働基準法施行規則35条別表第一の二第四号の規定に基づく厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病として、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害、気道障害、肝障害又は胃腸障害が記載されている (平成二十五年厚生労働省告示第三百十六号)。

【参考データ等】
(5)マウスとラットの経口投与によるLD50は3~7 g/kgの範囲で、肝臓が主要な標的器官である(ACGIH (2018))。
(6)急性毒性試験における毒性症状としては、ラットに経口投与した実験では、体重減少、不穏、易刺激性、肝臓の壊死及びうっ血、肺のうっ血及び水腫、腎臓の尿細管上皮の腫脹、骨髄抑制、肺胞壁の肥厚がみられた(NITE初期リスク評価書 (2005))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1(肝臓)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)本物質(DMF)にばく露された126人の男性労働者(職場の気中DMF濃度は<0.1~37.9 ppmの範囲)と54人の比較可能な非ばく露男性労働者の肝機能が検討された研究で、ばく露群でγ-GTP及びALT活性の有意な上昇がみられた。職場における気中DMF濃度が10 ppmを超える慢性的な過剰ばく露を受けた作業者で肝機能障害を生じたとの複数の報告がある(厚労省リスク評価書 (2022)、US AEGL (2011)、MAK (DFG) (2010)、NITE初期リスク評価書 (2005))。
(2)ラット又はマウスを用いた2週間、13 (一部12)週間、及び2年間の吸入ばく露試験を調査した結果、ラットでは100~400 ppm(0.30~1.2 mg/L)以上、マウスでは50~200 ppm(0.15~0.60 mg/L)以上で有害影響が認められ、ラット、マウスとも主たる標的臓器は肝臓(肝細胞壊死/単細胞壊死、好酸性・明細胞性増殖巣、血中AST・ALTの上昇など)と血液(貧血様所見、血小板数増加)であった。他に鼻腔(嗅上皮のエオジン好性変化)、腎臓(好酸性小体の増加)がみられたが、重篤な所見とは考え難く、腎臓の所見は雄ラットに好発する傾向にあった(厚労省リスク評価書 (2022)、ACGIH (2018)、US AEGL (2011)、MAK (DFG) (2010; 2016)、NITE初期リスク評価書 (2005))。肝臓と血液への影響はラットの90日間混餌投与試験でもみられている(厚労省リスク評価書 (2020)、MAK (DFG)(2010)、NITE初期リスク評価書 (2005)、SIAR (2003))。
(3)本物質について、労働基準法施行規則35条別表第一の二第四号の規定に基づく厚生労働大臣が指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)並びに厚生労働大臣が定める疾病として、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、皮膚障害、前眼部障害、気道障害、肝障害又は胃腸障害が記載されている (平成二十五年厚生労働省告示第三百十六号)。
誤えん有害性*【分類根拠】
データがなく分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)魚類(ヒメダカ)の96時間LC50>100mg/L(環境省生態影響試験、1995)他から、区分に該当しないとした。
水生環境有害性 長期(慢性)難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分に該当しないとした。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2265
品名(国連輸送名)N,N-ジメチルホルムアミド
国連分類3
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書Ⅱ及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当する
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報消防法の規定に従う
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*129
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法第2種有機溶剤等(施行令別表第6の2・有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第4号) 【30 N,N-ジメチルホルムアミド】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 【298 N,N-ジメチルホルムアミド】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1069 N,N-ジメチルホルムアミド】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【298 N,N-ジメチルホルムアミド】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1069 N,N-ジメチルホルムアミド】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
作業環境評価基準(法第65条の2第1項)
がん原性物質(作業記録等の30年保存対象物質)(労働安全衛生規則第577条の2) 【N,Nジメチルホルムアミド】
危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号) 【4 灯油、軽油、テレビン油、イソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール)、酢酸その他の物】
健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項) 【N,Nジメチルホルムアミド】
特殊健康診断対象物質・現行取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第1項) 【6 N,Nジメチルホルムアミド】
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【ジメチルホルムアミド】
化学物質審査規制法優先評価化学物質(法第2条第5項) 【27 N,Nジメチルホルムアミド】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【264 N,Nジメチルホルムアミド】
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 【4 第二石油類水溶性液体】
海洋汚染防止法有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1) 【(251) ジメチルホルムアミド】
船舶安全法引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・引火性液体類(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
大気汚染防止法揮発性有機化合物(法第2条第4項)(環境省から都道府県への通達) 【N,N-ジメチルホルムアミド】
有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【105 N,N-ジメチルホルムアミド】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ-タシ-ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」