1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | p-フェニレンジアミン二塩酸塩 (p-Phenylenediamine dihydrochloride) | ||
製品コード | R01-B-007 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 白黒及びカラー写真の現像液、分析試薬、酸化防止剤 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | ||
呼吸器感作性 | 区分1 | ||
皮膚感作性 | 区分1A | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (心臓、腎臓、筋肉) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分2 (心臓、筋肉) | ||
分類実施日 (環境有害性) | H23年度、政府向けGHS分類ガイダンス (H22.7版)・国連GHS文書 (改訂4版) (R1年度、分類実施中) | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 強い眼刺激 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ 心臓、腎臓、筋肉の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による心臓、筋肉の障害のおそれ | ||
注意書き | |||
安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 注)【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用できます。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注)”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | p-フェニレンジアミン二塩酸塩 | ||
別名 | 1,4-ベンゼンジアミン二塩酸塩 | ||
1,4-フェニレンジアミン・2塩酸塩 | |||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C6H10Cl2N2 (181.06) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 624-18-0 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 情報なし | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。吐かせる (意識がある場合のみ)。直ちに医師に連絡すること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: めまい、頭痛、息苦しさ、紫色 (チアノーゼ) の唇・爪及び皮膚、錯乱、 痙攣、吐き気、意識喪失 眼: 充血 経口摂取: 「吸入」参照 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。 喘息の症状は、2〜3時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。 この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である。 |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、泡消火薬剤、粉末消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 可燃性。火災時に、刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。 | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の保護 | 自給式呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 個人用保護具: 自給式呼吸器付化学保護衣 こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 裸火禁止。 粉じんの堆積を防ぐ。 この物質により、喘息の症状を示した者は、以後この物質に接触しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。 注)【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用できます。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること (毒劇物)。 食品や飼料から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告で規定されている容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | |||
管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会 (2019年度版) | 0.1 mg/m3 (p-フェニレンジアミンとして) | ||
ACGIH (2019年版) | TLV-TWA: 0.1 mg/m3 (Phenylenediamine, p-isomer) | ||
設備対策 | 密閉系、粉じん防爆型電気設備及び照明を用いる。 局所排気を用いる。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 呼吸用保護具を使用する。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 呼吸用保護具と併用して、安全ゴーグル、顔面シールド又は眼用保護具を着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色〜わずかに赤色 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | 275℃ (ICSC (1999)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
可燃性 | 可燃性 (ICSC (1999)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: 199,000 mg/L (25℃) (推定値) (PHYSPROP Database (2019)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | -0.39 (EST) (PHYSPROP Database (2019)) | ||
蒸気圧 | データなし | ||
密度及び/又は相対密度 | データなし | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 燃焼すると分解し、有毒な窒素酸化物のヒュームを生じる。 粉末や顆粒状で空気と混合すると、粉じん爆発の可能性がある。 | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 有毒な窒素酸化物のヒューム |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50:147 mg/kg (NICNAS IMAP (Access on June 2019)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスにおける分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、本物質の遊離塩基であるp-フェニレンジアミン (CAS番号 106-50-3) が区分に該当しないと判断されていることから、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) ウサギにp-フェニレンジアミン 500 mgを投与した試験 (24時間適用) において非刺激性 (non irritant) と報告されている (BUA 97 (1992))。 (2) 本物質の局所刺激性に関するデータは提供されていないが、本物質の代わりに塩酸塩を適用して感作性を検証することができるため、刺激性も同様に弱いか、中程度と予想される (GESTIS (Access on May 2019))。 【参考データ等】 (3) p-フェニレンジアミンの50%親水軟膏を5人のボランティアに投与し、軽度の刺激を認めたと報告されている (DFGOT vol.6 (1994))。 (4) 皮膚の所見に関しては、接触の濃度と接触時間によって非刺激から中程度刺激まで変動する50%懸濁液を用いたウサギの皮膚の試験は明確な反応を明らかにしたが、ヒトの皮膚への刺激は軽度であった。これらの知見に基づいて、本物質は眼に対して中程度の刺激性、皮膚には軽度刺激性と評価された (GESTIS (Access on May 2019))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、本物質の遊離塩基であるp-フェニレンジアミン (CAS番号 106-50-3) が区分2Bと判断されていることから、区分2Bとした。 【根拠データ】 (1) ウサギに原体を投与したドレイズ法で軽度刺激性 (slightly irritant) と報告されている (BUA 97 (1992))。 (2) 本物質の局所刺激性に関するデータは提供されていないが、本物質の代わりに塩酸塩を適用して感作性を検証することができるため、刺激性も同様に弱いか、中程度と予想される (GESTIS (Access on May 2019))。 【参考データ等】 (3) ウサギに30 mgを投与した試験で結膜の発赤及び浮腫、角膜混濁を認めるが、7日以内に回復したと報告されている (BUA 97 (1992))。 (4) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。 (5) ウサギの眼への固形物又は飽和溶液の適用は明らかな刺激を引き起こしたが、希釈液 (2.5%) は刺激性を示さなかった (GESTIS (Access on May 2019))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 (1) より、p-フェニレンジアミン (CAS番号 106-50-3) が区分1と判断されていることから、区分1とした。 【根拠データ】 (1) p-フェニレンジアミンは皮膚及び呼吸器に対して強い感作性物質であり、喘息を誘発する恐れがあるとの記載がある (PATTY (6th, 2012))。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(4) より本物質の遊離塩基であるp-フェニレンジアミン (CAS番号 106-50-3) が区分1Aと判断されていることから、区分1Aとした。 【根拠データ】 (1) p-フェニレンジアミンは日本産業衛生学会により、感作性物質 (皮膚:1群) に分類されている (産衛誌52巻 (2010))。 (2) p-フェニレンジアミンは複数のモルモット皮膚感作性試験において陽性率100%と報告されている (DFGOT vol 6 (1994))。 (3) p-フェニレンジアミンはヒトでの感作性試験 (repeated insult patch test) において陽性率100%と報告されている (DFGOT vol.14 (2000))。 (4) p-フェニレンジアミンはマウス局所リンパ節試験 (LLNA) においてEC3が2以下 (0.06%及び 0.20%) と報告されている (SCCS (2006))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)より、専門家判断に基づき、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoではラットの腹腔内投与及びマウスの経口投与による小核試験で陰性の報告がある (SCCS (2012))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、マウスリンフォーマTK試験及び哺乳類培養細胞の小核試験で陽性、哺乳類培養細胞のHPRT試験で陰性の報告がある (SCCS (2012)、NTP DB (Access on May 2019))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、 ガイダンスの分類できないに相当し、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、本物質の遊離塩基であるp-フェニレンジアミン (CAS番号 106-50-3) が、IARCでグループ3 (IARC Suppl.7 (1987))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。 (2) 本物質をラット及びマウスに2年間混餌投与した発がん性試験で、両動物種雌雄とも統計学的に有意な腫瘍の発生は認められなかった(NTP TR174 (1979)。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 本物質自体のデータはない。また、本物質の遊離塩基であるp-フェニレンジアミンについてはデータ不足で分類できないとしている (p-フェニレンジアミン (CAS番号106-50-3) の分類結果を参照のこと)。したがって、データ不足で分類できない。 【根拠データ】 (1) 雌ラットの妊娠6〜19日にp-フェニレンジアミンを強制経口投与した発生毒性試験 (OECD TG 414) において、 骨化遅延がみられた (SCCS (2012))。 (2) 雌ラットの妊娠6〜15日にp-フェニレンジアミンを強制経口投与した試験において、母動物毒性 (体重増加抑制、摂餌量減少、死亡) がみられたが、催奇形性、胚/胎児毒性はみられていない (SCCS (2012)、ACGIH 7th, (2001))。 【参考データ等】 (3) 雌マウスの妊娠5〜7日、8〜10日又は11〜14日にp-フェニレンジアミンを皮下投与した試験において、催奇形性はみられていない (SCCS (2012))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 本物質自体のヒト及び実験動物での単回ばく露に関する報告はない。本物質の遊離塩基であるp-フェニレンジアミン (CAS番号 106-50-3) に関しては、ヒトでは (1) 及び (2) を代表例として、単回経口摂取により横紋筋融解症と腎不全を生じた例が複数報告されている。また、(3) でp-フェニレンジアミンを主成分とする染毛剤を事故又は意図的に経口摂取したヒトに心筋炎がみられた症例がある。(4) で本物質はp-フェニレンジアミンと同様の影響を生じる可能性があるとされていることから、区分1 (筋肉、心臓、腎臓) とした。 【根拠データ】 (1) p-フェニレンジアミン5,000 mg (70 mg/kg) を経口摂取した40歳男性が、呼吸困難、顔面と舌の浮腫を示した後に、横紋筋融解症、血中のLDH、AST、ALT活性増加、急性腎不全、赤褐色尿を生じた (DFGOT vol.6 (1994))。 (2) p-フェニレンジアミンの水溶液カップ1杯を誤飲した50歳男性が、腹痛、顔面浮腫、呼吸困難を示した後に、横紋筋融解症、血中のLDH、AST、クレアチンホスホキナーゼ (CPK)、アルドラーゼ活性増加、急性腎不全、濃褐色尿を生じた (DFGOT vol.6 (1994))。 (3) ヒトではp-フェニレンジアミンを主成分とする染毛剤の事故及び意図的な経口摂取後に、血管神経浮腫、横紋筋融解症、腎不全がみられた症例や、心筋炎がみられた症例が報告されている (SCCS (2012))。 (4) 動物実験で、本物質はp-フェニレンジアミンと同様の影響を生じる可能性があることが確認されている (GESTIS (Access on June 2019))。 | |||
【参考データ等】 (5) マウスにp-フェニレンジアミン35、70 mg/kgを経鼻胃管投与した試験で、投与後24時間以内に血中CPK活性が有意に増加し、24時間後に骨格筋微細線維の壊死がみられた (DFGOT vol.6 (1994))。 | ||||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、実験動物に本物質の遊離塩基であるp-フェニレンジアミン (CAS番号 106-50-3) を投与した結果、本物質換算で区分2の範囲で心臓、筋肉への影響がみられていることから、区分2 (心臓、筋肉) とした。用量換算の結果、p-フェニレンジアミンと区分が異なった。なお、旧分類の分類根拠のうち原因物質が不明確 (混合物) であるものを除き、新たな情報源の情報を加えて検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットにp-フェニレンジアミン5〜40 mg/kg/dayを14日間経口投与した結果、5 mg/kg/day (90日換算値: 0.8 mg/kg/day (本物質換算: 1.3 mg/kg/day)、区分1の範囲) 以上でLDH活性増加、10 mg/kg/day (90日換算値: 1.6 mg/kg/day (本物質換算: 2.6 mg/kg/day)、区分1の範囲) 以上でALT、AST、クレアチンホスホキナーゼ活性の増加、甲状腺重量増加、40 mg/kg/day (90日換算値: 6.2 mg/kg/day (本物質換算: 10.4 mg/kg/day)、区分2の範囲) で肝臓重量増加、骨格筋のわずかな筋肉変性がみられた (SCCS (2012))。 (2) ラットにp-フェニレンジアミン2〜16 mg/kg/dayを13週間経口投与した結果、8 mg/kg/day (本物質換算: 13 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で肝臓及び腎臓重量増加が、16 mg/kg/day (本物質換算: 27 mg/kg/day、区分2の範囲) で骨格筋のわずかな筋肉変性がみられた (環境省リスク評価第3巻: 暫定的有害性評価シート (2004)、SCCS (2012))。 (3) ウサギに本物質10 mg/kg/day (本物質換算: 17 mg/kg/day、区分2の範囲) を90日間経口投与した結果、心筋実質の変化 (浮腫、筋線維の膨化、細胞質の均質化、横紋の消失) が認められた (ACGIH (7th, 2001))。 | |||
【参考データ等】 (4) p-フェニレンジアミン及びp-フェニレンジアミンの誘導体は筋毒性を引き起こす可能性があることがよく知られている (SCCS (2012))。 (5) ヒトに関する情報として、p-フェニレンジアミンを含む市販の染毛剤を定期的に使用していた51歳の女性で肝腫大と脾臓の肥大が見られ、入院後死亡までの11週間に進行性神経障害を発症したとの報告 (IARC 16 (1978)、ACGIH (7th, 2001))、p-フェニレンジアミンを含む染毛剤を使用し消化器と神経症状が観察されたとの報告 (ACGIH (7th, 2001))、p-フェニレンジアミンを含む染毛剤の5年間に亘る職業ばく露を受けた作業者が黄疸と肝臓の亜急性萎縮により死亡したとの報告 (ACGIH (7th, 2001)) 等がある。 | ||||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | データなし | ||
水生環境有害性 (長期間) | データなし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2811 | |||
国連品名 | TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | III | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 154 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 該当しない | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 該当しない | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【84 フエニレンジアミン及びその塩類】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【3 フエニレンジアミン及びその塩類】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2811 その他の毒物(固体)(有機物)】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2811 その他の毒物(固体)(有機物)】 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |