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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
テトラプロピレンフェノール
作成日 2023年3月31日
1.化学品及び会社情報
化学品の名称テトラプロピレンフェノール
化学品の英語名称Phenol, tetrapropylene-
製品コードR04-A-039-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性-
健康に対する有害性皮膚腐食性/刺激性区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
生殖毒性区分1B
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分2(生殖器(男性))
分類実施日
(環境有害性)
-
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示腐食性健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による生殖器(男性)の障害のおそれ
注意書き
 安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱い後は手をよく洗うこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 応急措置飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名テトラプロピレンフェノール
慣用名又は別名情報なし
英語名Phenol, tetrapropylene-
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)特定できない (−)
化学特性 (示性式又は構造式)なし
CAS番号57427-55-1
官報公示整理番号(化審法)3-511
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させる。直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GHS分類結果参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を水で洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GHS分類結果参照。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GHS分類結果参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。無理に吐かせない。気分が悪いときは医師に連絡すること。
以上、GHS分類結果参照
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤粉末消火剤、二酸化炭素、一般的な泡消火剤。
使ってはならない消火剤棒状注水
火災時の特有の危険有害性情報なし
特有の消火方法消火活動は風上から行う。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火活動の際は、適切な保護具を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。
環境に対する注意事項化学品を扱う場合の一般的な注意として、周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項使用前に取扱説明書を入手する。すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わない。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
以上、GHS分類結果参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策取り扱い後は手をよく洗うこと。蒸気やミストの吸入を避ける。
以上、GHS分類結果参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
以上、GHS分類結果参照。
安全な容器包装材料消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度等
日本産衛学会(2022年版)未設定
ACGIH(2022年版)未設定
設備対策情報なし
保護具
呼吸用保護具呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
-防毒マスクは、日本工業規格(JIS T8152)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
-濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”は、物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
-作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
以上、GHS分類結果参照。
手の保護具保護手袋を着用する。
以上、GHS分類結果参照。
眼の保護具保護眼鏡を着用する。
以上、GHS分類結果参照。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。
以上、GHS分類結果参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体(GHS判定)
明るい透明色〜琥珀色、茶色
臭いデータなし
融点/凝固点-9 ℃(±3℃、CAS 121158-58-5)(EU REACH SVHC(2021))
沸点、初留点及び沸騰範囲189〜270 ℃(CAS 121158-58-5)(EU REACH SVHC(2021))
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水: 2.1 mg/L(OECD SIDS(2006))
水: 0.031 mg/L((31 μg/L) CAS 121158-58-5)(EU REACH SVHC(2021))
n-オクタノール/水分配係数log Kow: 7.14(OECD SIDS(2006))
log Kow: 7.14(25℃、CAS 121158-58-5)(EU REACH SVHV(2021))
蒸気圧9.2 x 10-3 Pa(OECD SIDS(2006))
0.011 Pa(25℃、CAS 121158-58-5)
密度及び/又は相対密度0.942 g/cm3(20℃)(EU REACH SVHC(2021))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性情報なし
避けるべき条件情報なし
混触危険物質情報なし
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質の構造関連物質であるPhenol, dodecyl (CAS登録番号:27193-86-8)を被験物質とした、ラットのLD50:2,100 mg/kg(CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022)、SIDS (2006))
(2)本物質の構造関連物質であるイソドデシルフェノール(CAS登録番号:11067-80-4)を被験物質とした、ラットのLD50:2,200 mg/kg(CLH Report (2012))
(3)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenol (CAS登録番号:74499-35-7)を被験物質とした、ラット(雄)のLD50:500〜5,000 mg/kgの間(CLH Report (2012))
(4)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenolを被験物質とした、ラットのLD50:<5,000 mg/kgの間(CLH Report (2012))
(5)EU CLHでは、(1)〜(4)のデータを用いて分類を実施しているが、区分はつけられていない。
経皮【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質の構造関連物質であるPhenol, dodecyl (CAS登録番号:27193-86-8)を被験物質とした、ウサギのLD50:>2,000 mg/kg(CLH Report (2012))
(2)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenol (CAS登録番号:74499-35-7)を被験物質とした、ウサギ(雄)のLD50:15,000 mg/kg(CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))
(3)EU CLHでは、(1)〜(4)のデータを用いて分類を実施しているが、区分はつけられていない。
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)〜(3)より、構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)の知見に基づき、区分1とした。

【根拠データ】
(1)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4日適用、14日観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は6.2であり、14日後に痂皮、薄茶色の薄い壊死層、脱毛がみられたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、SIDS (2006)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
(2)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、4日適用、7日観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は6であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
(3)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、4日適用、6日観察)において、皮膚一次刺激指数(PDII)は6であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、SIDS (2006)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)皮膚腐食性/刺激性で区分1である。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)、(2)より、構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)の知見に基づき、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、モルモット(n=20)を用いたBuehler試験(OECD TG 406、GLP)において、局所投与:1%溶液%溶液で適用24、48時間後の陽性率はともに5%(1/19例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
(2)構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、モルモット(n=15)を用いたBuehler試験(OECD TG 406、GLP)において、局所投与:5%溶液%溶液で適用24、48時間後の陽性率は0%(0/15例)、20%(3/15例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、CLH Report (2012)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)〜(2)より、構造関連物質であるドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)の知見に基づき、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、ドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)について、ラットの赤血球を用いた小核試験(投与経路不明、単回ばく露)で、5,000 mg/kgまで陰性の報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。また、同様に本物質の構造関連物質であるフェノールのテトラプロペニル誘導体(TPP、CAS登録番号:74499-35-7)について、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(単回強制経口投与、最大5,000 mg/kg)では、陰性の報告がある(SIAR (2006))。
(2)In vitroでは、ドデシル(分枝型)フェノール(CAS登録番号:121158-58-5)及びTPP (CAS登録番号:74499-35-7)について、細菌を用いた復帰突然変異試験並びにチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を用いた遺伝子変異試験で、代謝活性の有無に関わらず陰性の報告がある(ECHA RAC Opinion (2013)、SIAR (2006)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。
発がん性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖毒性【分類根拠】
構造類似物質のデータ(1)〜(3)より、本物質も生殖発生毒性物質と考えられ、(1)、(2)より母親動物に一般毒性影響がない、又は軽微な用量で、雌雄親動物への生殖影響と児動物への発生影響がみられたことから、区分1Bとした。

【根拠データ】
(1)Phenol (tetrapropenyl) derivatives (CAS 74499-35-7)について、ラットを用いた強制経口投与による一世代生殖毒性試験(OECD TG415、GLP)において、P母動物に一般毒性がみられない中用量(25 ppm:P雄には体重増加抑制と腎臓に組織変化)から雌雄生殖器への影響(精巣上体尾部・精嚢、卵巣の絶対/相対重量減少、前立腺・凝固腺の分泌減少)、F1児動物に低体重と包皮分離日齢の遅延がみられた。P雌に体重増加抑制がみられる高用量(125 ppm)では、親動物に生殖能への影響(交尾率及び受胎率の低下、着床部位数減少、同腹児数減少)、生殖器への影響(前立腺・精巣重量減少、精巣上体精子数減少、黄体減少・卵巣嚢胞・子宮内膜嚢胞の例数増加など)、F1児動物には生後0日での生存率低下がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019)、EU REACH SVHC (2021)、SIAR (2006))。
(2)Phenol (tetrapropenyl) derivatives (CAS 74499-35-7)について、ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、GLP)において、F1雄に腎臓石灰化以外にF0及びF1親動物に一般毒性がみられない中用量(15 ppm)で、F1雄親動物の性機能への影響(精巣g当たりの精子数の減少、1日精子産生量の低下、精巣上体重量減少)、F1児動物に低体重がみられた。F0、F1雌雄親動物に体重増加抑制がみられる高用量(75 ppm)では、生殖器・性機能への影響(F0、F1雄:精巣上体尾部・前立腺・精嚢・精巣重量減少、F0、F1雌:黄体数の減少、性周期の延長、F0雄:精巣上体 g当たりの精子数減少、F0雌:着床部位数の減少)、F1児動物に包皮分離の遅延及び膣開口の早期化、F2児動物に低体重がみられたとの報告がある(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019)、EU REACH SVHC (2021)、SIAR (2006))。
(3)Phenol (tetrapropenyl derivatives) (CAS番号 27193-86-8)又は4-dodecylphenol (異性体混合物) (CAS 27193-86-8)について、ラットのを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP)において、母動物毒性(体重増加抑制、摂餌量減少、軟便)がみられる用量(300 mg/kg/day)で、発生影響(着床前胚死亡の軽度増加、胎児吸収増加による同腹児数の減少と低体重)がみられた。一部の腹からの胎児に骨格奇形の頻度増加がみられると報告されたが、主な奇形とされた波状肋骨及び肩甲骨湾曲は骨格変異の範疇と考えられる(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019))。

【参考データ等】
(4)Tetrapropenylphenol (TPP)について、弱いエストロゲン作用と抗アンドロゲン作用を有することがin vitro及びin vivo実験で示されており、(1)、(2)でみられたラットの受胎能及び性機能への有害影響はTPPの内分泌かく乱作用を介した影響の可能性が指摘されている(EU CLP CLH (2013)、EU REACH CoRAP (2019))。
(5)EUでは、本物質及び構造類似物質のphenol (tetrapropenyl) derivatives、4-dodecylphenol (異性体混合物) がグループとして評価され、Repr. 1Bに分類されている(CLP分類(Accessed 2022))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)本物質の構造関連物質 (CASRN:11067-80-4、27193-86-8、74499-35-7)を被験物質とした、ラットを用いた単回経口毒性試験において、LD50は区分2上限の2,000 mg/kgを超え、特定の標的臓器毒性はみられなかったとの報告がある(CLH Report (2013))。
(2)本物質の構造関連物質 (CASRN:27193-86-8、74499-35-7)を被験物質とした、ウサギを用いた単回経皮毒性試験において、LD50は区分2上限の2,000 mg/kgを超え、特定の標的臓器毒性はみられなかったとの報告がある(CLH Report (2013))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)、(2)より、複数の類縁物質において区分2の用量範囲で雄性生殖器への影響がみられることから区分2(生殖器(男性))とした。

【根拠データ】
(1)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenol (CASRN:74499-35-7)を被験物質とした、ラットを用いた混餌投与による28日間反復経口投与試験において、180及び300 mg/kg/day(90日換算値:56及び93 mg/kg/day、区分2の範囲)で肝臓(重量増加、小葉中心性肝細胞肥大、門脈周辺性肝細胞空胞化)、生殖器官(生殖細胞の枯渇、精巣上体精子の著減及び管腔内細胞破片、雄性生殖器官の絶対/相対重量減少、前立腺及び精嚢の分泌減少、卵巣重量減少、黄体減少)、雌に血液(ヘマトクリット及びヘモグロビンの減少)への影響がみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2019)、CLH Report (2012)、SIAR (2006))。
(2)本物質の構造関連物質であるphenol (tetrapropenyl) derivates(CASRN:27193-86-8)を被験物質とした、ラットを用いた混餌投与による4週間反復経口投与試験において、2,500及び5,000 ppm(180及び300 mg/kg/day、90日換算値:56及び93 mg/kg/day、区分2の範囲)で、尿の色調異常(血液様)、血清尿素窒素の増加、脾臓のうっ血、骨髄の低形成、雄に生殖器官への影響(前立腺及び精嚢の小型化/萎縮・低形成・分泌低下、精巣の小型化/軟化、精巣上体の低形成・低精子症)、雌に肝臓相対重量増加がみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2019)、CLH Report (2012)、SIAR (2006))。

【参考データ等】
(3)本物質の構造関連物質であるPhenol, dodecyl (CASRN:27193-86-8)を被験物質とした、ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、2,000 ppm(100 mg/kg/day、区分2の範囲)で影響はみられなかったが、4,000 ppm(200 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で肝臓重量増加、雄に精巣重量減少と精巣の低精子症(6/20例)がみられたとの報告がある(EU REACH CoRAP (2019)、CLH Report (2012)、SIAR (2006))。
(4)本物質の構造関連物質であるtetrapropenyl phenol (CASRN:74499-35-7)を被験物質とした、ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、100 mg/kg/day(区分2の範囲)で雄に生殖器(精巣上体・前立腺・精嚢)の重量減少、副腎相対重量増加、200 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)で門脈周囲肝細胞の空胞化(性不明)、精嚢の分泌低下、黄体の減少、副腎相対重量減少(雌)がみられたとの報告がある(CLH Report (2012))。
(5)本物質の構造関連物質であるPhenol, dodecyl (CASRN:27193-86-8)を被験物質とした、イヌを用いた混餌投与による13週間反復経口投与試験において、4,000 ppm(143 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で有害影響はみられなかったとの報告がある(EU REACH CoRAP (2019)、CLH Report (2012)、SIAR (2006))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)-
水生環境有害性 長期(慢性)-
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3145
品名(国連輸送名)アルキルフェノール類(液体)、n.o.s.(アルキル基の炭素数が2から12までのもの)
国連分類8
副次危険-
容器等級T/U/Vのいずれか
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*153
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法該当しない
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法該当しない
船舶安全法腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・腐食性物質(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」