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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
1,2,4,5,6,7,8,8‐オクタクロロ‐2,3,3a,4,7,7a‐ヘキサヒドロ‐4,7‐メタノ‐1H‐インデン
作成日 2002年12月13日
改訂日 2010年03月31日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称1,2,4,5,6,7,8,8‐オクタクロロ‐2,3,3a,4,7,7a‐ヘキサヒドロ‐4, 7‐メタノ‐1H‐インデン (別名クロルデン) (Chlordane)
製品コードR02-B-033
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限木材用の防腐剤及び防虫剤、木材用の接着剤、塗料 (防腐用又は防虫用のものに限る。)、防腐木材及び防虫木材、防腐合板及び防虫合板、殺虫剤 (販売禁止農薬) (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分4
急性毒性 (経皮)区分3
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2
生殖細胞変異原性区分2
発がん性区分2
生殖毒性区分1B
追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (神経系、血液系、肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
平成21年度、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分1
GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
皮膚に接触すると有毒
皮膚刺激
強い眼刺激
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
授乳中の子に害を及ぼすおそれ
神経系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、血液系、肝臓の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名1,2,4,5,6,7,8,8‐オクタクロロ‐2,3,3a,4,7,7a‐ヘキサヒドロ‐4,7‐メタノ‐1H‐インデン
別名クロルデン
1,2,3,4,5,6,7,8,8-ノナクロロ-2,3,3a,4,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C10H6Cl8 (409.78)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号57-74-9
官報公示整理番号
(化審法)
4-637
官報公示整理番号
(安衛法)
7-(1)-408
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
飲み込んだ場合気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
安静にすること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 「経口摂取」参照。
皮膚: 吸収される可能性あり!
眼: 充血、痛み。
経口摂取: 錯乱、痙攣、吐き気、嘔吐。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤耐アルコール性泡消火薬剤、粉末消火薬剤、二酸化炭素、水噴霧
使ってはならない消火剤情報なし
特有の危険有害性有機溶剤を含む液体製剤は、引火性のことがある。
火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護情報なし

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり)
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏れた液やこぼれた液を、密閉式の容器にできる限り集める。
残留液を、砂または不活性吸収剤に吸収させる。
地域規則に従って保管処理する。
この物質を環境中に放出してはならない。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項裸火禁止。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
環境への放出を避けること。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
食品や飼料、塩基および混触危険物質から離しておくこと。
密封し、換気のよい部屋に保管すること。
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)未設定
ACGIH (2020年版)TLV-TWA: 0.02 ppm, 0.5 mg/m3
(Inhalable fraction and vapor)
(Skin)
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に化学防護服を使用することとの記載あり)
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用する。(ICSCには、呼吸用保護具と併用して、安全ゴーグル、顔面シールドまたは保護眼鏡を着用することとの記載あり)
皮膚及び身体の保護具保護衣 (化学防護服) を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付化学防護服を使用することとの記載あり)

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
淡黄色〜琥珀色
臭い塩素のような臭い
融点/凝固点106〜107℃ (cis-体)、104〜105℃ (trans-体) (ATSDR (2018))
沸点、初留点及び沸騰範囲175℃ (2 mmHg) (ATSDR (2018))
可燃性不燃性 (GESTIS (Access on May 2020))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率該当しない
溶解度水:0.056 mg/L (25℃) (HSDB (Access on May 2020))
脂肪族及び芳香族炭化水素溶剤に混和 (HSDB (Access on May 2020))
n-オクタノール/水分配係数log Kow= 6.16 (HSDB (Access on May 2020))
蒸気圧9.75E-006 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020))
密度及び/又は相対密度1.59〜1.63 (水=1) (ICSC (1998))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性燃焼すると、分解する。
塩基と接触すると、分解する。
ホスゲンおよび塩化水素などの有毒なフュームを生じる。
避けるべき条件混触危険物質との接触
混触危険物質塩基
危険有害な分解生成物ホスゲンおよび塩化水素などの有毒なフューム

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(8) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 137 mg/kg (ATSDR (2018))
(2) ラットのLD50: 283 mg/kg (EHC 34 (1984)、ATSDR (2018))
(3) ラットのLD50: 雄: 335 mg/kg、雌: 430 mg/kg (IARC 79 (2001))
(4) ラットのLD50: 350 mg/kg (EHC 34 (1984))
(5) ラットのLD50: 371 mg/kg (JMPR (1970))
(6) ラットのLD50: 420 mg/kg (ATSDR (2018))
(7) ラットのLD50: 457 mg/kg (ATSDR (2018))
(8) ラットのLD50: 590 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
経皮【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分3とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 雄: 205 mg/kg、雌: 530 mg/kg (EHC 34 (1984))
(2) ラットのLD50: 590〜840 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
(3) ラットのLD50: 雄: 840 mg/kg、雌: 530〜690 mg/kg (ATSDR (2018))

【参考データ等】
(4) ウサギのLD50: 1,100〜1,200 mg/kg (EHC 34 (1984)、ATSDR (2018))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ウサギの眼に対して強度の刺激性を有するが、皮膚に対しての刺激性は軽度である (IPCS PIM 574 (2000))。
(2) テクニカルグレードの本物質は皮膚及び眼を刺激する (HSDB (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質の初期の製品では工業および農業労働者の眼、粘膜及び皮膚に刺激を示したが、1951年以降の製品では問題はない (HSDB (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) ウサギの眼に対して強度の刺激性を有するが、皮膚に対しての刺激性は軽度である (IPCS PIM 574 (2000))。
(2) テクニカルグレードの本物質は皮膚及び眼を刺激する (HSDB (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(3) 本物質の初期の製品では工業および農業労働者の眼、粘膜及び皮膚に刺激を示したが、1951年以降の製品では問題はない (HSDB (Access on May 2020))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス経口投与による複数の優性致死試験で陰性 (ATSDR (2018)、EHC 34 (1984))、マウス経口投与の骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性、マウス経皮投与の骨髄細胞を用いた小核試験で弱陽性、ラット経口投与の肝細胞を用いるDNA損傷試験で陽性、マウス経口投与の肝細胞を用いるDNA付加体形成試験で陰性の報告がある (ATSDR (2018)、IARC 79 (2001))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、ヒトリンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、ヒト又は哺乳類培養細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陽性、陰性の結果 (ATSDR (2018)、IARC 79(2001)) 、不定期DNA合成試験で陽性、陰性の結果の報告がある (ATSDR (2018))。
発がん性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで本物質の工業用も含めてグループ2B (IARC 79 (2001))、産衛学会で第2群B (産業衛生学会誌許容濃度の勧告 (2001年提案))、ACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2019))、EU CLPでCarc.2 (EU CLP分類 (Access on April 2020))、MAK (DFG) で3B (DFG List of MAK and BAT Values 2019) に分類されている。
(2) 雌雄のラット及びマウスに本物質 (analytical-grade chlordane) を80週間混餌投与した発がん性試験では、雌雄のマウスで肝細胞がんの発生率の有意な増加がみられた。ラットでは雄で悪性線維性組織球腫、雌で甲状腺濾胞細胞腫瘍の僅かな増加がみられた (IARC 79 (2001))。
(3) ヒトでの多くの疫学報告の中では、肺がんなどのがんの発生とばく露との有意な関連性を示す結果は示されていない (IARC79 (2001))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)、(2) より、乳汁を介して次世代に致死的影響を生じることが示唆された。しかしながら、出産前のばく露の影響も否定できないことから、区分1B、追加区分 (授乳に対するまたは授乳を介した影響) とした。なお、データを見直したため旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットの離乳時から授乳まで混餌投与した試験において、同腹児を出産した交尾雌の数の減少、生存児減少 (離乳時まで生存した児動物なし) がみられている (ATSDR (2018))。
(2) 妊娠マウスに混餌投与した試験において、児動物が授乳期間の最初の週に死亡した。母動物の乳汁を介した高レベルの本物質及び/又は代謝産物へのばく露が児動物死亡の原因であった可能性がある (ATSDR (2018))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)、(2) のヒトの事故例について本物質によるものか工業用クロルデンによるものかが明確に出来ない。しかし、神経症状を生じるという毒性の本質に差はないと考え、区分1 (神経系) とした。

【根拠データ】
(1) ヒトのクロルデンの致死量は約6 gと推定されており、痙攣症状はわずか2.25 gでみられている。 また、成人に約30 gの局所皮膚塗布すると、40分で死亡がみられている (ACGIH (7th, 2019))
(2) ヒトにおいて、単回ばく露後に痙攣、嘔吐、運動失調、錯乱など神経症状の報告が数多くある(IARC 79 (2001)、EHC 34 (1984)、IPCS PIM 574 (2000))。

【参考データ等】
(3) 1950年より前に製造されたクロルデンには相当量のヘキサクロロシクロペンタジエンを含まれていた (EHC 34 (1984))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)〜(3)、(6)、(7) より神経系、(4) より血液系、(5) より肝臓に影響がみられ、区分1 (神経系、血液系、肝臓) とした。なお、ヒトのデータについては本物質によるものか工業用クロルデンによるものか不明であるが、本質的な毒性に大きな差はないと考え分類に用いた。

【根拠データ】
(1) 米国テネシー州の市営水道の本物質の汚染事故で、影響を受けた住人105人中71人に汚染水と接触した報告があり、うち13人(18%)が軽度の胃腸症状とともに神経症状を訴えたとの報告がある (IARC 79 (2001))。
(2) 1946年から85年にかけて、クロルデンの製造に3ヵ月以上雇用された労働者で、脳血管疾患による期待死亡数11.7人に対して20人の死亡が観察されたとの報告がある (IARC 79 (2001))。
(3) 7年前に建物外面のクロルデンの噴霧を受けたマンション居住者216人に実施された神経生理学的、神経心理学的検査でみられた最も著しい変化が反応遅延、平衡障害、認知機能の低下、記憶障害などであったとの報告がある (IRIS(1997))。
(4) クロルデン及びヘプタクロルへのばく露に関連した血液異常症の25症例報告において、再生不良性貧血、血小板減少性紫斑病、白血病、悪性貧血、巨赤芽球性貧血の報告がある (IARC 79 (2001))。
(5) ラットに本物質 (α-γクロルデン1:1混合物) を78週間混餌投与した試験において、35 ppm (1.75 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で軽微あるいは軽度の肝臓の小葉中心性肝細胞の細胞質均一化、細胞質の辺縁趨向変化 (cytoplasmic margination) がみられ、50 ppm (5 mg/kg/day、区分1の範囲) では死亡がみられた (EHC 34 (1984))。
(6) ラットに本物質 (分析用) を80週間混餌投与した試験において、雌の11.08 mg/kg/day (区分2の範囲) で生存率減少 (18%減少)、22.15 mg/kg/day (区分2の範囲) で振戦がみられている (ATSDR (2018))。
(7) マウスに本物質 (分析用) を80週間混餌投与した試験において、雄の5.13 mg/kg/day (区分1の範囲) で生存率減少 (40%減少)、雄の9.64 mg/kg/day (区分1の範囲) 、雌の11.02 mg/kg/day (区分2の範囲) で振戦がみられている (ATSDR (2018))。

誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)甲殻類 (ピンクシュリンプ) での96時間LC50 = 0.4 μg/L (EHC 34 (1984) , 他) であることから、区分1とした。
水生環境有害性 (長期間)急性毒性区分1であり、急速分解性がなく (難分解性、BODによる分解度:0% (既存点検 (1986))) 、生物蓄積性が高い (BCF = 13900-27900 (3 μg/L) 、13000-26100 (0.3 μg/L) (既存点検 (1986))) ことから、区分1とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2761
国連品名ORGANOCHLORINE PESTICIDE, SOLID, TOXIC
国連危険有害性クラス6.1
副次危険-
容器等級L
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質-
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報毒物及び劇物取締法、道路法の規定に従う。
特別な安全上の対策毒物及び劇物取締法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*151
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【113 1,2,4,5,6,7,8,8−オクタクロロ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【113 1,2,4,5,6,7,8,8−オクタクロロ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法劇物(指定令第2条)【18の5 1,2,4,5,6,7,8,8−オクタクロロ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン等及びその類縁化合物の混合物】
化学物質審査規制法第1種特定化学物質(法第2条第2項・施行令第1条)【8 1,2,4,5,6,7,8,8−オクタクロロ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、1,4,5,6,7,8,8−ヘプタクロロ−3a,4,7,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン及びこれらの類縁化合物の混合物】
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【3 1,2,4,5,6,7,8,8−オクタクロロ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン等及びその類縁化合物の混合物】
航空法毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
船舶安全法毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2761 有機塩素系殺虫殺菌剤類(固体)(毒性のもの)】
海洋汚染防止法個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)【【国連番号】2996 有機塩素系殺虫殺菌剤類(液体)(毒性のもの)】
水質汚濁防止法指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)【42 1,2,4,5,6,7,8,8−オクタクロロ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン】
農薬取締法販売禁止農薬(法第18条第2項、平成15年3月5日省令第11号)【6 1,2,3,4,5,6,7,8−オクタクロロ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用