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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
プロパン−1,2−ジオール
作成日 2024年3月29日
化学品の名称プロパン−1,2−ジオール
化学品の英語名称Propane-1,2-diol
製品コードR05-D-001-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限合成樹脂原料,食品品質保持剤,化粧品・医薬配合原料(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R1.3.29、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1(中枢神経系、血液系)、区分3(麻酔作用)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1(中枢神経系、呼吸器)
分類実施日
(環境有害性)
R1.3.29、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示健康有害性感嘆符
注意喚起語危険
危険有害性情報中枢神経系、血液系の障害
眠気またはめまいのおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、呼吸器の障害
注意書き
 安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪いときは医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名プロパン−1,2−ジオール
慣用名又は別名プロピレングリコール
プロピレン=グリコール
1,2−プロパンジオール
英語名Propane-1,2-diol
1,2-Dihydroxypropane
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C3H8O2 (76)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号57-55-6
官報公示整理番号(化審法)2-234
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。大量吸入後または不定愁訴がある場合は負傷者を静かな場所に寝かせ、低体温症から保護する。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水で10〜20分洗浄する。医師の診察を受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合流水で10分間洗浄する。できればコンタクトレンズを外す。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。コップ一杯の水(約200mL) を飲ませる。無理に吐かせない。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:喉の渇き、咳。高濃度の高温の蒸気/エアロゾルにより、上気道のわずかな刺激と呼吸障害。吸収性毒性作用はむしろ考えにくい 。
皮膚:わずかな発赤または局所反応なし。まれにアレルギー反応。全身への影響は考えにくい。
眼:乾燥、掻痒、痛み、流涙、結膜炎の可能性。
経口摂取:高用量で胃腸症状(吐き気、嘔吐)、吸収性毒性作用。
吸収:高用量投与後、頭痛、吐き気、眩暈、意識障害から昏睡、場合によっては痙攣などの中枢神経系症状。(頻脈、不整脈などの)心機能障害。重篤な場合には腎機能障害。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素。大規模火災には耐アルコール泡消火薬剤、水噴霧。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置作業者の暴露(吸入、経皮、および摂取)に十分な配慮が必要である。
以上、PubChem参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項容器を開けたままにしない。使用時は十分な換気をすること。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
以上、GESTIS、日化協発行ガイドライン参照
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。蒸気またはミストの吸入を避ける。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管する。容器を密閉して涼しくて乾燥した換気の良い場所に保管すること。湿気を避ける。強酸化剤およびアルカリから離しておく。
以上、GESTIS、ICSC、GHS分類結果参照。
安全な容器包装材料消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)-
設備対策作業場所には適切な換気装置を設置する。取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。滑りにくい床にすること。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
−防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
−濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
−作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
−酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
手の保護具保護手袋を着用する。天然ゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、PVCが適している。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具エプロンまたは白衣を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色
臭いほぼ無臭
融点/凝固点-60 ℃(GESTIS(2023))
-59 ℃(ICSC(2014))
沸点、初留点及び沸騰範囲188 ℃(GESTIS(2023))
188.2 ℃(ICSC(2014))
可燃性可燃性(ICSC(2014))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界2.6〜12.6 vol%(空気中)(ICSC(2014)、GESTIS(2023))
引火点101 ℃(密閉式)(ICSC(2014)、GESTIS(2023))
99 ℃(密閉式)(HSDB(2002))
自然発火点420 ℃(ICSC(2014)、GESTIS(2023))
371 ℃(HSDB(2002))
分解温度沸点以上(GESTIS(2023))
pH6.5-7.5(GESTIS(2023))
動粘性率43.43 mPa*s(25℃)(GESTIS(2023))
溶解度水: (混和)(ICSC(2014)、GESTIS(2023))
アセトン: (混和)(HSDB(2006))
クロロホルム: (混和)(HSDB(2006))
n-オクタノール/水分配係数log Kow: 0.92(ICSC(2014)、GESTIS(2023))
蒸気圧0.2 hPa(GESTIS(2023))
10.6 Pa(20℃)(ICSC(2014))
0.13 mmHg(25℃)(HSDB(1989))
密度及び/又は相対密度1.04 g/cm3(20℃)(GESTIS(2023))
1.0361 g/cm3(20℃)(HSDB(2007))
相対ガス密度2.62 (空気=1)(GESTIS(2023))
2.6 (空気=1)(ICSC(2014))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性強酸化剤およびアルカリと 激しく反応する
危険有害反応可能性この物質は酸化剤、酸無水物および酸塩化物と危険な反応を起こす可能性がある
避けるべき条件火気、加熱、高温、静電気、火花、爆発性混合気の形成
混触危険物質酸化性物質、酸塩化物、酸無水物、クロロホルメート、還元剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(3)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1) ラットのLD50:22,000 mg/kg(SIDS(2004))
(2) ラットのLD50:8,000〜46,000 mg/kg(EPA Pesticide(2006))
(3)ラットのLD50:21,000〜33,700 mg/kg(PATTY(6th, 2012))

【参考データ等】
(4) マウスのLD50:24,900 mg/kg(SIDS(2004))
(5) マウスのLD50:23,000〜24,900 mg/kg(EPA Pesticide(2006))
(6)マウスのLD50:23,900〜31,800 mg/kg(PATTY(6th, 2012))
経皮【分類根拠】
(1)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:20,800 mg/kg(SIDS(2004))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体である。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)〜(5)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ヒトの皮膚に本物質原液を48時間適用したところ、刺激性は見られなかったとの報告がある(SIDS(2004))。
(2) ヒト6人の皮膚に本物質原液を2時間適用したところ、刺激性は見られなかったとの報告がある(SIDS(2004))。
(3) ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404)で、刺激性は見られなかったとの報告がある(SIDS(2004))。
(4) ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (ドレイズ変法)で、刺激性はみられなかったとの報告がある(SIDS(2004))。
(5)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(EPA OPPTS 870.2400)で、本物質は非刺激性(non irritant)との報告がある(EPA Pesticide RED(2006))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。なお、(3)はIPCSの記述であり、(4)、(5)はデータの詳細が不明であることから、分類判断に用いることはできないと判断した。

【根拠データ】
(1) ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405)2件で、本物質原液の適用により刺激性は見られなかったとの報告がある(SIDS(2004))。
(2) ウサギを用いた眼刺激性試験(EPA OPPTS 870.2400)で、本物質は非刺激性(non irritant)との報告がある(EPA Pesticide RED(2006))。

【参考データ等】
(3)ヒトの眼を刺激し、眼に入ると発赤、痛みを生じる(環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。
(4)ヒトで眼刺激性の報告がある(IPCS PIM 443(Accessed Oct. 2018))。
(5)本物質の職業ばく露による眼の傷害の報告はないが、一過性の刺すような痛み、眼瞼痙攣、流涙を生じる可能性があるとの報告がある(PATTY(6th, 2012))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)〜(4)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1) ヒトに対する皮膚パッチテスト(n=104、GLP)で、本物質50%溶液の半閉塞/閉塞適用による感作誘導後、50%溶液の半閉塞/閉塞適用で感作を誘発させたところ、それぞれ陽性反応は示さなかったとの報告がある(SIDS(2004))。
(2) ヒトに対する皮膚パッチテスト(ドレイズ変法、n=204)で、本物質12%溶液の閉塞適用による感作誘導後、12%溶液の閉塞適用で感作を誘発させたところ、陽性反応は示さなかったとの報告がある(SIDS(2004))。
(3) モルモットを用いたMaximization試験(GPMT)7件のうち1試験のみ弱い陽性が見られたが、他の6試験は全て陰性だったとの報告がある(J. Am. Coll. Toxicol., 13(1994))。
(4)マウスを用いた皮膚感作性試験(OECD TG429、LLNA法、n=4)において本物質50%溶液でStimulation Index(SI値)は1.2、本物質原体でSI値1.6だったとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Oct. 2018))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)〜(3)より、ガイダンスに従い分類できない。

【根拠データ】
(1) ラットの優性致死試験(単回又は5日間経口投与)は陰性であった(SIDS(2004))。
(2) ラットの骨髄を用いたin vivo染色体異常試験(単回又は5日間経口投与)では陰性であった(SIDS(2004))。
(3) マウスの骨髄を用いたin vivo小核試験(単回腹腔内投与)では陰性であった(SIDS(2004))。

【参考データ等】
(4) 細菌を用いた2件の復帰突然変異試験は陰性であった(SIDS(2004))。
(5) ヒトリンパ球を用いたin vitro染色体異常試験では陰性であった(SIDS(2004))。
(6) 哺乳類培養細胞(CHO)を用いたin vitro染色体異常試験では陽性(S9-)の結果が得られたが、細胞毒性が発現する高濃度での結果であった(SIDS(2004))。
発がん性【分類根拠】
発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。
利用可能な動物試験結果は(1)の動物種1種に限られ、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1)ラット(30匹/性/群)の2年間混餌投与による発がん性試験(雄:200〜1,790 mg/kg/day、雌:300〜2,100 mg/kg/day)では腫瘍発生の増加はみられなかった(SIDS(2004))。
(2)国内外の分類機関による既存分類はない。

【参考データ等】
(3)イヌ(5匹/性/群)を用いた2年間混餌投与(2,000、5,000 mg/kg/day)による慢性毒性試験で、腫瘍発生頻度に変化はみられなかった(SIDS(2004))。
(4)雌マウス(例数不明)に一生涯経皮投与(2〜21 mg/匹/day)した試験で、皮膚腫瘍の増加はみられていない(SIDS(2004))。
(5)ラットの耳介に10〜14ヵ月間塗布(用量不明)したが、皮膚腫瘍の発生増加はみられなかった(SIDS(2004))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)の経口投与による繁殖試験や、(2)、(3)の妊娠動物を用いた発生毒性試験では生殖発生毒性がみられなかったことから、分類できない。

【根拠データ】
(1) マウスを用いた飲水投与による連続交配試験において、10, 100 mg/kg/dayを最長98日間投与したが、F0及びF1親動物に投与に関連した生殖影響はみられず、F1及びF2児動物に投与に関連した生存率、成長への影響はみられなかった(SIDS(2004)、環境リスク初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。
(2) 妊娠ラットの器官形成期(妊娠6〜15日)に強制経口投与した発生毒性試験では、1,600 mg/kg/dayまでの用量で母動物、胎児ともに有害影響はみられなかった(SIDS(2004)、環境リスク初期第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。
(3) 妊娠ウサギの器官形成期(妊娠6〜18日)に強制経口投与した発生毒性試験では、12〜267 mg/kg/day群で母動物に死亡例(用量相関なし)がみられたが、最高用量の1,230 mg/kg/dayまで、胎児に発生影響はみられなかった(SIDS(2004)、環境リスク初期第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。

【参考データ等】
(4) 妊娠マウスの器官形成期(妊娠6〜15日)に強制経口投与した発生毒性試験では、1,600 mg/kg/dayまでの用量で母動物、胎児ともに有害影響はみられなかった(SIDS(2004)、環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。
(5) 妊娠ラットの器官形成期(妊娠6〜15日)に吸入ばく露した発生毒性試験では、300 ppmまでの用量で母動物、胎児ともに有害影響はみられなかった(ATSDR addendum(2008))。
(6) 妊娠ウサギの器官形成期(妊娠7〜19日)に吸入ばく露した発生毒性試験では、300 ppmまでの用量で母動物、胎児ともに有害影響はみられなかった(ATSDR addendum(2008))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)〜(3)のヒトの知見より、中枢神経系及び血液系が標的臓器と考えられる。また、(3)、(4)の実験動物のデータからも神経系及び血液系が標的臓器と考えられる。また(3)より麻酔作用がみられている。以上より、区分1(中枢神経系、血液系)、区分3(麻酔作用)とした。

【根拠データ】
(1) 2歳の男児が約1.75〜2.25%の本物質を含むヘアジェルを誤って約3オンス摂取した後に中枢神経抑制及び代謝性アシドーシスを生じた。男児は嘔吐を繰り返し、嗜眠になり、強い痛みにしか反応しなくなった(ATSDR addendum(2008)、SIDS(2004))。
(2) 経口摂取による急性中毒症状は眠気から知覚麻痺、意識喪失、昏睡に至る。他の徴候としては、血清の高浸透圧、乳酸アシドーシス、及び低血糖である(IPCS PIM 433(Accessed Oct. 2018))。
(3) 高用量の経口摂取による急性毒性症状は、中枢神経抑制と麻酔作用である。ラット及びマウスでは運動失調、眼瞼下垂、自発運動減少、体幹及び四肢の緊張、及び呼吸の減少である(ATSDR addendum(2008))。
(4) ラットの単回経口投与試験では、区分2範囲の730 mg/kg以上で赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット値の減少、及び網状赤血球・血漿ヘモグロビン・浸透圧の増加がみられた。また、赤血球の電顕観察で表面粗造、膜の破壊もみられた(SIDS(2004)、ATSDR addendum(2008))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)、(2)のヒトのデータより中枢神経系が本物質の標的と考えられ、区分1(中枢神経系)を採用した。また、(3)の実験動物のデータより、吸入経路での影響は区分1の用量で呼吸器への影響がみられたことから、区分1(呼吸器)とした。なお(3)のデータにおける試験濃度の160 mg/m3(51.4 ppm)は飽和蒸気圧濃度(108.9 ppm)の90%より低く、ミストを含まない蒸気と考えられることから、蒸気の基準を適用した。

【根拠データ】
(1)15ヵ月の若年者が内服治療の溶媒として本物質を繰り返し大量に摂取した結果、低血糖と中枢神経抑制による有害症状を生じた。服薬中止により症状は急速に改善した(PATTY(6th, 2012))。
(2)本物質を含む治療薬を1年以上内服した後に11歳の少年が大発作を起こした。この他、本物質に溶解したフェニトインを内服した患者で中枢抑制症状の報告がある(IPCS PIM 443(Accessed Oct. 2018))。
(3)ラットに本物質を13週間吸入ばく露(160〜2,200 mg/m3、6時間/日、5日/週)した試験では、区分1の範囲内である160 mg/m3(ガイダンス値換算:0.12 mg/L)以上で鼻腔の出血、眼の分泌物の増加、1,000 mg/m3以上で、鼻腔に杯細胞数とムチンの増加を伴う呼吸上皮の肥厚がみられた(環境省リスク評価第6巻:暫定的有害性評価シート(2008))。

【参考データ等】
(4) ラットに15週間混餌投与した試験では、50,000 ppm(約2,500 mg/kg/day)で、有害性影響はみられなかった(SIDS(2004))。
(5) ラットに140日間飲水投与した試験では、25%以上の濃度では飲水量減少による飢餓と脱水により全例が死亡した。NOAELは10%(13,200 mg/kg/day)と報告されている(SIDS(2004))。
(6) ラットに104週間混餌投与した試験では、50,000 ppm(雄:1,700 mg/kg/day、雌:2,100 mg/kg/day)有害性影響はみられなかった(SIDS(2004))。
(7) イヌに104週間混餌投与した試験では、2,000 mg/kg/dayでは影響はみられず、5,000 mg/kg/dayで血液系への影響(赤血球数・ヘモグロビンの減少など)がみられた(SIDS(2004))。
(8) ネコに2〜3ヵ月間混餌投与した試験で、443 mg/kg/day以上で血液系への影響(ハインツ小体の増加、肝臓のヘモジデリン沈着(二次的変化))がみられた(SIDS(2004))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)藻類(ムレミカズキモ)72時間EC50(生長速度)>1000 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50(遊泳阻害)>1000 mg/L、魚類(メダカ)96時間LC50 >100 mg/L(ともに環境省生態影響試験: 2018)であることから、区分に該当しない。
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性があり(良分解性、BODによる平均分解度: 90%(化審法DB: 1991))、藻類(ムレミカズキモ)72時間NOEC(生長速度)=1000 mg/L、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(繁殖阻害)= 1000 mg/L(ともに環境省生態影響試験: 2018)であることから、区分に該当しない。
残留性・分解性化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号-
品名(国連輸送名)-
国連分類-
副次危険-
容器等級-
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*該当しない
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和7年4月1日以降)
作業場内表示義務(法第101条の4)(令和7年4月1日以降)
化審法優先評価化学物質(法第2条第5項)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体 第三石油類 水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」