1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | パラチオン (Parathion) | ||
製品コード | H28-B-027 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 殺虫剤(販売禁止農薬) (NITE CHRIP) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
物理化学的危険性 | − | |||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分2 | ||
急性毒性(経皮) | 区分2 | |||
急性毒性 (吸入:粉塵、ミスト) | 区分1 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | |||
発がん性 | 区分2 | |||
生殖毒性 | 区分2 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (神経系) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系、視覚器) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | |||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと生命に危険 皮膚に接触すると生命に危険 吸入すると生命に危険 眼刺激 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、視覚器の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 眼、皮膚、衣類につけないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。−【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用しても良い。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 漏出物を回収すること。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | - |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | パラチオン | ||
別名 | エチルパラチオン ジエチル-パラ-ニトロフェニルチオフォスフェイト O,O-ジエチル-O-(4-ニトロフェニル)ホスホロチオアート | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C10H14NO5PS | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 56-38-2 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | データなし | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 4-(9)-244 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。 | ||
使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
特有の危険有害性 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。 大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。 取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 容器を接地すること、アースをとること。 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。 | ||
接触回避 | 情報なし | ||
衛生対策 | 情報なし | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。高温物を近づけない。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2016年度版) | 0.1 mg/m3 (パラチオン) | ||
ACGIH(2016年版) | TLV-TWA: 0.05 mg/m3 (吸入蒸気、エアロゾル) (Skin) (パラチオン) | ||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄剤のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 淡黄-茶色 (Merck (15th, 2013)), (GESTIS (2016)) | ||
臭い | ニンニク類似臭、フェノール類似臭 (HSDB (2016)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | 0.470 mg/m3 (HSDB (2016)) | ||
pH | データなし | ||
融点・凝固点 | 6℃ (Merck (15th, 2013)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 375℃ (Merck (15th, 2013)) | ||
引火点 | 120℃ (Closed cup) (GESTIS (2016)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | データなし | ||
蒸気圧 | 3.78×10-5 mmHg (20℃) [換算値 0.00504 Pa (20℃)] (Merck (15th, 2013)) | ||
蒸気密度 | 10.04 (空気=1) | ||
比重(相対密度) | 1.26 (25/4℃) (HSDB (2016)) | ||
溶解度 | 水: 24 mg/L (20℃) (GESTIS (2016)) アルコール、エステル、エーテル、ケトン、芳香族炭化水素に非常に良く溶ける (Sax (11th, 2004)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | Log Kow= 3.83 (HSDB (2016)) | ||
自然発火温度 | データなし | ||
分解温度 | > 100℃ (HSDB (2016)) | ||
粘度(粘性率) | 15.30 mPa・sec (25℃) (HSDB (2016)) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 200℃以上に加熱すると分解し、有毒な気体(一酸化炭素、窒素酸化物、リン酸化物、イオウ酸化物など)を生じる。強力な酸化剤と反応する。ある種のプラスチック、ゴム、被膜剤を侵す。 | ||
避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類: 区分2 ラットのLD50値として、2、2.6、6.85、7、13.7、22 mg/kg の6件の報告がある。2件が区分1に (JMPR (1995))、4件が区分2に該当する (JMPR (1995)) ことから、件数の最も多い区分2とした。 なお、本物質は専門家判断に基づき、情報源としてJMPRのLD50値を優先的に採用した。 | ||
経皮 | GHS分類: 区分2 ラットのLD50値として、73 mg/kg (雌雄) (JMPR (1995)) の報告に基づき区分2とした。ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。 なお、本物質は専門家判断に基づき、情報源としてJMPRのLD50値を優先的に採用した。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | GHS分類: 区分1 ラットのLC50値 (4時間) として、0.03 mg/L (雌雄) (JMPR (1995)、32〜84 mg/m3 (雌雄不明) (ACGIH (7th, 2003))、84 mg/m3 (雄) (ATSDR (2014)、24 mg/L (雌) (JMPR (1995)、77〜91 mg/L (雄) (JMPR (1995)) の5件の報告がある。1件が区分1に、1件が区分1〜区分2に、1件が区分2に、2件が区分外に該当することから、有害性の高い区分を採用し区分1とした。 なお、この値は飽和蒸気圧濃度 (0.00897 ppm (0.00011 mg/L)) より高いため、ミストの基準値を適用した。ガイダンスの改訂に伴い、区分を見直した。 なお、本物質は専門家判断に基づき、情報源として、JMPR、ACGIH、ATSDRのLD50値を優先的に採用した。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分外 ウサギの皮膚刺激性試験 (2試験) では、ごく軽度〜軽度の刺激性 (紅斑、浮腫) が認められたが、72時間後には回復した (いずれもJMPR (1995)) ことから、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分2B 本物質をウサギの眼に適用した試験において軽度の刺激性がみられたとの報告 (JMPR (1995)) に基づき、区分2Bとした。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、モルモットのマキシマイゼーション法 (Magnusson-Kliegman法) で、感作性は認められなかったとの報告がある (ACGIH (7th, 2016)、JMPR (1995)) が、試験方法等詳細について不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験、マウスの精原細胞を用いた染色体異常試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、染色体異常試験でいずれも陰性である (JMPR (1995)、ATSDR (2014))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性である (JMPR (1995)、ATSDR (2014))。 | ||
発がん性 | GHS分類: 区分2 ヒトの情報はない。実験動物ではラットに46週間又は67週間混餌投与した試験において、副腎皮質の腺腫/がんが雌雄に (ACGIH (7th, 2003)、IRIS (1988))、また甲状腺濾胞腺腫と膵島細胞がんの増加傾向が雄に認められ (IRIS (1988))、EPAはこれを根拠にグループC (possible human carcinogen: 区分2相当) に分類した (IRIS (1988))。一方、ACGIHはIARCがこの試験は投与期間が短く、他のラット、マウスの混餌投与試験で投与に関連した腫瘍発生頻度の増加がみられていないことから、本物質の実験動物での発がん性は評価できないと結論した (IARC 30 (1983)) ことを引用して、A4に分類した (ACGIH (7th, 2003))。しかし、IARCは最新の発がん性評価で本物質の実験動物での発がん性の証拠は十分であると結論し、グループ2Bへと分類を変更した (IARC 112 (in prep., Access on June 2015))。以上、本物質の既存分類結果の経緯を踏まえ、本項は区分2とした。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分2 ラットを用いた経口経路 (混餌) による3つの生殖毒性試験のうち、1つはF0、F1雌親動物に振戦が、他の1つはF0、F1親動物に血漿・赤血球・脳内コリンエステラーゼ活性の減少がみられる用量まで投与されたが、児動物には軽微な影響 (哺育期間中、又は離乳時の体重低値) がみられたに過ぎない (JMPR (1995)、ACGIH (7th, 2003))。しかし、他の1試験では親動物には20 ppm まで毒性所見は認められなかったが、20 ppm 群では妊娠動物数の減少 (3/6例)、10 及び 20 ppm でF1出生児の生後死亡率の高値が認められた (Barnes & Denz (1951)、IARC 30 (1983)、ACGIH (7th, 2003))。一方、妊娠ラット及び妊娠ウサギを用いた器官形成期強制経口投与による発生毒性試験ではラット、ウサギとも死亡例、体重増加抑制が発現する高用量においても胎児に有意な毒性所見はみられなかった (JMPR (1995)、ACGIH (7th, 2003))。 以上、ラット混餌投与による3つの生殖毒性試験のうち、1試験で親動物に毒性症状が発現しない用量で妊娠率低下、出生児の生後死亡率の高値が認められた。しかし、他の2試験では親動物の一般毒性影響で児動物に軽微な影響がみられたのみであったことから、本項は区分2が妥当と判断した。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分1 (神経系) 本物質の急性中毒は神経末端のアセチルコリンエステラーゼの阻害によるものである。ヒトでは頭痛、めまい、吐き気、腹痛などの初期症状の後に、瞳孔収縮、筋肉収縮、流涙、流涎、腸過敏症、さらに霞み目や目の痛みが生じ、反射と括約筋調節の消失、痙攣、昏睡が起こり、主に呼吸不全の結果、死に至る (IARC 30 (1983)、ACGIH (7th, 2003))。急性中毒症状から回復したヒトの一部は約2日後に呼吸不全、重度の眼震、肢の筋肉の弱り、腱反射低下などの"intermediate syndrome"の症状が起こり、これらの症状は約3週間続くとの報告がある (ACGIH (7th, 2003))。実験動物ではラットにおいて区分1ガイダンス値相当の用量にてコリンエステラーゼ活性の低下、振戦、運動失調症が報告されている (ACGIH (7th, 2003))。以上より区分1 (神経系) とした。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (神経系、視覚器) ヒトについては、農場でパラチオンの噴霧を行う作業者の赤血球中コリンエステラーゼ活性が基準の 30〜50%であったとの報告がある (ACGIH (7th, 2003))。 実験動物では、マウスを用いた混餌による29日間反復経口投与毒性試験において、区分1相当である 100 ppm (4.8 mg/kg/day) で神経系への影響 (振戦、活動性低下)、200 ppm (9.7 mg/kg/day) で胃への影響 (びらん)、ラットを用いた混餌投与による28ヵ月間反復投与毒性試験において、区分1に相当する50 ppm (2.5 mg/kg/day) で脳中コリンエステラーゼ (ChE) 活性の抑制 (雄で対照群の22%、雌で18%)、雌で振戦、異常歩行等、網膜の変性、雄で近位坐骨神経の髄鞘の変性や脱髄等で特徴付けられる神経障害がみられ、ラットを用いた混餌による2年間反復投与毒性試験において、区分1相当である8 ppm (0.4 mg/kg/day) で赤血球中、血漿中ChE活性の抑制 (対照群の > 20%)、32 ppm (1.6 mg/kg/day) でさらに脳中ChE活性の抑制、一般状態の悪化、色素涙、振戦、斜頸 (症状は有意差なし)、網膜の構造の変性と萎縮が報告されている。このほか、ラットを用いた混餌による3ヵ月間反復投与毒性試験、マウスを用いた混餌投与による18ヵ月間反復投与毒性試験においても区分1範囲で赤血球中・脳中・血漿中コリンエステラーゼ活性の抑制が報告されている (JMPR (1995))。 胃については刺激性が原因と考えられることから標的臓器としなかった。 したがって、区分1 (神経系、視覚器) とした。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on May 2016) に収載された数値データ (粘性率: 15.30 mPa・s (25℃)、密度 (比重): 1.26 (25/4℃)) より、動粘性率は12.2 mm2/sec (25/25℃) と算出される。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | 甲殻類 (オオミジンコ) の48時間LC50=0.001mg/L (ECETOC TR91、2003) から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの (log Kow=3.83 (PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がないと推定される (BIOWIN) ことから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3018 | |||
国連品名 | ORGANOPHOSPHORUS PESTICIDE, LIQUID, TOXIC | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | 該当しない | |||
容器等級 | J | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の以下の規則に従う。 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空規制情報 | 航空法の以下の規則に従う。 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法、毒物及び劇物取締法の以下の規則に従う。 消防法 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1) 道路法 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) 毒物及び劇物取締法 特定毒物(法第2条別表第3) 特定毒物(指定令第3条) 毒物(指定令第1条) 毒物(法第2条別表第1) | |||
特別な安全上の対策 | 消防法、道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード保持の対象物。 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 152 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
下水道法 | 水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4) | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
消防法 | 第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1) | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
毒物及び劇物取締法 | 特定毒物(法第2条別表第3) 特定毒物(指定令第3条) 毒物(指定令第1条) 毒物(法第2条別表第1) | |||
水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条、排水基準を定める省令第1条) | |||
海洋汚染防止法 | 個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示) | |||
外国為替及び外国貿易管理法 | 輸出貿易管理令別表第2(輸出の承認) 輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」 輸出貿易管理令別表第1の16の項 輸出貿易管理令別表第2(輸出の承認) | |||
農薬取締法 (土壌残留、作物残留、水質汚濁) | 販売禁止農薬(法第9条の2、平成15農水省令11号) | |||
特定廃棄物輸出入規制法 (バーゼル法) | 廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの(平10三省告示1号) | |||
廃掃法 (廃棄物の処理及び清掃に関する法律) | 特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4) | |||
土壌汚染対策法 | 特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条) |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |