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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
チオりん酸O-3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル-O,O-ジメチル
作成日 2008年10月07日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称チオりん酸O-3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル-O,O-ジメチル (別名: クロルピリホスメチル) (Chlorpyrifos-methyl)
製品コードR02-B-053
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬 (殺虫剤) (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分4
生殖毒性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分2 (神経系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (神経系、副腎)
分類実施日
(環境有害性)
平成18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分1
GHSラベル要素
絵表示感嘆符健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
神経系の障害のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、副腎の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名チオりん酸O-3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル-O,O-ジメチル
別名クロルピリホスメチル
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C7H7Cl3NO3PS (322.53)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号5598-13-0
官報公示整理番号
(化審法)
情報なし
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
人工呼吸が必要なことがある。
医師の診断/手当を受ける。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱ぎ、石鹸と流水で洗浄する。
医師の診断/手当を受ける。
眼に入った場合瞼を大きく開き、流水で10分間洗い流す。
医師の診断/手当を受ける。
飲み込んだ場合気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
吐かせる(意識がある場合のみ!)。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、乾燥粉末消火薬剤、耐アルコール性泡消火薬剤、二酸化炭素
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性火災時に亜酸化窒素(一酸化窒素)、塩化水素、硫酸酸化物、酸化リン、一酸化炭素と二酸化炭素が発生する可能性がある。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護自給空気式呼吸器付化学防護服を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材粉じんが発生しないようにして回収する。
その後、エリアを換気し、漏洩場所を洗浄する。
水、排水、下水道、または地面への侵入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所で保管する。
推奨保管温度: 2〜8℃
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)第3種粉じん: その他の無機及び有機粉じん*
吸入性粉じん: 2 mg/m3
総粉じん: 8 mg/m3
* 多量の粉じんの吸入によるじん肺を予防する観点から、この値以下とすることが望ましいとされる濃度。
ACGIH (2020年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策可能であれば作業エリアを遮蔽する。
換気設備を設ける。
床排水口があってはならない。
洗浄設備を設ける。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用する。(GESTISには、側面保護付きの保護眼鏡を着用することとの記載あり)
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色
臭いかすかなメルカプタン臭
融点/凝固点45.5〜46.5℃ (HSDB (Access on May 2020))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性可燃性 (GESTIS (Access on May 2020))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率該当しない
溶解度水: 4.76 mg/L (20℃) (HSDB (Access on May 2020))
アセトン > 400 g/L、メタノール 190 g/L、ヘキサン 120 g/L (全て20℃) (HSDB (Access on May 2020))
n-オクタノール/水分配係数log Kow = 4.31 (Access on May 2020))
蒸気圧2.25E-005 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020))
密度及び/又は相対密度1.64 (23℃) (HSDB (Access on May 2020))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性情報なし
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性情報なし
避けるべき条件混触危険物質との接触
混触危険物質強酸化剤
危険有害な分解生成物火災時に亜酸化窒素 (一酸化窒素)、塩化水素、硫酸酸化物、酸化リン、一酸化炭素と二酸化炭素が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 1,500 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 1,830 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(3) ラットのLD50: 3,000 mg/kg (IPCS PIM G001 (1998))
経皮【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg (GESTIS (Access on May 2020))
(2) ラットのLD50: 3,713 mg/kg (HSDB (Access on May 2020))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1) からは区分を特定できず、分類できないとした。
なお、粉じんとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): > 0.67 mg/L (技術的に達成可能な最高濃度) (JMPR (2009)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))
(2) 本物質の蒸気圧: 0.0000225 mmHg (25℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 0.00039 mg/L)
(3) 本知見はクロルピリホスメチルの97%製剤であるReldan Fを用い、媒体は用いず、55℃にて蒸気を発生させたものである (JMPR (2009))。なお、本物質の融点は約45℃である。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギの皮膚に対して一過性軽度の刺激性を示す (JMPR (2009))、HSDB (Access on May 2020))。
(2) ウサギの皮膚に本物質 (500 mg) を4時間閉塞適用した皮膚刺激性試験においてごく軽度の紅斑が観察され、適用24時間以内に消失した (GESTIS (Access on May 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギの眼に対して一過性軽度の刺激性を示す (JMPR (2009))、HSDB (Access on May 2020))。
(2) ウサギの眼に本物質 (100 mg) を72時間ばく露した試験において、ごく軽度の結膜の炎症が観察され、適用24時間以内に消失した (GESTIS (Access on May 2020))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。陽性と陰性のデータが混在し、詳細が確認できないため分類結果を変更した。

【参考データ等】
(1) 本物質はモルモットを用いた皮膚感作性試験においてビューラー法では陰性、マキシマイゼーション法では陽性と報告されている (JMPR (2009))、HSDB (Access on May 2020))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験及びラットを用いた不定期DNA合成試験において陰性の報告がある (JMPR (2009))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ハムスターの卵巣細胞を用いた遺伝子突然変異試験において陰性の報告がある。また、ハムスターの卵巣細胞を用いた染色体異常試験では、陽性 (S9+) 及び陰性 (S9-) の報告がある (JMPR (2009))。
発がん性【分類根拠】
利用可能なヒトを対象とした報告はない。(1)、(2) より区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2018 (Access on July 2020):1999年分類) に分類されている。
(2) 雌雄のマウス及びラットに本物質をマウスでは18ヵ月間、ラットでは2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、両種において投与に関連した腫瘍発生率の増加は認められなかった (JMPR (2009))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)〜(3) より、総合的に判断して区分2とした。なお、旧分類で分類に用いた情報源は利用できず、異なる情報源を用いて検討したため旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 雌マウスの妊娠7〜13日に経口投与した発生毒性試験において、母動物毒性の記載はないが、胎児重量低値、口蓋裂の発生率の増加及び頸椎体の骨化の遅延がみられている (JMPR (1975))。
(2) 雌マウスの妊娠7あるいは10日に1,000 mg/kgを単回経口投与した発生毒性試験において、妊娠7日目の投与で、骨格異常 (外脳症、口蓋裂、頸椎椎弓の骨片の遊離) が数例観察された。なお、この試験は対照群を設定していない (JMPR (1975))。
(3) 雌ラットの妊娠6〜15日に投与 (投与経路記載なし) した発生毒性試験において、母動物に血漿及び赤血球中コリンエステラーゼ (ChE) 活性低下がみられる用量で、胎児に腰椎の増加、胎児組織ホモジネート中ChE活性低下がみられ、この用量より低い用量で胎児に胸骨の骨化遅延がみられている (JMPR (1975))。

【参考データ等】
(4) ラットを用いた混餌投与による3世代生殖毒性試験において、親動物に血漿及び赤血球ChE活性の抑制がみられる用量において、生殖影響はみられていない。なお、第3世代の児動物の体重低値 (分娩後0、4及び21日) がみられている (JMPR (1975))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
本物質は有機リン系農薬であり、本物質のデータはないが、コリンエステラーゼ活性阻害作用を有すると考えられることから、区分2 (神経系) とした。

【参考データ等】
(1) 本物質も含まれる有機リン系農薬のばく露により、ヒトではムスカリン症状 (気管支分泌の増加、過度の発汗、唾液分泌、流涙、縮瞳、気管支収縮、腹部痙攣 (嘔吐と下痢)、徐脈)、ニコチン症状 (筋肉の線維束性収縮 (fasciculation of fine muscles)、頻脈)、中枢神経系の症状 (頭痛、めまい、落ち着きのなさ、不安、精神錯乱、痙攣、昏睡、呼吸中枢の抑制) が生じる。軽度の中毒には、ムスカリン性及びニコチン性の兆候のみが含まれる場合があり、重症の場合は中枢神経系の関与も示す。症状の組み合わせにより、呼吸不全になり、時には肺水腫を引き起こす (EHC 63 (1986))。
(2) 本物質も含まれる有機リン系農薬は、吸入、摂取、皮膚吸収を含むすべての経路で吸収され、その毒物学的影響は、神経系のアセチルコリンエステラーゼ阻害によるものであり、呼吸器、心筋、神経筋の伝達障害を引き起こす (IPCS PIM G001 (1998))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(2) より、ヒトへの経皮適用で血漿コリンエステラーゼ (ChE) 活性阻害がみられ、(3)〜(6) より実験動物への経口投与により区分1の範囲で神経系、副腎への影響が、(7) より実験動物への経皮適用により区分1の範囲で神経系、区分2の範囲で副腎への影響がみられていることから、区分1 (神経系、副腎) とした。なお、(5) では、区分2の範囲で腎臓、筋肉、血液系への影響もみられているが、摂餌量減少及び体重減少に伴う所見であると考えられ、より長期の (6) の試験でこれらの臓器への影響はみられていないことから、標的臓器としなかった。新たな情報源の情報に基づき検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質は有機リン系農薬である。有機リン系農薬の毒性メカニズムの主な特徴はエステラーゼ酵素活性、特にChEの阻害である (HSDB (Access on 2020))。
(2) 本物質10、25、50 mg/kg/dayをボランティア3名の背中及び腹部の皮膚に経皮適用し、血漿及び赤血球ChE活性を測定した結果、臨床症状はみられず、血漿ChE活性は10 mg/kg/day群で10日目からわずかに低下した。影響は12日で最大となり、25日までに回復した。25 mg/kg/day群では血漿ChE活性は4日目に47.5%減少し、28日目までに回復した (JMPR (2009))。
(3) ラットに本物質を13週間混餌投与した結果、1 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で血漿ChE活性の低下、10 mg/kg/day以上 (区分1の範囲) で赤血球及び脳ChE活性の低下、副腎の両側性びまん性肥大、副腎皮質束状帯の空胞化がみられた (JMPR (2009)。
(4) ラットに本物質を2年間混餌投与した結果、1 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上の雌雄で血漿ChE活性の低下が、50 mg/kg/day (区分2の範囲) の雌雄で赤血球及び脳ChE活性の低下、副腎皮質束状帯の空胞化、雄で精巣重量の増加、ライディッヒ細胞過形成がみられた (JMPR (2009))。
(5) イヌに本物質を13週間混餌投与した結果、0.1 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で血漿及び赤血球ChE活性の低下、50 mg/kg/day (区分2の範囲) の雌雄で摂餌量減少、体重減少、赤血球数・赤血球容積・ヘモグロビン濃度の減少、肝臓、腎臓重量の増加、ALP、AST、CKの増加、脳ChE活性の低下、びまん性の小葉中心性肝細胞肥大、雌で筋消耗、腸間膜脂肪の減少、骨格筋の萎縮、腎近位尿細管の空胞化がみられた (JMPR (2009))。
(6) イヌに本物質を104週間混餌投与した結果、0.1 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上で血漿ChE活性の低下、1 mg/kg/day以上 (区分1の範囲) で赤血球ChE活性の低下、3 mg/kg/day (区分1の範囲) で神経学的検査 (感覚および分節反射に対する反応) の異常がみられた。血液・血液生化学・尿検査パラメータについては投与に関連する影響はみられなかった (JMPR (2009))。
(7) ラットに本物質を28日間経皮適用した結果、全身影響として、10 mg/kg/day (90日換算: 3.1 mg/kg/day (区分1の範囲)) 以上の雌雄で血漿、赤血球、心臓のChE活性阻害、雌で脳ChE活性阻害、100 mg/kg/day以上 (90日換算: 31 mg/kg/day (区分2の範囲)) の雄で脳ChE活性阻害、副腎重量増加、副腎皮質の空胞化、300 mg/kg/day (区分2超) の雌で副腎重量増加、副腎皮質の空胞化がみられた (JMPR (2009))。

誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)甲殻類 (オオミジンコ) の48時間EC50 = 0.62 μg/L (農薬登録申請資料 (1992)) から、区分1とした。
水生環境有害性 (長期間)急性毒性が区分1、急速分解性がないと推定され (BIOWIN)、生物蓄積性があると推定される (log Kow = 4.31 (PHYSPROP Database (2005))) ことから、区分1とした。
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3077
国連品名ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S.
国連危険有害性クラス9
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質-
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報-
特別な安全上の対策-
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法-
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第2種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2)【59 チオりん酸O−3,5,6−トリクロロ−2−ピリジル−O,O−ジメチル】
毒物及び劇物取締法-
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用