1.化学品等及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | m-フェニレンジアミン二塩酸塩 (m-Phenylenediamine dihydrochloride) | ||
製品コード | R01-A-015 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 検出 (亜硝酸)、試薬 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | ||
皮膚感作性 | 区分1A | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (中枢神経系、血液系) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (膀胱) 区分2 (腎臓、血液系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | R1年度、分類実施中 | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 強い眼刺激 中枢神経系、血液系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による膀胱の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による腎臓、血液系の障害のおそれ | ||
注意書き | |||
安全対策 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注)”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 | ||
保管 | 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | m-フェニレンジアミン二塩酸塩 | ||
別名 | 1,3-フェニレンジアミン=二塩酸塩 | ||
塩酸-m-フェニレンジアミン | |||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C6H10Cl2N2 (181.063) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 541-69-5 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 情報なし | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 情報なし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐこと。直ちに医師に連絡すること。吐かせる (意識がある場合のみ)。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入: めまい、頭痛、息苦しさ、紫色 (チアノーゼ) の唇・爪及び皮膚、錯乱、 痙攣、吐き気、意識喪失 眼: 充血 経口摂取: 「吸入」参照 | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。 喘息の症状は、2〜3時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。 この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である。 |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 水噴霧、泡消火薬剤、粉末消火薬剤、二酸化炭素 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 可燃性。火災時に、刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。 空気中で粒子が細かく拡散して、爆発性の混合気体を生じる。 | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の保護 | 自給式呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 個人用保護具: 自給式呼吸器付化学保護衣 こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。 残留分を、注意深く集める。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 裸火禁止。 粉じんの堆積を防ぐ。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 この物質により、喘息の症状を示した者は、以後この物質に接触しないこと。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 施錠して保管すること (毒劇物)。 食品や飼料から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
---|---|---|---|
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | |||
管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会 (2019年度版) | 0.1 mg/m3 (m-フェニレンジアミンとして) | ||
ACGIH (2019年版) | TLV-TWA: 0.1 mg/m3 (Phenylenediamine, m-isomer) | ||
設備対策 | 密閉系、粉じん防爆型電気設備及び照明を用いる。 局所排気を用いる。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 呼吸用保護具と併用して、安全ゴーグル、顔面シールド又は眼用保護具を着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色またはわずかに赤色 (HSDB (Access on August 2019)) | ||
臭い | 無臭 (GESTIS (Access on August 2019)) | ||
融点/凝固点 | 62℃ (GESTIS (Access on August 2019)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 284〜287℃ (GESTIS (Access on August 2019)) | ||
可燃性 | 可燃性 (GESTIS (Access on July 2019)) | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 該当しない | ||
引火点 | 該当しない | ||
自然発火点 | 該当しない | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | 該当しない | ||
溶解度 | 水に易溶 (HSDB (Access on August 2019)) アルコールに可溶 (HSDB (Access on August 2019)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | logP = -2.61 (EST) (PHYSPROP Database (2019)) | ||
蒸気圧 | データなし | ||
密度及び/又は相対密度 | データなし | ||
相対ガス密度 | 該当しない | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 燃焼すると分解し、有毒な窒素酸化物のヒュームを生じる。 粉末や顆粒状で空気と混合すると、粉じん爆発の可能性がある。 | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 有毒な窒素酸化物のヒューム |
11.有害性情報 | ||||
---|---|---|---|---|
急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 400〜800 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2008)) (2) ラットの死亡率: 雄: 800 mg/kgで10/10 例、471 mg/kgで9/10 例、277 mg/kgで1/10 例、雌: 800 mg/kgと471 mg/kgで10/10 例、277 mg/kgで5/10 例、163 mg/kgで1/10 例 (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、ガイダンスでは分類対象外に相当し、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1) より本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミン (CAS 108-45-2) がガイダンスの区分外 (国連分類基準の区分3) に相当するものと判断され、本物質も区分に該当しない (国連分類基準の区分3) とした。 【根拠データ】 (1) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンのウサギを用いた皮膚刺激性試験 (EEC Directive 93/21、Annex VIに準拠) で試験物質を除去1時間後から24時間後の全例にわずかな〜軽度の紅斑、48時間には2/6例にわずかな紅斑が認められ、浮腫は24時間後の4例にわずかな浮腫が認められたのみであり、24、48、72時間後の平均スコアは1.39であった (REACH登録情報 (Access on June 2019))。 【参考データ等】 (2) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミン500 mgをウサギの耳介に24 時間閉塞適用した試験で刺激なし (NITE初期リスク評価書 (2008)) (3) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンは眼、皮膚を刺激する (環境省リスク評価第13巻 (2015))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1) より本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンが区分2Bに区分されていることから、本物質も区分2Bとした。 【根拠データ】 (1) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンのOECD TG405に準拠したウサギ眼刺激性試験で重度の結膜発赤、中程度の角膜混濁、中程度の虹彩炎、出血、結膜浮腫、および角膜の損傷を生じた。 さらに、非洗浄ウサギの眼に重度の浮腫が観察されたが、いずれも7日までに回復。非洗浄群の24/48/72hの角膜混濁、虹彩、結膜発赤、結膜浮腫の平均スコアは0.67、0、2.7、2.0であった (REACH登録情報 (Accessed on June 2019))。 【参考データ等】 (2) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンの20%水溶液0.1 mL (20 mg 相当) をウサギに点眼した試験で結膜の発赤と角膜の混濁が認められ、7 日以内に回復との報告や50 mg を適用した試験では角膜の混濁を示し、7日以内には回復しなかったとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008))。 (3) EU-CLP分類でEye Irrit. 2 (H319) に分類されている (EU CLP分類 (Access on July 2019))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 (1) のデータはあるが、呼吸器感作性を確定できないため、分類できないとした。 【参考データ等】 (1) 米国での本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミン漏出事故で、繰り返し本物質にばく露された作業者で、吸入ばく露により皮膚症状に加えて、湿咳、疲労、息切れを呈し、肺活量低下、胸部X線所見、開胸による生検で肺線維症を認め、強皮症と診断された。同部門の他の作業者にも同様の症例がみられたことから、本物質が原因物質と考えられた (環境省リスク評価第13巻 (2015))。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンが区分1Aに区分されてことから、本物質も区分1Aとした。 【根拠データ】 (1) OECD TG 429に準拠した本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンのマウス局所リンパ節試験 (LLNA) において陽性を示し、EC3は0.49と推定されている (REACH登録情報 (Accessed on June 2019))。 (2) 本物質の遊離体であるm-フェニレンジアミンは産衛学会 感作性分類 皮膚3群に分類されている (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2010))。 【参考データ】 (3) EU-CLP分類でSkin Sens. 1 (H317) に分類されている (EU CLP分類 (Access on May 2019))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 本物質のin vivoデータはないが、本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミンの知見・分類をふまえ、ガイダンスにおける分類できないに相当し、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、マウスリンフォーマ試験で陰性の報告がある (安衛法 (変異原性試験結果) (Access on September 2019)、HSDB (Access on July 2019))。 (2) 本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) は、区分に該当しない (2019年度GHS分類結果)。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1) の本物質の遊離塩基の既存分類結果及び (2) の実験動物の結果より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、本物質の遊離塩基 (CAS番号 108-45-2) がIARCでグループ3 (IARC Suppl.7 (1987)) に分類されている。 (2) ラット及びマウスに本物質を104週間飲水投与した発がん性試験において、雌雄とも発がん性は示されなかった (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) についても、データ不足のため分類できないとされている。なお、m-フェニレンジアミンの2019年度分類結果を参照のこと。 【参考データ等】 (1) 雌ラットの妊娠6〜15日にm-フェニレンジアミンを経口投与した発生毒性試験において、母動物の体重増加抑制あるいは死亡(6/25例)がみられた用量で、吸収胚の増加、生存胎児数の減少、胎児の低体重、胸骨の骨化遅延が認められた (環境省リスク評価第13巻 (2015)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.6 (1994))。このデータは母動物毒性 (6/25例死亡、死亡率25%) がみられる用量でのみ胚/胎児に影響がみられていることから分類根拠としない。 (2) 雌ラットの妊娠6〜15日にm-フェニレンジアミンを経口投与した発生毒性試験において、母動物の体重増加抑制が認められたが、胎児の発生に影響はみられていない(環境省リスク評価第13巻 (2015)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.6 (1994))。このデータは母動物数が7〜9匹/群と少ないことから影響を判断できない。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 本物質のヒトでの単回ばく露に関する報告はない。本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) は、(1)、(2) のように、実験動物で区分1相当の用量で、中枢神経系と血液系への影響がみられている。(3) で、本物質の毒性影響はm-フェニレンジアミンと本質的に相違はないとされていることから、区分1 (中枢神経系、血液系) とした。(4) の報告は、死亡動物での所見であるため根拠としなかった。 【根拠データ】 (1) ネコの単回経口投与試験において、m-フェニレンジアミン10及び25 mg/kg (本物質換算値: 16.7及び41.9 mg/kg、区分1相当) で、チアノーゼ、食欲不振、呼吸障害、鎮静、痙攣、メトヘモグロビンの生成がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、BUA 97 (1992))。 (2) ラットの単回経口投与試験において、m-フェニレンジアミン200 mg/kg (本物質換算値: 335 mg/kg、区分2相当) で、痙攣と消化管の炎症がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、BUA 97 (1992))。 (3) 本物質の毒性影響はm-フェニレンジアミンと本質的に相違はないとの記載がある (GESTIS (Access on July 2019))。 【参考データ等】 (4) ラットに本物質96〜800 mg/kgを単回経口投与した試験において、死亡例 (277 mg/kg以上、区分2相当) に肺のうっ血と浮腫、腎臓の近位尿細管壊死と蚤白円柱、小腸の壊死、鼻腔上皮の変性が認められた。 (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019))。 | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1) より、ヒトへのばく露により膀胱への影響がみられ、(2)〜(4) より、ラット、マウスへの本物質又は本物質の遊離塩基であるm-フェニレンジアミン (CAS番号 108-45-2) の経口投与により区分2の範囲で腎臓、血液系への影響みられていることから、区分1 (膀胱)、区分2 (腎臓、血液系) とした。分子量換算によりm-フェニレンジアミンと分類結果が異なる結果となった。 【根拠データ】 (1) ロシアのフェニレンジアミン製造工場で30〜50歳代の労働者112人が、本物質1〜2 mg/m3に5〜10年間ばく露され、うち15人が排尿障害を訴えた。本物質を用いたスクラッチテストで、112人中9人がアレルギー陽性反応を示し、陽性反応を示した人の膀胱内視鏡検査で膀胱三角部及び頸部に粘膜の水腫、ポリープ性腫脹が観察され、9人とも好酸球尿症と診断された。また、本物質が尿中に0.003〜0.40 mg/L検出された (DFGOT vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。 (2) ラットに本物質 62.5〜1,000 ppmを13週間飲水投与した結果、250 ppm (23 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌で腎臓重量増加、腎臓における色素沈着が、500 ppm (雄: 30 mg/kg/day、雌: 32 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄で腎乳頭部の軽度の変性等、1000 ppm (雄: 54 mg/kg/day、雌: 57 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で血小板数の減少等がみられた (厚生労働省委託がん原性試験結果 (Access on July 2019))。 | |||
(3) マウスに本物質 24.4〜2,000 ppmを13週間飲水投与した結果、222 ppm (雄: 29 mg/kg/day、雌: 52 mg/kg/day、区分2の範囲) でAST、ALP、総コレステロールの増加、肝臓におけるクッパー細胞及び脾臓の色素顆粒、667 ppm (雄: 49 mg/kg/day、雌: 67 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの減少等が、2,000 ppm (雄: 108 mg/kg/day、雌: 132 mg/kg/day、区分2超) で死亡がみられ、死亡又は瀕死例で心臓の拡張、筋肉の壊死等がみられた (同上)。 (4) ラットにm-フェニレンジアミンを90日間経口投与した結果、18 mg/kg/day (本物質換算: 30 mg/kg/day、区分2の範囲) で肝臓重量増加、肝細胞の核濃縮、腎臓重量増加がみられた (IRIS (1987)、DFGOT vol.6 (1994)、ACGIH (7th, 2001)、NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。 【参考データ等】 (5) m-フェニレンジアミンを主成分とするアミン類にばく露された化学工場労働者男性2人が全身性硬化症を患ったという報告がある (NITE初期リスク評価書 (2008)、環境省リスク評価第13巻 (2015))。 (6) マウスにm-フェニレンジアミン0.02、0.04% (区分2の範囲) を78週間飲水投与した結果、臓器重量増加、色素沈着等がみられたが、組織への毒性学的な影響はみられなかった (同上)。 | ||||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | - | ||
水生環境有害性 (長期間) | - | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 2811 | |||
国連品名 | TOXIC SOLID, ORGANIC, N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | III | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 毒物及び劇物取締法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 154 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 該当しない | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 該当しない | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【84 フエニレンジアミン及びその塩類】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【3 フエニレンジアミン及びその塩類】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】2811 その他の毒物(固体)(有機物)】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】2811 その他の毒物(固体)(有機物)】 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |