1.化学品及び会社情報 | |||
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化学品の名称 | 安息香酸ナトリウム | ||
化学品の英語名称 | Benzoic acid, sodium salt | ||
製品コード | R04-A-045-JNIOSH | ||
供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 |
2.危険有害性の要約 | |||
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GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 | ||
物理化学的危険性 | - | ||
健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | |
分類実施日 (環境有害性) | - | ||
環境に対する有害性 | - | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 警告 | ||
危険有害性情報 | 強い眼刺激 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 取扱い後は手をよく洗うこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
保管 | 情報なし | ||
廃棄 | 情報なし | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
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化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
化学名又は一般名 | 安息香酸ナトリウム | ||
慣用名又は別名 | ナトリウム=ベンゾアート | ||
英語名 | Benzoic acid, sodium salt Sodium benzoate | ||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C7H5NaO2 (144.11) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 532-32-1 | ||
官報公示整理番号(化審法) | 3-1272、3-1293 | ||
官報公示整理番号(安衛法) | 情報なし | ||
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | 情報なし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。できるだけ早く、グルココルチコイド吸入用スプレーで繰り返し深呼吸させる。呼吸が止まっている場合は人工呼吸を行う。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水と石鹸で十分に洗浄する。刺激が現れた場合、又は広範囲の接触の場合は医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
眼に入った場合 | 流水で10分間洗浄する。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続けること。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、GHS分類結果参照。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。コップ一杯の水(約200mL) を飲ませる。医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS参照。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入:粘膜からの灼熱感、刺激性の咳の可能性。 眼:一般的な軽い刺激(灼熱感、充血)。 皮膚:一般に刺激性はなく、吸収毒性は考えにくい。過敏な人には明瞭な局所反応と蕁麻疹状の皮膚反応の可能性。 経口摂取:5g以上の摂取で吐き気、胃の灼熱感、嘔吐。約30gから吸収作用の可能性。 吸収:中枢神経系障害(動物実験データ)。 以上、GESTIS参照。 | ||
応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素 以上、GESTIS参照。 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 以上、GESTIS参照。 | ||
火災時の特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
特有の消火方法 | 可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。着火源となるものを遮断する。大量の粉じんが突然放出され、舞い上がった場合は、直ちに避難すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護具を着用すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
環境に対する注意事項 | 水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。 以上、GESTIS参照。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 粉じんが発生しないように回収する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
二次災害の防止策 | 情報なし |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱注意事項 | 容器を開けたままにしない。こぼれないようにする。粉じんの発生を避ける。 以上、GESTIS参照。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | 眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。 以上、GESTIS参照。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 容器を密閉して室温の乾燥した場所に保管すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
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許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度等 | ||||
日本産衛学会(2022年版) | 未設定 | |||
ACGIH(2022年版) | TLV-TWA: 2.5 mg/m3(吸入可能な粒子状物質、安息香酸塩として測定)(Skin; A5) | |||
設備対策 | 作業場所には換気設備を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設けること。 以上、GESTIS参照。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。 作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。 防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。 -酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。 -防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。 以上、GESTIS参照。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。ニトリルゴムが適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
眼の保護具 | サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | エプロンや白衣を着用する。 以上、GESTIS参照。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
物理状態 | 固体(GHS判定) | ||
色 | 白 | ||
臭い | ほぼ無臭、不快で甘塩っぱい渋みのある味 | ||
融点/凝固点 | 436 ℃(GESTIS(2022)) >300 ℃(Howard(1997)) 330.6 ℃(OECD-SDS(2001)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 464.9 ℃(OECD-SIDS(2001)) | ||
可燃性 | データなし | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | 30 g/m3(GESTIS(2022)) | ||
引火点 | >100 ℃(ICSC(2021)) >100 ℃(HSDB in PubChem(2022)) | ||
自然発火点 | >500 ℃(ICSC(2021), HSDB in PubChem(2022)) | ||
分解温度 | 450〜475 ℃(GESTIS(2022)) > / <450〜475 ℃(HSDB in PubChem(2022)) | ||
pH | ca.8(20℃)(GESTIS(2022)) ≒8(Merck(2013)) ≒8(HSDB in PubChem(2022)) | ||
動粘性率 | データなし | ||
溶解度 | 水: ca.556 g/L(20℃)(GESTIS(2022), OECD-SIDS(2001)) 水: 63 g/100mL(ICSC(2021)) アルコール: ≒75 mL(アルコール)(HSDB in PubChem(2022)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log P: -2.27(Howard(1997)) log P: -2.269(OECD-SIDS(2001)) log Kow: -2.27(HSDB in PubChem(2022)) | ||
蒸気圧 | 0.00000000367 mmHg(Howard(1997)) <0.001 hPa(20℃)(OECD-SIDS(2001)) 2.9 x 10-12 mmHg(25℃)(HSDB in PubChem(2022)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.5 g/cm3 (20℃)(GESTIS(2022), HSDB in PubChem(2022)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | データなし |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 「危険有害反応可能性」を参照。 | ||
化学的安定性 | 通常の取り扱いでは安定である。 | ||
危険有害反応可能性 | 分解するために加熱すると、Na2Oの有毒な煙を発する | ||
避けるべき条件 | 裸火、火花、静電気などの着火源。(GESTIS) | ||
混触危険物質 | 強酸化剤及び強酸 | ||
危険有害な分解生成物 | 一酸化炭素、二酸化炭素。 |
11.有害性情報 | ||||
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急性毒性 | ||||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(5)より、区分に該当しない(国連分類基準の区分5)。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,100 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (2)ラットのLD50:3,140 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (3)ラットのLD50:3,450 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (4)ラットのLD50:4,070 mg/kg(OECD SIAR (2001)、ACGIH (2021)、SCCP (2005)) (5)ラット(雄)のLD50:> 5,000 mg/kg (REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023)) | |||
経皮 | 【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)安息香酸(CAS番号:65-85-0)におけるウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(ACGIH (2021)) | |||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)安息香酸(CAS番号:65-85-0)におけるラットのLC50(6時間、ダスト):> 1.8 mg/L(ACGIH (2021)) (2)安息香酸(CAS番号:65-85-0)におけるラットのLC50(4時間、ダスト):> 12.2 mg/L(ACGIH (2021)) | |||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)、(2)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、1例で適用1時間後に軽微な紅斑がみられたが、24時間以内には回復した(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (2)ウサギを用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP)において、非刺激性であったとの報告がある(SIAR (2001))。 | |||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)より、区分2Aとした。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、14日観察)において、みられた結膜影響は14日以内に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:2.7/2.7/2、結膜浮腫スコア:0.7/0.7/0.7)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 【参考データ等】 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP)において、Draizスコアは9.3であり、軽微な刺激性がみられたとの報告がある(SIAR (2001))。 | |||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 【参考データ等】 (1)2045名の皮膚科患者に対して、パッチテスト(5%溶液)を実施したところ、5名で陽性反応がみられたとの報告がある(SIAR (2001))。 | |||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)〜(3)より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1)In vivoでは、ラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(単回又は5日間連続強制経口投与、最大5,000 mg/kg)、ラットを用いた優性致死試験(単回又は5日間連続強制経口投与、最大5,000 mg/kg)、及びマウスの複数臓器(肝臓、腎臓、肺など)を標的としたコメット試験(単回強制経口投与、1,000 mg/kg)で、いずれも陰性であった(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001) 、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験では代謝活性化の有無に関わらず陰性であったが、チャイニーズハムスター肺由来細胞を用いた染色体異常試験、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験及び小核試験では陽性であった。一方、ヒト胎児性肺由来細胞株を用いた染色体異常試験(分裂後期)では、陰性の報告がある(食安委 評価書 (2021)、SCCP (2005)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2022)、EFSA (2016)、SCCP (2005))。 (3)ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験、小核試験及びコメット試験では陽性を示したが、これらの試験は処理時間がテストガイドラインの基準を満たさない等、方法論的に問題があり、EFSA はそれらの試験はいずれもリスク評価には適切なものではないとし、食品安全委員会も同様の判断をしている(食安委 評価書 (2021))。 【参考データ等】 (4)In vitroの染色体及び染色分体試験では、陽性反応が多く示されたが、これらの影響は in vivoでは確認されなかった。したがって、安息香酸とそのナトリウム塩(本物質)について変異原性、染色体異常誘発性の懸念は低いとされた(ACGIH (2021))。 | |||
発がん性 | 【分類根拠】 (1)〜(5)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)マウス(n= 50匹/性/群)を用いた生涯飲水投与試験では、2%(雄/雌:5,960/6,200 mg/kg/day)で生存率、腫瘍発生頻度ともに影響はみられなかった。本試験では主要臓器と肉眼的異常のみられる臓器についてのみ病理組織学的検査が実施され、現行ガイドラインの基準を満たす試験ではなく、評価に利用するには制限がある(ACGIH (2021)、食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001))。 (2)ラット(n= 50匹/群(雌)、52匹/群(雌))を用いた2年間混餌投与試験では、1及び2%(500及び1,000 mg/kg/day相当)の用量で試験された。本試験は感染症(主にマイコプラズマ)と中間と殺のため最長期間ばく露した動物数が減少し、評価の利用には制限があるが、全身症状、死亡率、体重、又は腫瘍発生頻度に投与による影響はみられなかった(ACGIH (2021)、食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001))。 (3)安息香酸(CAS番号 65-85-0)とその塩に関する利用可能な発がん性試験は現行のガイドラインに準拠したものではなく、試験デザインも報告の記述も不十分であるが、評価した試験結果からは発がん性の性質は示されなかった(EFSA (2016))。 (4)本物質(安息香酸ナトリウム)と安息香酸について、(1)、(2)を含めげっ歯類を用いた経口及び経皮ばく露による慢性毒性と発がん性が6試験で検討され、これら試験には制限があるものの、重大な毒性や発がん性影響の証拠は示されなかった。両物質について、実験動物で発がん性がないことはin vivo遺伝毒性がないことからも支持される(ACGIH (2021))。 (5)国内外の評価機関による既存分類では、安息香酸及びそのナトリウム塩(本物質)とカリウム塩についてACGIHでA5に (ACGIH (2021))、安息香酸についてEPAでグループD(発がん性物質には分類されない)に分類されている(IRIS (1998)、EPA (2005))。 | |||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1)〜(7)に示された本物質の発生毒性データと(8)、(9)の遊離酸(安息香酸)の繁殖能に関するデータから、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(1.75〜175 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (2)マウスを用いた強制経口投与による発生毒性試験(1.75〜175 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (3)ハムスターを用いた強制経口投与による発生毒性試験(3〜300 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(2.5〜250 mg/kg/day)において、最高用量まで、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (5)ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(700〜1,875 mg/kg/day)において、母動物に強い一般毒性影響(死亡、痙攣、自発運動減少、体重増加抑制、摂餌量減少)がみられる高用量2群(965 及び1,875 mg/kg/day)で、出生率低下とともに顕著な発生毒性(死亡胎児数・吸収胚数の増加、外表及び内臓奇形の発生増加)がみられたが、試験者らは母動物毒性による二次的影響(飼料摂取量の著しい減少に伴う低栄養)と判断し、EFSA もこの判断に同意している。中用量以下の2用量群(700及び1,310 mg/kg/day)では、母動物、胎児ともに異常はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、ACGIH (2021)、EFSA (2016)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (6)ラットを用いた混餌投与による発生毒性試験(90、450 mg/kg/day相当)において、母動物毒性(摂餌量減少、肝酵素レベルの増加)がみられる高用量(450 mg/kg/day)まで児動物には用量相関のない低体重がみられたとの報告がある(ACGIH (2021))。 (7)ラットを用いた混餌投与による発達神経毒性試験(50〜500 mg/kg/day相当)において、最高用量まで、母動物、児動物に有害影響はみられなかったとの報告がある(ACGIH (2021))。 (8)安息香酸(CAS番号 65-85-0)について、ラットを用いた混餌投与による4世代生殖毒性試験(250、500 m/kg/day)において、最高用量まで、各世代の親動物、児動物に生殖発生毒性、一般毒性影響ともにみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (9)安息香酸(CAS番号 65-85-0)について、ラットを用いた混餌投与による拡張一世代試験(500〜1,000 mg/kg/day)において、最高用量まで、F0、F1親動物の一般毒性及び生殖毒性影響、F1児動物の発生影響はみられず、サブコホートにおけるF1の生殖影響及びF2の発達神経毒性及び発達免疫毒性影響も検出されなかったとの報告がある(ACGIH (2021))。 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、ヒトにおける経口経路での知見において消化管への影響がみられたが刺激と考えられるほか、(3)より、動物知見において区分に該当しない範囲で重大な影響がみられなかったことから、経口経路では区分に該当しない。(4)より、その他の経路では、症状について詳細な情報は得られていないものの、毒性が低いと考えられることから区分に該当しないと判断した。以上より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)安息香酸又は安息香酸ナトリウム投与により、中毒症状がみられた事例としては、12 g/人/日で5日間投与された事例の30%で胃の灼熱感及び食欲不振を生じた事例及び遺伝性尿素サイクル異常症への治療のため250 mg/kg/dayの用量での強制胃内投与後に嘔吐がみられた事例の報告がある。一方、10 gの安息香酸の単回投与でも異常はみられなかった事例もある(食安委 評価書 (2021)、WHO CICAD 26 (2000))。 (2)安息香酸1〜1.5 g、安息香酸ナトリウム2〜33 gの単回経口摂取後に、胃の不調、悪心、嘔吐、頭痛、脱力感、食道の灼熱感及び刺激、蒼白又は弱弱しさ、不規則な脈拍の症例報告がある(ACGIH (2021))。 (3)ラットを用いた単回経口投与試験において、5,000 mg/kg(区分に該当しない範囲)で重大な影響はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2023))。 (4)安息香酸(CAS番号:65-85-0)のウサギを用いた単回経皮投与試験において、LD50は> 2,000 mg/kgとされ、ラットを用いた単回吸入ばく露試験(4時間、ダスト)において、LC50は> 12.2 mg/Lとの報告がある。(ACGIH (2021)) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)、(2)より、経口経路及び経皮経路では区分に該当しない。ただし、(3)より、吸入経路については安息香酸(CAS番号:65-85-0)のデータを用いることはできないと判断し、データ不足のため分類できないとした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた90日間混餌投与試験において、最高用量の80,000 ppm(7,200 mg/kg/day相当)で死亡(4/8例)、体重増加抑制、肝臓及び腎臓相対重量の高値がみられたが、40,000 ppm(3,600 mg/kg/day、区分に該当しない範囲) 以下の用量では毒性変化はみられなかったとの報告がある(食安委 評価書 (2021)、EFSA (2016)、SCCP (2005)、SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (2)安息香酸(CAS番号:65-85-0)のウサギを用いた3週間経皮投与試験(GLP:6時間/日、5日/週)において、2,500 mg/kg/day(90日換算:417 mg/kg/day、区分2の範囲)で、雌1/4例に極めて軽度の皮膚刺激がみられたが、全身性の有害影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2001)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (3)本物質(安息香酸ナトリウム)の吸入毒性試験は実施されていない。しかし、本物質は安息香酸と異なり、眼刺激性試験で軽度な刺激性影響しか生じなかった(安息香酸の重篤な眼損傷性分類:区分1(日本政府分類)、Eye Dam. 1(EU CLP))。すなわち、被験物質との接触部位(呼吸器)の刺激性影響は、安息香酸では、その吸入ばく露試験結果から2.5 mg/m3以上の濃度で生じると推定される(安息香酸のTLV-TWA値の根拠)が、その影響は安息香酸ナトリウム又はカリウム塩の吸入ばく露影響の推測には適用できず、安息香酸ナトリウム(カリウム)のTLV-TWAは、(3)の最初の試験でみられた腎臓影響(雌の重量増加)に基づき、25 mg/m3とされた(ACGIH (2021))。 【参考データ等】 (4)安息香酸(CAS番号 65-85-0)のラットを用いた4週間吸入ばく露試験(OECD TG412、GLP、ダスト、6時間/日、5日/週)において、25 mg/m3(90日換算:0.0056 mg/L/、区分1の範囲)以上で肺の間質性細胞浸潤・線維化、250 mg/m3(90日換算:0.056 mg/L、区分2の範囲)以上で上気道の刺激(赤色鼻汁分泌)及び腎臓重量の増加(雌のみ)、1,200 mg/m3(90日換算:0.27 mg/L、区分2の範囲)で全身影響(死亡、体重増加抑制、肝臓・腎臓・肺重量減少)がみられたとの報告がある(ACGIH (2021)、SIAR (2001))。 (5)安息香酸(CAS番号 65-85-0)のラットを用いた4週間吸入ばく露試験(OECD TG412、GLP、ダスト、6時間/日、5日/週)において、12.6 mg/m3(90日換算:0.0028 mg/L/)で喉頭、咽頭の単核細胞浸潤、肺の単核細胞・好酸球浸潤がみられたが、2.5 mg/m3で無影響であったとの報告がある(ACGIH (2021))。 | |||
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性 短期(急性) | - | ||
水生環境有害性 長期(慢性) | - | ||
残留性・分解性 | 化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
生態蓄積性 | 情報なし | ||
土壌中の移動性 | 情報なし | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | - | |||
品名(国連輸送名) | - | |||
国連分類 | - | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | - | |||
海洋汚染物質 | 該当しない | |||
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 利用可能な情報なし(タンカー等でバルク輸送する場合は該当) | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 該当しない | |||
航空規制情報 | 該当しない | |||
陸上規制情報 | 該当しない | |||
特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 該当しない | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 該当しない | |||
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) | 該当しない | |||
毒物及び劇物取締法 | 該当しない | |||
海洋汚染防止法 | 有害液体物質(Z類物質)(施行令別表第1)【安息香酸ナトリウム】 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 |