職場のあんぜんサイト

安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
オメガ-クロロアセトフェノン
作成日 2002年12月13日
改訂日 2006年04月15日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称オメガ-クロロアセトフェノン (omega-Chloroacetophenone)
製品コードR02-B-070
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬・医薬中間体 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分3
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
皮膚感作性区分1
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (呼吸器)
区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (呼吸器)
分類実施日
(環境有害性)
平成18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
環境に対する有害性-
絵表示どくろ腐食性健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
皮膚刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
重篤な眼の損傷
眠気又はめまいのおそれ
呼吸器の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害
注意書き
 安全対策容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名オメガ-クロロアセトフェノン
別名2-クロロアセトフェノン
フェナシルクロリド
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C8H7ClO (154.6)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号532-27-4
官報公示整理番号
(化審法)
3-1236
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
半座位。
人口呼吸が必要なことがある。
医療機関に連絡する。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。
多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
飲み込んだ場合直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
コップ1、2杯の水を飲ませる。
水に活性炭を懸濁した液を飲ませる。
安静。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 灼熱感、咳、咽頭痛、吐き気、息切れ。
皮膚: 発赤、痛み。
眼: 充血、痛み、かすみ眼、部分的視力喪失。
経口摂取: 灼熱感。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項肺水腫の症状は 2〜3 時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性可燃性。
火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
特有の消火方法水を噴霧して容器類を冷却する。
消火を行う者の保護情報なし

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり)
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材こぼれた物質を、ふた付きの 密閉式、プラスチック容器内に掃き入れる。
湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。
残留分を、注意深く集める。
地域規則に従って保管処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項裸火禁止。
容器を密閉しておくこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
許容濃度を超えても、臭気として十分に感じないので注意すること。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
食品や飼料から離しておく。
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)未設定
ACGIH (2020年版)TLV-TWA: 0.05 ppm, 0.32 mg/m3
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり)
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用する。(ICSCには、呼吸用保護具と併用して、保護眼鏡を着用することとの記載あり)
皮膚及び身体の保護具必要に応じて、保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色〜灰色
臭い鋭い刺激臭
融点/凝固点54〜59℃ (ICSC (2002))
沸点、初留点及び沸騰範囲244〜245℃ (ICSC (2002))
可燃性可燃性 (ICSC (2002))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度248℃ (HSDB (Access on May 2020))
pHデータなし
動粘性率該当しない
溶解度水: 1.64 g/100 mL (25℃) (ICSC (2002))
エタノール、酢酸エチル、ベンゼンに易溶、アセトンに可溶 (HSDB (Access on May 2020))
n-オクタノール/水分配係数log Pow = 2.08 (ICSC (2002))
蒸気圧0.7 Pa (20℃) (ICSC (2002))
密度及び/又は相対密度1.3 g/cm3 (ICSC (2002))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性燃焼すると、分解する。
塩化水素を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。
避けるべき条件加熱、混触危険物質との接触
混触危険物質水、蒸気、強酸化剤
危険有害な分解生成物塩化水素を含む、有毒で腐食性のフューム

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3とした。
なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 71〜258 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))
(2) ラットのLD50: 127 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、NTP TR379 (1990)、HSDB (Access on May 2020))
経皮【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
LC50値の情報はないが、マウスのLDLo値として、0.417 mg/Lとの報告 (MOE初期評価第6巻 (2008)) があり、LD50値はこの値よりも大きいと考えられる。しかしながら、区分が特定できないので、分類できないとした。

【参考データ等】
(1) マウスのLDLo: 0.417 mg/L (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)〜(5) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) 本物質は動物種にかかわらず、本物質の接触による一次刺激性皮膚炎は顕著であり、持続する。また、顕著な紅斑、浮腫及び落屑を生じ、さらに炎症は適用部位から周囲に広がった (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質は皮膚刺激性があり、重度 (2〜3度) の化学熱傷を引き起こす可能性がある (IRIS (1991))。
(3) 本物質はヒトにおいて皮膚、気道を刺激し、皮膚に付くと発赤、痛みを生じる (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
(4) 皮膚に対し、中等度〜重度の刺激性及び皮膚感作性を有する (GESTIS (Access on May 2020))。
(5) 7人のボランティアに対するパッチテストの用量設定試験の高濃度において一次刺激性皮膚炎が観察され、反応は1週間以内に消失したが、適用局所には色素沈着が認められた (HSDB (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(6) 本物質のリン酸トリオクチル溶液 (0.5 mL) をウサギ (2匹) の皮膚に30分間塗布した際の平均一次刺激スコアは 1%溶液で4.0 (未洗浄)、4%溶液で5.5 (未洗浄)、5.2 (洗浄)、または2.9 (水と石鹸で洗浄)であった (HSDB (Access on May 2020))。
(7) 本物質の12.5%アセトン溶液またはコーン油溶液をウサギ、モルモット、ラットの皮膚に6時間した結果、種によって軽度から中程度の紅斑、および最後に軽度から顕著な浮腫が認められたが、7〜14日後に完全に消失した。ラットとモルモットでは適用4〜7日後に、軽度から著しい落屑が観察され、ウサギでは適用1〜7日後に斑状出血と散在する壊死が観察され、瘢痕が形成された。 すべての種において、病変は適用領域を超えて認められた (HSDB (Access on May 2020))。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)〜(5) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) 本物質のポリエチレングリコール300 溶液 のウサギを用いた眼刺激性試験で、流涙、眼瞼炎、浮腫、結膜炎、虹彩炎、角膜炎、血管新生等がみられ、重篤な角膜損傷は5 mg以上の用量で顕著であった (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質の10%メチルクロロホルム溶液 はウサギの角膜の永久的損傷を引き起こす (ACGIH (7th, 2001))。
(3) 本物質の噴霧によりウサギ及びサルにおいて重度、時に永久的角膜損傷を引き起こす (ACGIH (7th, 2001))。
(4) 本物質はヒトにおいて眼を著しく刺激し、皮膚、気道を刺激する。眼に入ると発赤、痛み、かすみ眼、回復不能な部分的視力喪失、皮膚に付くと発赤、痛みを生じる (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
(5) 眼や気道の粘膜に対し、重度の刺激性〜腐食性を示す (GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分1とした。

【根拠データ】
(1) モルモットを用いた皮膚感作性試験 (局所投与: 1%又は0.5%アセトン溶液0.2 mL又は皮内投与: 10〜25μg/0.5 mL) で接触感作性が認められた (ACGIH (7th, 2001))。
(2) 本物質はヒトの皮膚感作性物質であること知られており、モルモットの皮膚または皮内への適用により、感作性を示す (IRIS (1991))。
(3) 皮膚に対し、中等度〜重度の刺激性及び皮膚感作性を示す (GESTIS (Access on May 2020))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
データ不足で分類できない。

【根拠データ】
(1) in vivoはデータなし。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陰性、染色体異常試験で弱陽性 (NTP TR379 (1990)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2020)、GESTIS (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020))。
発がん性【分類根拠】
(1)、(2) より、雌ラットに乳腺線維腺腫の増加が認められているが、この結果も含めてACGIHがA4に分類していることから、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。
(2) 雌雄のラットに本物質を2年間吸入ばく露した発がん性試験において、雌ラットで乳腺の線維腺腫の有意な増加がみられた。雄ラット及び雌雄マウスでは腫瘍発生の増加はみられなかった。これより、本物質の発がん性に関して、雌のラットには曖昧な証拠 (equivocal evidence) が、雄ラット及び雌雄マウスには発がん性の証拠なしと結論された (NTP TR379 (1990)、ACGIH (7th, 2001))。
生殖毒性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)〜(4) より、 区分1 (呼吸器)、区分3 (麻酔作用) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質にばく露されたヒトへの主な症状は、鼻汁を伴う鼻のしびれ、流涙を伴う喉や目の灼熱感である。より重度の症状では、肺うっ血と浮腫が生じる (ACGIH (7th, 2001))。
(2) ボランティア4人に40〜350 mg/m3の範囲で、耐えられなくなるまで、もしくは最長4分間ばく露した結果、鼻の痛み、鼻漏、咽喉の灼熱感、流涙を伴う眼の灼熱感、かすみ眼の訴えがあり、この他に眼や喉の周りの皮膚の灼熱感、呼吸困難を伴う胸部の灼熱感、軽微な吐き気、軽微で一過性の気道抵抗の増加もみられたが、これらの症状はばく露がなくなると消失した (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、HSDB (Access on May 2020))。
(3) 刑務所で暴動を抑えるために、本物質を含む催涙剤を使用したときに、46時間後に33歳の男性1人が死亡し、催涙ガスによる急性壊死性喉頭気管支炎によるものと診断された (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
(4) 刑務所で44人の独房に本物質を噴霧した結果、8人が喉頭気管支炎、第1度・第2度の化学熱傷、アレルギー反応 (重度の全身性の症状、嘔吐、失神など) のうち、一つ以上の症状があり、倦怠感、嗜眠、排尿困難、咳、かゆみ、結膜炎もみられ、他の20名では皮膚と眼の傷害が生じた (MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008)、IRIS (1991))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (呼吸器) とした。旧分類で分類根拠とされたヒトの情報は、単回ばく露による影響である可能性が高いことから分類根拠としなかった。新たな情報源の情報を加えて検討を行い、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) ラットに本物質を2年間吸入ばく露した試験で、1 mg/m3以上 (0.001 mg/L、区分1の範囲) で鼻腔の呼吸上皮の過形成、扁平上皮化生が、2 mg/m3 (0.002 mg/L、区分1の範囲) で鼻腔の化膿性炎、リンパ球数や有核赤血球数の増加がみられた。なお、ウイルス感染によって鼻粘膜に対する刺激作用が悪化した可能性があると示唆されている (IRIS (1991)、ACGIH (7th, 2001)、MOE初期評価第6巻:暫定的有害性評価シート (2008))。
(2) ラットに本物質を2年間吸入ばく露した試験で、2 mg/m3 (0.002 mg/L、区分1の範囲) で浅くて速い呼吸、雌で生存率低下が、4 mg/m3 (0.004 mg/L、区分1の範囲) で鼻腔の呼吸上皮の過形成や扁平上皮化生がみられた (同上)。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)データ不足のため分類できない。
水生環境有害性 (長期間)データ不足のため分類できない。
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号1697
国連品名CHLOROACETOPHENONE, SOLID
国連危険有害性クラス6.1
副次危険-
容器等級II
海洋汚染物質-
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質-
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*153
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【117 オメガ−クロロアセトフェノン】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【117 オメガ−クロロアセトフェノン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【4 クロルアセトフェノン】
航空法毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】1697 クロロアセトフェノン(固体)】
船舶安全法毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】1697 クロロアセトフェノン(固体)】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用