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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン
作成日 2009年3月30日
改訂日 2024年3月29日
化学品の名称ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン
化学品の英語名称1,3,5-Triazine-1,3,5(2H,4H,6H)-triethanol
製品コードR05-B-020-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限 防腐剤 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
急性毒性(吸入:粉塵、ミスト)区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2A
皮膚感作性区分1A
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1(呼吸器)
分類実施日
(環境有害性)
H21.3.31、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分3
水生環境有害性 長期(慢性)区分3
GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
吸入すると生命に危険
強い眼刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
呼吸器の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害
水生生物に有害
長期継続的影響によって水生生物に有害
注意書き
 安全対策取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けんで洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン
慣用名又は別名1,3,5−トリス(β−ヒドロキシエチル)ヘキサハイドロ−S−トリアジン
2,2’,2’’−(ペルヒドロ−1,3,5−トリアジン−1,3,5−トリイル)トリエタノール
英語名1,3,5-Triazine-1,3,5(2H,4H,6H)-triethanol
2,2',2''-(perhydro-1,3,5-triazine-1,3,5-triyl)triethanol
hexahydro-1,3,5-tris(2-hydroxyethyl)-1,3,5-triazine
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C9H21N3O3 (219)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号4719-04-4
官報公示整理番号(化審法)5-998/5-1080
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合直ちに新鮮な空気のある場所に移動させ、深呼吸させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。呼吸が止まっている場合は、人工呼吸を行う。被害者が物質を摂取または吸入した場合は、口対口蘇生を行わない。症状(喘鳴、咳、息切れ、口、喉、胸の灼熱感など)が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
以上、PubChem、ERG参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。直ちに皮膚に付着した部分を水と石けんで丁寧に洗浄する。発赤や炎症などの症状が現れた場合は、すぐに医師の診察/手当を受けること。
以上、PubChem参照。
眼に入った場合水または生理食塩水で20〜30分間洗浄する。コンタクトレンズは外す。直ちに医師の診察/手当を受けること。。
以上、PubChem参照。
飲み込んだ場合嘔吐させない。意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませて化学物質を薄める。直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、PubChem参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、消火薬剤。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス;窒素酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、ギ酸アルデヒド)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。加熱により圧力が上昇し破裂する恐れがある。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
二次災害の防止策付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。
火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
容器を開けたままにしない。飛沫を避ける。接触を避ける。補給または移送には排気装置付きの漏れ防止装置を使用すること。
以上、GHS分類結果、GESTIS参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策蒸気またはミストの吸入を避けること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
以上、GHS分類結果参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管する。容器を密閉し、乾燥した換気の良い場所に保管すること。推奨保管温度: 2 〜 8℃。
以上、GHS分類結果、GESTIS参照。
安全な容器包装材料国連輸送法規、消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)-
設備対策作業場所には適切な換気設備を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設け、標識を付けること。床排水溝がある場合はトラップを設ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
-防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
-濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
-作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
手の保護具適切な不浸透性の保護手袋を着用する。
保護手袋の選択については、厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を参照のこと。
眼の保護具サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色〜黄色みがかった色
臭いデータなし
融点/凝固点-79 ℃(ガラス転移点)(GESTIS(2023))
沸点、初留点及び沸騰範囲110.1 ℃(GESTIS(2023))
可燃性可燃性、低引火性(GESTIS(2023))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点>200 °F(HSDB in PubChem(2023))
自然発火点データなし
分解温度データなし
pH約 10 (20℃、2 g/L濃度)(GESTIS(2023))
動粘性率412 mPa*s(20℃)(GESTIS(2023))
溶解度水:(20℃)(混和)(GESTIS(2023))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧<0.1 Pa(室温)(無視できる)(GESTIS(2023))
密度及び/又は相対密度データなし
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性ハイドライドのような強力な還元剤により、可燃性のガス状水素を発生する。
避けるべき条件火気、加熱、高温、静電気、火花、爆発性混合気の形成
混触危険物質還元剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(4)より、区分4とした。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:763 mg/kg(OECD TG401)(AICIS IMAP (2016))
(2)ラットのLD50:580 mg/kg(DFG MAK (1991))
(3)ラット(雌)のLD50:763 mg/kg(EPA Pesticides (2008)、DFG MAK (2015))
(4)ラット(雄)のLD50:1,250 mg/kg(EPA Pesticides (2008)、DFG MAK (2015))
経皮【分類根拠】
(1)〜(3)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 4,000 mg/kg(OECD TG402)(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))
(2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(DFG MAK (2015))
(3)ウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(EPA Pesticides (2008))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間、ミスト):0.371 mg/L(OECD TG403)(AICIS IMAP (2016))
(2)ラットのLC50(4時間):0.338 mg/L(DFG MAK (2015))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、4時間適用、72時間観察)において、皮膚刺激性影響はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。
(2)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、半閉塞、4時間適用)において、一次刺激指数は0.2(最大値8.0)で、全ての影響が24時間以内に回復したとの報告がある(DFG MAK (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2Aとした。なお、(3)の知見からは区分1が示唆されるが、試験条件等の詳細が不明であり、本分類には用いなかった。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、21日観察)において、みられた影響は15日後には完全回復した(角膜混濁スコア:1/0/1/0/0/0.7、虹彩炎スコア:1/1/1/1/1/1、結膜発赤スコア:2/2/2.3/2/2/2、結膜浮腫スコア:2.7/1.7/2/1/1/2)との報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015)、REACH登録情報(Accessed Nov. 2023))。
(2)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験において、結膜、角膜、虹彩に中程度から重度の刺激が発生し、7日間持続したとの報告がある(DFG MAK (1991))。

【参考データ等】
(3)ウサギを用いた眼刺激性試験において、Corrosiveとの報告があるが、試験条件等の詳細は不明である(EPA Pesticides (2008))。
(4)In vitro 眼刺激性試験(OECD TG 437、GLP)において、in vitro 刺激性スコア(IVIS)は5.6(予測不能に該当)であったとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2023))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)皮膚科受診者の調査で1,772名中17名の陽性、工業用バイオサイドのパッチテストで671名中2名が陽性、その他、色素沈着性接触皮膚炎患者、化粧品、冷却オイルのパッチテストの陽性結果から、本物質は感作性物質皮膚第1群に指定されている(産衛学会 感作性物質提案理由書 (2013))。
(2)モルモット(n=19)を用いたMaximisation試験(OECD TG406準拠、皮内投与:1%溶液、局所投与:25%溶液)において、0.5%溶液による惹起終了48時間後の陽性率は68%(13/19例)であったとの報告がある(AICIS IMAP (2016))。

【参考データ等】
(3)DFGではShに分類されている(List of MAK and BAT values (2022))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)In vivoでは、マウスの赤血球を用いた2つの小核試験、ラットを用いた染色体異常試験で、陰性の報告がある(AICIS IMAP (2016))。ラットを用いた経口、経皮及び皮下投与による小核試験では、いずれも陰性の報告がある(DFG MAK (1991))。ラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験(OECD TG486、単回強制経口投与、最大750 mg/kg(雄)、600 mg/kg(雌))、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(単回腹腔内投与、最大150 mg/kg(毒性用量))でも陰性の報告がある(DFG MAK (2015))。
(2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験及びCHL線維芽細胞を用いた遺伝子突然変異試験では陰性であったが、CHL線維芽細胞を用いた染色体異常試験では高濃度でのみ陽性の報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))。
発がん性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)限られた例数のマウスの上背部の皮膚に本物質を0.15〜15%の濃度で31週間(3回/週)経皮適用した試験期間が短い試験において、中用量(1.5%)以上で適用部位に軽度の異形成や過形成が認められたが、乳頭腫の発生はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016))。
(2)雌マウスの剃毛皮膚に本物質50 mgを3回/週で31週間経皮適用したが、腫瘍発生頻度の増加及び乳頭腫の誘発はみられなかった(DFG MAK (2015))。
(3)既存分類では、DFGでCat. 2に分類されている(List of MAK and BAT values (2022))。
生殖毒性【分類根拠】
(1)より、発生影響はみられていないが、生殖影響に関する毒性情報がなく、データ不足のため分類できない。

【根拠データ】
(1)妊娠ラットを用いた強制経口投与(妊娠6〜15日)による発生毒性試験において、母動物には750 mg/kg/dayで流涎、体重増加抑制及び摂餌量減少、14/20例に胃の病変(潰瘍及び/又は粘膜の瘢痕化)がみられたが、生殖指標には影響はみられなかったとの報告がある。また、胎児には統計的に有意な所見はみられず、母動物に影響がみられる用量でも発生影響はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1の範囲で呼吸器への影響がみられたことから、区分1(呼吸器)とした。なお、消化管にみられた影響は刺激性影響と考えられるため、標的臓器として採用していない。新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG401)において、死亡例の剖検では胃粘膜に対する刺激性影響(腺胃部のうっ血、発赤、びらん、前胃部及び腺胃部粘膜の退色)がみられた。致死量以下でみられた影響は全体的な活動性低下、よろめき、麻痺、下痢であった。なお、影響がみられた投与量は不明であるが、LD50は763 mg/kgであるとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))。
(2)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(OECD TG403)において、0.257 mg/L(区分1の範囲)から呼吸困難、喘ぎ呼吸、呼吸音、鼻孔の発赤がみられ、0.257 mg/Lの10例中3例が死亡し、1.068 mg/L(区分1の範囲)で病理組織検査により鼻腔、喉頭および気管の壊死がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)より、吸入経路で区分1の範囲で呼吸器への影響がみられたことから、区分1(呼吸器)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた4週間反復吸入ばく露試験(OECD TG412、6時間/日、5日/週)において、0.05 mg/L(90日換算:0.011 mg/L、区分1の範囲)で、雄では喘ぎ、間欠性呼吸、呼吸音、鼻部の赤色痂皮、低体温、被毛の黄色化、体重減少がみられ、5/10例が途中死亡した。0.01 mg/L(90日換算:0.0022 mg/L、区分1の範囲)以上で、症状(間欠性呼吸、ラ音、鼻部の赤色痂皮)と扁平上皮化生、喉頭のびらん/潰瘍、鼻腔の扁平上皮化生、気管分岐上皮の扁平化生、喉頭U字型軟骨の壊死、喉頭上皮の過形成、気管支上皮の変性がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))。

【参考データ等】
(2)ラットを用いた90日間反復混餌投与試験(OECD TG408)において、5,000 ppm(285 mg/kg/day(雄)、339 mg/k/day(雌)、区分に該当しない範囲)まで、死亡例も症状もなく、動物の外観及び行動に検体投与に関連した所見はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))。
(3)ラットを用いた90日間反復経皮投与試験(6時間/日、5日/週)において、250 mg/kg/day(90日換算:約180 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)まで死亡例も検体投与に関連した症状もみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (2015))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=26.1mg/L(ECOTOX, 2008)から区分3とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急性毒性区分3であり、急速分解性がない(SRC: BioWin V4.10)ことから区分3とした。
残留性・分解性化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号2810
品名(国連輸送名)その他の毒物(有機物)(液体)、n.o.s.
国連分類6.1
副次危険-
容器等級試験結果によってT〜Vを決定する。
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*153
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和7年4月1日以降)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
作業場内表示義務(法第101条の4)(令和7年4月1日以降)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体 第三石油類 水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害防止用保護具の選定マニュアル第1版」
修正履歴
R6.3.29:
・危険有害性の分類について物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。
・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。