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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
シアナミド
作成日 2002年3月12日
改訂日 2006年5月29日
改訂日 2018年3月16日
改訂日 2019年3月15日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称シアナミド
化学品の英語名称Cyanamide
製品コードR06-C-096-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限有機合成原料,チオ尿素原料,農薬(植物成長調整剤),医薬(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成29年度(2017年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分3
急性毒性 (経皮)区分3
皮膚腐食性/刺激性区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
皮膚感作性区分1
生殖毒性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1(血液系、甲状腺、肝臓、生殖器(男性))
分類実施日
(環境有害性)
平成29年度(2017年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示どくろ腐食性健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
皮膚に接触すると有毒
重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
中枢神経系の障害
呼吸器への刺激のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による血液系、甲状腺、肝臓、生殖器(男性)の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
環境への放出を避けること。
 応急措置飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名シアナミド
慣用名又は別名カルボジイミド
英語名Cyanamide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)CH2N2 (42)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号420-04-2
官報公示整理番号
(化審法)
1-139
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合医師に連絡すること。
新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。
気道/呼吸器疾患の刺激が発生した場合:できるだけ早く、グルココルチコイド吸入スプレーを吸入する。
呼吸困難を感じた場合は、被害者を半座位で維持/輸送します。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。
呼吸が止まっている場合は、呼吸補助具(蘇生バッグなど)や口鼻蘇生法で人工呼吸を行う。口対口蘇生法は緊急事態の場合にのみ行う。
以上、GESTIS、ICSC参照。
皮膚に付着した場合皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。
直ちに皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで少なくとも10〜20分間洗浄する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
できればコンタクトレンズをはずして数分間多量の水で洗い流す。
眼の刺激が続く場合は医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。
直ちに医師に連絡すること。
意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。
いかなる状況においても、アルコールを含む飲料を適用しない。
また、カフェインを含む飲み物も避ける。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。
医師に連絡すること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性: 刺激性から眼、気道、皮膚への腐食性の影響、アルコールに対する顕著な不耐性を伴う血管運動障害、皮膚感作性
慢性: 反復または長期の接触により、皮膚感作を引き起こすことがある。ヒトで生殖・発生毒性を引き起こす可能性があることが示されている。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、乾燥砂、乾燥消火剤、泡消火剤、二酸化炭素
以上、GESTIS、ICSC参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、シアン化水素蒸気、アンモニア、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。
可能であれば、容器を危険区域から移動する。
圧力が上昇し、加熱時に破裂するリスクがある。
着火(発火)源を遮断する。
流出水が排水システムに入らないようにする。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
影響を受ける周囲に警告する。
個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。
水で湿らせる。乾燥させない。
容器には酸や塩基(微量でさえも)が含まれていてはならない。
周囲を換気し、こぼれた場所を洗う。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
物質の放出を防ぐことができない場合は、出口で吸引する必要がある。
容器とパイプラインにラベルを貼ること。
適切な材料: ポリエチレン、PE、ポリプロピレン、オーステナイト鋼、ポリテトラフルオロ、エチレンPTFE(テフロン)、天然ゴム
水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏出物を回収すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
少量の物質の収集:
廃棄物を流し台やゴミ箱に入れたり置いたりしない。
収集容器にはラベルを貼付すること。容器は換気の良い場所に保管すること。
個人用保護具:自給式呼吸器付完全保護衣
この物質を環境中に放出してはならない
こぼれた物質を特殊装置で吸引する
残留分を、注意深く集める
地域規則に従って保管・処理する
以上、GESTIS、ICSC参照。
二次災害の防止策火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策すべての部屋と備品は定期的に清掃する必要がある。
「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する
粉じんの形成を避ける。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集する必要がある。
掃除中に粉じんを起こさないこと。
清掃にブロワーを使用しない。
以上、GESTIS参照。
安全取扱い注意事項屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
作業場を清潔で乾燥した状態に保つように注意する。
この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。
容器を開いたままにしない。
補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用する。
こぼれないようにする。
ラベルの付いた容器にのみ注入する。
粉じんが舞い上がるのを避ける。
壊れやすい容器で輸送する場合は、適切な外部容器を使用する。
電気器具は、腐食のリスクが高いため、定期的に点検する。
裸火禁止。
以上、GESTIS、ICSC参照。
接触回避感染性、放射性、爆発性の物質
ガス
強酸化性物質
硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤
有機過酸化物および自己反応性物質
危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。
以上、GESTIS参照。
衛生対策汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
作業エリアでの飲食禁止。
眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。
目に入った場合は、影響を受けた目を洗い流す。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
必要に応じて、休憩前に着替える。
シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意する。
使用後は手を洗うこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
食品容器は使用しない。
容器にラベルを貼付すること。
できるだけ元の容器に保管する。
湿気から保護する。
ホウ酸またはリン酸ナトリウムで安定させる。
pH値は3?6である必要がある。
最適なpHレンジは4.0?4.5。
食品や飼料および混触危険物質から離しておく
20℃以下で保存し、30℃を超えてはならない
容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所で保管すること。
安定化した状態でのみ貯蔵
ステンレススチール、ポリエチレンまたはポリプロピレンに貯蔵
以上、GESTIS、ICSC参照。
安全な容器包装材料道路法、毒劇法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)-
ACGIH (2024年版)TLV-TWA: 2 mg/m3
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
洗眼、洗浄設備を設置し、標識を付ける。
物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーが必要。
作業エリアは、可能であれば物理的に分離する必要がある。
作業エリアで非常に良好な換気を提供する。
床に排水口を設置しない。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具緊急時には、呼吸保護具を着用する。
フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用する。
以上、GESTIS参照。
手の保護具厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。
必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認する。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管する必要がある。
適切な手袋の素材の情報なし。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
無色〜白色
臭いデータなし
融点/凝固点44 ℃ (GESTIS (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲140 ℃ (19 mmHg) (HSDB in PubChem (2024))
83 ℃ (0.067 kPa) (ICSC (2007))
可燃性可燃性(温度上昇時のみ) (ICSC (2007))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点141 ℃ (Closed cup) (HSDB in PubChem(2024))
自然発火点データなし
分解温度260 ℃ (ICSC (2007))
pH3.5〜4.2 (20℃、560 g/L) (GESTIS (2024))
4.5 (with phosphoric acid) (ECHA CHEM(2024))
動粘性率データなし
溶解度水:77.5 g/100 g (15℃)、8×105 mg/L(25℃) 可溶 (HSDB in PubChem (2024))
ブタノール:28.8 g/100 g (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:-0.85 (20℃) (HSDB in PubChem(2024))
log Kow:-0.72 (GESTIS (2024))
蒸気圧0.00375 mmHg (20℃) (HSDB in PubChem(2024))
1 Pa (25℃) (ECHA CHEM(2024))
密度及び/又は相対密度1.282 g/cm3 (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
相対ガス密度1.45 (Air= 1) (HSDB in PubChem (2024))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性シアナミドは融点を超える温度で不安定になり、発熱重合反応を受ける。
重合・分解しやすいため、市販の物質が安定化される。
温度上昇時のみ可燃性。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
本物質は、高反応性化合物。 減圧蒸留すると、爆発することがある。 自然に重合することがある。 40℃以上で激しく熱を放出しながら、二量化する。 二量化は微量の塩基により、触媒される。 酸、塩基または水分と接触すると、分解する。 アンモニア、窒素酸化物およびシアン化物などの有毒なフュームを生じる。 酸、強酸化剤および強還元剤と反応する。 爆発や中毒の危険を生じる。 スチール、銅およびアルミニウムなどの金属を侵す。
以上、GESTIS、ICSC参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性危険な反応を示す可能性がある物質: ケトン
以上、GESTIS参照。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質接触すると爆発する危険性: 強酸、アルカリ、蒸留、次亜塩素酸塩、1,2-フェニレンジアミン、重合開始剤、真空蒸留熱(40°C以上)
以上、GESTIS参照。
危険有害な分解生成物火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、シアン化水素蒸気、アンモニア、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として、100〜125 mg/kg (雄) (DFGOT vol. 24 (2007))、125 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2017))、223 mg/kg (DFGOT vol. 24 (2007))、280 mg/kg (HSDB (Access on June 2017)) との報告に基づき、区分3とした。
経皮ウサギのLD50値として、590 mg/kg (HSDB (Access on June 2017))、742 mg/kg (雌)、901 mg/kg (雄) (いずれもDFGOT vol. 24 (2007)) との報告に基づき、区分3とした。新たな情報源の使用により旧分類から区分を変更した。
吸入: ガスGHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気GHSの定義における固体である。
吸入: 粉じん及びミストデータ不足のため分類できない。ラットの4時間吸入ばく露試験のLC50値として、> 1.0 mg/Lとの報告 (DFGOT vol. 24 (2007)) があるが、この値だけでは区分を特定できないため、分類できないとした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)本物質の50%水溶液(SKW Cyanamid F1000)について、ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(製品原液0.5 mL、4時間・半閉塞適用)において、パッチ除去4時間後に中程度までの紅斑、重度までの浮腫が認められ、同52時間後には明瞭な紅斑、明らかな痂皮、軽度の浮腫が認められた。適用皮膚部位は軽度に紫色を呈し、出血の存在が示唆された(EU CLP CLH (2014)、RAC Opinion (2015)、MAK (DFG) (2007))。1週間後には適用皮膚の大部分に壊死がみられ、本物質はウサギの皮膚に腐食性を示すと結論された(ECHA CHEM (Accessed Oct. 2024))。
(2)本物質の50.2%水溶液(Cyanamid L 500)について、ヒト表皮(EpiDerm (EPI-200))を用いたin vitro皮膚腐食性試験(OECD TG431、GLP)において、3分間及び60分間ばく露後の細胞生存率は各々85%及び7%であった。本物質は腐食性物質と判定された(EU CLP CLH (2014)、RAC Opinion (2015)、ECHA CHEM (Accessed Oct. 2024))。ガイダンス上で、本結果は区分1B/1Cに該当する。

【参考データ等】
(3)本物質の49%水溶液について、ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404、GLP:製品原液0.5 mL、4時間・半閉塞)では、刺激性はみられなかった(24/48/72時間後の全体の平均スコア:紅斑:0.11、浮腫:0)(EU CLP CLH (2014)、RAC Opinion (2015)、ECHA CHEM (Accessed Oct. 2024))。
(4)本物質の25%水溶液(ALZODEF)について、ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404:1〜25%、0.5 mL、4時間・半閉塞)では、最高適用濃度(25%)において、パッチ除去4時間後に明瞭な紅斑がみられたが、24時間後には紅斑は軽度2例、極めて軽度4例に軽減した。ばく露時間終了時に2匹に軽微な虚血がみられた。全ての反応は7日以内に消失した(同上)。
(5)EUではSkin Corr. 1に分類されている(CLP分類 (Accessed Oct. 2024))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)より区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)本物質の皮膚刺激性/腐食性の分類は区分1である(2024年度GHS分類)。

【参考データ等】
(2)本物質の49%水溶液(SKW Cyanamide L 500)について、ウサギ(n= 1)を用いた眼刺激性試験(EPAガイドライン、GLP:製品原液0.1 mL、非洗浄)では、散在性の結膜炎と眼瞼半閉鎖と夥しい分泌を伴う結膜浮腫を伴い認められた。また、瞬膜に出血の証拠がみられた(24/48/72時間後の平均スコア(/フルスコア):角膜混濁(2/4)、虹彩炎(0.67/2)、結膜発赤(2/3)、結膜浮腫(2.3/4))。7日以内に全ての所見は回復した(EU CLP CLH (2014)、RAC Opinion (2015)、ECHA CHEM (Accessed Oct. 2024))。
(3)本物質の49%水溶液 (SKW Cyanamide L 500) の50%水溶液について、ウサギ(n= 6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG405相当:製品原液0.1 mL、非洗浄)では、軽度の混濁、軽度の虹彩炎、中程度の結膜発赤及び中程度から重度の結膜浮腫(24/48/72時間後の平均スコア:角膜混濁: 1.1、虹彩スコア: 0.9、結膜発赤: 1.9、 結膜浮腫: 2.3)が認められた。7日後にも軽度の結膜炎が依然みられたが、角膜及び虹彩の変化は消失した(同上)。
(4)EUではEye Dam. 1に分類されている(CLP分類 (Accessed Oct. 2024))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性モルモットを用いたマキシマイゼーション試験で、本物質の10%水溶液と本物質5%を含むワセリンによる皮内注射と感作誘導を行い、21日目に本物質を2.5%含むワセリンで感作誘発を行った結果、陽性率は適用後24及び48時間後で100%であった (DFGOT vol. 24 (2007))。また、ヒトにおいて反復または長期の接触により皮膚感作を引き起こすことがあるとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) があり、以上から区分1とした。なお、保護具を着用せずに本物質を取扱ったブドウ生産者で強度の皮膚影響がみられた4人のうち、2名に多形性紅斑様の皮膚傷害、他の2名にスティーブンス-ジョンソン症候群 (SJS) と中毒性表皮壊死融解症 (TEN) 様の皮膚傷害が生じたとの記述 (HSDB (Access on June 2017)) がある。EU CLP分類において本物質はSkin Sens. 1 に分類されている(ECHA CL Inventory (Access on June 2017))。
生殖細胞変異原性In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (DFGOT vol. 24 (2007))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (DFGOT vol. 24 (2007))。以上より、ガイダンスに従い分類できないとした。旧分類の情報源 (農薬抄録 (2002)) が確認できなかったため区分を変更した。
発がん性マウスを用いた2年間飲水投与による発がん性試験において、卵巣に顆粒膜・莢膜細胞腫の増加傾向がみられたが、同様の所見が対照群の3/60例にもみられた。ただし、このうち1例は疑わしい所見として、これを除外すると最高用量 (600 mg/L) では統計的に有意な増加 (8/58例) が示された。卵巣の顆粒膜・莢膜細胞腫の増加に関して、対照群の1例の所見が疑わしいという事実から、原著者らは高用量群での腫瘍の増加を投与による影響とは記述しておらず、更なる検討が必要とされている (DFGOT vol. 24 (2007))。以上、マウスの卵巣腫瘍は本物質投与による発がん性の確実な証拠とは言い難く、その他、本物質の発がん性に関する情報がないことから、分類できないとした。
生殖毒性ラットを用いた強制経口投与による2世代試験において、F0雌では25 mg/kg/dayで体重増加抑制、黄体数、着床数、出生児数の減少、及び受胎率低下が認められた (DFGOT vol. 24 (2007)、環境省リスク評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、PATTY (6th, 2012))。F0雄では25 mg/kg/day で精巣上体相対重量の減少、精巣の萎縮、精巣上体管における精子の欠損がみられた (DFGOT vol. 24 (2007))。F1では25 mg/kg/day で耳介開展不全、精巣下降不全など発達指標への影響がみられた。なお、受胎率の低下の原因が雌雄いずれにあるかを調べるため、25 mg/kg/dayを投与した雌雄と未処置の雌雄とを交配させた結果、投与雄と未処置雌との交配では受胎率の低下が示されたのに対し、投与雌と未処置雄を交配させた場合には受胎率に影響はみられなかった (DFGOT vol. 24 (2007))。
以上、F0雌に体重増加抑制がみられる用量で受胎率の低下に加え、雄性生殖器及び児動物の発達への影響がみられたことから、区分2とした。なお、今回の見直しではList 1の情報源から分類に利用可能な情報が得られたため、分類が可能になった。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)ラットの単回経口投与試験において、区分1相当の150 mg/kgで、嗜眠、振戦、うずくまり姿勢、運動失調、立毛、更に高用量ではこれらの症状に加えて歩行異常、腹臥位、努力呼吸、血涙を示し、剖検では肺の出血と胸水が認められたとの報告がある (DFGOT vol. 24 (2007))。また、ラットを用いた本物質エアロゾルの単回吸入ばく露試験で、1mg/L、4時間の吸入ばく露で閉眼、浅呼吸、頻繁な咳と嚥下反応を示したが、ばく露終了後数時間で回復したとの報告がある (DFGOT vol. 24 (2007))。以上より区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性) とした。新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。
なお、本物質はアルデヒド脱水素酵素を阻害することから、ヒトにおいて酒量抑制剤として用いられており、本物質の経口摂取後にアルコール (及びアルコールを含む食品等) を摂取することにより、顔面紅潮、血圧下降、悪心、頻脈、めまい、呼吸困難、視力低下が起こることがあるとの記載がある (医療用医薬品集2017 (2016))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ヒトについては、「本物質はアルデヒド脱水酵素を阻害することから酒量抑制剤として利用されており、断酒療法として通常1日50〜200 mg、節酒療法として15〜60 mg の投与が行われており、副作用として皮膚や血液、肝臓への影響が指摘されている」との記載 (環境省リスク評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011))、「嫌酒薬として本物質を用いた患者に、治療前にはみられていないが、治療後にすり硝子様肝炎がみられている」との報告 」(PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 24 (2007)) がある。
実験動物については、ラットを用いた強制経口投与による28日間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である10 mg/kg/day (90日換算値: 3.11 mg/kg/day) 以上で肝臓の胆管過形成、甲状腺濾胞のコロイド減少、20 mg/kg/day (90日換算値: 6.22 mg/kg/day) 以上で体重増加抑制、肝臓の重量増加、区分2のガイダンス値の範囲内である40 mg/kg/day (90日換算値: 12.44 mg/kg/day) で赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値の減少、甲状腺・副甲状腺の重量増加、甲状腺濾胞細胞の過形成等がみられ、ラットを用いた混餌による90日間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である1.5 mg/kg/day以上で充実性で小型の甲状腺濾胞の増加、濾胞上皮細胞や傍濾胞上皮細胞の増殖の発生率増加、4.5 mg/kg/dayで赤血球数、肝臓相対重量の増加、胸腺相対重量の減少がみられている (環境省リスク評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、DFGOT vol. 24 (2007))。また、イヌを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である0.6 mg/kg/day以上で精巣重量減少、精細管萎縮、精子形成の低下や精巣上体の精母細胞数の減少、2 mg/kg/day以上でT4値・ASTの減少、ALTの増加、単核白血球数の増加、6 mg/kg/dayで体重増加抑制、ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値の減少がみられている (環境省リスク評価第9巻:暫定的有害性評価シート (2011)、DFGOT vol. 24 (2007))。
以上から、区分1 (血液系、甲状腺、肝臓、生殖器 (男性)) とした。
新たな情報源を用いたため旧分類と分類結果が異なった。
誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)藻類(Anabaena flosaquae)72時間EC50(生物量) = 0.37 mg/L(EPA AQUIRE:2017, Pesticide Ecotoxicity Database(1992) )であることから、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる平均分解度:0%(化審法DB:2012))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC(体長)= 0.1 mg/L(EPA AQUIRE:2017, Pesticide Ecotoxicity Database(1992))であることから、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(難分解性、BODによる平均分解度:0%(化審法DB:2012))、藻類(Anabaena flosaquae)72時間EC50(生物量) = 0.37 mg/L(EPA AQUIRE:2017, Pesticide Ecotoxicity Database(1992) )であることから、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性データなし

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報特別管理産業廃棄物に該当する。
特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬又は処分を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2923
品名(国連輸送名)その他の腐食性固体、毒物、他に品名が明示されていないもの
国連分類8
副次危険6.1
容器等級I〜III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法に従う
航空規制情報航空法に従う
陸上規制情報道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う
特別な安全上の対策道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*154
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【204 シアナミド】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【649 シアナミド】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【204 シアナミド】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【649 シアナミド】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) 【シアナミド】
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【シアン化水素、シアン化ナトリウム等のシアン化合物】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第二種指定化学物質(法第2条第3項、施行令第2条別表第2) 【36 シアナミド】
毒物及び劇物取締法劇物(指定令第2条) 【31の2 シアナミド及びこれを含有する製剤】
水道法水質基準(平15省令101号) 【10 シアン化物イオン及び塩化シアン】
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【65 シアナミド】
水質汚濁防止法有害物質(法第2条、施行令第2条) 【2 シアン化合物】
土壌汚染対策法第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条) 【5 シアン化合物】
廃棄物処理法特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4)
船舶安全法腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・腐食性物質(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)
下水道法水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4)【2 シアン化合物】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」