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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
N−(4’−フルオロフエニル)−2,3−ジクロロマレイミド(別名フルオルイミド)
作成日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称N−(4’−フルオロフエニル)−2,3−ジクロロマレイミド(別名フルオルイミド)
化学品の英語名称N-(4'-fluorophenyl)-2,3-dichloromaleimide
製品コードR06-S33-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬(殺菌剤)(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト)区分3
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
皮膚感作性区分1
生殖毒性区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1(呼吸器)
分類実施日
(環境有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1

GHSラベル要素
絵表示どくろ腐食性健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報吸入すると有毒
重篤な眼の損傷
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
呼吸器の障害
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名N−(4’−フルオロフエニル)−2,3−ジクロロマレイミド
慣用名又は別名フルオルイミド
英語名N-(4'-fluorophenyl)-2,3-dichloromaleimide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C10H4Cl2FNO2 (260.04)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号41205-21-4
官報公示整理番号
(化審法)
5-125
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏出物を回収すること。飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
二次災害の防止策汚染された作業衣は作業場から出さないこと。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)-
ACGIH (2024年版)-
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。
必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて不浸透性の保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
データなし
臭いデータなし
融点/凝固点241 ℃ (SRC PhysProp Database)
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:5.9 mg/L (20℃) (SRC PhysProp Database)
n-オクタノール/水分配係数log Kow:2.3 (SRC PhysProp Database)
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度データなし
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLD50:> 5,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2013))
(2)ラットのLD50:> 15,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2013))
経皮(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)マウスのLD50:> 5,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2013))
吸入: ガスGHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト(1)、(2)より、区分3とした。
【根拠データ】
(1)ラット(雄)のLC50(4時間):0.57 mg/L(GLP)(食安委 農薬評価書 (2013))
(2)ラット(雌)のLC50(4時間):0.72 mg/L(GLP)(食安委 農薬評価書 (2013))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=2/群)を用いた皮膚刺激性試験(24時間適用、3日観察)において、本物質10、100、1,000mgを殺菌蒸留水0.5mLで湿らせて適用したところ、1日後にわずかな紅斑がみられたが、2日後に消失したとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(2)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(GLP、75%水和剤、4時間適用、7日観察)において、適用終了1時間後に非常に軽度な紅斑がみられたが、3〜5日後には消失した(紅斑・痂皮スコア:0/0/0/0.8/0/1、浮腫スコア:0/0/0/0/0/0)との報告がある(農薬抄録 (2015))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(1)、(2)より、区分1とした。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験において、本物質100mg投与群で角膜が白濁し、眼球内外に血管が出現し、14日後には失明の状況を呈した(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(GLP、75%水和剤を点眼、21日観察)において、24、48時間後に、虹彩細部が不明瞭及び不明なび慢性角膜混濁、び慢性の深紅色及び牛肉様赤色を呈した結膜、眼瞼の1/2及び1/2以上の閉鎖を伴う結膜浮腫が認められた。72時間後以降、反応は徐々に軽減したが、角膜混濁は1匹を除き、すべての動物で、21日後まで持続した(角膜混濁スコア:2/2/2/3/2.7/2.3、虹彩炎スコア:0/0/0/-/-/-、結膜発赤スコア:1.7/2.7/2.3/3/2.3/2、結膜浮腫スコア:3.3/3.3/3.7/4/3.3/3)との報告がある(農薬抄録 (2015))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性(1)より、区分1とした。
【根拠データ】
(1)マウス(n=4/群)を用いた局所リンパ節試験(GLP)において、刺激指数(SI値)は15.55(2.5%)、23.09(5%)、27.33(10%)であり、皮膚感作性は陽性と判断された(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
生殖細胞変異原性(1)〜(3)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(腹腔内投与)で陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(2)細菌復帰突然変異試験で弱陽性(Salmonella typhimurium( TA98 、TA100 株))、陰性の報告があるが、より高用量まで実施された試験結果を含め総合的に判断して、結果は陰性であると考えられた。また、(1)のin vivoの陰性結果と合わせてフルオルイミドに遺伝毒性はないものと考えられた。(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(3)ほ乳類の培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性の結果が得られている(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
発がん性国内外の分類機関による既存分類結果はないが、(1)、(2)の試験結果より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた2年間混餌投与による慢性毒性/発がん性併合試験において、3,200 ppm(雄/雌:150/184 mg/kg/day)までの用量で検体投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった。発がん性は認められなかった(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(2)マウスを用いた2年間混餌投与による発がん性試験では、6,000 ppm(同942/1,120 mg/kg/day)までの用量で検体投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった。発がん性は認められなかった(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
生殖毒性(1)〜(5)より、区分1Bとした。なお、(1)では親動物に一般毒性影響がみられた用量であるが、児動物に同腹児数低下及び生存率低下など重大な影響がみられており、(2)では出生後の投与によりいずれの世代でも骨格異常がみられている。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による三世代繁殖試験において、2,000 ppmでP、F1、及びF2親動物に一般毒性影響(食道及び胃角質化、脾臓のヘモジデリン沈着等)、F1及びF2親動物に体重増加抑制(雌)、児動物に同腹児数低下、生後25日での生存率低下、食道及び胃角質化がみられた。また、親動物に体重増加抑制・摂餌量減少などがみられる最高用量でF1及びF2親動物の繁殖能に対する影響(交尾率・妊娠率低下)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(2)(1)の追加試験として実施されたラットを用いた混餌投与による三世代繁殖試験において、F1及びF2親動物、F1、F2及びF3児動物に成長過程で骨格形態に異常が生じることを示唆する大腿骨、脛骨、腓骨の短縮、上腕骨の短縮、椎骨の異常(脊柱弯曲等)等がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(3)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験において、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(4)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、1,000 mg/kg/dayで親動物に体重増加抑制、摂餌量低下、児動物に低体重(雌雄)がみられたが、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(5)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験において、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)(1)より、区分1(呼吸器)とした。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(GLP、4時間)において、0.29mg/L(雄、区分1の範囲)以上および0.67mg/L(雌、区分1の範囲) 以上で死亡例がみられ、症状として自発運動量減少、不整呼吸、あえぎ、ラッセル音及び尿失禁がみられた。また、死亡例の剖検では肺全葉の赤色化、胸水貯留および気管内の黄色物貯留がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
【参考データ等】
(2)ラットを用いた単回経口投与試験において、2,000〜4,000 mg/s(区分2〜区分に該当しない範囲)で症状および死亡例はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(3)マウスを用いた単回経皮投与試験において、5,000 mg/kg(区分に該当しない範囲)で症状および死亡例はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)(1)〜(5)より標的臓器は腎臓である可能性が示唆されるが、区分2までの用量範囲で明瞭な影響はみられない。よって、経口経路では区分に該当しない。ただし、他経路では情報がなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、1,000 ppm以上(57.7 mg/kg/day(雄)、62.5 mg/s/day(雌)、区分2の範囲)で腎絶対および比重量増加(雌)、肺絶対および比重量増加(雌)、小腸リーベルキューン腺萎縮(雌)がみられ、10,000ppm(577 mg/kg/day(雄)、656 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)でALT増加(雄)、リンパ節リンパろ胞萎縮(雄)、大腸パネート細胞異常細胞分裂(雄)およびリーベルキューン腺萎縮、胃上部上皮細胞剥離(雄)、肝細胞混濁腫脹(雄)、小腸粘膜固有層水腫(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(2)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、500 ppm以上(51.9 mg/kg/day(雄)、57.8 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で腎尿細管上皮核濃縮、尿細管上皮結晶沈着、脾リンパろ胞壊死(雌)がみられ、1,000 ppm(111 mg/kg/day(雄)、116 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で副腎絶対および比重量増加がみられ、5,000 ppm(553 mg/kg/day(雄)、582 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)でHt、HbおよびRBC減少、MCVおよびWBC増加(雄)、MCHC減少、脾絶対および比重量増加、脾赤脾髄充血(雄)、下痢がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(3)マウスを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、1,000 ppm以上(123 mg/kg/day(雄)、141 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で体重増加抑制(雄)、摂餌量低下(雄)、小腸リーベルキューン腺萎縮(雌)がみられ、10,000 ppm(1,210 mg/kg/day(雄)、1,160 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で大腸リーベルキューン腺萎縮、骨髄造血機能減退、腎糸球体疎鬆化(雄)、尿細管ネフローシス(雄)、肝多核細胞出現(雄)、脳神経細胞変性(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(4)マウスを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、500 ppm(96.8 mg/kg/day(雄)、74.1 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で腎尿細管上皮結晶沈着がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(5)マウスを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/発がん性併合試験において、2,000 ppm以上(279 mg/kg/day(雄)、371 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で角膜炎発生率増加(雌)がみられ、6,000 ppm(942 mg/kg/day(雄)、1,120 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で体重増加抑制、腎絶対、比重量および対脳重量比減少(雄)、角膜混濁増加、角膜炎発生率増加(雄)、HbおよびHt減少(雌)、脾臓絶対、比重量および対脳重量比減少(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
【参考データ等】
(6)イヌを用いたカプセル投与による2年間慢性毒性試験において、250 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)で影響がみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。
(7)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、800 ppm以上(37.2 mg/kg/day(雄)、45.9 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)でASTおよびALT増加(雄)、T.Chol減少(雄)がみられ、3,200 ppm(150 mg/kg/day(雄)、184 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)でRBC、Ht減少(雄)、Hb減少、ALP減少、T.Chol減少(雌)、前胃浮腫、前胃粘膜浮腫、角化亢進およびびらん、前胃扁平上皮増生(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2013)、農薬抄録 (2015))。

誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)48時間EC50 = 0.883 mg/L(農薬抄録, 2015)であることから、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOErC = 36.43 mg/L(農薬抄録, 2015)から、区分に該当しないとなる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.883 mg/L(農薬抄録, 2015)から、区分1となる。
以上の結果を比較し、区分1とした。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2811
品名(国連輸送名)その他の毒性固体、有機物、他に品名が明示されていないもの
国連分類6.1
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*154
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【203 2,3−ジクロロ−N−4−フルオロフェニルマレイミド(別名フルオルイミド)】
毒物及び劇物取締法-
水道法水質基準(平15省令101号) 【12 フッ素及びその化合物】
水質汚濁防止法有害物質(法第2条、施行令第2条)【25 ふつ素及びその化合物】
土壌汚染対策法第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条)【22 ふっ素及びその化合物】
下水道法水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4) 【26 ふっ素及びその化合物】
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」