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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
2−メトキシエチル=2−[4−(tert−ブチル)フェニル]−2−シアノ−3−オキソ−3−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノアート(別名シフルメトファン)
作成日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称2−メトキシエチル=2−[4−(tert−ブチル)フェニル]−2−シアノ−3−オキソ−3−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノアート(別名シフルメトファン)
化学品の英語名称2-methoxyethyl 2-(4-tert-butylphenyl)-2-cyano-3-oxo-3-[2-(trifluoromethyl)phenyl]propanoate
製品コードR06-S48-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限情報なし

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性皮膚感作性区分1A
発がん性区分2
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分2(副腎)
分類実施日
(環境有害性)
令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性水生環境有害性 長期(慢性)区分1


GHSラベル要素
絵表示健康有害性感嘆符環境
注意喚起語警告
危険有害性情報アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
発がんのおそれの疑い
長期にわたる、又は反復ばく露による副腎の障害のおそれ
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは,医師の診察/手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名2−メトキシエチル=2−[4−(tert−ブチル)フェニル]−2−シアノ−3−オキソ−3−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパノアート
慣用名又は別名シフルメトファン
英語名2-methoxyethyl 2-(4-tert-butylphenyl)-2-cyano-3-oxo-3-[2-(trifluoromethyl)phenyl]propanoate
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C24H24F3NO4 (447.4)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号400882-07-7
官報公示整理番号
(化審法)
-
官報公示整理番号
(安衛法)
7-(4)-1065
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項環境への放出を避けること。
周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材漏出物を回収すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)(吸入性粉じん)2 mg/m3
(総粉じん)8 mg/m3
(第3種粉じん)
ACGIH (2024年版)PNOS* TLV: 3 mg/m3 (Respirable particles)
PNOS* TLV: 10 mg/m3 (Inhalable particles)
* Particles (insoluble or poorly soluble) Not Otherwise Specified
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、不浸透性の保護手袋を着用する。
厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて不浸透性の保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
白色
臭い無臭
融点/凝固点77.9〜81.7 ℃ (GESTIS (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:20℃ 溶けない (GESTIS (2024))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度データなし
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラット(雌)のLD50:> 2,000 mg/kg(OECD TG 420、GLP)(食安委 農薬評価書 (2020)、JMPR (2014)、ECHA RAC Opinion (2017))
経皮(1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 402、GLP)(食安委 農薬評価書 (2020)、JMPR (2014)、ECHA RAC Opinion (2017))
吸入: ガスGHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト(1)からは区分を特定できず、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】
(1)ラットのLC50(4時間):> 2.65 mg/L (OECD TG 403、GLP)(食安委 農薬評価書 (2020)、JMPR (2014)、ECHA RAC Opinion (2017))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、全例で皮膚刺激性反応はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2017)、CLH Report (2016))。
(2)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(GLP、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、全例で皮膚刺激性反応はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(農薬抄録 (2017))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性(1)、(2)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、22日観察)において、結膜発赤が15日後まで持続したが、22日後には回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:1/1.3/0.7、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2017)、CLH Report (2016))。
(2)ウサギ(n=4)を用いた眼刺激性試験(GLP、21日観察)において、非洗眼群(3例)で14日後までごく軽度あるいは軽度の結膜発赤がみられたが、21日後には消失した(非洗眼群3例の角膜混濁スコアの平均:0.0、虹彩炎スコアの平均:0.0、結膜発赤スコアの平均:1.8、結膜浮腫スコアの平均:0.0)との報告がある(農薬抄録 (2017))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性(1)より、区分1Aとした。
【根拠データ】
(1)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:1%懸濁液)において、惹起24、48時間後に全例(100%)で感作性反応として紅斑がみられたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2017)、CLH Report (2016)、農薬抄録 (2017))。
生殖細胞変異原性(1)〜(5)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(OECD TG474、GLP、2回強制経口投与)において、陰性との報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、農薬抄録 (2017)、RAC Opinion (2017))。
(2)ラットの肝細胞を用いたUDS試験((OECD TG486、GLP、単回強制経口投与)において、陰性との報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、RAC Opinion (2017))。
(3)細菌復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)において、陰性との報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、農薬抄録 (2017)、RAC Opinion (2017))。
(4)マウスリンパ腫L5178Y 細胞を用いたマウスリンフォーマTK試験(OECD TG476、GLP)おいて、陽性との報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、RAC Opinion (2017))。
(5)ほ乳類培養細胞(CHL、CHL(V79))を用いた染色体異常試験(OECD TG473、GLP)において、陰性との結果が得られている(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、農薬抄録 (2017)、RAC Opinion (2017))。
発がん性(1)〜(5)より、区分2とした。
【根拠データ】
(1)国内外の分類機関による既存分類では、EPAでS(Suggestive Evidence of Carcinogenic Potential)に分類されている(EPA Annual Cancer Report 2018 (Accessed Oct. 2020):2013年分類)。
(2)ラットの2年間発がん性試験(混餌投与)では、最高投与群(6,000 ppm)で腫瘍性病変として雄に精巣間細胞腫の発生頻度の有意な増加(48/50 例:96%)が認められた。本腫瘍の発生頻度は、試験実施施設における20年間の背景データ(28〜50/50 例:56%〜100%:1993〜2012年)の範囲内であったが、10年間の背景データ(28〜43/50 例:56%〜86%:2003〜2012年)を上回ることから、検体投与の影響と考えられた(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(3)上記(2)のラット発がん性試験結果から、甲状腺C細胞がんの発生頻度の増加傾向もみられた。甲状腺C細胞がんの発生頻度は背景データの範囲を超えていた。C細胞の腺腫とがんの合計頻度には統計的に有意な増加が認められた(CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(4)マウスの18カ月間発がん性試験(混餌投与)では、10,000 ppm投与で発がん性は認められなかった(CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(5)本物質はEPAの2005年発がんリスク評価ではSに分類された。この分類は単一腫瘍(甲状腺C細胞)が動物種1種片性(雄ラット)のみに認められたこと、及び変異原性を欠くことに基づく(US Federal Register Vol. 84, No. 89 (2019))。
【参考データ等】
(6)ラットの2年間発がん性試験(混餌投与)では、1,500 ppmまでの用量で検体投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった。発がん性は認められなかった(食安委 農薬評価書 (2020))。
(7)マウスの18カ月間発がん性試験(混餌投与)では、5,000 ppmまでの用量で検体投与により発生頻度の増加した腫瘍性病変は認められなかった。発がん性は認められなかった(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(8)EUのCLP分類提案者はラットの6,000 ppm投与群では雄に精巣間細胞腫と甲状腺C細胞の腺腫とがんの合計発生率の増加が認められると報告した。このうち、精巣の間細胞腫はF344ラットでは好発性の腫瘍でこの腫瘍の発生増加は分類する上で考慮する上必要はないとした。しかし、甲状腺C細胞の腺腫/がんは最新の背景データの範囲を上回り、検体投与による影響と考えられた。雄ラットの甲状腺C細胞腫瘍の発生増加に基づき、CLP分類としてCarc. 2が提案された(CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。ECHAのRACは、背景頻度を上回るとの現実的なシグナルが示されたとはいえ、発がん性の証拠は弱く、RACがCarc. 2の分類を保証するには不確実性が高いと疑問を呈した(ECHA RAC Opinion (2017))。
生殖毒性(1)〜(4)より、区分に該当しない。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、GLP)において、500 ppm及び1,500 ppmで親動物に副腎への影響(絶対及び比重増加、球状帯び漫性細胞肥大、束状帯び漫性細胞肥大)がみられ、児動物にも同様の所見がみられた。また、その他の所見として、500 ppmで親動物に卵胞刺激ホルモン及びプロゲステロン濃度低下(F1)、児動物に膣開口遅延(F1雌)、1,500 ppmでは500 ppmでみられた影響に加えて、親動物に一般毒性影響(下垂体絶対又は比重量増加、体重増加量抑制など)、卵巣絶対及び比重量増加(P雌)、卵巣間質細胞空胞化、17β-エストラジオール濃度低下、平均発情周期延長(F1雌)、児動物に包皮分離遅延(F1雄)、体重増加抑制(F2)がみられた。なお、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017))。
(2)(1)の試験において、F1雌の高用量群にみられた発情周期の延長は背景データの範囲内、中用量以上でみられた血清FSH・プロゲステロンの低下と高用量群の17β-エストラジオールの低下及び卵巣の間質細胞空胞化は試験動物数が少ないことから、本物質の投与による繁殖影響としての妥当性については議論の余地があるとされ、本物質の繁殖能への影響として分類する必要はないとの判断が示された(CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017) )。
(3)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠6〜19日)において、250 mg/kg/dayで親動物に副腎重量増加及び副腎皮質細胞空胞化、胸骨分節不完全骨化の胎児を有する母動物数増加がみられたが、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016))。
(4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、妊娠6〜28日)において、250 mg/kg/dayで児動物に腰椎の骨化数減少、1,000 mg/kg/dayで親動物に摂餌量減少、体重増加抑制、胎盤重量低下、児動物に腰椎の骨化数減少、低体重、角張った舌骨翼増加、胸骨分節不完全骨化がみられたが、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016))。
【参考データ等】
(5)ラット及びウサギを用いた発生毒性試験では、胎児の発生影響として非可逆性の構造的影響の報告はなく、発生影響についてEU-CLPの規準として分類する必要はないとの判断が示された(CLH Report (2016))。また、RACは受胎能、性機能及び児動物の発生影響に対して分類区分を付す必要はないと判断した(ECHA RAC Opinion (2017))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)(1)〜(4)より、経口及び経皮経路では区分に該当しない。なお、(3)は区分2上限付近の用量における影響が不明のため、分類に利用できない。ただし、吸入経路での分類に十分な情報がなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】
(1)ラット(雌)を用いた単回経口投与試験(OECD TG 420、GLP)において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で軟便(1例)がみられ、死亡例はなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(2)ラットを用いた強制経口投与による急性神経毒性試験において、2,000 mg/kg(区分2の範囲)で一般状態や行動に変化はなく、本物質は急性神経毒性を有しないと結論付けられたとの報告がある(CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(3)ラットを用いた単回経皮投与試験(OECD TG 402、GLP)において、5,000 mg/kg(区分に該当しない範囲)で症状及び死亡例はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(4)ラットを用いた単回吸入(粉じん)ばく露試験(OECD TG 403、GLP)において、2.65 mg/L(区分2の範囲)で過大呼吸、鼻及び下顎周囲の褐色化がみられ、死亡例はなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)(1)〜(4)より、標的臓器は副腎と考えられ、区分2の用量範囲で影響がみられることから、区分2(副腎)とした。
【根拠データ】
(1)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、1,000 ppm以上(54.5 mg/kg/day(雄)、62.8 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で副腎影響(び漫性皮質細胞空胞化(雄)、副腎比重量増加・副腎び漫性皮質細胞肥大(雌))、肝比重量増加(雄)、卵巣間質細胞空胞化(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(2)ラットを用いた混餌投与による1年間慢性毒性試験(OECD TG 452、GLP)において、1,500 ppm(56.8 mg/kg/day(雄)、69.2 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で血液系影響(RBC増加、MCH及びMCV減少等)、副腎影響(雌:絶対及び比重量増加、雌雄:び漫性皮質細胞肥大)、肝臓影響(雄:絶対及び比重量増加・び漫性肝細胞肥大)、卵巣影響(間質細胞空胞化がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(3)イヌを用いたカプセル投与による1年間慢性毒性試験(OECD TG 452、GLP)において、300 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)で副腎影響(副腎皮質細胞の微細空胞形成・大型空胞出現・副腎束状帯から網状帯に限局性リンパ球浸潤・副腎皮質細胞の変性、TG減少・副腎皮質に褐色色素含有マクロファージ浸潤(雄)、副腎間質線維化(雌))がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
(4)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 451、GLP)において、1,500 ppm(49.5 mg/kg/day(雄)、61.9 mg/kg/day(雌)、区分2の範囲)で副腎び漫性皮質細胞肥大、子宮角の腺腔拡張(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、農薬抄録 (2017)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
【参考データ等】
(5)ラットを用いた28日間反復経皮投与試験(OECD TG 410、GLP、6時間/日、5日/週)において、1,000 mg/kg/day(ガイダンス値換算:222.2 mg/kg/day)で影響がみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2020)、CLH Report (2016)、ECHA RAC Opinion (2017))。
誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)データ不足のため分類できない
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性がなく(BIOWIN)、藻類(ムレミカヅキモ)の72時間NOEC(Biomass/growth rate) = 0.0396 mg/L(EU CLP CLH, 2016)から、区分1とした。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報特別管理産業廃棄物に該当する。
特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬又は処分を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3077
品名(国連輸送名)環境有害物質、固体、他に品名が明示されていないもの
国連分類9
副次危険-
容器等級III
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【シアン化水素、シアン化ナトリウム等のシアン化合物】
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【409 2−(4−ターシャリ−ブチルフェニル)−2−シアノ−3−オキソ−3−(2−トリフルオロメチルフェニル)プロパン酸=2−メトキシエチル(別名シフルメトフェン)】
毒物及び劇物取締法劇物・除外品目(指定令第2条)【2−メトキシエチル=(RS)−2−(4−t−ブチルフェニル)−2−シアノ−3−オキソ−3−(2−トリフルオロメチルフェニル)プロパノアート(別名シフルメトフェン)及びこれを含有する製剤】
水道法水質基準(平15省令101号) 【10 シアン化物イオン及び塩化シアン】【12 フッ素及びその化合物】
水質汚濁防止法有害物質(法第2条、施行令第2条) 【2 シアン化合物】【12 ふつ素及びその化合物】
土壌汚染対策法第2種特定有害物質(法第2条第1項、施行令第1条) 【22 ふっ素及びその化合物】【5 シアン化合物】
下水道法水質基準物質(法第12条の2第2項、施行令第9条の4) 【26 ふっ素及びその化合物】 【2 シアン化合物】
廃棄物処理法廃棄物の処理及び清掃に関する法律_特別管理産業廃棄物(法第2条第5項、施行令第2条の4) 【第5号ホ、ルの7 シアン化合物を含むもの(特定有害産業廃棄物・指定下水汚泥、汚泥、廃酸又は廃アルカリ及びそれらの処理物)】
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」