| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | アルミニウム=トリス(エチル=ホスホナート)(別名ホセチル) | ||
| 化学品の英語名称 | Aluminium triethyl triphosphonate | ||
| 製品コード | R06-S69-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 農薬(殺菌剤)(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和2年度(2020年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3(気道刺激性、麻酔作用) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1(呼吸器) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 令和3年度(2021年度)、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分1 | |
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 区分1 | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 重篤な眼の損傷 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 環境への放出を避けること。 | ||
| 応急措置 | 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは,医師の診察/手当てを受けること。 漏出物を回収すること。 | ||
| 保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | アルミニウム=トリス(エチル=ホスホナート) | ||
| 慣用名又は別名 | ホセチル、ホセチルアルミニウム トリス(ホスホン酸エチル)=アルミニウム(V)塩 | ||
| 英語名 | Aluminium triethyl triphosphonate | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C6H18AlO9P3(354.1) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 39148-24-8 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | - | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | 2-(7)-331 | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 眼に入った場合 | 水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。 | ||
| 特有の消火方法 | 火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。 延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。 消火活動は風上から行う。 火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 関係者以外の立ち入りを禁止する。 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 環境への放出を避けること。 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 漏出物を回収すること。 飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 粉じんを発生させないようにする。 | ||
| 接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
| 衛生対策 | この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 保管場所には危険・有害物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な照明及び換気の設備を設ける。静電気放電に対する予防措置を講ずること。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | |||
| 手の保護具 | 手に接触する恐れがある場合、不浸透性の保護手袋を着用する。 厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。 | |||
| 眼の保護具 | 眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて不浸透性の保護衣、保護エプロン等を着用する。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | データなし | ||
| 臭い | データなし | ||
| 融点/凝固点 | 215 ℃ (SRC PhysProp Database) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | データなし | ||
| 可燃性 | データなし | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | > 200 ℃ (GESTIS (2024)) | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:120 g/L (20℃) (GESTIS (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | log Kow:-2.4 (SRC PhysProp Database) | ||
| 蒸気圧 | データなし | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 約1.25 g/cm3 (20℃) (GESTIS (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。 | ||
| 避けるべき条件 | 直射日光を避け、冷暗所に保管する。 | ||
| 混触危険物質 | 酸化剤、還元剤等 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | (1)〜(9)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50:11,300 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (2)ラット(雌)のLD50:10,600 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (3)ラット(雄)のLD50:約6,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (4)ラット(雌)のLD50:約5,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (5)ラット(雄)のLD50:約9,500 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (6)ラット(雌)のLD50:約8,200 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (7)ラットのLD50:> 7,080 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (8)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(JMPR (2017)) (9)ラットのLD50:5,400 mg/kg(EPA Pesticides RED (1990)) | |||
| 経皮 | (1)〜(4)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 3,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (2)ラットのLD50:> 5,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)) (3)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2016)、JMPR (2017)) (4)ウサギのLD50:> 2,000 mg/kg(EPA Pesticides RED (1990)) | |||
| 吸入: ガス | GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。 | |||
| 吸入: 蒸気 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | (1)より、区分に該当しない。なお、(1)は食安委 農薬評価書記載の毒性情報であり、ばく露時間は4時間と考えた。 【根拠データ】 (1)ラットのLC50(粉じん):> 5.11 mg/L(食安委 農薬評価書 (2016)、JMPR (2017)) 【参考データ等】 (2)ラットのLC50(粉じん):> 1.67 mg/L(食安委 農薬評価書 (2016)) (3)ラットのLC50:> 1.73 mg/L(EPA Pesticides RED (1990)) | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | (1)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(7日観察)において、無傷皮膚、擦過皮膚に適用したところ、いずれも刺激性変化はみられなかったとの報告がある(EPA Pesticides RED (1990)、農薬工業会:「農薬時代第159号 (1989)」)。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | (1)、(2)より、区分1とした。 【根拠データ】 (1)ウサギを用いた眼刺激性試験において、中程度から重度の刺激性がみられたとの報告がある(JMPR Report (2017))。 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP)において、重度の刺激性がみられたとの報告がある(JMPS (2013))。 | |||
| 呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | (1)〜(3)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)モルモットを用いたMaximisation試験において、感作性は陰性であった(食安委 農薬評価書 (2016))。 (2)モルモットを用いたMaximisation試験において、陰性であった(JMPR (2017))。 (3)本物質は皮膚感作性物質ではない(EFSA (2019))。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | (1)〜(4)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)マウスを用いた小核試験(単回経口投与)において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、EFSA (2019))。 (2)細菌復帰突然変異試験において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、EFSA (2019))。 (3)マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、EFSA (2019))。 (4)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を用いた染色体異常試験において陰性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、EFSA (2019))。 | |||
| 発がん性 | (1)〜(3)より、区分に該当しない。ガイダンスに基づき、(3)の結石による膀胱粘膜への物理的刺激による腫瘍は、ヒトの発がん性を否定できる機序と考えられる。 【根拠データ】 (1)国内外の分類機関による既存分類としては、EPAでNL(Not Likely To Be Carcinogenic To Humans)に分類されている(EPA Annual Cancer Report (2019))。 (2)ラット及びマウスの混餌投与による2年間発がん性試験において、ラットでは最高用量の30,000 ppm(1,370/1,790 mg/kg/day)群の雄に膀胱移行上皮腫瘍の発生増加が認められた。一方、マウスでは30,000 ppm(3,960/4,550 mg/kg/day)まで投与されたが、発がん性の証拠はみられなかった(食安委 農薬評価書 (2016)、JMPR (2017)、EFSA (2019))。 (3)ラットの膀胱腫瘍の発生機序について検討された結果、本物質の大量投与(> 1,000 mg/kg/day)では尿中にリン酸カルシウムの沈殿物による結石が生じ、長期反復ばく露により尿路上皮への刺激、炎症、細胞毒性が持続した結果、膀胱及び腎臓で過形成が生じ移行上皮腫瘍の発生を誘発すると考えられた。なお、ヒトではリン酸カルシウムの沈殿が生じるような溶解度限界まで高ばく露量は起こり得ないと結論された(JMPR (2017)、EFSA (2019))。 | |||
| 生殖毒性 | (1)〜(4)より、区分に該当しない。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投与による三世代生殖毒性試験において、12,000 ppmで親動物に体重低下、F3児動物に生存児体重増加抑制、膀胱の病理組織変化がみられたが、繁殖能に対する影響は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、JMPR (2017)、EFSA (2019))。 (2)ラットを用いた強制経口投与による発生毒性試験(妊娠6〜15日)において、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、JMPR (2017))。 (3)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(妊娠4〜28日)において、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、JMPR (2017))。 (4)ウサギを用いた強制経口投与による発生毒性試験(妊娠6〜16日)において、催奇形性は認められなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | (1)、(2)より、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回吸入(粉じん)ばく露試験において、1.67 mg/L(区分2の範囲)で口腔内部をなめる動作、瞬目、呼吸困難、あえぎ、息切れがみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016))。 (2)別のラットを用いた単回吸入(粉じん)ばく露試験において、5.11 mg/L(区分に該当しない範囲)で被毛の湿り、努力呼吸及び呼吸数の減少、背弯姿勢、立毛、喘鳴、眼瞼下垂、つま先歩行及び嗜眠がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016))。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | (1)より、標的臓器は呼吸器と考えられ、区分1の用量範囲で影響がみられることから、区分1(呼吸器)とした。なお(2)、(3)にみられる泌尿器影響は、(4)より、尿中のリン酸カルシウムの沈殿物による結石生成に起因するものであり、ヒトにおいて生じ得ないと示されていることから除外した。 【根拠データ】 (1)ラットを用いた21日間反復吸入(粉じん)ばく露試験(6時間/日、4または5日/週)において、10 mg/m3(ガイダンス値換算:0.0013 mg/Lまたは0.0017 mg/L、区分1の範囲)以上で喉頭の過形成、肺胞の肥厚、細気管支上皮/間質の変化等、呼吸器に病理組織変化がみられ、1,000 mg/m3(ガイダンス値換算:0.13 mg/Lまたは0.17 mg/L、区分2の範囲)で骨髄影響(巨核球の核濃縮)及び膀胱影響(移行上皮過形成)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016))。 (2)ラットを用いた混餌投与による90日間反復経口投与試験において、30,000 ppm(2,340 mg/kg/day(雄)、2,630 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で酸性尿、雄に、尿潜血・腎及び膀胱結石・腎臓間質/リンパ球浸潤、腎盂嚢胞状拡張、腎杯移行上皮過形成、近位尿細管上皮/ヒアリン小滴・膀胱移行上皮過形成がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016))。 (3)ラットを用いた混餌投与による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、8,000 ppm(348 mg/kg/day(雄)、450 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で腎臓の嚢胞・膀胱の炎症(雄)がみられ、30,000 ppm(1,370 mg/kg/day(雄)、1,790 mg/kg/day(雌)、区分に該当しない範囲)で、雄に、膀胱結石、石灰沈着・水腎・脳のスポンジ様変性・精巣の炎症・精嚢の炎症・膀胱の移行上皮過形成がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2016)、JMPR (2017))。 (4)ラットの膀胱腫瘍の発生機序について検討された結果、本物質の大量投与(> 1,000 mg/kg/day)では尿中にリン酸カルシウムの沈殿物による結石が生じ、長期反復ばく露による尿路上皮への刺激、炎症、細胞毒性の持続した結果、膀胱及び腎臓で過形成が生じ移行上皮腫瘍の発生を誘発すると考えられた。ヒトではリン酸カルシウムの沈殿が生じるような溶解度限界まで高ばく露量は起こり得ないと結論された(JMPR (2017)、EFSA (2019))。 | |||
| 誤えん有害性* | データ不足のため分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 藻類(珪藻)7日間EC50 = 0.84 mg/L(EPA Pesticides RED, 1990、OPP Pesticide Ecotoxicity Database)であることから、区分1とした。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性がなく(BIOWIN)、急性毒性は区分1であることから、区分1とした。 | ||
| 残留性・分解性 | 情報なし | ||
| 生態蓄積性 | 情報なし | ||
| 土壌中の移動性 | 情報なし | ||
| オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。 | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 3077 | |||
| 品名(国連輸送名) | 環境有害物質、固体、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 9 | |||
| 副次危険 | - | |||
| 容器等級 | III | |||
| 海洋汚染物質 | 該当する | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 171 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【37 アルミニウム及びその水溶性塩】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降)【4 アルミニウム及びその水溶性塩】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【37 アルミニウム及びその水溶性塩】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年4月1日以降)【4 アルミニウム及びその水溶性塩】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【46 アルミニウム=トリス(エチル=ホスホナート)(別名ホセチル又はホセチルアルミニウム)】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 水道法 | 水質基準(平15省令101号) 【33 アルミニウム及びその化合物】 | |||
| 水質汚濁防止法 | 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)【44 アルミニウム及びその化合物】 | |||
| 船舶安全法 | 有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||