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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール
作成日 2009年3月30日
改訂日 2024年3月29日
化学品の名称5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール
化学品の英語名称5-Chloro-2-(2,4-dichlorophenoxy)phenol
製品コードR05-C-021-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限殺虫剤,樹脂添加剤,医薬部外品添加物(殺菌消毒剤) (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版 (Ver2.1))を使用  ※一部、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性-
分類実施日
(環境有害性)
R4.3.31、ガイダンスVer.2.0 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分1
水生環境有害性 長期(慢性)区分1
GHSラベル要素
絵表示環境
注意喚起語警告
危険有害性情報水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策環境への放出を避けること。
 応急措置漏出物を回収すること。
 保管-
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール
慣用名又は別名トリクロサン
2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル
5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール
英語名5-Chloro-2-(2,4-dichlorophenoxy)phenol
Triclosan
2,4,4'-trichloro-2'-hydroxydiphenyl ether
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C12H7Cl3O2 (290)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号3380-34-5
官報公示整理番号(化審法)9-381, 9-922
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。呼吸が止まっている場合は、人工呼吸を行う。医師に連絡すること。
以上、ERG参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。直ちに皮膚に付着した部分を流水で少なくとも20分間洗浄する。医師に連絡すること。
以上、ERG参照。
眼に入った場合直ちに流水で少なくとも20分間洗浄する。医師に連絡すること。
以上、ERG参照。
飲み込んだ場合医師に連絡すること。
以上、ERG参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状皮膚:刺激。
眼:刺激。
以上、PubChem参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(塩化水素、一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
こぼれた物質を密閉式容器内に掃き入れる。
残留分を注意深く集め、安全な場所に移す。
粉塵の拡散を防ぐ。
この物質を環境中に放出してはならない。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項容器を開けたままにしない。漏出を避ける。粉じんの発生を避ける。使用する場合は十分な換気を確保すること。
以上、GESTIS参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策皮膚や眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所に保管すること。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)TLV-TWA: 1 mg/m3(Skin)
設備対策作業場所には換気設備を設置する。粉じんが放出される可能性がある場合は、十分な換気が必要である。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設け、標識を付ける。床に排水溝を設けないこと。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具緊急時(例:意図しない物質の放出)には、呼吸保護具を着用する。
作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。
防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。
−酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。
−防じんマスクは、国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
手の保護具必要に応じて保護手袋を使用すること。手袋の材質は、物質に対する十分な不浸透性と耐性を備えていなければならない。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じてサイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて適切な保護衣または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
白色〜ベージュ
臭い無臭〜わずかな芳香臭
融点/凝固点56〜58 ℃(GESTIS(2023))
54〜57.3 ℃(HSDB in PubChem(2023))
沸点、初留点及び沸騰範囲280〜290 ℃(分解)(HSDB in PubChem(2023))
加熱により分解する。(GESTIS(2023))
可燃性可燃性、低引火性(GESTIS(2023))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点223 ℃(GESTIS(2023))
自然発火点データなし
分解温度280〜290 ℃(GESTIS(2023))
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水: 0.01 g/L(20℃)(GESTIS(2023))
水: 10 mg/L(20℃)(HSDB in PubChem(2023))
メタノール、アルコール、アセトン:(可溶)(HSDB in PubChem(2023))
n-オクタノール/水分配係数log Kow: 4.76(GESTIS(2023)、HSDB in PubChem (2023))
蒸気圧0.0000046 mmHg(HSDB in PubChem (2023))
密度及び/又は相対密度データなし
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性情報なし
避けるべき条件情報なし
混触危険物質強酸化剤
危険有害な分解生成物情報なし

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットLD50値3700mg/kg(RTECS(2003))、マウス4530mg/kg(RTECS(2003))のデータがあり、ラットLD50値3700mg/kgはマウスのLD50 と大差ないことからJIS分類で区分に該当しない(国連分類で区分5)とした。
経皮LD50値9300mg/kg(RTECS(2003))のデータがあるが、区分に該当しないにするにはリスト3のデータでありデータ不足で分類できないとした。
吸入: ガスGHS定義における固体である。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストデータなし。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギのDraize test でmild(RTECS(2003))及びヒトのDraize test でmild(RTECS(2003))のデータから、区分に該当しない(国連分類で区分3)とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性データなし。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性動物試験の報告はないが、症例および疫学情報として、被検物質含有石鹸水を用いたヒトの感作性試験で陰性の結果(HSDB in PubChem (Accessed 2004))がある、一方、blind half-side usage test でそう痒や紅斑を引き起こしたことから、感作性物質の可能性の報告(HSDB in PubChem (Accessed 2004))及び被検物質含有の脱臭効果のある足用のパウダーが原因のアレルギー性接触皮膚炎の患者が被検物質のパッチテストで陽性(HSDB in PubChem (Accessed 2004))で感作性の可能性とあるが、陽性と陰性の判断がつかないことから分類できないとした。
生殖細胞変異原性In vivo のデータとして、マウススポット試験で、毒性を示す用量域で試験を実施したが、メタノールを投与したコントロールに比べて投与群の体細胞突然変異の有意な上昇はみられない(HSDB in PubChem (Accessed 2004))と記載されている。毒性を示すばく露範囲の試験であることから、この試験のみでは分類できないとした。In vitro の試験情報はない。
発がん性【分類根拠】
(1)〜(3)より、動物試験結果からはラットとハムスターで陰性であり、マウスの試験のみで肝臓腫瘍の発生増加が認められたが、(4)、(5)より、本物質のマウス肝発がん性の作用機序として、PPARαを介した作用機序はヒトへの外挿性が低いと判断したため、分類できない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直したが、変更はない(2023年度)。

【根拠データ】
(1)マウスを用いた18ヵ月間混餌投与による発がん性試験(OECD TG451、GLP)では、雌雄ともに低用量(10 mg/kg/day)から用量依存的(30 mg/kg/day以上で統計的に有意)に肝臓腫瘍(肝細胞腺腫と肝細胞がんの組合せ)の発生率の有意な増加が認められた(SCCS (2009)、NICNAS PEC (2009)、Canada CMP (2016)、ACGIH (2023)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2023))。
(2)ラットを用いた104週間混餌投与による発がん性試験(OECD TG453、GLP)では、最高用量の1,000 ppm(雄:127 mg/kg/day、雌:190 mg/kg/day)まで、肝臓を含めいずれの臓器にも腫瘍発生の増加は認められなかった(SCCS (2009)、NICNAS PEC (2009)、Canada CMP (2016)、ACGIH (2023)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2023))。
(3)ハムスターを用いた90週間(雌)又は95週間(雄)混餌投与による発がん性試験(OECD TG451、GLP)では、雌雄とも生存率低下と体重増加抑制がみられる最高用量(250 mg/kg/day)までいずれの臓器にも腫瘍発生の増加はみられなかった(SCCS (2009)、Canada CMP (2016)、ACGIH (2023)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2023))。
(4)本物質はマウスの肝臓においてペルオキシソーム増殖作用を有し、本物質のマウスにおける肝発がんの主な作用機序として、ペルオキシソーム増殖活性α受容体(PPARα)の活性化であることを支持する十分な証拠がある(Canada CMP (2016)、SCCS (2009)、ACGIH (2023))。
(5)(4)のマウス肝臓腫瘍の作用機序仮説は理論的にはヒトにも妥当性が高い。ただ、ヒトの細胞にはPPARαが含まれるが、その活性はマウスの肝細胞における活性の約1/10と低い。したがって、ヒトの肝臓はマウスの肝臓よりもペルオキシソーム増殖に対して低感受性であると推測される。また、げっ歯類の既知発がん物質であるペルオキシソーム増殖物質(脂質低下薬を含む)はヒトを含む他の動物種でも発がん性を有することは示されていない。すなわち、PPARα活性の定量的な種差とトキシコキネティクスの種差に基づけば、作用機序仮説による本物質誘発性の発がん性について、米国EPAは定量的に妥当性がなく、ヒトでは起こり得ないとの見解を示した(Canada CMP (2016)、ACGIH (2023))。

【参考データ等】
(6)国外の評価機関による発がん性分類では、EPAでNLに(EPA OPP Annual Cancer Report (2022))、ACGIHでA3に(ACGIH (2023))分類されている。
生殖毒性ラットの雌に妊娠7-17日間に経口投与した試験で、胚への影響、胎児死亡の記述(RTECS(2008))はあるが、毒性所見の詳細な記載はない、この報告のみではデータ不足で分類できない。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)データなし。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ラットの4週間の経口投与試験で、病理組織学的検査を実施と記載(HSDB(2004))されているが、詳細なデータの記述はない。またラットの亜急性経皮毒性試験では、毒性所見として全身毒性は認められなかったとの記述(HSDB(2004))がある。これらの情報のみではデータ不足で分類できない。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)藻類(アナベナ属)96時間ErC50 = 0.0016 mg/L(NICNAS, 2009、SIAP, 2010)であることから、区分1とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性がなく(難分解性、BODによる分解度:0%(METI既存点検結果, 1983))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.00034 mg/L(MOE既存点検結果, 1996)から、区分1とした。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号3077
品名(国連輸送名)環境有害性物質(固体)、n.o.s.
国連分類9
副次危険-
容器等級V
海洋汚染物質該当
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法-
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
毒物及び劇物取締法-
水質汚濁防止法指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
修正履歴
R6.3.29:
・危険有害性の分類について物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。
・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。