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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
ペルフルオロデカン酸 (別名 PFDA)
作成日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称ペルフルオロデカン酸 (別名 PFDA)
化学品の英語名称Perfluorodecanoic acid
製品コードR06-A-008-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限情報なし

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分3
生殖毒性区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (免疫系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (肝臓、免疫系)
分類実施日
(環境有害性)
-
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)-
水生環境有害性 長期(慢性)-

GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
授乳中の子に害を及ぼすおそれ
免疫系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓、免疫系の障害
注意書き
 安全対策取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。
 応急措置飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名ペルフルオロデカン酸
慣用名又は別名PFDA
英語名Perfluorodecanoic acid
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C10HF19O2 (514)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号335-76-2
官報公示整理番号
(化審法)
2-2659
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性一般的な注意として、粉末状物質の場合は、ある条件下では粉じん爆発を起こす可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項すべての安全上の注意を読み、理解するまでは、取り扱わないこと。
粉じんを発生させないようにする。 
粉じん・ミストを吸い込まないこと。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
接触回避酸化剤、還元剤等
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。
保管
安全な保管条件高温、多湿を避け室温で保管する。
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)-
ACGIH (2024年版)-
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。
取り扱い場所の近くに洗浄のための設備を設ける。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体
白色
臭いデータなし
融点/凝固点87.4〜88.2 ℃ (EU REACH SVHC (2016))
沸点、初留点及び沸騰範囲218 ℃ (実測値) (EU REACH SVHC (2016))
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:5.14 g/L (25℃) (EU REACH SVHC (2016))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:6.5 (EU REACH SVHC (2016))
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度データなし
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1) より区分3とした。

【根拠データ】
(1) マウスのLD50:120 mg/kg (ATSDR (2021))
経皮【分類根拠】
データがなく分類できない。
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データがなく分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データがなく分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
データがなく分類できない。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) PFDA (本物質) とPFOAは比較的強い酸であり、生理学的pHでそれぞれの陰イオン型に解離すると推測される。酸(PFDAとPFOA)とその塩は、それぞれの対応するカルボン酸アニオン(PFDとPFO)の形で細胞に利用されると予測されるため、毒性学的に同等であると考えられる (RAC Opinion (2015)) 。
(2) PFOAの本項分類は区分1である (2015年度政府GHS分類結果) 。
呼吸器感作性【分類根拠】
データがなく分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
データがなく分類できない。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) 雄ラットに2週間混餌投与後に肝臓DNA中の8-OH-dGレベルの増加が認められたが、腎臓DNAではみられなかった (ATSDR (2021)) 。
発がん性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1) ヒトでは本物質ばく露と乳がんリスク増加との関連の報告が1件ある。前立腺がん全体と本物質との間に関連性はないとの報告がある (ATSDR (2021)) 。
(2) 国内外の評価機関による発がん分類では、EUでCarc. 2に分類されている (CLP分類結果 (Accessed June 2024)) 。
(3) 構造関連物質のペルフルオロオクタン酸 (PFOA: CAS登録番号 335-67-1) について、国内外の評価機関による発がん性分類では、PFOA及びその塩として、IARCでグループ1 (IARC 135 (in prep)) 、日本産業衛生学会で2B (産衛学会許容濃度等の勧告 (2023)) 、EUでCarc. 2 (CLP分類 (Accessed June 2024 )) 、DFGでCat. 4 (List of MAK and BAT values (2024)) に、PFOAのアンモニウム塩 (APFO: CAS登録番号 3825-26-1) としてACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。
生殖毒性【分類根拠】
(1) 、 (2) より、区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分とした。

【根拠データ】
(1) 本物質の妊娠マウスを用いた強制経口投与 (0.03〜12.8 mg/kg/day、妊娠6〜15日) による発生毒性試験では、母動物に体重増加抑制がみられる最高用量 (12.8 mg/kg/day) において、一腹当たりの生存胎児数の減少が認められた。胎児には低用量 (1 mg/kg/day) から低体重がみられる (ATSDR (2021)) 。
(2) 日本、韓国、中国の90人の母乳サンプル中のペルフルオロカルボン残含有量が分析された結果、本物質 (PFDA) のヒト母乳中の平均濃度は<15〜21.3 pg/mLの範囲であった。また、米国マサチューセッツ州の女性の母乳45サンプル中の4サンプルからも検出された (濃度範囲<7.72-11.1 pg/mL)。ただし、スペインのバルセロナ市に住む女性のほとんどの母乳サンプルからは、PFDAは定量限界未満であった (RAC Opinion (2015)) 。

【参考データ等】
(3) 疫学研究報告において、本物質ばく露との関連が明らかであると示唆された生殖発生影響はない (ATSDR (2021)) 。
(4) EUではRepr. 1B、Lact. (授乳に対するまたは授乳を介した影響) に分類されている (CLP分類 (Accessed June 2024)) 。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1) より、区分1 (免疫系) とした。

【根拠データ】
(1) マウスを用いた単回経口投与試験では、死亡例では左心室に壁在血栓症がみられ、関連が示唆されている。投与30日後に20 mg/kg/day以上で肝臓重量の増加と肝細胞肥大、80又は160 mg/kg/day以上でT3の2倍、T4の4倍高値、免疫系組織への影響 (脾臓重量減少、胸腺及び脾臓の萎縮とリンパ球枯渇) がみられた (ATSDR (2021)) 。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1) 、 (2) より、区分1 (肝臓、免疫系) とした。

【根拠データ】
(1) 雌ラットを用いた28日間経口投与試験で、0.25 mg/kg/day (90日換算値: 0.08 mg/kg/day、区分1) 以上で血液 (MCH及びMCHCの減少) 、肝臓常在性マクロファージの貪食作用低下、0.5 mg/kg/day (90日換算値: 0.16 mg/kg/day、区分1) 以上で肝細胞の単細胞壊死が認められたが、液性/細胞性免疫、免疫担当細胞の機能への有害影響については確認できなかった。なお、1 mg/kg/day (90日換算値: 0.31 mg/kg/day、区分1) では体重増加量の減少 (-21%) が認められた (ATSDR (2021)) 。
(2) 雌マウスを用いた4週間経口投与試験 (1回/週) では、1.25 mg/kg/day (90日換算値: 0.04 mg/kg/day、区分1) 以上で脾臓のT細胞、T細胞サブセット及びマクロファージの数の減少が認められた (同上) 。

【参考データ等】
(3) ATSDRによる疫学研究調査からは、本物質ばく露と血清脂質 (特に総コレステロール、LDL-コレステロール) の増加、並びに免疫影響 (ワクチンに対する抗体反応低下) との関連が示唆されたが、因果関係は明らかでない (ATSDR (2021)) 。
(4) 本物質 (PFDA) とそのナトリウム塩及びアンモニウム塩の構造はPFOA及びAPFOの構造と化学的特性が非常に類似しているため、PFOA/APFOのデータからのデータギャップの補完が可能である (RAC Opinion (2015))。
(5) PFOA (C8) の本項分類は区分1 (肝臓、免疫系) である (2024年度政府GHS分類結果) 。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)-
水生環境有害性 長期(慢性)-
残留性・分解性-
生態蓄積性-
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性-

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2811
品名(国連輸送名)その他の毒性固体、有機物、他に品名が明示されていないもの
国連分類6.1
副次危険該当しない
容器等級III
海洋汚染物質-
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*154
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法-
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」