1.化学品等及び会社情報 | |||
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化学品等の名称 | ペルフルオロオクタン酸 (Perfluorooctanoic acid) | ||
製品コード | H27-B-028 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 半導体用、消火剤、撥水剤、紙の表面処理剤、樹脂改質剤 (NITE調査) |
2.危険有害性の要約 | ||||
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GHS分類 | ||||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | H27.10.31、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用 | |||
GHS改訂4版を使用 | ||||
健康に対する有害性 | 急性毒性(経口) | 区分4 | ||
皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | |||
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | |||
発がん性 | 区分2 | |||
生殖毒性 | 区分1A 追加区分:授乳に対する、又は授乳を介した影響 | |||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | |||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (中枢神経系、肝臓)、区分2 (骨髄) | |||
分類実施日 (環境有害性) | 平成24年。政府向けGHS分類ガイダンス (H22.7版) を使用 GHS改訂4版を使用 | |||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分3 | ||
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。 | ||||
GHSラベル要素 | ||||
絵表示 | ||||
注意喚起語 | 危険 | |||
危険有害性情報 | 飲み込むと有害 皮膚刺激 重篤な眼の損傷 吸入すると有毒 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、肝臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による骨髄の障害のおそれ 水生生物に有害 | |||
注意書き | ||||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | |||
応急措置 | 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が必要である。(このラベルの・・・を見よ) 口をすすぐこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。 医師に連絡すること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | |||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | |||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | |||
他の危険有害性 | データなし |
3.組成及び成分情報 | |||
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単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | ペルフルオロオクタン酸 | ||
別名 | ペンタデカフルオロオクタン酸 (Pentadecafluorooctanoic acid)、ペルフルオロカプリル酸 (Pentadecafluorocaprylic acid)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-ペンタデカフルオロオクタン酸 (2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-Pentadecafluorooctanoic acid) | ||
濃度又は濃度範囲 | 100% | ||
分子式 (分子量) | C8HF15O2 (414.07) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 335-67-1 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 2-2659 2-1182 | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | データなし | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | データなし |
4.応急措置 | |||
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吸入した場合 | 新鮮な空気、安静。医療機関に連絡する。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 汚染された衣服を脱がせる。洗い流してから水と石鹸で皮膚を洗浄する。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
眼に入った場合 | 水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
飲み込んだ場合 | 口をすすぐ。多量の水を飲ませる。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 吸入 : 咳、咽頭痛。気道を刺激する。 皮膚 : 発赤、痛み。皮膚を刺激する。 眼 : 発赤、痛み、かすみ眼。眼を刺激する。 経口摂取 : 腹痛、吐き気、嘔吐 長期または反復暴露の影響:実験動物では腫瘍が見つけられているが、人では不明である。 | ||
応急措置をする者の保護 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
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消火剤 | 粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素、砂 | ||
使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
特有の危険有害性 | 当該製品は分子中にハロゲン (F) を含有しているため火災時に刺激性もしくは有毒なヒューム (又はガス) を放出する。 | ||
特有の消火方法 | 周辺の火災時:適切な消火薬剤を用いる。 消火作業は、風上から行う。 周辺火災の場合に移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。 火災発生場所の周辺に関係者以外の立入りを禁止する。 関係者以外は安全な場所に退去させる。 | ||
消火を行う者の保護 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 |
6.漏出時の措置 | |||
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人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 作業には、必ず保護具 (手袋・眼鏡・マスクなど) を着用する。 多量の場合、人を安全な場所に退避させる。 必要に応じた換気を確保する。 | ||
環境に対する注意事項 | 漏出物を河川や下水に直接流してはいけない。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 漏出したものをすくいとり、または掃き集めてふた付、非金属製の容器またはドラムなどに回収する。 粉末の場合は、電気掃除機(真空クリーナー)、ほうきなどを使用して回収する。 粉塵が飛散しないようにして取り除く。 微粉末の場合は、機器類を防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。 この物質を環境中に放出してはならない。 湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。 残留分を注意深く集め、安全な場所に移す。 付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。 床に漏れた状態で放置すると、滑り易くスリップ事故の原因となるため注意する。 漏出物の上をむやみに歩かない。 火花を発生しない安全な用具を使用する。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
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取扱い | |||
技術的対策 | 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん、煙、ガス、ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。 取扱後は手などをよく洗うこと。 この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。 保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。 粉塵の拡散を防ぐ! 局所排気または呼吸用保護具。 安全ゴーグル、または呼吸用保護具と眼用保護具の併用。 拡散すると浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある。 300℃以上の加熱あるいは燃焼により分解し、フッ化水素を含む有毒な気体を生じる。水溶液は弱酸である。塩基、酸化剤、還元剤と反応する。多くの金属を侵して引火性/爆発性気体 (水素) を生じる。 | ||
接触回避 | 塩基、酸化剤 | ||
衛生対策 | 取扱後は手などをよく洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。 施錠して保管すること。 強力な酸化剤、強塩基、強酸、強力な還元剤、食品や飼料から離しておく。 | ||
安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | |||
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管理濃度 | 未設定 | ||
許容濃度 | |||
日本産衛学会(2015年度版) | 0.005 mg/m3 | ||
ACGIH(2015年版) | 未設定 | ||
設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 取扱い場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設置する。 機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。 | ||
保護具 | |||
呼吸用保護具 | 粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。 | ||
手の保護具 | 手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。 | ||
眼の保護具 | 眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。 | ||
皮膚及び身体の保護具 | 必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
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物理的状態 | |||
形状 | 固体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 白色 (ICSC (2005)) | ||
臭い | 刺激臭 (GESTIS (2015)) | ||
臭いのしきい(閾)値 | データなし | ||
pH | 2.6(1 g/L) (20℃) (SIDS (2006)) | ||
融点・凝固点 | 52〜54℃ (ICSC (2005)) | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 189℃ (ICSC (2005)) | ||
引火点 | 不燃性 (ICSC (2005)) | ||
蒸発速度(酢酸ブチル=1) | データなし | ||
燃焼性(固体、気体) | データなし | ||
燃焼又は爆発範囲 | 不燃性 (NITE総合検索 (2015)) | ||
蒸気圧 | 0.525 mmHg (25℃) (HSDB (2015)) | ||
蒸気密度 | データなし | ||
比重(相対密度) | データなし | ||
溶解度 | 水: 不溶 (ICSC (2005)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log P = 6.3 (ICSC (2005)) | ||
自然発火温度 | 不燃性 (ICSC (2005)) | ||
分解温度 | > 300℃ (GESTIS (2015)) | ||
粘度(粘性率) | 5.72 mPa・s (60℃) (GESTIS (2015)) |
10.安定性及び反応性 | |||
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反応性 | 水溶液は酸性を呈する。 | ||
化学的安定性 | 吸湿性を有する。 | ||
危険有害反応可能性 | 塩基、酸化物との接触を避ける。 多くの金属を腐食する | ||
避けるべき条件 | 加熱、燃焼 | ||
混触危険物質 | 塩基、酸化剤 | ||
危険有害な分解生成物 | 火炎環境で一酸化炭素及びフッ化水素を生じる。 加熱による分解で、フッ素の有毒な蒸気を生じる。 |
11.有害性情報 | |||
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急性毒性 | |||
経口 | GHS分類:区分4 ラットのLD50値として、500-1,000 mg/kg (雄)、250-1,000 mg/kg (雌) (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008)) との2件の報告がある。1件が区分4に該当し、もう1件からは区分を特定できないので、区分4とした。今回の調査で入手した産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008) の情報を追加し、区分を見直した。 | ||
経皮 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、本物質のアンモニウム塩 (ペルフルオルオクタン酸アンモニウム塩 CAS No.:3825-26-1) のラットのLD50値として、7,000 mg/kg (雄)、> 7,500 mg/kg (雌) (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009))、ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (SIDS (2009))、4,300 mg/kg (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009)) との報告がある。 | ||
吸入:ガス | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:蒸気 | GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。 | ||
吸入:粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。本物質のアンモニウム塩 (ペルフルオルオクタン酸アンモニウム塩 CAS No.:3825-26-1) のラットのLC50値 (4時間) として980 mg/m3との報告 (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009)) がある。なお、試験は粉塵で行われたとの記載、及び飽和蒸気圧濃度0.0014 mg/LよりもLC50値が大きいので粉じん/ミストとみなした。 | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | GHS分類: 区分2 具体的な情報は無いが、本物質は皮膚を刺激するとの記載から (環境省リスク評価第9巻 (2011))、区分2とした。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | GHS分類: 区分1 本物質の水溶液は強酸であり (pH2.6、SIDS (2009))、眼に対して強い刺激性を持つとの記載がある (GESTIS (2015)) ことから区分1とした。また、本物質は眼を刺激するとの記載がある (環境省リスク評価第9巻 (2011))。なお、本物質は、EU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (2015))。 | ||
呼吸器感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたビューラー試験において、本物質の塩 (詳細不明) を適用した結果感作性はみられなかったとの報告がある (GESTIS (2015))。 | ||
生殖細胞変異原性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験で陰性 (SIDS (2009)、環境省リスク評価第9巻 (2011))、ラットの末梢血赤血球を用いた小核試験では雌で陰性を示したが雄では陽性結果を示したとの報告があるが (NTP DB (2015))、このNTPデータについては評価文書で記載がない。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、ヒトリンパ球の染色体異常試験で陰性であるが、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、ヒトの培養系肝細胞である HepG2の小核試験及びコメットアッセイ (DNA損傷試験) で陽性の結果もある (SIDS (2009)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008)、NTP DB (2015))。以上より、本物質のin vivoにおける変異原性について明確な知見がなく、分類できないとした。 | ||
発がん性 | GHS分類: 区分2 米国の本物質製造工場に1947〜1997年に1年以上勤務した作業者を対象としたコホート研究では、有意ながんの発生は示されなかった (環境省リスク評価第9巻 (2011))。一方、本物質を使用する米国のフッ素化学工場で 1959-2001年までの作業者の発がん状況を調べた結果、標準化罹患比 (SIR) は膀胱がんで 1.9 (95%CI: 1.15〜3.07)、腎臓及び泌尿器がんでSIR 2.3 (95%CI: 1.36〜3.65) と有意に高かった。また、SIR に有意差はなかったものの、骨髄性白血病 (SIR 2.02)、喉頭がん (SIR 1.77)、多発性骨髄腫と免疫細胞増殖性疾患 (SIR 1.72)、悪性黒色腫 (SIR 1.3)、精巣がん (SIR 1.46)、脳腫瘍 (SIR 1.2) でも SIR の上昇がみられたと報告されているが、作業者のばく露情報や他の化学物質の使用状況などの記述がなく、本物質との関連は不明であったとされている (環境省リスク評価第9巻 (2011))。 実験動物では本物質のアンモニウム塩 (APFO) を雌雄ラットに2年間混餌投与した発がん性試験で、高用量 (300 ppm: 14.2〜16.1 mg/kg/day) 投与で雄に精巣ライデッヒ細胞の腺腫の頻度増加、雌に肝細胞がん、乳腺線維腺腫の頻度増加がみられたが、雌の乳腺腫瘍は同系統の自然発生頻度から本物質ばく露による影響ではないと判断された (SIDS (2009)、環境省リスク評価第9巻 (2011))。また、同系統 (SD) の雄ラットにAPFOを300 ppm (13.6 mg/kg/day) で2年間混餌投与した試験では、肝細胞の腺腫、精巣ライデッヒ細胞の腺腫、膵臓腺房細胞の腺腫、又はがんの発生頻度に有意な増加がみられたと報告された (SIDS (2009)、環境省リスク評価第9巻 (2011))。以上の2試験結果より、本物質ばく露により、ラットでは肝臓腫瘍が雌雄に、雄ではさらに精巣及び膵臓に腫瘍発生の増加を誘発したが、SIDSは作用機序の検討を行った結果、膵臓腫瘍以外の肝臓と精巣の腫瘍はペルオキシソームα受容体を介したペルオキシソーム増殖作用に関連した腫瘍発生によるものであり、膵臓腫瘍の発生機序は不明であると考察した (SIDS (2009))。げっ歯類でのペルオキシソーム増殖作用による腫瘍発生がヒトで生じるかの種間外挿の妥当性については、現時点では結論は出ていないが (ECHA RAC Opinion (2014))、IARCは本物質の発がん性をグループ2Bに分類し (IARC vol. 110, in prep)、EUのCLP分類でも Carc. 2に分類されており (ECHA CL Inventory (2015))、以上を踏まえ、本項は区分2とするのが妥当と判断された。 | ||
生殖毒性 | GHS分類: 区分1A、追加区分 ヒトでは本物質ばく露と胎児毒性との関連性について、否定的な複数の報告と同時に、以下に記述するように関連性を示唆する報告も複数ある (産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由 (2014))。米国ボルチモア市の産婦人科の多施設横断的研究において、臍帯血中本物質 (PFOA) 濃度が高い妊婦では低体重児を出産するリスクの増加傾向がみられたとの報告、デンマークの大規模コホート研究において、妊婦の血清中PFOA 濃度と新生児の出生児体重との間に有意な負の相関が認められたとの報告、英国の母子追跡研究でも、妊婦血清中PFOA濃度と出産児体重の低下に関連性があったとの報告など (産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由 (2014)) があり、さらに、中国の報告では母乳中に排泄された本物質と乳児への健康影響との関連性が示唆されたとの記述がある (SIDS (2009))。 実験動物では本物質のアンモニウム塩 (APFO) を用いた試験結果があり、ラットに強制経口投与した2世代生殖毒性試験では、F0、及びF1親動物に影響 (肝臓重量増加、体重及び体重増加量の低下) のみられる用量 (1〜10 mg/kg/day) で、F1児動物に体重の低値推移、離乳後早期の死亡率の増加、生成熟遅延がみられた (SIDS (2009)、環境省初期リスク評価第9巻 (2011))。一方、APFOを用いた発生毒性試験では、妊娠ラットを用いた経口、及び吸入経路での器官形成期 (妊娠6〜15日) 投与では、顕著な母動物毒性 (死亡例 (3/25 (経口) ; 2/13 (吸入))、嗜眠、体重及び摂餌量低下など) が発現する用量 (経口: 50〜150 mg/kg/day、吸入: 10〜25 mg/m3) でも、胎児毒性はみられないか、わずかに胎児重量の低値のみで軽微であった (SIDS (2009)、環境省初期リスク評価第9巻 (2011))。 しかし、妊娠マウスの妊娠1〜17日にAPFOを強制経口投与した発生毒性試験では、母動物に1 mg/kg/day以上で肝臓重量の増加、5 mg/kg/day以上で体重増加抑制、全胚吸収母動物の増加がみられ、40 mg/kg/dayでは全例で胚/胎児の完全損失を生じた。新生児/胎児における発生・発達毒性影響としては、1 mg/kg/day以上で包皮分離の早期化、3 mg/kg/day以上で離乳後の成長遅延、5 mg/kg/day以上で死産児、新生児死亡の増加、四肢及び尾の欠損胎児の増加、開眼日齢の遅延、20 mg/kg/dayで膣開口の遅延、発情周期の遅延、包皮分類の遅延が認められた。母動物毒性、胎児毒性ともにマウスではラットよりも強く発現し、発生毒性には種差が示唆された (SIDS (2009)、環境省初期リスク評価第9巻 (2011))。さらに、妊娠ラットにAFPOを妊娠4日以降強制経口投与 (3〜30 mg/kg/day) し、分娩後も新生児の離乳時まで母動物に投与を継続した妊娠期・授乳期投与試験において、母動物には血清中PFOAだけでなく、乳汁中にPFOAが検出され、用量依存的な乳汁中PFOA濃度の増加が認められた (SIDS (2009))。 既存分類としては、日本産業衛生学会がヒトの疫学研究での胎児毒性、並びに実験動物での胎児毒性及び発達毒性が明らかであるとして、「生殖毒性第1群」に (産衛学会許容濃度の暫定値の提案理由 (2014))、EUのCLP分類で、「Repr1B & Lact.」に分類されている (ECHA CL Inventory (2015))。以上より、日本産業衛生学会の分類結果に基づき、本項の分類は区分1Aとし、授乳影響の区分を追加した。 | ||
特定標的臓器毒性(単回ばく露) | GHS分類: 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) 本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第9巻 (2011))。ヒトの吸入ばく露で咳、咽頭痛、経口摂取で腹痛、吐き気、嘔吐の記載がある (環境省リスク評価第9巻 (2011))。実験動物では、18,600 mg/m3 (18.6 mg/L) (区分2超に相当) で鼻汁、乾性ラ音、380 mg/m3 (0.38 mg/L) (区分1相当) 以上の用量で胃の刺激性、ラットの100〜2,150 mg/kg (区分1以上の用量に相当) で生存個体において眼瞼下垂、立毛、活動低下、四肢の緊張低下、協調運動失調がみられた (ATSDR (2009))。 以上より、本物質は気道刺激性に加え、麻酔作用があると判断し、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。 新たな情報を加え旧分類を見直した。 | ||
特定標的臓器毒性(反復ばく露) | GHS分類: 区分1 (中枢神経系、肝臓)、区分2 (骨髄) ヒトに関する情報はない。 実験動物では、本物質のアンモニア塩を用いた試験結果がある。 ラットを用いた13週間混餌投与毒性試験において、5.64〜7.7 mg/kg/dayで肝臓の肝臓の重量増加、肝細胞肥大がみられた (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009))。アカゲザルを用いた90日間強制経口投与毒性試験において、30 mg/kg/dayで死亡 (雄1例、雌2例)、活動性低下、運動失調、顔面の腫脹、体重減少、骨髄の細胞数減少、脾臓、リンパ節のリンパ濾胞の萎縮、死亡例で副腎のび漫性脂質枯渇がみられた (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009))。また、カニクイザルを用いた26週間強制経口投与毒性試験において、3 mg/kg/dayで後肢麻痺、運動失調、痛覚刺激に対する反応性低下がみられた (環境省リスク評価第9巻 (2011)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008)、SIDS (2009))。 ラットを用いた2週間吸入毒性試験において、7.6 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.0008 mg/L) でALPの増加、肝臓の絶対・相対重量増加、肝臓の腫脹、肝細胞の肥大・壊死、限局性の多病巣性の肝細胞壊死がみられた (環境省リスク評価第9巻 (2011))。 以上のように肝臓、中枢神経系、骨髄が標的臓器と考えられ、肝臓への影響は区分1の範囲、中枢神経系への影響は区分1及び区分2の範囲、骨髄への影響は区分2の範囲でみられた。 したがって、区分1 (中枢神経系、肝臓)、区分2 (骨髄) とした。 なお、ヒトに関しては、複数の疫学調査において、本物質ばく露と肝機能、血清脂質への影響に明らかな関連性は認められていない (環境省リスク評価第9巻 (2011)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008)、SIDS (2009))。 | ||
吸引性呼吸器有害性 | GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。 |
12.環境影響情報 | |||
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生態毒性 | |||
水生環境有害性(急性) | GHS分類: 区分3 藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata) の96時間EC50 = 90 mg/L (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009)) から区分3とした。 | ||
水生環境有害性(長期間) | GHS分類: 区分外 急速分解性がない (難分解性、BODによる分解度: 5% (既存点検 (2002))が、藻類 (Pseudokirchneriella subcapitata) の72時間NOEC = 63 mg/L (SIDS (2009))、甲殻類 (タマミジンコ) の7日間NOEC (繁殖)= 3.125 mg/L、魚類 (ファットヘッドミノー) の39日間NOEC (致死) > 74.1 mg/L (いずれも環境省リスク評価第9巻 (2011)) であることから、区分外とした。 | ||
オゾン層への有害性 | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。 |
13.廃棄上の注意 | |||
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残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
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該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3261 | |||
国連品名 | CORROSIVESOLID,ACIDIC,ORGANIC,N.O.S. | |||
国連危険有害性クラス | 8 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | J | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法に従う。 | |||
陸上規制情報 | 消防法、道路法に従う。 | |||
特別安全対策 | 移送時にイエローカードの保持が必要。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号 | 154 |
15.適用法令 | ||||
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法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) | |||
化審法 | 旧第2種監視化学物質 |
16.その他の情報 | ||||
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参考文献 | 各データ毎に記載した。 | |||
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。 |