| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | ペルフルオロオクタン酸 (別名 PFOA) | ||
| 化学品の英語名称 | Perfluorooctanoic acid | ||
| 製品コード | R06-C-093-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | 半導体用,消火剤,撥水剤,紙の表面処理剤,樹脂改質剤(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成27年度(2015年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 物理化学的危険性 | - | ||
| 健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分4 | |
| 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | ||
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
| 発がん性 | 区分2 | ||
| 生殖毒性 | 区分1B、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分 | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) | ||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (肝臓、免疫系) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成27年度(2015年度)、ガイダンスVer.1.1 (GHS 4版, JIS Z7252:2014) | ||
| 環境に対する有害性 | 水生環境有害性 短期(急性) | 区分3 | |
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 飲み込むと有害 皮膚刺激 重篤な眼の損傷 発がんのおそれの疑い 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ 授乳中の子に害を及ぼすおそれ 呼吸器への刺激のおそれ 眠気又はめまいのおそれ 長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓、免疫系の障害 水生生物に有害 | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 取扱い後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 妊娠中及び授乳期中は接触を避けること。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 | ||
| 応急措置 | 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 口をすすぐこと。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 施錠して保管すること。 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | 化学物質 | ||
| 化学名又は一般名 | ペルフルオロオクタン酸 | ||
| 慣用名又は別名 | ペンタデカフルオロオクタン酸 PFOA | ||
| 英語名 | Perfluorooctanoic acid 2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-Pentadecafluorooctanoic acid | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | C8HF15O2 (414) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 335-67-1 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | 2-2659 | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | - | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。 意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。 気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。 呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。 呼吸が止まっている場合は、呼吸補助具(蘇生バッグなど)や口鼻蘇生法で人工呼吸を行う。口対口蘇生法は緊急事態の場合にのみ行う。医師に連絡すること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 直ちに皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで少なくとも10〜20分間洗浄する。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。 医師に連絡をすること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 眼に入った場合 | 流水で10分間、患部の目を広く広げたまぶたですすぐ。 眼の刺激が続く場合は医師の診察/手当てを受けること。 搬送中は、生理食塩水、または水ですすぎ続ける。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 口をすすぎ、液体を吐き出す。 意識がある場合は、コップ1〜2杯の水を飲ませる。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 短期ばく露の影響 本物質は、眼、皮膚および気道を刺激する。 長期または反復ばく露の影響 肝臓および免疫系に影響を与えることがある。 ヒトで発がん性を示す可能性がある。 人で生殖・発生毒性を引き起こすことがある。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。 応急処置を行うときは、保護手袋を着用する。 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 以上、ICSC参照。 | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 水噴霧、乾燥消火剤、泡消火剤、二酸化炭素、乾燥粉末消火剤 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(フッ化水素一酸化、炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 | ||
| 特有の消火方法 | 可能であれば、容器を危険区域から移動する。 着火(発火)源を遮断する。 流出水が排水システムに入らないようにする。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 影響を受ける周囲に警告する。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 周囲を換気し、こぼれた場所を洗う。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 容器とパイプラインにラベルを貼る。 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | リサイクルの方法がない場合は、それぞれの地域の規制に従って廃棄する必要がある。 廃棄物を流し台やゴミ箱に入れたり置いたりしない。 必要に応じて液体有機酸または溶液を希釈し、炭酸水素ナトリウムまたは水酸化ナトリウムで中和する。 塩溶液の収集容器に入れ、pH値を6〜8に調整する。 収集容器には、内容物の説明がされているラベルを貼る。容器は換気の良い場所に保管する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 粉じんの形成を避ける。避けられない粉じんの発生は、定期的に収集する必要がある。 掃除中に粉じんを起こさないこと。 清掃にブロワーを使用しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 職場を清潔で乾燥した状態に保つように注意する。 この物質は、作業の進行に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開いたままにしない。 補充または移し替えには、排気口付きの漏れ防止機器を使用する。 こぼれないようにする。 ラベルの付いた容器にのみ入れる。 物質を取り扱うときは、接触を避ける。 粉じんが舞い上がるのを避ける。 混触危険物質と一緒に輸送しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 接触回避 | 感染性、放射性、爆発性の物質。 強酸化性物質。 硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤 有機過酸化物および自己反応性物質。 自然発火性物質。 水と接触した場合、可燃性ガスを放出する物質。 危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 飲食禁止。 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 眼に入った場合は洗い流す。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意する。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | 鍵のかかった保管場所に保管する。 食品容器は使用しない。 容器にラベルを貼付する。 できるだけ元の容器に保管する。 容器を密閉する。 乾燥した場所に保管する。 容器は換気の良い場所に保管する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | 許容濃度: 0.005 mg/m3 (妊娠可能な女性には適用しない) | |||
| ACGIH (2024年版) | - | |||
| 設備対策 | 粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器または局所換気装置を使用する。 作業場は換気をする。 床に排水口を作らない。 洗浄設備を設置する。 洗眼設備を設置する。標識を付ける。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、18%未満の酸素濃度、または不明な状況では使用しない。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認する。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管する。 布製または革製の手袋は不適切である。 ポリクロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、FKM、およびポリ塩化ビニルは、未溶解の固形物から保護するための手袋材料として適している。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 固体 | ||
| 色 | 白色〜わずかに色味を感じる | ||
| 臭い | データなし | ||
| 融点/凝固点 | 54.3 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | 192 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 可燃性 | 可燃性 (GESTIS (2024)) | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | データなし | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | 2.6 (1 g/L、20℃) (GESTIS (2024)) | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:3300 mg/L (25℃) (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | log Kow:6.3 (GESTIS (2024)) | ||
| 蒸気圧 | 0.69 hPa (20℃) (GESTIS (2024)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.792 g/cm3 (20℃) (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 相対ガス密度 | データなし | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 物質は可燃性である。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 通常の取扱い条件下では安定である。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 可燃性 (GESTIS (2024)) 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 加熱により分解する 以上、ICSC参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 300℃以上で フッ化水素などの、有毒で腐食性のガスを生じる。 溶液は、弱酸性である。塩基、酸化剤および還元剤と反応する。 引火性/爆発性ガスが生じる。 多くの金属を侵す。 以上、ICSC参照。 | ||
| 混触危険物質 | 塩基、酸化剤または還元剤と接触すると、火災および爆発の危険性がある。 以上、ICSC参照。 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災の場合、有害物質(フッ化水素一酸化、炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | ラットのLD50値として、500-1,000 mg/kg (雄)、250-1,000 mg/kg (雌) (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008)) との2件の報告がある。1件が区分4に該当し、もう1件からは区分を特定できないので、区分4とした。今回の調査で入手した産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008) の情報を追加し、区分を見直した。 | |||
| 経皮 | データ不足のため分類できない。なお、本物質のアンモニウム塩 (ペルフルオルオクタン酸アンモニウム塩 CAS No.:3825-26-1) のラットのLD50値として、7,000 mg/kg (雄)、> 7,500 mg/kg (雌) (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009))、ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (SIDS (2009))、4,300 mg/kg (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009)) との報告がある。 | |||
| 吸入: ガス | GHSの定義における固体である。 | |||
| 吸入: 蒸気 | GHSの定義における固体である。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | データ不足のため分類できない。本物質のアンモニウム塩 (ペルフルオルオクタン酸アンモニウム塩 CAS No.:3825-26-1) のラットのLC50値 (4時間) として980 mg/m3との報告 (環境省リスク評価第9巻 (2011)、SIDS (2009)) がある。なお、試験は粉塵で行われたとの記載、及び飽和蒸気圧濃度0.0014 mg/LよりもLC50値が大きいので粉じん/ミストとみなした。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 具体的な情報は無いが、本物質は皮膚を刺激するとの記載から (環境省リスク評価第9巻 (2011))、区分2とした。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 本物質の水溶液は強酸であり (pH2.6、SIDS (2009))、眼に対して強い刺激性を持つとの記載がある (GESTIS (Access on July )) ことから区分1とした。また、本物質は眼を刺激するとの記載がある (環境省リスク評価第9巻 (2011))。なお、本物質は、EU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on June 2015))。 | |||
| 呼吸器感作性 | データ不足のため分類できない。 | |||
| 皮膚感作性 | データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたビューラー試験において、本物質の塩 (詳細不明) を適用した結果感作性はみられなかったとの報告がある (GESTIS (Access on July 2015))。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験で陰性 (SIDS (2009)、環境省リスク評価第9巻 (2011))、ラットの末梢血赤血球を用いた小核試験では雌で陰性を示したが雄では陽性結果を示したとの報告があるが (NTP DB (Access on August 2015))、このNTPデータについては評価文書で記載がない。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、ヒトリンパ球の染色体異常試験で陰性であるが、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、ヒトの培養系肝細胞である HepG2の小核試験及びコメットアッセイ (DNA損傷試験) で陽性の結果もある (SIDS (2009)、環境省リスク評価第9巻 (2011)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2008)、NTP DB (Access on August 2015))。以上より、本物質のin vivoにおける変異原性について明確な知見がなく、分類できないとした。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 (1) より、ヒトの発がん性に関する証拠は限定的である。実験動物では、 (2) よりラットの雄に肝臓腫瘍と膵臓腫瘍の発生増加が示されたが、主に良性腫瘍の増加であり、雌で腫瘍の明確な増加が示されなかった。よって、区分1に分類するには不十分であり、旧分類の変更は行わず、区分2とした (2024年度) 。 【根拠データ】 (1) 疫学では、本物質 (PFOA) の血清濃度と腎臓がん、精巣がん及び乳がんとの関連が報告されているが、いずれも現時点では関連を判断するための証拠は限定的と考えられる (食安委 (2024)) 。これまでのヒトの疫学知見からは本物質の発がん性評価は困難である (EU EFSA (2018)) 。 (2) ラットを用いた混餌投与による発がん性試験において、雄に肝細胞腫瘍 (主に肝細胞腺腫) 及び膵臓腺房細胞腫瘍 (主に腺房細胞腺腫) の発生増加が示された。雌では膵臓腺房細胞腺腫と腺がんを合わせた発生及び肝細胞がんと子宮腺がんの発生が高かったが、統計学的に有意な増加は示されなかった (NTP TR598 (2023) 、食安委 (2024)) 。 【参考データ等】 (3) ラットにおける肝臓の腫瘍性変化及び膵臓腺房細胞腺腫については、得られた所見はPPARα等の核内受容体の活性化を介するげっ歯類特有のメカニズムである可能性があり、ヒトに当てはめられる可能性は低いものの、それらのメカニズムの関与の詳細は不明なため、更なる検討が必要である (食安委 (2024)、EU EFSA (2018)) 。また、精巣ライデッヒ細胞腺腫については、高用量におけるアロマターゼ誘導による非遺伝毒性発がん機序が推定されているが詳細は不明であり、ヒトに当てはめられるかどうかは判断できない (食安委 (2024)) 。ライディッヒ細胞の腫瘍はげっ歯類では頻繫に生じるが、ヒトではまれにしか生じない (EU EFSA (2018)) 。 (4) ヒトの肝臓におけるPPARαは肝細胞増殖の誘導には関連しないと考えられているが、PFOA誘発性のラットの肝臓腫瘍がヒトには当てはまらないとして無視することはできない。また、PFOA誘発性のライディッヒ細胞腺腫及び膵臓腺房細胞腫瘍の作用機序を特徴づけるための利用可能なデータが不十分であるため、これらの部位での反応はヒトに関連性があると推定される (RAC (Backgroud doc.)(2018)) 。 (5) IARCはPFOAの発がん性分類を、ヒトでの証拠は限られるが実験動物で十分な証拠があること、及び発がんの機序として強い証拠 (ばく露されたヒトでのエピジェネティックな変化・免疫抑制、ヒト初代培養細胞での酸化ストレスなど) があることを根拠にグループ1に引き上げた (IARC 135 (in prep))(食安委ホームページ (Accessed June 2024)) 。 (6) 国内外の評価機関による発がん性分類では、PFOA及びその塩として、IARCでグループ1 (IARC 135 (in prep)) 、日本産業衛生学会で2B (産衛学会許容濃度等の勧告 (2023)) 、EUでCarc. 2 (CLP分類 (Accessed June 2024 )) 、DFGでCat. 4 (List of MAK and BAT values (2024)) に、PFOAのアンモニウム塩 (APFO: CAS登録番号 3825-26-1) としてACGIHでA3 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。 | |||
| 生殖毒性 | 【分類根拠】 (1) 、 (2) の最新の評価書レビューにおいて、動物試験において発生毒性が認められることから区分1Bとし、 (3) の乳汁移行性を考慮し、授乳に対するまたは授乳を介した影響に関する追加区分とした。なお、 (4) 、 (5) より、ヒトの生殖毒性影響に関して、本物質へのばく露との因果関係は現時点では確認されていない。新たな知見を基に、分類結果を変更した (2024年度) 。 【根拠データ】 (1) 本物質 (PFOA)(主にアンモニウム塩 (PFOA-Na: CAS登録番号 6130-43-4) ) を用いた生殖発生毒性試験の多くはマウスで実施されている。報告された具体的な影響には出生前胚/胎児死亡、新生児の体重及び生存率の低下、神経発達毒性、骨発達の変化、乳腺の分化、開眼、膣開口及び最初の発情期の遅延が含まれる。これらの影響は主に明白な母体毒性がない状況で発生した (ATSDR (2021)、EU EFSA (2018)) 。 (2) 動物試験では、PFOAばく露により出生した児動物の体重増加抑制、指節骨の骨化遅延等が認められた。ただし、出生した児動物の出生時体重の低下を起こしたPFOAの投与量は、胎児死亡を起こした用量に近い高投与量 (血中濃度比較で疫学研究対象のヒトの約千倍以上) であった。また、PFOAばく露により、他の動物試験より低い用量でマウスの乳腺の発達抑制が起こることが報告されたが、特定の系統のマウスだけにみられる現象であること等から、乳腺への影響を健康影響の指標とするには情報が不十分で指標として適切ではないと指摘されている (食安委 (2024)) 。 (3) 血清中PFOA濃度と比べると著しく低いが、ヒト母乳から本物質が検出されている (同上) 。また、動物実験で母体から出生児へPFOAの乳汁移行が起こることが報告されている (EU EFSA (2018)) 。 (4) 疫学研究ではPFOAへの出生前ばく露と出生時体重との関連性を示すいくつかの証拠が得られた。ただし、これらの所見の臨床的関連性に関しては不確実性が存在する。実施された疫学研究では、PFOAへの出生前ばく露と先天性欠損症又は死産、多産能低下、流産又は妊娠高血圧のリスクの有病率の増加との因果関係を示す証拠は不十分である。PFOAへの出生前又は周産期ばく露と神経発達、乳児期、小児期又は思春期の成長、精液の質又は代謝のアウトカムとの間の因果関係については十分ではないと結論された (EU EFSA (2018)) 。 (5) 疫学研究では、国内外の複数の疫学研究の結果から血清中PFOA濃度と出生時体重の低下との関連が多く報告されている。しかし、在胎不当過小 (SGA) 児、低出生体重児 (2,500 g未満) 等の影響を報告した研究は限られている。また、出生後の成長に及ぼす影響についてはまだ不明な点があると考えられた (食安委 (2024)) 。 【参考データ等】 (6) 既存分類では、日本産業衛生学会で生殖毒性第1群 (産衛学会生殖毒性提案理由書 (2014)) 、EUでRepr. 1B, Lact (授乳に対するまたは授乳を介した影響)(CLP分類 (Accessed June 2024)) に分類されている。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第9巻 (2011))。ヒトの吸入ばく露で咳、咽頭痛、経口摂取で腹痛、吐き気、嘔吐の記載がある (環境省リスク評価第9巻 (2011))。実験動物では、18,600 mg/m3 (18.6 mg/L) (区分2超に相当) で鼻汁、乾性ラ音、380 mg/m3 (0.38 mg/L) (区分1相当) 以上の用量で胃の刺激性、ラットの100-2,150 mg/kg (区分1以上の用量に相当) で生存個体において眼瞼下垂、立毛、活動低下、四肢の緊張低下、協調運動失調がみられた (ATSDR (2009))。 以上より、本物質は気道刺激性に加え、麻酔作用があると判断し、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。 新たな情報を加え旧分類を見直した。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1) 〜 (4) より、区分1 (肝臓、免疫系) とした。なお、 (5) より、旧分類で標的臓器とされた中枢神経系及び骨髄への影響については知見が不十分と判断した。情報源の情報の見直しと新たな知見を基に、分類結果を変更した (2024年度) 。 【根拠データ】 (1) 食品安全委員会では本物質 (PFOA) について、疫学研究で報告された血清ALT値の増加、血清総コレステロール値の増加、出生時体重の低下、ワクチン接種後の抗体応答の低下との関連は否定できないと評価された (食安委 (2024)) 。 (2) ペルフルオロアルキル化合物 (PFAS) にばく露されたラット、及びマウスでみられる主な影響は肝毒性、発生毒性及び免疫毒性である (ATSDR (2021)) 。 (3) 肝臓については、本物質のアンモニウム塩 (APFO: CAS登録番号 3825-26-1)(全身影響は本物質とほぼ同様と考えられる) を被験物質としたラット、マウスの反復投与毒性試験で壊死、変性など明らかに毒性変化とみなせる病理組織変化がみられた試験はラット2年間混餌投与試験の15 mg/kg/day群 (区分2) で1年間投与後の中間検査時に肝細胞壊死がみられたとの結果、ラット28日間強制経口投与試験の5 mg/kg/day (90日換算:1.6 mg/kg/day:区分1) 以上で肝臓の細胞質空胞化・壊死・脂肪変性等がみられたとの結果、マウス21日間飲水投与試験の47 mg/kg/day (同11 mg/kg/day:区分2) で肝細胞壊死がみられたとの結果等が挙げられる (ATSDR (2021)) 。 (4) 免疫系については、同様にAPFOを被験物質とした試験では、マウス28日間混餌投与試験の9.6 mg/kg/day (90日換算:3.0 mg/kg/day:区分1) でヒツジ赤血球に対する応答能低下、脾臓及び胸腺リンパ球数減少がみられたとの結果、マウス21日間飲水投与試験の47.2 mg/kg/day (同14.7 mg/kg/day:区分2) で脾臓白脾髄の過形成及び胸腺萎縮がみられたとの結果等が挙げられる (ATSDR (2021)) が、後者は1用量のみの試験のため区分1範囲用量での影響の有無は不明である。 (5) 旧分類では、APFOにばく露されたアカゲザルでみられた所見等から中枢神経系、骨髄を標的臓器としていたが、これらの所見は致死量のAPFO投与でみられたものであった (ATSDR (2021)) 。また、食品安全委員会の評価においても神経への影響について評価するには知見が不十分であると判断されている (食安委 (2024))。 【参考データ等】 (6) APFOのサルを用いた3つの経口投与試験からは、肝臓を標的臓器とする影響は認められない。1試験では区分2用量 (30 mg/kg/day) で脾臓及びリンパ節にリンパ濾胞の萎縮がみられたが、死亡例が発現する用量での所見である (ATSDR (2021)) 。 (7) 動物試験では、PFOAばく露により肝重量の増加、肝細胞肥大、肝細胞空胞化や壊死、及び血清ALT値の増加等が報告されている (食安委 (2024)) 。 | |||
| 誤えん有害性* | データ不足のため分類できない。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50 = 90 mg/L(SIDS, 2009)であることから、区分3とした。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | 急速分解性はないが(難分解性、BOD : 5%、TOC : 3%、HPLC: 0% (経済産業公報, 2002))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)96時間NOEC = 10.9 mg/L、甲殻類(タマミジンコ)7日間NOEC (繁殖) = 3.125 mg/L、魚類(ニジマス(胚))85日間NOEC (成長及び致死) = 38.4 mg/L(いずれも環境省リスク評価第9巻, 2011)であることから、区分に該当しないとした。 | ||
| 残留性・分解性 | 化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
| 生態蓄積性 | 化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性)) | ||
| 土壌中の移動性 | 情報なし | ||
| オゾン層への有害性 | データなし | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 該当しない | |||
| 品名(国連輸送名) | 該当しない | |||
| 国連分類 | 該当しない | |||
| 副次危険 | 該当しない | |||
| 容器等級 | 該当しない | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 該当しない | |||
| 航空規制情報 | 該当しない | |||
| 陸上規制情報 | 該当しない | |||
| 特別な安全上の対策 | 該当しない | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | - | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【530 ペルフルオロオクタン酸及びそのアンモニウム塩】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1890 ペルフルオロオクタン酸及びそのアンモニウム塩】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【530 ペルフルオロオクタン酸及びそのアンモニウム塩】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【1890 ペルフルオロオクタン酸及びそのアンモニウム塩】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) | |||
| 化学物質審査規制法 | 第一種特定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条) 【34 ペルフルオロオクタン酸(別名PFOA)又はその塩】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | 第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【446 ペルフルオロオクタン酸(別名PFOA)及びその塩】 | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 水質汚濁防止法 | 有害物質(法第2条、施行令第2条) 【ペルフルオロオクタン酸】 指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3) 【58 ペルフルオロオクタン酸(別名PFOA)及びその塩】 | |||
| 16.その他の情報 | |||
|---|---|---|---|
| 水道法 | 水質管理目標設定項目、暫定目標値:PFOS 及びPFOAの合算値で50 ng/L | ||
| 参考文献 | 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||