| 1.化学品等及び会社情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品の名称 | ジアゾメタン | ||
| 化学品の英語名称 | Diazomethane | ||
| 製品コード | R06-C-092-JNIOSH | ||
| 供給者の会社名 | ○○○○株式会社 | ||
| 住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
| 電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| ファクシミリ番号 | 03-1234-5678 | ||
| 電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
| 緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
| 推奨用途及び使用上の制限 | メチル化剤(NITE-CHRIPより引用) | ||
| 2.危険有害性の要約 | |||
|---|---|---|---|
| GHS分類 | |||
| 分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | 令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版) | ||
| 物理化学的危険性 | 可燃性ガス | 区分1 | |
| - | |||
| 健康に対する有害性 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | |
| 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | ||
| 皮膚感作性 | 区分1 | ||
| 発がん性 | 区分1B | ||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1(呼吸器系)、区分2(脾臓、肝臓) | ||
| 分類実施日 (環境有害性) | 平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版) | ||
| 環境に対する有害性 | - | ||
| GHSラベル要素 | |||
|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() ![]() ![]() ![]() | ||
| 注意喚起語 | 危険 | ||
| 危険有害性情報 | 極めて可燃性の高いガス 皮膚刺激 重篤な眼の損傷 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ 発がんのおそれ 呼吸器系の障害 脾臓、肝臓の障害のおそれ | ||
| 注意書き | |||
| 安全対策 | 熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。 取扱い後はよく手を洗うこと。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 | ||
| 応急措置 | 漏えい(洩)ガス火災の場合:漏えいが安全に停止されない限り消火しないこと。 漏えいした場合、着火源を除去すること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。 皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 直ちに医師に連絡すること。 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。 | ||
| 保管 | 換気の良い場所で保管すること。 施錠して保管すること。 | ||
| 廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
| 他の危険有害性 | 情報なし | ||
| 3.組成及び成分情報 | |||
|---|---|---|---|
| 化学物質・混合物の区別 | |||
| 化学名又は一般名 | ジアゾメタン | ||
| 慣用名又は別名 | アジメチレン | ||
| 英語名 | Diazomethane | ||
| 濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
| 分子式 (分子量) | CH2N2 (42) | ||
| 化学特性 (示性式又は構造式) | ![]() | ||
| CAS番号 | 334-88-3 | ||
| 官報公示整理番号 (化審法) | - | ||
| 官報公示整理番号 (安衛法) | 2-(11)-14 | ||
| GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む) | - | ||
| 4.応急措置 | |||
|---|---|---|---|
| 吸入した場合 | 意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。 呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。 医師に連絡すること。 気道/呼吸器疾患の刺激が発生した場合:できるだけ早く、グルココルチコイド吸入スプレーを吸入する。 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。 半座位。呼吸が止まっている場合は、呼吸補助具(蘇生バッグなど)や口鼻蘇生法で人工呼吸を行う。口対口蘇生法は緊急事態の場合にのみ行う。 気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 皮膚に付着した場合 | 応急処置を行うときは、保護手袋を着用する。 自分自身を保護しながら、被害者を危険源から遠ざけます。 直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。 皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 眼に入った場合 | 数分間多量の水で洗い流し(できればコンタクトレンズをはずして)、医師に連絡すること。 眼の刺激が続く場合は医師の診察/手当てを受けること。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 飲み込んだ場合 | 口をすすぎ、液体を吐き出す。 何も飲ませない。 無理に吐かせないこと。 中毒の症状は、一定期間遅れて現れることがある。 医師に連絡すること。 自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 急性: 本物質は眼、皮膚および気道に対して、強い腐食性を示す。 蒸気を吸入すると、肺水腫を引き起こすことがある。 蒸気を吸入すると、喘息様反応(RADS)を引き起こすことがある。 液体は、凍傷を引き起こすことがある。 許容濃度を超えてばく露すると、死を引き起こすことがある。 医学的な経過観察が必要である。 慢性: 反復または長期の吸入により喘息を引き起こすことがある。 ヒトで発がん性を示す可能性がある。 以上、ICSC参照。 | ||
| 応急措置をする者の保護に必要な注意事項 | 救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する | ||
| 医師に対する特別な注意事項 | 情報なし | ||
| 5.火災時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 適切な消火剤 | 粉末消火剤、二酸化炭素 以上、ICSC参照。 | ||
| 使ってはならない消火剤 | 火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。 | ||
| 特有の危険有害性 | 火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 特有の消火方法 | 消火対策は、可燃性溶剤に応じて選択すること。 ジアゾメタンは様々な条件下で爆発的に分解する。暖房で爆発の危険がある。 周囲の容器を水スプレーで冷却する。 可能であれば、容器を危険区域から移動する。 加熱すると圧力が上昇し、破裂や爆発の危険がある。 着火(発火)源を遮断する。 燃え尽きるまで待つ 以上、GESTIS参照。 | ||
| 消火を行う者の特別な保護具及び予防措置 | 自給式呼吸器付完全保護衣 以上、ICSC参照。 | ||
| 6.漏出時の措置 | |||
|---|---|---|---|
| 人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | ジアゾメタンは爆発的に分解する可能性がある。 影響を受ける周囲に警告すること。 個人用保護具を着用すること(「個人用保護具」の章を参照)。 こぼれた液体を酢酸で注意深くゆっくりと分解させる。 その後、周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 環境に対する注意事項 | 窒素はジアゾメタンとの反応中に生成される。 容器とパイプラインにラベルを貼ること。 水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 廃棄物を流し台やゴミ箱に入れたり置いたりしないこと。 ハロゲンフリー有機溶剤およびハロゲンフリー有機物質の溶液の収集容器に入れる。 収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 二次災害の防止策 | 情報なし | ||
| 7.取扱い及び保管上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 取扱い | |||
| 技術的対策 | すべての部屋と備品は定期的に清掃する必要がある。 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する 熱との接触や反応によって危険な圧力が発生する可能性がある場合は、適切な安全対策と機器を提供する必要がある。 発がん性物質および生殖細胞変異原性物質は、密閉装置でのみ使用する必要がある。 熱との接触により危険な圧力が発生する可能性がある場合は、適切な安全対策と機器を提供する必要がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 安全取扱い注意事項 | 作業場を清潔で乾燥した状態に保つこと。 この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。 容器を開けたままにしないこと。 摩擦、物理的、電気的な衝撃を避けること。 飛沫を避けること。 ラベルの付いた容器にのみ注入すること。 混触危険物質と一緒に輸送しないこと。 裸火禁止、火花禁止、禁煙。 密閉系、換気、防爆型電気設備および照明設備。 帯電を防ぐ(例えばアースを使用)。 以上、GESTIS、ICSC参照。 | ||
| 接触回避 | 接触して爆発の危険性: アルカリ金属、塩化カルシウム、銅粉、硫化ナトリウム。 危険な反応をする可能性がある物質: 酸、カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸、カルシウム 以上、GESTIS参照。 | ||
| 衛生対策 | 眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 使用後は手を洗うこと。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 保管 | |||
| 安全な保管条件 | ジアゾメタンは保存しないこと。 以上、ICSC参照。 | ||
| 安全な容器包装材料 | 道路法、高圧ガス保安法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。 | ||
| 8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
| 管理濃度 | - | |||
| 濃度基準値 | ||||
| 八時間濃度基準値 | - | |||
| 短時間濃度基準値 | - | |||
| 許容濃度 | ||||
| 日本産衛学会 (2024年度版) | - | |||
| ACGIH (2024年版) | TLV-TWA: 0.2 ppm、 0.34 mg/m3 | |||
| 設備対策 | シャワー付きの洗面所と、可能であれば、私服と作業服用の独立した収納を備えた部屋を用意すること。 作業場での洗浄設備を設置する。 建物にサージを取り付ける。 燃焼の危険を引き起こさないように電気システムを構築する。 静電気放電に対する予防措置を講じること。 帯電できるすべての部品をアース(接地)すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 保護具 | ||||
| 呼吸用保護具 | 緊急時には、呼吸保護具を着用する。 フィルター装置の使用限界を超える濃度、体積18%未満の酸素濃度、または不明な状況では、絶縁装置を使用すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 手の保護具 | 必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管すること。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 眼の保護具 | 必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。 以上、GESTIS参照。 | |||
| 皮膚及び身体の保護具 | 身体の保護リスクに応じて、不浸透性の適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。 | |||
| 9.物理的及び化学的性質 | |||
|---|---|---|---|
| 物理的状態 | |||
| 物理状態 | 気体 | ||
| 色 | 黄色 | ||
| 臭い | カビ臭、湿った木の葉様 | ||
| 融点/凝固点 | -145 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 沸点、初留点及び沸騰範囲 | -23 ℃ (HSDB in PubChem (2024)) | ||
| 可燃性 | 可燃性 (ICSC (2018)) | ||
| 爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
| 引火点 | データなし | ||
| 自然発火点 | 100 ℃ (厚労省リスク評価書 (2010)) | ||
| 分解温度 | データなし | ||
| pH | データなし | ||
| 動粘性率 | データなし | ||
| 溶解度 | 水:反応する (厚労省リスク評価書 (2010)) ベンゼン、アルコール、ジオキサン:可溶 (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| n-オクタノール/水分配係数 | log Pow :2 (推定値) (ICSC (2018)) | ||
| 蒸気圧 | 520 kPa (25℃) (ICSC (2018)) | ||
| 密度及び/又は相対密度 | 1.45 g/cm3 (HSDB in PubChem(2024)) | ||
| 相対ガス密度 | 1.4 (空気=1) (厚労省リスク評価書 (2010)) | ||
| 粒子特性 | データなし | ||
| 10.安定性及び反応性 | |||
|---|---|---|---|
| 反応性 | 空気と爆発性混合物を形成する。 物質は可燃性である。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 化学的安定性 | 化学的に不安定である。 液体または気体の状態では、ジアゾメタンは非常に不安定で爆発性の化合物である。 ガス状のジアゾメタンは、窒素で希釈しても爆発的に分解する。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 危険有害反応可能性 | 引火性がきわめて高い。 多くの反応により、火災や爆発を生じることがある。 火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。 気体/空気の混合気体は、爆発性である。 以上、ICSC参照。 | ||
| 避けるべき条件 | 衝撃を加えると、または摩擦を加えると、または振動を加えると、爆発的に分解することがある。 100℃に加熱、粗面との接触、無希釈液体または濃溶液中に不純物や固体が存在する場合、あるいは高強度の光の下で爆発することがある。 アルカリ金属および硫酸カルシウムと接触すると、爆発する。 以上、ICSC参照。 | ||
| 混触危険物質 | 接触して爆発の危険性: アルカリ金属、塩化カルシウム、銅粉、硫化ナトリウム、 危険な反応をする可能性がある物質: 酸、カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸、カルシウム 以上、GESTIS参照。 | ||
| 危険有害な分解生成物 | 火災の場合、有害物質(亜硝酸ガス、一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。 以上、GESTIS参照。 | ||
| 11.有害性情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 急性毒性 | ||||
| 経口 | データがない。 | |||
| 経皮 | データがない。 | |||
| 吸入: ガス | ラットの吸入ばく露では濃度が不明であり、その他も試験時間がわずかであり分類に使う有効なデータがないので分類できないとした。(これらのばく露試験では短時間で死亡していること、また、ネコの吸入試験で10分間で175ppm(4時間換算値:35ppm)で死亡が確認されており、これは区分1の100ppmを下回っていること等から区分1と扱うことが望ましいと思われる。) | |||
| 吸入: 蒸気 | GHS定義による気体。 | |||
| 吸入: 粉じん及びミスト | GHS定義による気体。 | |||
| 皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | ヒトの皮膚で刺激性と皮膚磨剥(denudation)があると報告されている(ACGIH(2001))ので区分2とした。 | |||
| 眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | ヒトに対してsevere inflammation(重篤な炎症)という症例があったので区分1とした。(DFGOT vol.13(1999)) | |||
| 呼吸器感作性 | 【分類根拠】 (1)、(3)の報告があるが、免疫学的病因は明らかでなく、本物質の刺激性による影響も考えられることから分類できない。なお、情報源のデータを精査し、分類結果を変更した(2024年度)。 【参考データ等】 (1)研究所でこぼれた本物質を拭いた男性医師が、直後に脱力感、重度の頭痛、中等度の胸部の痛みがあったが、約48 時間で回復した。その後、微量の本物質にばく露したところ、咳、ぜん鳴、倦怠感を生じたとの報告がある(ACGIH(7th, 2001)、厚労省リスク評価書(2010))。 (2)厚労省リスク評価書では本物質の呼吸器感作性について判断できないとしている(厚労省リスク評価書(2010))。 (3)ある症例では、本物質に 9 日間ばく露されただけで、息切れと発作性呼吸困難症候群が発症した。臨床検査では、呼吸困難と上気道の炎症に加えて、低血圧と頻脈を伴う心血管障害、3 日間の発熱、気管支炎、咽喉頭炎、軟肝腫大、および喉頭蓋の一過性麻痺も明らかになった。病気の経過中に最大 12 % の好酸球増多が見られ、本物質の使用開始から 9 日後に病気が発症して重篤になったことから、以前の感作が示唆されている(MAK(DFG)(1999))。 | |||
| 皮膚感作性 | モルモットで感作性が認められている(PATTY(5th,2001))ので皮膚感作性を区分1とした。「日本職業・環境アレルギー学会特設委員会の中間報告」でもジアゾメタンは感作性化学物質としてあげられている。 | |||
| 生殖細胞変異原性 | in vitroの情報では変異原性を示しているが(DFGOT vol.13(1999))、in vivoのデータがないので分類できない。 | |||
| 発がん性 | 【分類根拠】 本物質は低濃度でも呼吸器傷害を生じる強い刺激性物質である(DFGOT vol. 3(1999))。従って、発がん性評価の試験も短時間ばく露による試験に限られているが、(1)〜(3)の限定的な動物試験結果に対して、(4)の分類結果が報告されている。(4)より、IARCよりも分類年が新しいACGIHの分類結果を優先し、区分1Bとした。新しい情報源の利用により区分を変更した。 【根拠データ】 (1)2系統の雄ラット(合計13例)に本物質のエーテル溶液(0.1〜3.3 mg/L)、1 mLからの蒸気を2〜3分間、週2回の頻度で6ヵ月間、又は4.5ヵ月間吸入ばく露した結果、10ヵ月以上生存した7例中3例に肺腺腫がみられ、うち1例には横隔膜や骨格筋に浸潤転移性の肺の扁平上皮がんが認められた(IARC 7(1974)、DFGOT vol. 3(1999))。 (2)A系雄マウス(12例)に本物質のエーテル溶液(0.1〜3.3 mg/L)、1 mLからの蒸気を約3分間(死亡例発現の10日目以降後ばく露時間を2分間に短縮)、週2回の頻度で6ヵ月間吸入ばく露した結果、6ヵ月以上生存したマウスの7/10例に肺腺腫(対照群:2/8例)が認められた。また、Swiss系雄マウス(5例)に本物質を同様に発生させた蒸気として1.5分間/回で最初の6週間に12回ばく露した結果、6ヵ月生存した5例全例に肺腫瘍(対照群:3/6例)が認められた(IARC 7(1974)、DFGOT vol. 3(1999))。 (3)A系雄マウス(12例)の背部皮膚に本物質のエーテル溶液(0.1〜3.3 mg/mL)数滴を5回/週で5ヵ月経皮適用した結果、生存例8匹全例に肺腺腫が認められた(IARC 7(1974)、DFGOT vol. 3(1999))。 (4)IARCは上記の実験動物での証拠は限定的として、グループ3とした(IARC Suppl. 7(1987))。ACGIHは作業者ばく露と同様のばく露条件下で、マウスに肺腺腫、ラットに肺の腺腫と扁平上皮がんが認められたことから、発がん性分類はA2の要件を満たすとした(ACGIH(7th, 2001):1996年分類)。この他、EU CLPが1Bに分類している。 【参考データ等】 (5)厚生労働省は、ACGIHの分類結果のA2は妥当であり、本物質は「ヒトに対しおそらく発がん性がある」との判断を示している(厚労省有害性総合評価表(2010))。 | |||
| 生殖毒性 | データがない。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | ヒトで肺炎、肺水腫、呼吸困難、チアノーゼ、胸痛、喘息発作、発熱等の症例が見られる(ACGIH(2001))、(PATTY(5th,2001)),(IARC 7(1974))ので区分1とした。また、ラットの試験において肺に無気肺、気管支の化膿・充血、気腫、気管支粘膜の形成異常など、また脾臓の充血・拡大、肝臓の皮質内側半分にネフローゼ変化および糸球体の充血がみられた(DFGOT vol.13(1999)),(IARC 7(1974))。これにより区分2(脾臓、肝臓)とした。 | |||
| 特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | ヒトの症例では肺水腫、喘息、呼吸困難、チアノーゼ、振戦等の症状が出ており死に至ったもの、また10日後に回復したものがあり(DFGOT vol.13(1999))分類できないとした。これらの職業ばく露は急性毒性(単回ばく露)の症状が出た結果と思われる。 | |||
| 誤えん有害性* | GHS定義による気体。 | |||
| * JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。 | ||||
| 12.環境影響情報 | |||
|---|---|---|---|
| 生態毒性 | |||
| 水生環境有害性 短期(急性) | データがなく分類できない。 | ||
| 水生環境有害性 長期(慢性) | データがなく分類できない。 | ||
| 残留性・分解性 | - | ||
| 生態蓄積性 | - | ||
| 土壌中の移動性 | - | ||
| オゾン層への有害性 | - | ||
| 13.廃棄上の注意 | |||
|---|---|---|---|
| 化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報 | 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 | ||
| 14.輸送上の注意 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
| 国際規制 | ||||
| 国連番号 | 1953 | |||
| 品名(国連輸送名) | 圧縮ガス、毒性のもの、引火性のもの、他に品名が明示されていないもの | |||
| 国連分類 | 2.3 | |||
| 副次危険 | 2.1 | |||
| 容器等級 | - | |||
| 海洋汚染物質 | 該当しない | |||
| MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | 該当しない | |||
| 国内規制 | ||||
| 海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う | |||
| 航空規制情報 | 航空法の規定に従う | |||
| 陸上規制情報 | 道路法、高圧ガス保安法の規定に従う | |||
| 特別な安全上の対策 | 道路法、高圧ガス保安法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
| その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
| 緊急時応急措置指針番号* | 119 | |||
| * 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。 | ||||
| 15.適用法令 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
| 労働安全衛生法 | 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 【203 ジアゾメタン】 名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【648 ジアゾメタン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【203 ジアゾメタン】 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降) 【648 ジアゾメタン】 危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) がん原性物質(作業記録等の30年保存対象物質)(労働安全衛生規則第577条の2) 【ジアゾメタン】 皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2) 危険物・可燃性のガス(施行令別表第1第5号) 【水素、アセチレン、エチレン、メタン、エタン、プロパン、ブタンその他の物】 | |||
| 労働基準法 | 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1) 【ジアゾメタン】 | |||
| 化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
| 毒物及び劇物取締法 | - | |||
| 船舶安全法 | 高圧ガス(危規則第3条危険物告示別表第1) | |||
| 航空法 | 輸送禁止(施行規則第194条) | |||
| 港則法 | その他の危険物・高圧ガス(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表) | |||
| 道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2) | |||
| 高圧ガス保安法 | 液化ガス(法第2条3) 可燃性ガス(一般高圧ガス保安規則第2条1) | |||
| 16.その他の情報 | ||||
|---|---|---|---|---|
| 参考文献 | ||||
| 9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 ・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP) ・International Chemical Safety Cards (ICSC) ・Hazardous Substances Data Bank (HSDB) ・GESTIS Substance database (GESTIS) ・2024 Emengency Response Guidebook ・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」 ・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」 | ||||