1.化学品等及び会社情報 | |||
---|---|---|---|
化学品の名称 | N-エチル-O-(2-イソプロポキシカルボニル-1-メチルビニル)-O-メチルチオホスホルアミド (別名: プロペタンホス) (Propetamphos) | ||
製品コード | R02-B-088 | ||
会社名 | ○○○○株式会社 | ||
住所 | 東京都△△区△△町△丁目△△番地 | ||
電話番号 | 03-1234-5678 | ||
ファックス番号 | 03-1234-5678 | ||
電子メールアドレス | 連絡先@検セ.or.jp | ||
緊急連絡電話番号 | 03-1234-5678 | ||
推奨用途及び使用上の制限 | 殺虫剤 (NITE-CHRIPより引用) |
2.危険有害性の要約 | |||
---|---|---|---|
GHS分類 | |||
分類実施日 (物化危険性及び健康有害性) | R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用 | ||
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用) | |||
物理化学的危険性 | 自己反応性化学品 | タイプG | |
健康に対する有害性 | 急性毒性 (経口) | 区分3 | |
急性毒性 (経皮) | 区分3 | ||
急性毒性 (吸入: 粉じん、ミスト) | 区分3 | ||
生殖毒性 | 区分2 | ||
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 区分1 (神経系) | ||
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 区分1 (神経系) | ||
分類実施日 (環境有害性) | 平成18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版) | ||
環境に対する有害性 | 水生環境有害性 (急性) | 区分1 | |
水生環境有害性 (長期間) | 区分1 | ||
GHSラベル要素 | |||
絵表示 | |||
注意喚起語 | 危険 | ||
危険有害性情報 | 飲み込むと有毒 皮膚に接触すると有毒 吸入すると有毒 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い 神経系の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 | ||
注意書き | |||
安全対策 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 | ||
応急措置 | ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 漏出物を回収すること。 | ||
保管 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
廃棄 | 内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。 | ||
他の危険有害性 | 情報なし |
3.組成及び成分情報 | |||
---|---|---|---|
単一製品・混合物の区別 | 単一製品 | ||
化学名又は一般名 | N-エチル-O-(2-イソプロポキシカルボニル-1-メチルビニル)-O-メチルチオホスホルアミド | ||
別名 | プロペタンホス | ||
(E)-O-2-イソプロポキシカルボニル-1-メチルビニル=O-メチル=エチルホスホロアミドチオアート | |||
濃度又は濃度範囲 | 情報なし | ||
分子式 (分子量) | C10H20NO4PS (281.31) | ||
化学特性 (示性式又は構造式) | |||
CAS番号 | 31218-83-4 | ||
官報公示整理番号 (化審法) | 情報なし | ||
官報公示整理番号 (安衛法) | 2-(7)-222 | ||
分類に寄与する不純物及び安定化添加物 | 情報なし |
4.応急措置 | |||
---|---|---|---|
吸入した場合 | 空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 医師に連絡すること。 | ||
皮膚に付着した場合 | 多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。 症状が続く場合には、医師に連絡すること。 | ||
眼に入った場合 | 直ちに流水で洗い流す。 | ||
飲み込んだ場合 | 直ちに医師に連絡すること。 口をすすぐこと。 コップ1杯の水を飲ませる。 | ||
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状 | 情報なし | ||
応急措置をする者の保護 | 情報なし | ||
医師に対する特別な注意事項 | 情報なし |
5.火災時の措置 | |||
---|---|---|---|
適切な消火剤 | 小火災: 粉末消火剤、二酸化炭素、散水 大火災: 水の散布、噴霧、一般の泡消火剤 | ||
使ってはならない消火剤 | 棒状注水 | ||
特有の危険有害性 | 情報なし | ||
特有の消火方法 | 情報なし | ||
消火を行う者の保護 | 情報なし |
6.漏出時の措置 | |||
---|---|---|---|
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置 | 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。 | ||
環境に対する注意事項 | 周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。 | ||
封じ込め及び浄化の方法及び機材 | 危険でなければ漏れを止める。 少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。 大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。 |
7.取扱い及び保管上の注意 | |||
---|---|---|---|
取扱い | |||
技術的対策 | 「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。 | ||
安全取扱い注意事項 | 使用前に取扱説明書を入手すること。 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 容器を密閉しておくこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 環境への放出を避けること。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 | ||
接触回避 | 「10. 安全性及び反応性」を参照。 | ||
衛生対策 | この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。 取扱い後はよく手を洗うこと。 | ||
保管 | |||
安全な保管条件 | 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 施錠して保管すること。 | ||
安全な容器包装材料 | 国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。 |
8.ばく露防止及び保護措置 | ||||
---|---|---|---|---|
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。 | ||||
管理濃度 | 未設定 | |||
許容濃度 | ||||
日本産衛学会 (2020年度版) | 未設定 | |||
ACGIH (2020年版) | 未設定 | |||
設備対策 | 取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。 高温下や、ミストが発生する場合は適切な局所排気装置・換気装置等を使用する。 | |||
保護具 | ||||
呼吸用保護具 | 状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。 | |||
手の保護具 | 保護手袋を着用する。 | |||
眼の保護具 | 保護眼鏡や保護面を着用する。 | |||
皮膚及び身体の保護具 | 保護衣を着用する。 |
9.物理的及び化学的性質 | |||
---|---|---|---|
物理的状態 | |||
物理状態 | 液体 (20℃、1気圧) (GHS判定) | ||
色 | 黄色 | ||
臭い | データなし | ||
融点/凝固点 | データなし | ||
沸点、初留点及び沸騰範囲 | 87〜89℃ (0.005 mmHg) (HSDB (Access on June 2020)) | ||
可燃性 | データなし | ||
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界 | データなし | ||
引火点 | データなし | ||
自然発火点 | データなし | ||
分解温度 | データなし | ||
pH | データなし | ||
動粘性率 | Index of refraction= 1.495 (20℃) (HSDB (Access on June 2020)) | ||
溶解度 | 水: 1.10E+002 mg/L (24℃) (HSDB (Access on June 2020)) アセトン、エタノール、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、クロロホルムに混和 (HSDB (Access on June 2020)) | ||
n-オクタノール/水分配係数 | log Kow = 3.82 (HSDB (Access on June 2020)) | ||
蒸気圧 | 1.43E-005 mmHg (20℃) (HSDB (Access on June 2020)) | ||
密度及び/又は相対密度 | 1.1294 g/cm3 (20℃) (GESTIS (Access on June 2020)) | ||
相対ガス密度 | データなし | ||
粒子特性 | 該当しない |
10.安定性及び反応性 | |||
---|---|---|---|
反応性 | 情報なし | ||
化学的安定性 | 情報なし | ||
危険有害反応可能性 | 情報なし | ||
避けるべき条件 | 情報なし | ||
混触危険物質 | 情報なし | ||
危険有害な分解生成物 | 情報なし |
11.有害性情報 | |||
---|---|---|---|
急性毒性 | |||
経口 | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ラットのLD50: 雌: 59.5 mg/kg、雄: 119 mg/kg (EU EMEA (1999)、食安委 動物用医薬品評価書 (2013)、HSDB (Access on June 2020)) (2) ラットのLD50: 雌: 75.9 mg/kg、雄: 98.8 mg/kg (食安委 動物用医薬品評価書 (2013)) (3) ラットのLD50: 雌: 96.4 mg/kg、雄: 116.1 mg/kg (EPA Pesticides RED (2006)、Patty (6th, 2012)) (4) ラットのLD50: 62.4 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020)) (5) ラットのLD50: 75 mg/kg (HSDB (Access on June 2020)) | ||
経皮 | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分3とした。 【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: 486 mg/kg (EU EMEA (1999)、食安委 動物用医薬品評価書 (2013)) (2) ウサギのLD50: 486.4 mg/kg (EPA Pesticides RED (2006)、Patty (6th, 2012)) (3) ラットのLD50: 564 mg/kg (GESTIS (Access on June 2020)) (4) ラットのLD50: 雌: 564 mg/kg、雄: 1,282 mg/kg (食安委 動物用医薬品評価書 (2013)) (5) ラットのLD50: 雌: > 2,260 mg/kg (EU EMEA (1999)、食安委 動物用医薬品評価書 (2013)) | ||
吸入: ガス | 【分類根拠】 GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。 | ||
吸入: 蒸気 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
吸入: 粉じん及びミスト | 【分類根拠】 (1)、(2) より、安全側の値を優先して区分3とした。 なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (2.2E-004 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。 【根拠データ】 (1) ラットのLC50 (4時間): 雌: 0.69 mg/L、雄: 1.5 mg/L (EPA Pesticides RED (2006)、Patty (6th, 2012)) (2) ラットのLC50 (4時間): 雌: 3.02 mg/L、雄: 3.30 mg/L (食安委 動物用医薬品評価書 (2013)) (3) 本物質の蒸気圧: 1.43E-005 mmHg (20℃) (HSDB (Access on May 2020)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 2.2E-004 mg/L) | ||
皮膚腐食性及び皮膚刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 本物質はEPA OPPTS 870.2500に準拠したウサギを用いた皮膚刺激性試験で皮膚刺激性を示さない (EPA Pesticides RED (2006))。 (2) 本物質は皮膚刺激性を示さない (EU EMEA (1999))。 (3) 本物質のウサギを用いた皮膚刺激性試験で、適用24時間後に非常に軽度な紅斑がみられたのみであり、皮膚刺激性を有しないと評価された (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 | ||
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 本物質はEPA OPPTS 870.2400に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性を示さない (EPA Pesticides RED (2006))。 (2) 本物質は眼刺激性を示さない (EU EMEA (1999))。 (3) 本物質のウサギを用いた眼刺激性試験で、角膜の腫瘍化及び混濁、結膜の水腫は観察されず、虹彩及び結膜の状態は正常であったことから眼刺激性は示さないと評価された (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 | ||
呼吸器感作性 | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | ||
皮膚感作性 | 【分類根拠】 (1)〜(3) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 本物質はEPA OPPTS 870.2600に準拠したモルモットを用いた皮膚感作性試験で皮膚感作性を示さない (EPA Pesticides RED (2006))。 (2) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (ビューラー法) で皮膚感作性を示さない (EU EMEA (1999)、食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (3) 本物質のモルモットを用いた皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で皮膚感作性を示し、陽性率は20%と報告されている (食安委 動物用医薬品評価書 (2014))。 | ||
生殖細胞変異原性 | 【分類根拠】 (1)、(2) より、区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) in vivoでは、ラット骨髄細胞を用いた染色体異常試験及びマウスの骨髄細胞を用いた小核試験において陰性の報告がある (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いた姉妹染色分体交換試験及びマウスリンフォーマ試験において陰性の報告がある (同上)。 | ||
発がん性 | 【分類根拠】 ラットでの発がん性を評価できる十分な試験結果は得られていないが、(1)〜(3) に基づき区分に該当しないとした。 【根拠データ】 (1) 国内外の分類機関による既存分類では、EPAでNL (Not Likely to be Carcinogenic to Humans) (EPA Annual Cancer Report 2019 (Access on September 2020):1998年分類) に分類されている。 (2) 雌雄のマウスに本物質を93週間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、発がん性は認められなかった (食安委 動物用医薬品評価書 (2013)、EU EMEA (1999))。 (3) EMEAは、変異原性が陰性結果であること及び適切に管理されたマウスの試験において発がん性がみられなかったことを考慮し、本物質には発がん性はないと結論した (EU EMEA (1999))。 【参考データ等】 (4) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した慢性毒性/発がん性併合試験では、腫瘍発生率の明らかな増加はなかったが、生存率が低かったために本試験は発がん性の評価のためには十分ではなかった (食安委 動物用医薬品評価書 (2013)、EU EMEA (1999))。 | ||
生殖毒性 | 【分類根拠】 (1) より、親動物毒性がみられる用量で生殖影響の報告がある。ガイダンスに従い区分2とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) ラットを用いた混餌投与による2世代繁殖試験において、親動物に毒性 (明らかな毒性徴候、体重増加抑制、血漿、赤血球及び脳のコリンエステラーゼ (ChE) 活性低下) が認められる用量 (75 mg/kg飼料、ガイダンス値換算:3.75 mg/kg/day) でF1雄に不妊症の証拠が認められた。この用量は出生児に対しても毒性を示し、同腹児数、児の生存率及び体重増加の減少、並びに血漿、赤血球及び脳のChE活性の有意な低下を引き起こした (EU EMEA (1999))。 【参考データ等】 (2) ラットを用いた強制経口投与による妊娠前及び妊娠初期投与試験 (Seg J試験) において、雌雄の親動物及び胎児に対して、最高用量である2 mg/kg/dayまで影響はみられていない (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (3) 雌ラットを用いた強制経口投与による周産期及び授乳期投与試験 (Seg L試験) において、母動物、胎児及び児動物に対して、最高用量である2 mg/kg/dayまで影響はみられていない (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (4) 雌ラットの妊娠7〜17日まで強制経口投与した器官形成期投与試験 (Seg K試験) において、母動物、胎児及び児動物に対して、最高用量である2 mg/kg/dayまで影響はみられていない (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (5) 雌ラットの妊娠6〜15日まで強制経口投与した発生毒性試験において、3及び6 mg/kg/dayの母動物に明白な毒性徴候が認められ、6 mg/kg/dayで母動物の体重増加量が有意に減少した。いずれの用量でも催奇形性又は胎児毒性の証拠は認められなかった (EU EMEA (1999))。 (6) 雌ウサギの妊娠6〜18日まで強制経口投与した発生毒性試験において、母動物では最高用量である8 mg/kg/dayで体重減少がみられ、胎児には影響はみられていない (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 |
特定標的臓器毒性 (単回ばく露) | 【分類根拠】 (1) のヒトのばく露例と、(2)〜(4) の実験動物試験で神経系への影響がみられていることから、区分1 (神経系) とした。なお、新たな情報源の使用により、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) 本物質にばく露されたヒトで、呼吸困難、胸の圧迫感、息切れ、精神錯乱、吐き気、めまい、頭痛、嘔吐、眼の炎症等、235例報告されたとの記載がある (Patty (6th, 2012))。 (2) ラットの単回経口投与試験及び単回経皮適用試験 (いずれも投与量不明) において、自発運動減少、歩行失調、歩行困難等の中枢神経抑制症状、振戦、流涙、流涎、縮瞳、呼吸不整等がみられた (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (3) ラットの4時間単回吸入ばく露試験において、1,440 mg/m3 (区分2の範囲) 〜7,290 mg/m3 (区分2超) で呼吸促迫、軽度の間代性痙攣、流涎、流涙、軟便の排泄、尿失禁がみられた (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (4) イヌ、ウサギ、ラット、マウスなどの実験動物において、抗コリンエステラーゼ及び神経毒性作用を示したとの報告がある (EPA Pesticides RED (2006))。 | ||
---|---|---|---|
特定標的臓器毒性 (反復ばく露) | 【分類根拠】 (1)〜(5) より、区分1 (神経系) とした。新たな情報を用いて検討した結果、旧分類から分類結果を変更した。 【根拠データ】 (1) イヌを用いた6ヵ月間の混餌投与試験の結果、12/4 ppm (雄/雌: 0.089/0.083 mg/kg/day) 以上の雄で大脳コリンエステラーゼ (ChE) 活性の低下が、24 ppm (雄/雌: 0.692/0.702 mg/kg/day) の雌雄で赤血球ChE活性の抑制、雄で大脳ChE活性の低下、雌で白血球数の高値、無機リンの高値、大脳ChE活性の低下 (65%) がみられた (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (2) イヌを用いた52週間の混餌投与試験の結果、20 ppm (0.5 mg/kg/day、区分1の範囲) で肝重量増加、赤血球のChE活性低下が、100 ppm (2.5 mg/kg/day、区分1の範囲) で下痢、摂餌量低下、肝臓酵素及び肝重量増加、2例の肝臓に局所的な壊死、赤血球及び脳ChE活性低下がみられ、雄1例で虚脱状態のため安楽死処置された (食安委 動物用医薬品評価書 (2013)、EU EMEA (1999))。 (3) マウスの慢性毒性/発がん性併合試験において、1 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上の雄で赤血球及び脳ChE 活性低下が、 6 mg/kg/dayの雄で骨髄過形成が、6 mg/kg/day (区分1の範囲) 以上の雄で摂餌量減少、雌で赤血球及び脳ChE活性低下、十二指腸粘膜の過形成が、21 mg/kg/day (区分2の範囲) の雌雄で活動性低下、雄で脳重量増加、神経細胞の空胞変性、雌で死亡率増加、摂餌量減少、神経細胞の空胞変性、骨髄過形成がみられた (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (4) ラットの慢性毒性/発がん性併合試験において、12 ppm (0.6 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で赤血球ChE活性低下が、12 ppm (6 mg/kg/day) で脳ChE活性低下がみられた。なお、死亡率が高いために、雄生存例は91 週間で安楽死処置された。対照群の死亡を含めてほとんどの死亡は慢性腎症によるものであった (食安委 動物用医薬品評価書 (2013))。 (5) ウサギを用いた3週間の経皮毒性試験において、0.5 m/kg/day (90日換算: 0.08mg/kg/day、区分1の範囲) 以上で血漿及び赤血球ChE活性低下がみられた (EU EMEA (1999))。 |
誤えん有害性* | 【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 | |||
---|---|---|---|---|
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。 |
12.環境影響情報 | |||
---|---|---|---|
生態毒性 | |||
水生環境有害性 (急性) | 甲殻類 (オオミジンコ) の48時間LC50 = 0.0033 mg/L (米国殺虫剤申請用試験 (1990)) 他から、区分1とした。 | ||
水生環境有害性 (長期間) | 急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの (log Kow = 3.82 (PHYSPROP Database (2005)))、急速分解性がないと推定される (BIOWIN) ことから、区分1とした。 | ||
オゾン層への有害性 | - |
13.廃棄上の注意 | |||
---|---|---|---|
残余廃棄物 | 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 | ||
汚染容器及び包装 | 容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。 |
14.輸送上の注意 | ||||
---|---|---|---|---|
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。 | ||||
国際規制 | ||||
国連番号 | 3018 | |||
国連品名 | ORGANOPHOSPHORUS PESTICIDE, LIQUID, TOXIC | |||
国連危険有害性クラス | 6.1 | |||
副次危険 | - | |||
容器等級 | L | |||
海洋汚染物質 | 該当する | |||
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質 | - | |||
国内規制 | ||||
海上規制情報 | 船舶安全法の規定に従う。 | |||
航空規制情報 | 航空法の規定に従う。 | |||
陸上規制情報 | 毒物及び劇物取締法、道路法の規定に従う。 | |||
特別な安全上の対策 | 毒物及び劇物取締法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物 | |||
その他 (一般的) 注意 | 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 | |||
緊急時応急措置指針番号* | 152 | |||
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。 |
15.適用法令 | ||||
---|---|---|---|---|
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。 | ||||
労働安全衛生法 | - | |||
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) | - | |||
毒物及び劇物取締法 | 劇物(指定令第2条)【11の4 N−エチル−O−(2−イソプロポキシカルボニル−1−メチルビニル)−O−メチルチオホスホルアミド及びこれを含有する製剤】 | |||
道路法 | 車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【3 イソプロピル3−〔(エチルアミド)(メトキシ)チオホスフィノイルオキシ〕イソクロトナート】 | |||
航空法 | 毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3018 殺虫殺菌剤(有機リン系)(液体)(毒性のもの)】 | |||
船舶安全法 | 毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3018 有機リン系殺虫殺菌剤類(液体)(毒性のもの)】 | |||
港則法 | その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2チ 有機リン系殺虫殺菌剤類(液体)(毒性のもの)】 |
16.その他の情報 | ||||
---|---|---|---|---|
参考文献 | ||||
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。 NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP) International Chemical Safety Cards (ICSC) Hazardous Substances Data Bank (HSDB) GESTIS Substance database (GESTIS) ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用 |